上記の学会が、東京立教大学と大阪TOWAROW PLAZAを会場に開かれました。
大阪駅から地図を見ながら歩いて行ったので開会の挨拶は聞くことができませんでした。
シンポジウム1 精神医療における医療通訳
①措置診察における医療通訳 林偉明(千葉精神科医療センター)
成田空港もあり外国人は多い。 精神保健福祉法に沿って措置診察について話されました。
普通の生活の中では立ち入らない場所での診察であること、また通訳いかんでその患者が強制的に入院させられてしまうかもしれない、という重責のために通訳としてもかなりの緊張を伴う。
ただ、外国人の場合、家族がいない(医療保護入院ができない)在留資格がない(生活保護が受けられない)などもあり、措置入院がとられることもあるかもしれない。
異文化に疎い精神科医師も多いが、日本社会における奇妙に見える行動もその人の母国では宗教的文化的に意味がある可能性もある。
精神病の状態では母国語であっても意思の伝達は低下してしまうことがほとんどでさらにのちに獲得した第2言語ではなおさら。通訳の困難性がある。
②入院精神医療における医療通訳 鈴木恵(埼玉県精神医療センター医療援助部)
開設後の16年間で175人の日本語を母語としない患者を受け入れてきた。昨年度は15人。
通訳の介入が不可欠であるにもかかわらず、予算措置がされていなく患者の家族や職場の同僚に依頼することもあった。しかし、利害関係がある場合や、家族の思い込みなどが入り正確な通訳がされないこともあったが、12年前から一時間4000円上限12000円で年間10万円の予算がつくようになり有償でボランティア通訳を依頼できるようになった。国際交流協会に依頼することが多いが、緊急の際には精神保健総合センターで開催した外国語通訳ボランティア講座の受講生にも依頼している。
入院関連書類の翻訳も行ってきており、法定書類や入院のしおりなども翻訳版を作っている(ただし、正式な法定書類とはならない)。
急性期の入院患者にとって医療スタッフが秒所把握したりすることは勿論であるが、患者にとっても何よりも安心感を与えることができる。
住所地の近い人は避ける、守秘義務については文書で確約してもらう、個人情報は伝えないように、また医療スタッフには通訳のために低位な(わかりやすい言葉で)文章を短く話してもらうようにしている…
③外来精神医療における医療通訳 (四谷ゆいクリニック・臨床心理士)
精神医療は目に見えなく、触れない患者の訴えや表情が診療の手がかりなので患者の発する言葉がなおさら重要である。基本的な専門知識の習得とともに通や鵜の正確性に徹し、「no add, no omit, no change」肝要でありどれだけ忠実な仲介者になるのかが大事である。
外来医療は入院医療に比べると日常に近く、枠が緩い。外的な枠が設定されていない分、きちんと「枠」を自分たちで作っていくことが必要である。枠は制限するものであると同時に、患者や通訳者を守るためのものでもある。
倫理、患者の主体性、始まりと終わりの確認、正確性、専門的知識の習得、患者の文化に関する知識、通訳に徹する(きつい仕事である。何か手助けしたくなる。)精神的な荷降ろし、一人で抱え込まない
⑤海外における精神科医療通訳 押見貴之(日本大学医学部)
1 精神科医療の特異性 医療通訳には「何も変えずに通訳する役割」のほかに「理解を確認する役割」「文化を説明する役割」「患者を擁護する役割」が求められる。そしてこの3つの役割は医療通訳が行われる「医療機関」「医療者・患者・通訳者の帰属する文化」「通訳者の技量」によって影響を受ける。 精神科の診察では「診療に影響を与える要素すべてを正確に通訳する役割」「理解を確認する役割」「文化の説明をする役割」のすべてが求められる。
2 留意点 正確な医療通訳を実現し、同時に医療通訳者の健康を維持するため、精神科医療では医療者と通訳者が事前事後に打ち合わせをし、また同一の通訳者が従事することが望ましい。事前の打ち合わせでは医療者は患者についての情報と医療者の視点を通訳者に伝え、通訳者は患者の文化に関する情報を医療者に伝える。事後の打ち合わせでは、通訳についての意見交換を行うと同時に通訳者の精神状態を医療者と通訳者が把握して適切な処置をおこなう。正確な通訳と通訳者の健康を維持するためには継続して同一の通訳者を使用することが求められるが、その際には継続使用に伴う倫理規定違反に十分注意する必要がある。
3 通訳者の養成 オーストラリアのNAATIの養成のようなシステムが日本にも必要である。
とまあ、午前中はこんな具合でした。
午後も5時半ころまでばっちりと続くのですが、だんだんと打ち間違えるようになってきたので明日また報告します。