日銀「企業物価指数」9%上昇は「正常」のうち
アメリカでは、11月の米消費者物価指数 前年同月比6.8%も上昇して39年ぶり高水準という事でアメリカの中央銀行であるFRBは金融引き締めの動きを見せるなど大変です。
そこに日本でも日銀が調査発表する「企業物価指数」の11月が、対前年同月で9.0%の上昇という発表がありました。
ところが日本の消費者物価は最新時点の10月で0.1%の上昇と落ち着いたものです。
こうした日米の違い、企業物価指数と消費者物価指数のギャップがどこから来るのか「ざっと」見てみました。アメリカの事は最後にちょっと触れることにして、まず、日本の場合、企業間取引の物価指数が9%も上っても、消費者物価が僅か0.1%の上昇と言うというメカニズムは正常かという事です。
今回の企業物価指数の上昇は原油をはじめとして資源、原材料価格が世界中で値上がりしたからという事は言われています。
そこで、輸入物価の影響という点を見てみましょう。
日銀の企業物価指数の内訳の中に、需要段階別の企業物価を国内品と輸入品に分けて調べたものがあります。それで見ますと、輸入原材料をはじめ、輸入品と国内品価格の関係が解ります。
日銀の調査では、素原材料、中間財、最終財と加工段階別に分かれていて、それぞれについて国内品と輸入品の対前年同月の上昇率が解ります。
素原材料 63.7%、うち国内品10.0%、輸入品 91.1%
中間財 14.5%、うち国内品11.7%、輸入品 31.2%
最終財 3.9%、うち国内品 2.3%、輸入品 9.1%
結果は上の数字のようになっています。
圧倒的に上昇率が高いのは素原材料の輸入品で、91.1%、ほぼ2倍に近い上昇率です。当然、原油の値上がりや、その他鉱物資源などの価格上昇の影響が甚大です。
加工段階別にみていきますと、国内品でも輸入品でも素原材料から中間財、最終財と加工度が上がるにつれて上昇率が低くなっています。
これは価格の中に含まれる加工や輸送のコストの割合が大きくなるからで、加工や輸送のコストというのは、大部分が人件費ですから、上昇率の低い人件費がコストの占める比率が大きくなると原材料のコスト高が薄められるからです。
日本経済全体の輸入代金はGDPの1割程度ですから、残りの9割は国内コストです。ですから国内コスト(最大のコストは人件費)が上がらなければ、影響は輸入品価格分だけに限られ、加工段階が上がるほどその影響は小さくなります。
企業物価というのは、まさに物価で、「物」の価格ですが、消費者物価になるとさらに小売りの人件費、や物でないサービス料金も入りますから、人件費の割合が圧倒的に大きくなって素原材料の影響は、ますます小さなものになってしまいます。
アメリカで消費者物価が上がっているのは、原材料価格の値上がりと言うよりも、流通がネックになったりして品物不足によることや、物価が上がったという事で、賃金が上がったこともあるようです。いわゆる便乗値上げもあるでしょう。
資源の国際価格が上昇して、経済が混乱するというのは、よくあることで、かつての1970年代の石油危機の時は、先進国も大混乱で、その始末には1980年代までかかりましたが、日本は合理的な対応をし、影響は小さくで済みました。
資源価格の上昇というのは、世界共通の問題ですから、自分の国だけが不利になるのではないので、上昇分は正確に価格転嫁した場合の影響を見定め、慌てて賃金を上げたり、便乗値上げに走ったりしなければ、乗り切ることが十分可能な問題です。
日本の場合は、国内経済が安定していて、国民の行動も平静なので、輸入物価の上昇が経済の混乱をもたらすようなことは起きないだろうと見ています。
こうした統計数字を見ることでそんな状況も理解出来るように思います。
アメリカでは、11月の米消費者物価指数 前年同月比6.8%も上昇して39年ぶり高水準という事でアメリカの中央銀行であるFRBは金融引き締めの動きを見せるなど大変です。
そこに日本でも日銀が調査発表する「企業物価指数」の11月が、対前年同月で9.0%の上昇という発表がありました。
ところが日本の消費者物価は最新時点の10月で0.1%の上昇と落ち着いたものです。
こうした日米の違い、企業物価指数と消費者物価指数のギャップがどこから来るのか「ざっと」見てみました。アメリカの事は最後にちょっと触れることにして、まず、日本の場合、企業間取引の物価指数が9%も上っても、消費者物価が僅か0.1%の上昇と言うというメカニズムは正常かという事です。
今回の企業物価指数の上昇は原油をはじめとして資源、原材料価格が世界中で値上がりしたからという事は言われています。
そこで、輸入物価の影響という点を見てみましょう。
日銀の企業物価指数の内訳の中に、需要段階別の企業物価を国内品と輸入品に分けて調べたものがあります。それで見ますと、輸入原材料をはじめ、輸入品と国内品価格の関係が解ります。
日銀の調査では、素原材料、中間財、最終財と加工段階別に分かれていて、それぞれについて国内品と輸入品の対前年同月の上昇率が解ります。
素原材料 63.7%、うち国内品10.0%、輸入品 91.1%
中間財 14.5%、うち国内品11.7%、輸入品 31.2%
最終財 3.9%、うち国内品 2.3%、輸入品 9.1%
結果は上の数字のようになっています。
圧倒的に上昇率が高いのは素原材料の輸入品で、91.1%、ほぼ2倍に近い上昇率です。当然、原油の値上がりや、その他鉱物資源などの価格上昇の影響が甚大です。
加工段階別にみていきますと、国内品でも輸入品でも素原材料から中間財、最終財と加工度が上がるにつれて上昇率が低くなっています。
これは価格の中に含まれる加工や輸送のコストの割合が大きくなるからで、加工や輸送のコストというのは、大部分が人件費ですから、上昇率の低い人件費がコストの占める比率が大きくなると原材料のコスト高が薄められるからです。
日本経済全体の輸入代金はGDPの1割程度ですから、残りの9割は国内コストです。ですから国内コスト(最大のコストは人件費)が上がらなければ、影響は輸入品価格分だけに限られ、加工段階が上がるほどその影響は小さくなります。
企業物価というのは、まさに物価で、「物」の価格ですが、消費者物価になるとさらに小売りの人件費、や物でないサービス料金も入りますから、人件費の割合が圧倒的に大きくなって素原材料の影響は、ますます小さなものになってしまいます。
アメリカで消費者物価が上がっているのは、原材料価格の値上がりと言うよりも、流通がネックになったりして品物不足によることや、物価が上がったという事で、賃金が上がったこともあるようです。いわゆる便乗値上げもあるでしょう。
資源の国際価格が上昇して、経済が混乱するというのは、よくあることで、かつての1970年代の石油危機の時は、先進国も大混乱で、その始末には1980年代までかかりましたが、日本は合理的な対応をし、影響は小さくで済みました。
資源価格の上昇というのは、世界共通の問題ですから、自分の国だけが不利になるのではないので、上昇分は正確に価格転嫁した場合の影響を見定め、慌てて賃金を上げたり、便乗値上げに走ったりしなければ、乗り切ることが十分可能な問題です。
日本の場合は、国内経済が安定していて、国民の行動も平静なので、輸入物価の上昇が経済の混乱をもたらすようなことは起きないだろうと見ています。
こうした統計数字を見ることでそんな状況も理解出来るように思います。