今日の東京新聞の「本音のコラム」です。
強者の論理 斉藤美奈子
へえ、そうなんだ。安保法には反対でも、TPPの大筋合意は歓迎するんだ。6日の朝刊各紙を読んでの感想である。
「日本経済への恩恵も大きい」(朝日新聞)、「新たな経済成長の糧とすることが期待される」(毎日新聞)、「長い目でみた地域の成長や安定につながる」(日経新聞)など全国紙各紙は一様に祝賀ムードだ。
が、地方紙のトーンは異なる。「これで国益を守ったと言えるのか。米国に追従し、農業分野で譲歩を重ねた秘密交渉だった」と批判した北海道新聞の社説。「交渉の過程で多くの問題点が浮かび上がり、日本への影響を深く懸念する」と書いた岩手日報の論説。
この件は、もともと中央と地方の間で大きな温度差があった。安保法以上にわかりにくい案件でもあった。だけど、反対者は多かった。
「TPPは私たちの生活を豊かにする。私たちにチャンスを与える」と語った安倍首相と、「日本の国民の利益と経済主権をアメリカの多国籍企業に売り渡すもの」という談話を出した共産党の志位委員長。はたしてどちらが正しいのか。
農業の衰退、食の安全、自由診療拡大のよる保険制度の破壊、悪名高いISD条項、いずれにしてもTPPは強者の論理。競争を歓迎するのは競争に勝てる人(国・企業)だけだ。犠牲は弱いところに行く。戦争も経済戦争も。(文芸評論家)
そもそも、民主党政権時代に、自民党はこんな選挙公約を掲げていた。
この選挙公約を投げ捨てた自民党に「ウソしかつかない自民党」と怒った選挙民もいました。2013年の衆参両院での「農産品5項目などの関税を維持する」のと決議も守らずに、アメリカ言いなりに秘密交渉を続け、最後はアメリカのお先棒を担いで、旗振り役さえつとめたのが日本でした。
安陪政権はしきりに「地方創生」を言っているが、TPP交渉の結果、地方壊滅が決定的になるのではないかと、私は心配しています。
強者の論理 斉藤美奈子
へえ、そうなんだ。安保法には反対でも、TPPの大筋合意は歓迎するんだ。6日の朝刊各紙を読んでの感想である。
「日本経済への恩恵も大きい」(朝日新聞)、「新たな経済成長の糧とすることが期待される」(毎日新聞)、「長い目でみた地域の成長や安定につながる」(日経新聞)など全国紙各紙は一様に祝賀ムードだ。
が、地方紙のトーンは異なる。「これで国益を守ったと言えるのか。米国に追従し、農業分野で譲歩を重ねた秘密交渉だった」と批判した北海道新聞の社説。「交渉の過程で多くの問題点が浮かび上がり、日本への影響を深く懸念する」と書いた岩手日報の論説。
この件は、もともと中央と地方の間で大きな温度差があった。安保法以上にわかりにくい案件でもあった。だけど、反対者は多かった。
「TPPは私たちの生活を豊かにする。私たちにチャンスを与える」と語った安倍首相と、「日本の国民の利益と経済主権をアメリカの多国籍企業に売り渡すもの」という談話を出した共産党の志位委員長。はたしてどちらが正しいのか。
農業の衰退、食の安全、自由診療拡大のよる保険制度の破壊、悪名高いISD条項、いずれにしてもTPPは強者の論理。競争を歓迎するのは競争に勝てる人(国・企業)だけだ。犠牲は弱いところに行く。戦争も経済戦争も。(文芸評論家)
そもそも、民主党政権時代に、自民党はこんな選挙公約を掲げていた。
この選挙公約を投げ捨てた自民党に「ウソしかつかない自民党」と怒った選挙民もいました。2013年の衆参両院での「農産品5項目などの関税を維持する」のと決議も守らずに、アメリカ言いなりに秘密交渉を続け、最後はアメリカのお先棒を担いで、旗振り役さえつとめたのが日本でした。
安陪政権はしきりに「地方創生」を言っているが、TPP交渉の結果、地方壊滅が決定的になるのではないかと、私は心配しています。