このブログでは、平均賃金水準の10%引き上げで日本経済の活性化を、と論じて来ていますが、常識的には「そんなの無理」という感覚が大勢なのかと思います。
しかし現状の日本経済を考えればそうかなと思う方もおられるでしょう。多分その理由は「今までの賃上げで景気は良くならなかった」「企業業績と賃金のアンバランス」といった、状況観測からの合理的な判断でしょう。そのあたりを少し具体的に考えてみましょう。
先日、公正取引委員会が、賃上げでコストが上ったら、その分を「価格転嫁する際の指針」を出しました。このブログでも取り上げ、この指針は素晴らしいと述べました。
今の日本経済の中身を見ますと(2022年度)GDP:566兆円、雇用者報酬:296兆円(労働分配率(52.3%)です。
雇用者報酬というのは、皆様ご存じのように現金給与だけではなく企業の支払う人件費(社長以下のすべての従業員分で、企業の払う社会保険料や福利厚生費、教育訓練費などすべての雇用コストを含む)の合計です。
そこで、このグログの提言の様に、平均賃金水準を10%上げます。具体的には雇用者報酬を10%増やしてみます。296兆円×1.1で326兆円(四捨五入しています)になります。
増加した30兆円の分企業の利益が減ったら大変ですから、そんな事にならないように公正取引委員会は30兆円は「全部価格転嫁をしなさい」という指針を出しています価格転嫁すれば、利益に食い込むことはありません。
各企業の賃上げの結果は、それぞれの企業の売上高に加算されて最終的には消費者が支払うことになります。つまり、人件費の上がった分だけ物価が上がるという事です。
一般的な言葉でいえば「賃金インフレ」が起きたことになるわけです。
どのくらい賃金インフレが起きるかの計算は、賃金インフレで増えたGDP 566兆円+30兆円=596を、増える前のGDP566兆円で割れば出ます。
596/566=1.053 つまり5.3%のインフレになるという事です。
これが、平均賃金水準を10%引き上げて、その分を価格転嫁したときの結果です。賃金は10%上がり。物価は5.3%上がることで 新しい経済バランスが生れます。
利益は金額としては影響をうけません。しかし賃金が10%上げりますから労働分配率が上がり(これは上の数字から計算可能、52.3%→54.7%)、購買力が家計に移転してその分消費需要が増える可能性が大きくなり、多分これまでの消費不振経済は解消の方向に向かうという事です。翌年からは通常の賃上げに戻って、政府・日銀の2%インフレ目標、「実質成長率プラス2%インフレ分」ぐらいを目指せばいいのです。
ところで、何故そんな簡単なことがやれないのかという質問が出て来そうです。
原因は大きく2つでしょう。
第一は、国際競争力がなくなるという心配ですが、インバウンドの盛況が示すように日本の物価は安い、国際競争力は強い、それに今の円レートは円高と言っても140円(2年前は109円)、5%程度のインフレで国際競争力は失われる事はないでしょうという回答になります。
第二は、賃金・物価のスパイラルが起きる恐れの心配ですが、日本の企業は真面目で、賃上げしたと偽って便乗値上げが一般化するような恐れはない(公正取引委員会の指針を守れる)という企業の真面目さへの信頼感が回答です。
こんな事を「政労使」で話し合って、国民の納得を得て実行できるような日本(石油危機のころはそんな雰囲気がありました)であってほしいと思っています。
しかし現状の日本経済を考えればそうかなと思う方もおられるでしょう。多分その理由は「今までの賃上げで景気は良くならなかった」「企業業績と賃金のアンバランス」といった、状況観測からの合理的な判断でしょう。そのあたりを少し具体的に考えてみましょう。
先日、公正取引委員会が、賃上げでコストが上ったら、その分を「価格転嫁する際の指針」を出しました。このブログでも取り上げ、この指針は素晴らしいと述べました。
今の日本経済の中身を見ますと(2022年度)GDP:566兆円、雇用者報酬:296兆円(労働分配率(52.3%)です。
雇用者報酬というのは、皆様ご存じのように現金給与だけではなく企業の支払う人件費(社長以下のすべての従業員分で、企業の払う社会保険料や福利厚生費、教育訓練費などすべての雇用コストを含む)の合計です。
そこで、このグログの提言の様に、平均賃金水準を10%上げます。具体的には雇用者報酬を10%増やしてみます。296兆円×1.1で326兆円(四捨五入しています)になります。
増加した30兆円の分企業の利益が減ったら大変ですから、そんな事にならないように公正取引委員会は30兆円は「全部価格転嫁をしなさい」という指針を出しています価格転嫁すれば、利益に食い込むことはありません。
各企業の賃上げの結果は、それぞれの企業の売上高に加算されて最終的には消費者が支払うことになります。つまり、人件費の上がった分だけ物価が上がるという事です。
一般的な言葉でいえば「賃金インフレ」が起きたことになるわけです。
どのくらい賃金インフレが起きるかの計算は、賃金インフレで増えたGDP 566兆円+30兆円=596を、増える前のGDP566兆円で割れば出ます。
596/566=1.053 つまり5.3%のインフレになるという事です。
これが、平均賃金水準を10%引き上げて、その分を価格転嫁したときの結果です。賃金は10%上がり。物価は5.3%上がることで 新しい経済バランスが生れます。
利益は金額としては影響をうけません。しかし賃金が10%上げりますから労働分配率が上がり(これは上の数字から計算可能、52.3%→54.7%)、購買力が家計に移転してその分消費需要が増える可能性が大きくなり、多分これまでの消費不振経済は解消の方向に向かうという事です。翌年からは通常の賃上げに戻って、政府・日銀の2%インフレ目標、「実質成長率プラス2%インフレ分」ぐらいを目指せばいいのです。
ところで、何故そんな簡単なことがやれないのかという質問が出て来そうです。
原因は大きく2つでしょう。
第一は、国際競争力がなくなるという心配ですが、インバウンドの盛況が示すように日本の物価は安い、国際競争力は強い、それに今の円レートは円高と言っても140円(2年前は109円)、5%程度のインフレで国際競争力は失われる事はないでしょうという回答になります。
第二は、賃金・物価のスパイラルが起きる恐れの心配ですが、日本の企業は真面目で、賃上げしたと偽って便乗値上げが一般化するような恐れはない(公正取引委員会の指針を守れる)という企業の真面目さへの信頼感が回答です。
こんな事を「政労使」で話し合って、国民の納得を得て実行できるような日本(石油危機のころはそんな雰囲気がありました)であってほしいと思っています。