高田所長による手話「0増5減」。<上>(1)左手で0、右手で5をつくる<中>(2)左手の0を水平に左に動かす。「0増」だが、「定数が変わらない」ことを表現<下>(3)右手の5を下ろして「減」を表現
◇アベノミクス、0増5減、貧困ビジネス、生活保護バッシング
夏の参院選を前に、「アベノミクス」「0増5減」「生活保護バッシング」など49の時事用語が、「選挙にかかわる手話」として新たに確定した。政見放送や候補者の演説を聴覚障害者が理解しやすいように、日本手話研究所(京都市右京区)が、字面にとどまらず用語に含まれる意味も考え、統一の表現を示した。
同研究所は、厚生労働省の委託を受けて標準的な手話を確定、普及に努めている。表現がばらばらでは聴覚障害者が混乱するため、同研究所が確定させた手話が全国統一のものとして使われる。
今年4月、全日本ろうあ連盟(本部・東京都)などが列挙した用語を受け、聴覚障害のある同研究所の高田英一所長(76)と村松裕子主任ら4人が素案を作成。全国各地の9班の意見を踏まえて5月に正式決定した。
素案作りの段階では、人によって選挙用語のイメージが違うため議論になった。既存の手話を組み合わせたり、手の動きを創作したりして、新しく手話を作った。
例えば「貧困ビジネス」。単純に手話の「貧しい」と「ビジネス」ではなく、「貧しい」と「はがす」を組み合わせた。困窮している人につけ込み利益をむさぼる悪質性を表した。
8単語は今回創作した。「1票の格差」是正のため、衆院定数を5減らす「0増5減」は、「0」を「そのまま」、「5」を「減らす」とした。「三本の矢」は、指文字の「や」から3本の指で弓の弦を引くようにした。
同研究所が選挙の手話を確定させたのは、2009年衆院選以来5回目だ。高田所長は「字面と意味が違う場合は工夫が要る。まだまだ分かりにくい単語がたくさんある」と話す。
同研究所ホームページ(http://www.newsigns.jp)で、49語の動画を見られる。【池田知広】
言葉ってのは どこかがお作りになって ありがたく使わせていただく…といったものではないとは思うけど。 「これでないといかん!」と目くじら立てるお人が目に浮かぶなあ。