明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

地震続報( 38 )シーベルトとは何か覚えよう!

2011年03月24日 14時12分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110324 14:00)

みなさま。

今回は、原発の近くにおられる方、また近くで救援活動に従事されている方、
また東京など、一定の距離を持ったところにおられながら、飲料水などに
影響が出始めいてる方などを念頭において、今、何をすればいいかを
考察したいと思います。とくに半径30キロ以内で屋内退避されている方に、
支援物資と届けようとしている方がいると聞きましたので、それをも踏まえて
今回は被曝への気をつけ方、その目安としての被曝線量の見積もり方を
まとめます。


シーベルトとは何かを覚えよう

福島原発事故のより、放射能漏れが始まって以来、繰り返しマスコミで、
シーベルトという単位が使われていることはご存じだと思います。
シーベルトというのは放射線が人間に与える影響をあらわす数値です。

どれぐらいからが危険視されているのかというと、日本の法律では
一般人が浴びてもいいとされる許容量が年間1ミリシーベルトに定められて
います。これには宇宙から降り注いでいる放射線量年間2.4ミリシーベルトが
含まれていません。こうした自然界の影響も踏まえた上で、年間1ミリという
規制値が考えられているのです。

この年間1ミリが法的に設定されたものだということは重要です。
この法律は、原子力を推進してきた多くの人々も忠実に従ってきたものです。
安全の基準として、多くの人に支持されてきた数値だということです。

さて大事なことですが、これは1年間の値であるから、5年間では許容量は、
5ミリシーベルトになります。つまり時間の掛け算が必要なのです。この掛け算
によって被曝総量は計算されます。にもかかわらず、報道などではここが、
意識的にせよ、無意識的にせよ混同されてしまうことが多いです。

かりに1時間に1ミリシーベルトの線量がでているとすると、そこに10時間
いれば10ミリシーベルト被曝します。1日では24ミリシーベルトです。
シーベルトはこのように、その場で1時間あたりどれぐらい出ているかと
いうときと、人間が総量でどれだけ被曝したのかを表す場合とがあり、
この点をしっかり踏まえることが大切です。この間違い安さを利用して、
被曝の影響が少なめに強調されることもありるからです。

例えば、今、2号機の近くで、1時間あたり720ミリシーベルトの放射線が出ている
と見込まれています。見込みとは、この付近に近付いた作業員が、5分間で
60ミリシーベルトの被曝を受けたからです。ここから1時間では、60×12で、
720ミリシーベルトと推定されるわけです。

この720ミリシーベルトが、一般人が浴びる許容値の1ミリシーベルトと比較
されることがしばしばあります。そうすると、一見、放射線量が720倍で
あるかのように誤解されてしまいます。そのためこのような数字の並べ方を
している解説は要注意です。

実際には720ミリシーベルトは、1時間の値です。なので1年間になおすと、
8760をかけなければならないのです。そうするとこの値は6,307,200ミリ
シーベルトにもなります。つまり一般人の許容量の630万倍なのです。
ただしこれはその場でこの放射線を1年間浴び続けた場合の値ですが、
年間になおしてみると、危なくないとされる値の630万倍の放射線が今、
原発の周りで出ていることを知っておく必要があります。


それでは反対に年間1ミリシーベルトは1時間ではどれぐらいの値でしょか。
同じように8760で割ればいいわけですから、0.00011455ミリシーベルト、
したがって0.11455マイクロシーベルトであることが分かります。

この点から、お住まいの地域の放射線量が、時間あたり、この数値より
高ければ、1年間それが続くとすると、年間の被曝許容量を超えることに
なることが分かります。したがって、この1時間の数値は、その地域が、
安全か危険かの一つの目安になります。
この場合も、この数値が越えていてもそれが短い期間で収終息するならば
年間では1ミリに達しない可能性が高いです。


これを整理するために、昨日お送りした原発の半径30キロの被曝の値を
もう一度、とらえてみたいと思います。これは僕の説明の仕方では
誤解が生じるのではという指摘をうけたものです。まったくその通りで
申し訳ありませんが、その点の訂正の意味を込めて説明します。

ニュースにあったのは、原発から半径30キロ圏外で、放射性物質のヨウ素
が検出され、12日午前6時からから24日午前0時まで、屋外にいた場合の
合計で、身体に与える影響が100ミリシーベルト以上になったということでした。

これから考えると約12日間そこにいた人は、ヨウ素が出す放射線を100ミリ
シーベルト浴びてしまったことになります。1日あたりだと約8.3ミリ
シーベルトです。だいたい3時間で1ミリシーベルトの被曝を受けたことに
なります。ともあれこの地域は、身に着いた放射能を洗い落とす除染が
必要ですね。

ただこれはヨウ素だけに限ったことで、放射性物質は他にもたくさんあります。
セシウム、ストロンチウムなどなど非常にたくさんです。ヨウ素が検出された
ところでは、他のものも検出されることが多い。そのため、この地域が
1日あたり8.3ミリシーベルト被曝することが分かったのではなく、ヨウ素だけで
この値になることが分かったということになります。


合計線量がどれぐらいになったら避難した方がよいのか

1ミリ以上の被曝をさけることを目安に、どれぐらいの被曝があったら
避難を考えた方がよいのか。一つの目安が出されています。

(1) 1000マイクロSv/時に達したら、緊急脱出しなければならない
= 赤信号。
(2) 100マイクロSv/時に達したら、脱出の準備を始めた方が良い
= 黄信号。
(3) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、
300マイクロSv/時に達したら、緊急脱出しなければならない
= 赤信号。
(4) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、
30マイクロSv/時に達したら、脱出の準備を始めた方が良い
= 黄信号。
逆に言えば、(2)や(4)の1割以下(普通の人で10マイクロSv/時、
妊娠初期の人で3マイクロSv/時)なら安心して良い
(5) もしも原発の近くで50ミリSv/時を越えたら風下100km以内
(左右60度の扇形)の 人は緊急に屋内に退避し、100km以上でも
近くの放射能値情報に随時注意する
= 赤信号。
(6) もしも原発の場所で急に5ミリSv/時以上の上昇が見られたら、
風下100km以内(左右60度の扇形)の人はなるべく屋内に退避し、
100km以上でも近くの放射能値に随時注意する
= 黄信号。

これは山内正敏さん(スウェーデン国立スペース物理研究所(IRF))が
示して下さったものです。詳しくは以下のサイトを参照してください。
http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html


これは線量との関係から考えられた一つの目安ですが、ここでも
被曝量は総量として数えることを念頭においてください。線量はだんだんと
上がってくる場合もあります。したがって、100Sv/時に達した
ときは、累計では100マイクロシーベルト以上、浴びている
可能性が高いです。

また10Sv/時だったら安心とありますが、その状態が100時間
続けば、被曝総量は1ミリシーベルトになってしまいます。
これを念頭において、総量で被曝量が1ミリにならないように
注意してください。

またこの目安には、原発が炉心崩壊などの大事故を起こす
ことは想定されていません。そのときは放射線量が急激に
上がるので、この想定は役に立ちません。
大事故の報が入ったら、風の向きを確認して、ともかく遠くに
移動するのが賢明です。

その点では、可能なら放射線量が高くならないうちに避難した方が
良いと僕は思います。しかしその場合、避難先の有無、家族や
経済事情などいろいろな要素が判断材料になってきますし、なかなか
動けない方もおられると思います。
そのような方が、どうしても移動する必要のある場合の目安として
これをおさえていただけるとよいと思います。

なおこうした被曝線量に関して、非常によく内容がまとまっている
サイトを見つけましたので、紹介します。
この方は、福島原発では、炉心が格納容器の外に飛び出すことは
ないと考えられていますが、この点では、僕は設計者の後藤政志さんら
の見識を尊重しているので、意見が違います。

しかし放射線を扱うプロとしての、この方の放射線量と被曝に関する
見識と説明力は素晴らしいものだと思いました。大変、勉強になりました。
できれば要約を作りたいと思っていますが、とりあえずはこれを参照して
下さい。逃げられない場合はどうするのかなども考察してあり、読み応え
があります!!

武田邦彦
http://takedanet.com/

以上です。


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地震続報( 37 ) 1 号炉が高温・高圧化

2011年03月24日 12時15分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110324 12:15)

今僕は、放射能汚染の広がる現場で役に立つ内容をまとめようとしています。
危機の中でどうするか、知恵をしぼり、何か勇気がわくようにできないかを
考えています。

しかしその間にもシリアスな情報が入ってきます。無視できないのでお伝えします。
こうした情報ばかりでは辛いと思われている方への転送をどうするか、どうか
それぞれでご判断ください。

今回はまず記事から紹介します。


***************************

1号機の炉心、一時400度に…燃料棒露出続く

 原子炉内の温度が、一時400度まで上昇した福島第一原発1号機に関して、
東電は23日未明から仮設ポンプで、海水の注水量を増加、冷却作業を進め、
午後6時現在で温度を306度まで下げた。


 しかし、燃料棒は水面から露出したまま高温になったとみられ、
圧力も上昇し、炉内の状態は不安定なままだ。
専門家も炉心の一部が溶けた可能性があるなどとし、十分な警戒が必要としている。

 元原子力安全委員の住田健二・大阪大名誉教授(原子力工学)は、
「同じように原子炉内に注水し続けている2号機の温度(約100度)と
大きな温度差があるのが気になる」と指摘。
「炉心の一部が溶け、炉内が高温になったと考えられる。
圧力容器を溶かすほどではないが、炉内が落ち着いていない。
温度は今後、急上 昇する危険性がある。細心の注意が必要だ。
最も重要なのは、炉の近くで中性子線の有無を確認し、
核分裂反応が連続して起きる臨界がわずかでも起きているのかどうかを知ることだ」と話す。

 「異常な高温状態だ」と話すのは杉山亘・近畿大原子力研究所講師(原子力安全学)。
約70気圧になる通常運転中でも水温は280度程度にとどまるとし、
「冷たい水を高温の原子炉内に入れると、(原子炉につながる)給水配管が急な冷却で、
破損するおそれもある」という。

 宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子力工学)は
「原子炉の上部と下部で同じ約400度を示したのは、燃料の上部が冠水していないというより、
水がほとんど入っていないのではないか。
圧力容器を壊すような数値ではないが、深刻な状況が続いていると言える」としている。

(2011年3月24日09時23分 読売新聞)


****************************


以下、解説です。すでに1号機の原子炉が400度になったことは、お知らせずみ
なのですが、この記事には重要な内容が含まれています。

まず先にも述べたことなのですが、この原子炉の設計基準における耐久
温度は302度であることです。原子炉内は通常70気圧がかかっていて、それで
水の沸点が高くなるようにしています。よりたくさんの温度を水が奪えるように
です。これらから、水の沸点の280度を上回る302度までもつように設計されて
いるのです。

ところが、これが400度になってしまった。非常に危険です。「圧力容器を
壊すような数値ではない」とのコメントがありますが、後藤政志さんや田中
三彦さんは、設計基準とは、そこまでは何があっても保障するというもので
あって、その倍の強度を作っているわけではないと語っています。

さらに懸念されるのは、この圧力容器の熱が、その周りの原子炉格納容器に
当然にも伝わることです。その場合、この格納容器は、すでに設計基準の
4.3気圧を大きく超えて8気圧になる事態を経て来ており、そのときにもかなりの
ダメージがあったと思われる点です。

また中の燃料棒も相当に溶けていると思われますが、どうなっているか
把握されていません。また他の記事で、この1号機からも水蒸気が上がり
はじめ、その原因が特定されていないことも報じられています。少し前の
NHKのニュースによると、現在、4つの原発共に白煙をあげているそうです。


さてここで注目すべきは、住田健二大阪大学名誉教授の発言です。
この方は、JCO事故のときに、現場にいって、臨界事故の終息を指揮された
方です。政府が隠していたデータに関してもいちはやく公開を要求して
いましたが、今回は、「今後、炉内で温度が急上昇する可能性がある」と
指摘しています。つまり非常に危機的な状態に1号機があるということです。

また住田教授は、臨界の可能性を指摘しています。JCOで「まさかこんな
ところで」という経験をされているため、不安でたまらないのだと思います。
そのために炉の近くでの、中性子線の計測を求めています。

ここまで書いてきて、また新しい情報をキャッチしました。


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黒煙止まり電源復旧作業再開 1号機は容器内圧力高まる(1/2ページ)

 東日本大震災で被災した東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)では24日朝、
前日に3号機から黒い煙が出た影響で中断していた電源復旧作業を再開した。
東電が24日午前5時ごろに確認したところ黒い煙は出ておらず、
午前7時51分には前日に出た退避命令が解除された。

 1~6号機のすべてが22日までに外部電源に接続されている。
24日午前11時半には、1号機の中央制御室の照明が点灯した。

 今後、地震発生当時に運転中だった1~3号機の原子炉の冷却システムが復旧できるか
が焦点になる。

 22日夜に原発の状態を監視する中央制御室の照明が最も早く復活した3号機では、
原子炉に真水の冷却水を送り込む「補給水系」のポンプの試運転に向けた準備を進める。
24日中に動作試験にこぎ着けたい考えだ。

 1、2号機では、中央制御室での電源復旧作業を進める。
順調にいけば24日中に1号機中央制御室の照明が点灯できる可能性がある。
23日夕方に外部電源による海水注入ポンプが停止した5号機も復旧を目指している。

 15日に格納容器につながる圧力抑制室で爆発があったと見られる2号機では、
18日に原子炉建屋の隣にあるタービン建屋で、
1時間当たり500ミリシーベルトというこれまでで最も高い放射線量を検出した。
強い放射線が、復旧作業を困難にしている。

炉心の冷却については、1号機で23日未明、
原子炉内の温度が設計上の最高温度302度を超え、一時的に約400度になった。
このため、炉心を冷やす海水注入量を
1時間当たり2立方メートルから18立方メートルに増やした。
24日午前1時現在、温度は243度まで下がり、
状況は「良くなっている」(東電)とし ている。

 ただ、この1号機の圧力容器を覆う原子炉格納容器内の圧力は、
22日午前11時時点で約1.7気圧だったのが、
23日午後6時には3.6気圧まで上昇したため、
24日午前2時半に海水の注入量を1時間あたり約10立方メートルに減らして様子をみている。
23日夜に記者会見した国の原子力安全委員会の班目(ま だらめ)春樹委員長は
「個人的には1号機の圧力が高まっているのを懸念している。
(蒸気を逃がす弁操作である)ベントをしないといけないかもしれない」と話していた。

(2011年3月24日11時50分 朝日新聞)

**************************


何かぎょっとする記事です。ここにあるように温度はなんとか設計基準値を
下回る243度まで落とせましたが、今度は圧力が3.6気圧にあがってきてしまった。
冷却のために注水を多くしたため、今度は水蒸気がたまってしまったのです。
つまり冷やすと圧力が高くなり、冷やすのを控えると温度が高くなってしまう。
圧力と温度と、原子炉と原子炉格納容器が、ジレンマとも言えるような対処の
中で、交互にダメージを受け続けているということです。

この結果、再びベントが行われる可能性があります。それ以外にない選択
で、再び水蒸気とともに放射能が排出されますが、ともあれ1号炉の危機は
そのシリアスさが強まっていると思われます。

ともあれウォッチを続けます。


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地震続報( 36 )拡大する放射能汚染

2011年03月24日 02時32分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110324 02:28)

さてみなさま。
今日も驚くべきニュースが続きました。幾つか紹介します。
メーラーの調子が悪く、太字になってしまって恐縮ですが、ご参考ください。

東京の水道水汚染と、厚労省の基準値引き上げの功績

一つは、東京都の金町浄水場の水道水から、1キロあたり210ベクレルの
放射性ヨウ素が検出されたことです。これは乳児の安全基準値の100ベクレル
を超えるため、飲ませないようにとの呼びかけが厚労省から出ました。
ついに東京でも赤ちゃんに水を飲ませることのできない地域が発生したのです。
(ちなみに昨日のニュースの解説で、僕はセシウムが放射線管理区域の5分の4と
書いてしまいましたが、正しくはヨウ素でした。訂正しお詫びします)

実はこのニュースにはもう少し深い内容が含まれています。この赤ちゃんの
基準値について、いわば直前に厚労省が高い値に修正していたのです。
ヨウ素は成人よりも子ども、わけても乳児や胎児ほど、危険な影響を与える
ため、大人だけの基準であったものに、乳児の基準を付け加えたのは
その値が妥当かどうかは別として、正しい措置だったと思います。

この点について、化学者の友人の推論なのですが、どれほど放射能汚染が
明らかになっても、「ただちに健康に害はない」を繰り返す、政府・経産省
(保安院)・文科省に対して、原発とは無関係な厚労省が危機感を持ち、
先手を打って、乳児を守ろうとしたのではないか。つまり政府内部の
たたかいがここに反映されているのではないかと言う事です。

この点を考えると、農水省が、食品加工に東京都の水を使うのは問題ないと
声明している理由が見えるように思えます。これは明らかに厚労省の
指示と矛盾します。国民を守ろうとする立場と、政府を守ろうとする立場の
対立と見るのはうがちすぎでしょうか・・・。

僕は、この友人と連絡しあいながら、とりあえず厚労省の担当官に感謝と
激励のメールを送っておきました。


30キロ圏外でも、100ミリシーンベルト以上の被曝の恐れ

つづいて、これも多くの科学者たちの努力で、政府が隠し持っていた放射能
汚染のデータが表に出されたことを告げるものです。
なんと30キロ圏外でも、被曝量が100ミリシーベルトを超えることが明らかに
なりました。この地域に、ボランティアなどで入ろうとしている知人が
おられたら、ただちにお伝えください。

これはとても高く、危険な値です。一般人の法的な被爆許容量は1ミリ
シーベルトです。原発などの関係者は50ミリシーベルト、この50ミリ
シーベルトを超えるとガンになる確率が急激にあがります。こんな高い値が、
屋内退避指定地区の外で観測されているのです。

政府は国民を1ミリシーベルト以上の被曝から守るべき義務があります。
即刻、避難勧告地域を広げるべきです。
(またしても、この記事にはこの重要な事実が書かかれていません。)


放射能汚染は長期化する可能性あり

この汚染がいつまで続くのか。現状からすると長期化するのではないかという
洞察が、朝日新聞に載せられています。

しかし実はここには朝日新聞が、東電に騙されてしまっていることがあらわれて
います。記事は、この放射能漏れがどこから発生しているのかを考察して
います。そして格納容器の圧力を逃がす、ベントからではないか。いやベントの
場合は水を通しているので、可能性はないと思えると書いています。

この推論は、これまでの東電の発表を信じるなら正しいのですが、実は東電は
こそっと、水を介さないベントを行っていたのです。


東電による高濃度放射能の排出隠し

このことを告げているのが、産経新聞の短い記事です。
ここでは16日から17日にかけて実施したベントが、実は15日だったということを
「修正」として東電が発表したことが記事になっています。ところが東電は
これにこのときのベントが、水を介してなかったこと、高濃度の放射能が
出されていたことを付け加えています。

記事を書くなら、こちらをメインに扱わなければならないのに、産経新聞は、
日にちを修正した方をフォーカスしてしまっています。それでも水を介さずに
ベントがされたことを報じたことは功績だと思います。

ただいずれにせよ、このように東電が、高濃度の放射能を出すタイミングを
明らかにしていない重大な事実がここに表れています。なぜなら、せめても
タイミングを教えてくれれば、風向きなどへの注意をすることができるから
です。僕もこれから水を介さないベントが行われる可能性のある3号機に
ついて、そうした思いでウォッチしていたので、この東電のやりかたは
ひどいと思いました。ようするに少しでも実態を隠そうとして、反対に少しでも
人々の被曝を軽減しようなどとは思ってないのです。

実は3号機のベント排出は、陸から海へと風の吹くときを待っているのでは
ないか。つまり少しでも被曝を避けようとしているのではないかなどと
思いながら見ていました。またしても裏切られました。僕は人が良すぎる
ようです・・・。


実は臨界がおこっていた

さらに驚いたのは、12日から14日の間に、13回も中性子線が観測されて
いたことが今になって明らかにされたことです。

中性子線が出ているというのは、ウランないしプルトニウムの核分裂反応が
進行していること、つまり臨界状態になっているという極めて重要な情報です。
ほっておけば核暴走、そして核爆発にもなりかねないからです。かなり
深刻な事態です。それが13回も起こっていた。恐ろしいです。
それが隠されていた。

記事には観測データの計算ミスで見落としたとありますが、ありえないことです。
というか、これをミスで見落とすとしたら、臨界を見落としていたということで、
それ自身がまた大変なことです。

友人によると、実はこれもこそっと読み取りにくいようにPDFファイルで
東電からすでに出されていたのだそうです。ネットからは数値が読み取りにくい
形式だったとか。(これはこの友人が調べています)


これらから見えること

これらから見えることは、放射能汚染がどんどん拡大していること、
またそれが長期化する傾向にあること、さらに政府は東電の言っていることは
まったく信用ができないことです。
一方で、厚労省のように、基準を引き上げて、乳児を守ることに踏み込んだ
努力も見え隠れしています。

これらの情報を、自ら批判的に読み解いて、今、それぞれがおられる場が
安全かどうか、避難は必要なのかを検討する材料としてください。
なお、明日は避難できない場合、したくばい場合には、どのようなことを
すると有効かを考察して、お届けします。

本日は以上です。



**********************

都が乳児のいる家庭に水配布へ 水道水から放射性ヨウ素

 東京都は23日、金町浄水場(葛飾区)の水道水から
1キロあたり210ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表した。
乳児の飲み水についての国の基準の2倍を超えるため、
同浄水場から給水している東京23区と多摩地域の5市を対象に、
乳児に水道水を与えるのを控えるよう呼びかけている。

 金町浄水場は利根川水系の江戸川から取水している。
同じ利根川水系から取水している千葉県も同日、全域に同様の呼びかけを始めた。

 都の対象は23区の全域と武蔵野、三鷹、町田、多摩、稲城の5市で計約489万世帯。
都は「基準は長期にわたって飲み続けた場合の健康への影響を考慮して設定されており、
代わりの飲み水が確保できない時に一時的に飲むのならば差し支えない」
と冷静な対応を求めている。
都によると、対象地区に1歳未満の乳 児は8万人おり、粉ミルク用の緊急対応として、
放射性物質検出前に詰めた水道水550ミリリットル入りのペットボトルを乳児1人につき3本、
計24万本配布する。
24日にも各区・市役所などで配り始める。

 厚生労働省によると、母親が飲んでも母乳や胎児への影響はなく、
入浴など生活用水としての利用にも問題はないという。

 東日本大震災を受け、都は21日の降雨の影響を調べるため、
22日午前9時に同浄水場からサンプルを採取。
23日午前11時ごろ、基準を超える値を検出したと報告を受けた。
同日午前9時のサンプルでも190ベクレルを検出した。
都は「21日の雨で大気中の放射性物質が溶け込んだため、
濃度が上がったので はないか」とみている。
サンプル採取から発表まで24時間以上かかったことについては
「最大限早く対応した。発表が遅れたとは考えていない」としている。

 放射性ヨウ素が体内に入ると甲状腺がんなどの原因になることがある。
原子力安全委員会は飲料水について、1キロあたり300ベクレルという基準を定めているが、
子どもは放射性ヨウ素が甲状腺にたまりやすいため、
厚労省は牛乳や乳製品については1キロあたり100ベクレルという基準を設定。
同省は21日、この値を水道水にも当てはめ、乳児に与えないよう全国に通知していた。

 都は原発事故後、放射性物質の除去効果が期待できるとして
浄水に使う粉末活性炭の量を通常の3倍にしていたが、
今回の検出結果を受けて通常の4倍に増やした。

 農林水産省は製造や流通、市場の各団体に対し、
「食品加工などの際に都の水道水を使うことは問題がない」として、
冷静な対応を求める文書を23日に出した。

(2011年3月24日0時28分 朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103230282.html


放射性物質、初の拡散試算…原子力安全委

 東京電力福島第一原子力発電所の事故に関して、政府の原子力安全委員会は23日夜、
放射性物質の拡散を予測した模擬計算「SPEEDI(スピーディ)」の結果を発表した。

 現在、避難や屋内退避の指示が出ている原発から半径30キロの範囲外でも、
事故後の12日から24日までずっと屋外にいた場合、
大気中に漂う放射性ヨウ素を体内に取り込んで、
事故発生からの被曝(ひばく)量が100ミリ・シーベルトを超える危険性があることがわかった。
100ミリ・シーベルトは、甲状腺がんを予防するために安定ヨウ素剤を服用する基準で、
同日夕に記者会見した枝野官房長官は「現時点で直ちに避難や屋内退避をする状況ではないが、
念のため、風下の場合は、窓を閉め屋内にとどまってほしい」と注意を呼び掛けた。

 試算の対象は、放射性ヨウ素の影響を受けやすい1歳児で、
甲状腺に放射性ヨウ素がたまった時の体内被曝量を予測した。
事故後の12日午前6時から24日午前0時まで、ずっと屋外にいた場合を想定した。
屋内での被曝量は、屋外の4分の1から10分の1になる。

 今回の原発事故では、どれだけの量の放射性物質が放出されたか不明だったため、
原発周辺の大気中の放射性物質の観測結果をもとに逆算。
その数字をもとに、放射性物質の拡散を広範囲にわたって計算した。

 被曝量は、福島第一原発に近いほど、高い傾向があったが、
30キロ圏外の福島県川俣町などでも、
100ミリ・シーベルトを超える被曝の危険性があることがわかった。

(2011年3月23日22時52分 読売新聞)



放射能漏れ、どの部分から? 特定遅れれば放出長期化も

 東京電力福島第一原発では、爆発が起きて以降、
人体に有害なレベルの放射線が敷地内で観測され続けている。
放射性物質は、どこからもれているのか。考えられるのは使用済み核燃料の貯蔵プールと、
原子炉やその周辺部分の破損だ。
漏出部分を突き止めるのが遅れれば、放射性物質の放出は長引くことになる。

 同原発4号機では15日に核燃料プール付近で火災があった。
プールの水位が下がって使用済み核燃料が露出し、水素が発生して爆発したとみられている。
このとき外部に放出された放射性物質が、敷地内にとどまって放射線を出し続けている。
これが考えられる一つのシナリオだ。

 プールでなく、原子炉からもれている可能性もある。
 東電は、水素爆発が起きて建屋が壊れた1、3号機について、
「格納容器の健全性は保たれている」との説明を続けている。
格納容器につながる圧力抑制室で爆発が起きた2号機も、
大きく壊れているとは考えにくいとの立場だ。
損傷が大きければ「放射線量はこんなものではすまないはず」(東電)だからだ。

 だが、部分的な破損の可能性を示すデータはある。
その一つが、核燃料のウランが核分裂してできる
放射性のセシウムが外部で検出されていることだ。

 内部の圧力が高まった格納容器が壊れないよう、蒸気を外に逃す措置もとられている。
ただ蒸気はいったん水の中をくぐっているため、この措置でセシウムが外部に出た可能性は低い。

 では、破損部分はどこなのか。
可能性が高いのは、検査の際などに人間が内部に出入りするときにつかう
「パーソナルエアロック」というドアだという。
関係者によると、ドアと格納容器のすきまを埋めるパッキンが「一番弱い」とされているからだ。

 東電はこのほか、接続部分などの小さな箇所が破れている可能性も認めている。
たとえば、圧力容器や格納容器から外部へ通じる配管だ。
配管には弁があり、地震を感知して発電が自動で止まると同時に、弁は閉じられる。
仮に弁から先の配管が破れても、炉内部と外部が直接つながるわけではないが、
もともと配管の中に あった放射性物質を含む水などが、漏れだした可能性はあるという。

(2011年3月24日0時38分 朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0323/TKY201103230386.html


東電、蒸気放出の実施日を訂正

 東京電力は21日、福島第1原発2号機で
原子炉格納容器内の放射性物質を含む蒸気を外に逃がした操作について、
実施したのは15日午前0時からの数分間だったと発表、
「16日から17日にかけて実施した」との20日の説明を訂正した。
 格納容器につながる「圧力抑制プール」内の水を通さずに蒸気を直接逃がすため、
放射性物質をより多く放出する方法だった。

(2011.3.21 11:15 産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110321/dst11032111150032-n1.htm


中性子線検出、12~14日に13回

 東京電力は23日、東電福島第一原発の原子炉建屋の
約1・5キロ・メートル西にある正門付近で、
これまでに2回だけ計測されたとしていた中性子線が、
12~14日に計13回検出されていた、と発表した。

 観測データの計算ミスで見落としていたという。
 中性子は検出限界に近い微弱な量だった。東電は、
「中性子は、(核燃料の)ウランなど重金属から発生した可能性がある。
現在は測定限界以下で、ただちにリスクはない。監視を強化したい」としている。

(2011年3月23日13時10分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110323-OYT1T00534.htm?from=navr


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地震続報( 35 )情報発信の継続にあたって

2011年03月23日 23時22分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
みなさま。(20110323 23:20)

僕はこれまで、限定された友人に発信を行ってきましたが、これを
拡大しようと思っています。ただしあくまでも僕から顔の見える
相手に対して送る方法を貫きます。

以下、より多くの方にあてた文面です。

**********************

みなさま。

守田敏也です。

僕は地震当日の夜から、原発事故を中心に、僕なりの分析と解説を
送り続けてきました。基本的におこっている事象の基軸的なことを
おさえ、その推移を正しく分析できてきたと思っています。

とくに当初、予測した事件の深刻化、放射能汚染の広がりがどんどん
現実のものになってきていることは、大変残念なことなことですが、
基本的な推論が間違っていなかったことを実証していると思います。

もちろん、これは僕独自で行ってきたものではありません。原発に関する
専門的知識に関しては、原子力資料情報室のおりおりの発表を可能な
限りきちんと把握し、そこでの専門家の方々の指摘にあわせて、分析を
行うようにしてきました。

また科学者をはじめとした何人もの友人たちと、折に触れて専門的内容や
ものごとの発表の仕方、論じ方についてメールを交換し合い、たくさんの
情報もいただきながら推論を進めています。

友人たちの中には、新聞各社につとめている友人、出版社につとめている
友人、ジャーナリストとして活躍している友人もおり、そこからも情報を
得ています。

それらに踏まえて、ここより、このメールをお送りする対象をひろげ、
さらにたくさんの友人・知人のみなさんに情報をお届けしたいと思います。
今日、はじめて久しぶりのメールをお届けする方もいますが、ぜひ、
ご覧いただけたらと思います。(すでに行ってきた通信の継続であるため
番号がナンバーが大きいものから始まります)


まずお伝えしたいことですが、僕は基本的に今回の原発事故は、極めて
深刻であり、炉心が崩壊して、大量の放射能が漏れだすなどの危険性が
あると考えています。現在もその可能性はまったく消えていないと思っています。

にもかかわらず、政府もマスコミも、この重大な危機をきちんと伝えようとは
していません。それどこらか政府もマスコミも、自ら危機が打開されることを
祈るばかりに、その兆候ばかりを探し、そればかりを発表したり、報道する
ようになってしまっていると思えます。

とくにマスコミは、ときに政府や東電の発表の中に、危機を示唆する重大な
内容が織り込まれているにも関わらず、それを価値的に判断できず、
ただ政府の広報のような役目を果たしてしまっています。独自の価値判断
能力を喪失してしまっています。

中には意図的な情報隠しも明らかにありますが、それよりも、政府もマスコミも
自らが破局的な危機の可能性をみすえることができず、それから眼をそむけて、
明るい展望ばかりに目を向けてしまっているように思えます。
僕はむしろそのほうが危険性が増すと思っています。

繰り返しますが、危機はまだまったく去っていません。破局的な被害が出る
可能性も十分にあります。そのため、可能な方は、できるだけ遠くに避難した
方が無難です。情勢の基調はここにあります。

現在、消防士たちのみなさんなどが、決死の覚悟で行っている放水などの処置
により、少なくとも事態が破局的に進行することが食い止められ、私たちに
時間の猶予が与えられています。私たちには判断をする時間があります。
避難を準備する時間があります。避難できない場合の工夫を考える余裕も
あります。

ところが、危機が去ったと考えてしまうと、このように消防士をはじめとした
多くの方々が命を削ってつむぎだしてくれている時間というプレゼントを
無為に費やすことになってしまいます。その点で僕は現場の消防士のみなさんの
活躍を正しく活かすことをも考えて、このメールを書いています。

危機はさらに放射能汚染の拡大という形でも広がっています。さきほどつかんだ
ニュースから、実は東電が、原子炉格納容器の圧力を抜く動作を、初期の
段階でこっそりと行っていたこと、しかもそのときに高濃度の放射能が出ていた
ことが明らかになりました。

これらにより、汚染は原発をウォッチしている多くの人々の予想をも超えて
早く広がりだしています。この点から考えても、つまり最悪の事態に立ち至る
可能性を考えなくとも、放射能汚染は今後も確実に広がっていく方向にあり、
その点でも、より原発に近い方ほど、避難に踏み切った方が有利です。

またそれができない場合、したくない場合は、放射能汚染への身構えを
幾重にもしてください。特に水を確保してください。汚染濃度が高まっている
地域では、水道水が使えなくなる前に、あらゆる容器に水を蓄えると
とりあえずの時間的余裕が出来ます。
僕はこうした情報を今後もお伝えしていきたいと思っています。


しかし、大変悩ましいことは、今回の事態は、大地震・大津波・深刻な原発
災害のセットでおこっているものであり、原発が危険なので、逃げようと
呼びかけても、逃げるに逃げられない人々もいること、むしろ今なお、現場に
救助に入っていったり、物資を持って向かわれている方も多いことです。
こうした中でいかに危険情報を発信するのかは、大変、デリケートです。

そこで僕が整理したのは、僕からはあくまでも顔の見える方に情報発信を行い、
その方の判断で、情報の転送などをしてもらうという方法です。つまり不特定
多数の方に対してでなく、僕は僕の知っている方たちを想定してメールを
書いています。

そのため昨日も200名近い方が入っているMLへの投稿を呼びかえていただき
ましたが、悩んだ末に、その方の判断で、転送して欲しいとお伝えしました。
大変、光栄でありがたいことであり、お断りするのは不遜なことでもあるの
ですが、MLへの投稿も、あくまでもそのMLを主催している方の、独自の
判断として行っていただければと僕は思うのです。

この方法を貫いているのは、チェーンメールなどの形で情報が独り歩き
することをふせぐためです。また転送が容易なため、誰もが、安易な情報の
伝達元になってしまうありかた、顔がみえないだけに、容易に無責任な
言葉が書き込まれがちなネット社会の在り方に、不安を感じるからです

そのために僕はこのメールを受け取った1人1人の方が、転送を考えて
下さるのなら、今これを、転送してよいのか、自分の送り先の人の
リアリティを考えて判断して欲しいのです。もちろんそこには、僕の情報を
信頼できるかどうか、吟味していただきたいという思いもあります。
それを含めて転送していただけるのはとてもありがたいです。

またその際に、明るい内容を出して欲しいという要望もいただいています。
僕もそうしたいし、なんとか、勇気が出たり、よし頑張ろうと思える内容を出して
いきたいと思います。その点、工夫に工夫を重ねます。

しかし、僕は現状では、マスコミが、今、世の中のこの厳しい状態の中で、
読んでいてつらくなる内容、場合によっては絶望を伴う内容を伝える勇気を
全く喪失してしまっていると思うので、その点を引き受けるしかないと思って
います。

すでにネット社会などでは、原発の危険性を訴えるもの、避難を呼びかける
ものへのバッシングが強くなってきています。そうした例の一つとして、公共
広告機構が行っている仁科さん親子のCMに苦情が殺到しているそうです。
彼女たちががん検診を訴えているためだと僕には思えます。


こうした傾向は裏を返せば、多くの人々が、放射能の危険性を肌身で感じる
ようになり、不安を募らせていること、政府やマスコミの情報をとても安心して
聞けなくなっていることのあらわれだと思います。

人間は、恐怖に直面した時、それをないものとして考えてしのぐ場合が
あります。それはある意味で一つの生活の知恵であり、それで急場を
しのぐことが出来るならばけして悪い知恵ではないと思います。

しかし今、私たちが直面している危機はそれでしのげるものではありません。
事態は明らかに深刻さを増しています。すでに東京の一部で、水道水を
乳児にのませないようにという呼びかけが、厚労省から出ているほどです。

だからこそ、危機と正面から向き合う事、危機は去ったのだと思わずに
目の前にあるのだとしっかり見据えること、僕はその中でこそ、残された
安全の可能性を追求することが可能になると信じています。

その意味で、僕は人間の強さの方にかけて、このメールをつづっています。
多くの人は、パニックをおこしてはならないと言います。しかしこの大災害の
中で、この国に住まう人々が世界に示したのは、稀有のパニックへの抵抗
力です。このことを世界が絶賛しています。

だからこそ、僕は厳しい現実をお伝えしていこうと思いますし、もし賛同
いただけるなら、みなさんのお力をお借りしたいと思っています。
あなたの判断で、僕のニュースをあなたの目に見える方に転送してください。

またできるならば、僕に感想や情報をお寄せ下さい。それがとても励みに
なります。またもっとこういうトーンをとか、こういう内容をという意見もお伝え
下さい。そのすべてにお応えできるかどうか分かりませんが、可能な限り
多くの方の知恵を拝借して、よい発信を目指したいと思います。

なお、転送にあたって、僕のクレジットを明らかにしてほしいと言う
要請がありました。その場合は次のようにお書きください。
僕が僕の発信する情報への責任を明確にするためにもこれは必要だと
思っています。あなたの判断で、必要に応じてお使いください。

守田敏也(もりたとしや)1959年生まれ。京都市在住。
同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て、
現在フリーライターとして取材活動を続けながら、社会的共通資本に
関する研究を進めている。ナラ枯れ問題に深く関わり、京都大文字山
での害虫防除なども実施。原子力政策に関しても独自の研究と批判
活動を続けてきた。

以上です。
このことに踏まえて、情報発信を続けます。

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地震続報( 34 )東京都が「放射線管理区域」に近づいている・・・。

2011年03月23日 00時57分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110323 0:55)

みなさま。事態が刻々と悪化しています。放射能汚染が拡大しています。
実は、今日は過剰な量の情報を出したのでもう寝ようと風呂に入ったのですが、
その間に無視できないシリアスな情報がまた入ってきてしまいました。

下記の記事をご覧ください。首都圏に、「放射性降下物」が、降り積もりつつ
あります。東京都のセシウムの値は、すでに放射線管理区域の基準値の
5分の4になってしまいました。ちなみにこの記事にはプルトニウムのことは
何も書かれていません。

私にとって東京は生まれ故郷です。今もたくさんの友人がおり、家族もいます。
その東京が・・・。

放射能の飛散の速度は、私たちが考えているよりも早いようです。
今後、東京よりももっと西の地域でも、汚染が拡大する可能性があります。
これに今後、第3号機からの濃度の高い放射能のベントなどが加わる
可能性があります。

首都圏のみなさま。
どうか雨にご注意ください。濡れるのを極力防いでください。物資が少ない中で
大変だと思いますが、マスクを着用し、使い捨ててください。家の中に持ち
込まないで下さい。

また冷静に、避難をご検討ください。放射能汚染は今後、さらに拡大していく
可能性があります。今日は昨日の10倍です。
避難に踏み切れずとも、準備を進めてください。汚染がどれぐらい進んだら
避難に踏み切るのかを検討されるといいです。もちろん可能な方は、
早く動くことをお勧めします。

以下、朝日新聞の記事です。

*****************************

首都圏、放射性降下物増える 東京で前日比10倍も

2011年3月23日0時1分 朝日新聞

 文部科学省は22日、福島第一原発事故の影響を受け、上空からちりなど
とともに落ちた放射性物質の測定結果を発表した。首都圏などを中心に
増加傾向を示した。東京都新宿区で1平方メートルあたり5300ベクレルの
セシウム137、3万2千ベクレルのヨウ素131を検出、前日に比べ、
いずれも約10倍の濃度に上がった。健康に影響を与える値ではないが、
長期に及ぶ監視が必要になる。

 放射性降下物の測定は、文科省が21日午前9時から22日午前9時に
かけて全国で行い、分析した。
 東京都の値は、前日のセシウム560ベクレル、ヨウ素2900ベクレルから
急上昇した。22日発表のセシウムの値は、放射線管理区域の基準値
4万ベクレルの8分の1、ヨウ素の値は、5分の4にあたる。

 この他の自治体のセシウムの値も、さいたま市が1600ベクレル
(前日790ベクレル)、甲府市が400ベクレル(同不検出)、宇都宮市が
440ベクレル(同250ベクレル)と、軒並み上昇した。

 前日に、最も高い値を記録した茨城県ひたちなか市では、やや下がった
ものの、セシウム1万2千ベクレル、ヨウ素8万5千ベクレルと、依然、
高い値を記録している。福島や宮城は震災の影響で計測できていない。

 東日本は22日も、雨や雪が降ったところが多く、大気中に漂うちりと
ともに、放射性物質が落下したとみられる。ヨウ素の半減期は8日間と
短いが、セシウムの半減期は30年で、地面に降りた後も長期間放射線を
出し続ける。土壌や水、農作物への放射能汚染につながりかねないため、
今後も監視を続ける必要がある。
http://www.asahi.com/national/update/0322/TKY201103220536.html

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地震続報( 33 )プルトニウム大量飛散の可能性あり

2011年03月22日 23時05分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です (20110322 23:05)

みなさま、より深刻な情報が入ってきました。
福島原発の燃料棒の中にあるプルトニウムがすでに大気中に飛散している
可能性があります。

この点は、MさんやEさんとやりとりしながら考察を進めてきました。
焦点は、燃料ペレットの中にセラミックスとして固められている
プルトニウムが、溶けたり気化しないで、固形のまま外に出てくることが
あるのだろうかという点です。

こうした考察をしている中で、Mさんが、22日の日経新聞のweb版と、NHK
ニュースに、付近の海水からコバルト58が検出されたことが報じられていることを
伝えてくれました。しかもしばらくたつと日経の記事は書きかえられ、NHKに
ついては、ニュースもとにアクセスできなくなりました。数時間で記事が
消えて行ったのです。

Mさんによると、コバルト58もまた融点が高い物質で、なかなか溶けて
気体化せず、個体のまま外に出やすいのだそうです。そのためコバルトが
出ているのなら、プルトニウムも超微粒子となって出ている可能性があります。

みなさん。
プルトニウムはヨウ素やセシウム、ストロンチウムなどの放射性
物質よりも、格段に毒性が高い物質です。それは後者が主にベータ線やガンマー
線を出して「崩壊」することに対して、アルファー線を出して崩壊するからです。

アルファー線は、ヘリウム原子と同じもので、遠くには飛びませんが、ベータ線や
ガンマー線に比べて格段のエネルギーを持っています。そのため内部被曝
した場合、その付近の細胞に深刻なダメージを与えます。

尊敬する高木仁三郎さんは「プルトニウムの恐怖」という本の中で、
次のように書いています。
「(守田注・金属プルトニウムを扱いやすいように加工した)「酸化プルトニウムは、
微粒子となって空中に漂いやすく、呼吸器系統から人間の灰にとりこまれやすい。
非常に溶けにくい物質なので、肺に付着すると、長いことそこにとどまって、
肺ガンの原因になる。ラットやビーグルを使った実験では、1グラムの何百万、
何千万分の一の酸化プルトニウムが動物に肺ガンを起こさせることが
知られている」

そして実際にかつて、アメリカ軍の、ロッキー・フラッツというプルトニウムの
加工工場で火災がおこり、この酸化プルトニウムが微粒子(チリ)となって、
環境中に放出されてしまったことがあります。
これと同じように、プルトニウムが環境中に飛びだしているとなると、事態は
ヨウ素、セシウム、ストロンチウムの飛散より、格段に深刻です。


またさきほど説明した3号機からの、水を介さないベントでは、これまでの
10倍の放射能が出てしまう可能性があると言われているわけですが、
この3号機には、このプルトニウムとウランが混ぜられた燃料が使われており、
当然、1号機や2号機とは問題にならないぐらい大量のプルトニウムが
中に入っています。

これらを考えた時、この間、放射性物質の飛来が確認されている地域では
とくに今後の3号機かベントでは、より大量のプルトニウムが飛散してくる
可能性があると考えた方がよいです。非常に毒性が高い物質であり、
超微粒子であるため防ぐことが難しい物質です。そのため対策としては
できるだけ遠くに離れることがベストです。

それができない場合は、外出や雨を避けるだけでなく、汚染地域の水、食料を
徹底して避けることなどが問われますが、これは本当に大変なことです。

どこまでこうした対策をとればいいのかを明確にするためにも、政府に
プルトニウムの飛散に関する情報を全面開示することを求めて行く
必要があります。マスコミの方、ぜひこれを仲間の間でも流して下さい。

最前線の記者さんたちも、そこにおられる方々とともに、極めて危険な状態に
立つことになります。組合なども通じて、そうしたことを新聞社内で問題にし、
ぜひ明らかにしてください。

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地震続報( 32 )放射能漏れの現状に関する科学的推論

2011年03月22日 22時22分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110322 22:20)

科学的分析が欲しいという僕の呼びかけに、友人の科学者がこたえて
説明を送ってくれましたので転送します。
ただし少々、難しい内容です・・・。


****************************
メール1

私は、公的に、現時点までの事故の推移状況では、
ウラン、プルトニウム他の漏出があったかどうか判断できない、との立場に立ちます。
状況証拠はそれなりに把握していますが、物的証拠がありません。
この点で、私も守田さんも同じ立場にあります。
 
全貌を、数値で把握していないのです。
私が恐れるのは、政府が情報統制を敷いているということではなく、
政府自体も、現状を把握できているか否かということです。
 
その立場から、先ほど守田さんから提供があった原子力資料情報室からの
アピールを受け止め、
「正しく怖がる」ための根拠となるべき、物的証拠・・・少なくとも食品汚染に関して、
法によって定められた核種のデータ・・・の提示があるか否かを聞きたいと思います。


現時点で、私が発表する文書のポイントをまとめたうえで、
昨晩、守田さんとAさんに送ったメールの内容を、ほぼそのまま、
いまここの皆様に出そうと思います。

ポイント4つ。


①少なくとも3号機からの放射能漏れに関しては、
ウラン、プルトニウムを含む、放射能漏出の危険性が考慮される。

②厚生労働省のウェブサイトから入手された
「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」(参考資料1)では、
原発事故などにおける、ウラン、プルトニウムを含む放射能の迅速測定手続が定められている。
これは、法的根拠に基づいた測定手続きであり、政府にはこの情報がある(ことになっている)。

③事態が事態である以上、少なくとも今後の放射能漏れについては、
セシウム、ヨウ素以外の放射能のデータについても提示が求められるのが当然である。

④政府は、現時点でデータの提示ができなくても、将来にわたってそれらのデータを収集し、
提示する意志があるかどうかを確認されたい。

・・・・・・

(参考資料1)
先に送った、厚労省の「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf
は、平成14年のもので、東海村臨界事故を受けて作成されたもののようです。

良く読むと、測定分析の方法の詳細、分析装置の使用条件だけでなく、
測定する機関(県の試験場など)の定めや、
核種ごとの基準値と、規制値についても細かく定められています。
 
これによれば、緊急時における放射能測定の対象核種として、
セシウムとヨウ素だけでなく、本質的な放射能漏れの危険である、
ウラン、プルトニウム、アメリシウム、キュリウムなどの核燃料そのものが
漏れ出していることを、迅速にモニタリングすることが定められています。

資料の25ページには、迅速性を旨とする「第1段階モニタリングにおける測定・分析」として、
下記のように定められています。


>1-5-5 第1 段階モニタリングにおける測定・分析
>(1)測定・分析対象核種
>放射性ヨウ素、放射性セシウム、ウラン、プルトニウム及び超ウラン元素のα核種
>の4核種群が主な測定対象となる。防災指針では、これらの核種による周辺住民
>の被ばくを低減するとの観点から実測の放射性物質濃度として別表3に示す指標
>が提案されている。

にもかかわらず、
政府発表では、ウラン以降の核種群について情報提供がありませんし、
この点について測定・分析中であるかどうかの情報提供もありません。
あるいは、そういう情報提供が今後あるかどうかの判断もされていません。

もちろん、非常に重要な情報ですから、
情報の正確性の観点から言って、測定結果の信頼度に対する追試験が
必要である、その他の様々な予期しない事態(装置の故障)などによって、
時間がかかることは分かっています。

でも、少なくとも、「それ」を分析・測定中であるという情報だけは提示してほしい。
そのことが、疑心暗鬼を生んでいる、と。

異様な事態だと思います。

セシウムやヨウ素は、ことここに至っては、瑣末な問題です。
核燃料そのものの放射能漏れこそが、人々が求めている情報のはず。
それが、なぜ公開されないし、公開すべきという声が上がらないのか。

私は、少し疑心暗鬼になっています。

この国の人々は、原発賛成・反対を問わず、タブーを作っている・・。
もはや、核燃料の漏出という「結論」に耳を閉ざそうとしているんではないかと。
もし、規定を越える量が出れば、いろいろと結論が出てしまうためです。

私は、別に秘密を握っているわけでもなんでもなく、
単に、政府の規定がきちんと守られていないような気がする、
と指摘したいだけなのです。

どうか、私の疑念を、杞憂だと言ってください。

特に報道機関に携わる方々に対して、政府にデータの提出を求めるよう、
促していただきたい。



*******************************
メール2

先ほどのメールについて、詳細です。

セシウム、ヨウ素に関する調査結果は、すでに公表されていますが、
それ以外の核種の公表が遅れている、というのが私の指摘です。

これは、前者2種と、後者では、分析測定の方法が全く異なるためです。

前者2種は、ガンマ線を放つので、ふつうのガイガーミュラー管などの
放射線測定器で測定ができます。
このレベルでしたら、税関検査なみの設備でできます。

ところが、後者の核種は、もう少し高級な分析装置が必要になります。
(簡単な装置でもできるかもしれませんが、正確さの観点から、
高級な分析装置を使ったほうがよい)


元素分析は、いくつかの方法がありますが、この厚生労働省のマニュアルによると、
ウラン、プルトニウムに関する迅速測定は、ICP-MSを用いることになっています。

ICP-MS は、いわゆる質量分析器です。
質量分析器というのは、物質の分子量を測定する分析装置です。

簡単に言うと、物質をイオン化して電荷を持たせ、
それを電場をかけた空間に放り込むと、電荷と分子量のバランスで、
たとえば、飛行距離の違いなどを検出して、物質の分子量を調べます。
  
さらに、物質にマイクロ波やレーザーを当てるなどして、
その化学結合を壊してしまえば、元素一個の質量を分析・同定することも
原理的に可能です。
おそらく、マニュアルに載っている測定手順は、このプロセスだと思います。
 

ICP-MSの価格帯は2500万円~数千万円/1台 ですので、
予算規模の大きな大学・研究所・企業でないと導入できませんが、
販売台数が極めて少ない(日本国内に1、2台とか)ってことはない装置です。
性能にもよりますが、数百台はあるはず。
 
アジレント社(新興勢力・外資)のホームページで、詳細を説明しています。
http://www.chem-agilent.com/contents.php?id=35074 

で、私が、いま、いちばんありそうなシナリオだと思っているのは、
厚生労働省傘下の研究機関で、ICP-MSが止まっているんじゃないか、
ということです。
 
放射性同位体の分析は、高レベル放射性同位元素取扱法(だったか)に基づいて、
厳重管理した区域内で行わなければならない
(被ばくを避ける、というよりも、バックグラウンドノイズを避けるのと、
廃棄物処理を厳重にするため)ので、
「厳重管理した区域内」にあるICP-MSとなると、台数は限られます。
 
じゃあ、「厳重管理した区域内」の外からICP-MSを移設すればいいんですが、
そうすると、非常にセンシティブな装置なので、軸合わせとか調整に時間がかかる。
厳密測定なので、装置内部のクリーニングもしないといけない。
まして、停電が頻発するような条件では、到底、実験できない。
 
そこで、検体の測定機関を他に求めるということが考えられます。
ところが、他の測定機関は、どういう法的根拠で以って、
測定ができるかという問題に直面しますし、検査キットも無いでしょう。
 
機関の長の立場としては、いったん認めると、
そのまま継続的にその装置を使われることになるでしょうし、
測定結果についても責任を負わないといけなくなるので、
よほどの上級機関からの要請(というか大臣命令)でなくては、従わない。
末端の職員レベルでは身動き取れない状況になる。
  
役人の論理からして、大臣命令を促すような情報を上に挙げるとは考えにくい。
まして、現在のような状況では、「あえて知らせず」になっている可能性がある。
 
案外、こんな段階で、分析・測定がストップしており、
政府は現状を把握できていない可能性がある・・・というのが、私の推測です。
 

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地震続報( 31 )原子炉崩壊や再臨界の可能性がいまだ続いている

2011年03月22日 22時14分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日

守田です。(20110322 22:15)

3月20日に原子力資料情報室、後藤政志さんからの現状に対する説明が
なされました。この内容を、書き取ったので紹介します。ただし、誰かに
紹介する時は、あくまでも、守田が聞き取った内容と注意書きをしてください。

まず要約を書きます。ここでは後藤さんが話した内容に、多少の説明的な
言葉を足します。そのあとにはなされた内容をそのまま書きます。

3号機からなされようとしたベントの意味するもの

20日に3号機圧力容器の圧力があがってきたという報告があった。
破損を防ぐために、蒸気を抜こうと言うのです。その場合、格納容器
下部のプールの水を介して蒸気を出せば、放射能が水によって
落とされるが、それができない場合、そのまま出てしまう。
今回は、水を介せないので、発表では今までの10倍の濃度の物が出る
可能性があると言われた。

これはなぜ行われようとしたのか。原子炉内の冷却がうまくいかず、温度が
上がってきたからだ。再び燃料棒がむき出しになり、蒸気が発生して
原子炉の圧力が高まり、圧力逃がし弁などから格納容器内に蒸気が
うつってきた。そしてそのままの状態では、格納容器ももたなくなるため、
選択の余地のないもののとして、ベントが計画された。

ところが何らかの要因で、その後に圧力が安定して下がり始めたために
ベントは見送られた。(同じようなことは21日に繰り返されました)

こうしたことはいつまで続くのか。燃料棒がある程度、冷えて、とりだしても
問題がないところまでいくまでだが、これには数カ月では足りない、1年とか
2年とか年単位の時間が必要だそうだ。

そのためこのように危険な状態になったとか、小康状態になったとか、
その間にベントをしたとかいう状態が、1年ぐらい続く可能性がある。


臨界を起こした可能性のある4号機プール

さらに4号機燃料プールで煙があがったがこれはなぜか。
プールにはある一定の隙間をあけて、燃料棒が縦に入っているが、
これは臨界を起こさないための措置だ。
(臨界とは核分裂反応の連鎖が続けて起こっている状態のこと)

ところがそれらが地震や爆発の影響で、斜めに傾き、接近した
ことが考えられ、そのとき、水があるので臨界に達してしまった。
(核分裂は、中性子がウランにあたって起こるが、空気中では
中性子はスピードが速すぎてなかなかウランにぶつからない。
ところが水があると、水の中の水素分子と中性子が衝突して
スピードがかなり遅くなり、ウランに当たりやすくなる。このため
水のことを冷却材とともに、減速材とも呼ぶ)

それで熱が急上昇して蒸気が出たが、このころに強い中性子線が
観測されている。中性子線は、核分裂がおこらないと出ないので、
このとき臨界がおこったことが推測される。しかし臨界はすぐに
終息した。臨界が続く条件がそろわなかったためだ。

このように燃料棒は、固まってしまうと臨界を起こしやすい。では
炉心の中ではどうかというと、ある専門家より、臨界は極めて起こりにくい
と指摘された。溶けて固まって下に落ちただけでは、水がないため
連鎖反応が起こりにくいからだ。しかしまったく可能性がないわけではない。

では温度が上がって、燃料が溶けてしまったらどうなるのか。可能性と
しては、臨界して核爆発を起こすよりも、原子炉や格納容器を溶かして
外に出てしまうことがありうる。

その場合、原子炉の下のコンクリートと、溶けた燃料が接触すると、
激しく水素ガスや炭酸ガスが発生し、その圧力で、原子炉格納容器が
破裂してしまう可能性もある。


温度による原子炉格納容器の破損の可能性

また原子炉格納容器の破損については、温度の高まりの中で、金属では
ないものを使っている弱い部分が先に壊れてしまう可能性がある。
フランジという上の部分を止めているボルト部分や、電線を通して、樹脂で
充填してある部分で、ここが熱でダメになり、ここから内部の蒸気が
漏れだすと、そこから破断にいたる可能性がある。

にもかかわらず、現在原子炉格納容器は圧力情報は出ているが、温度は
分かっていない可能性がある。そのため圧力上昇ではなく、温度上昇に
よっても、格納容器が壊れてしまう可能性もある。

要約は以上です。
ここからも、原子炉の破裂という非常に厳しい可能性は、去ったわけでは
まったくないことが分かります。

以下、お話をそのまま載せます。

***************************

後藤政志さんのお話(3月20日)
http://www.ustream.tv/recorded/13447172
3号機の圧力容器の圧力があがってきたと聞いた。
今まで、使用済み燃料プールの冷却の問題がこれまで焦点になってきた。
しかし今日、事態が変わった。

発表によると、格納容器の圧力があがってきた。破損を防ぐために
蒸気を抜こうとしている。格納容器ベントは、水を介して出すと、多少、
放射能がおちる。これを介さないと、格納容器の中の放射能が
そのまま外に出る。

発表によると、もし水を介さないでベントすると、今までより10倍の濃度の
放射能が出ると発表されている。しかしながらそのあと、圧力が小康
状態になったので、取り合えず見合わせると発表された。

そもそも格納容器の圧力があがるとは何か。

格納容器は原子炉以外には熱源がない。
燃料が原子力圧力容器の中の燃料が露出して、熱が出ている。
それを冷却しているが、十分でないとだんだん温度が高くなる。

圧力容器の温度がどんどん高くなると、圧力が高くなって、逃がし安全ベン
から格納容器に蒸気がくる。または直接、熱が格納容器に伝わる。

いずれにせよ原子炉の熱が格納容器に伝わる。いずれにせよ、原子炉の
冷却が十分でないと、格納容器の圧力があがってくることになる。

そのままほおっておくと、格納容器が圧力に耐えられなくて、壊れてしまう。
そのため放射性ガスを含んだ蒸気を外に出さざるを得ないという事態になる。

しかも以前よりどんどん放射能が強くなっている。
今回、とりあえず格納容器ベントをやめたが、またヒートアップしてくると、
格納容器ベントをやらねばならない状況になる。

こういう事態はいつまで続くのか。
この問題は冷却機能に関わる。どのように水が入っているか、循環できる
ようになるのか。詳しい状況が分からないので、言いにくい。

しかしながら、燃料棒は、ある程度運転したあとにとりだすが、どれぐらい
冷やすと問題がないかというと、少なくとも数カ月ではすまない、年単位の
可能性がある。

スリーマイル島の事故では、事故後に2年、かかっている。

どこまで冷えれば安全かというのは非常に難しいが、最終的にそのまま
外にとりだしても大丈夫だというまでには、年数単位の時間がかかる。

したがって、この問題がなくなるまでには非常に長い時間、1年とは
言わないけれども、非常に長い時間がかかることを理解して欲しい。

100万キロワット級の原子炉を運転するのに必要なウランは約21トンと
言われている。それに相当する石油の量は、30万トンタンカー5隻分である。

つまり非常に一部のウランであったとしても、もの凄い多い量の石油に
あたることを思い出してくれれば、熱量の大きさが分かると思う。

そのため圧力が上がりそうになったとか、小康状態になったとか、そういう
ことがこれからもずっと続く。

それはひとえに原子炉の中の水の量と、状態による。


今日はもう一つ話をしたい。
使用済み燃料プールでの問題だ。
4号炉で蒸気が出て、使用済み燃料プールで、ヒートアップが起こって
いることが問題になった。それで冷却しようとしたが、そもそも
なぜ熱が出たのか。

私もよく分からなかった。しかしある専門家の意見によると、ここで
4号炉は、もしかすると、燃料ラックに問題が起こった。燃料は
臨界をふせぐために距離を話して、おいてある。

そのため、燃料棒集合体が、少しずつ、距離をおいている。
ところが地震や爆発のために、斜めに倒れて距離が近づいて臨界に
なったとする。そうすると周囲に水があるので臨界になる。

そうなると非常に高温になって蒸気が出る。そうなったと推測する。
それで蒸気が出たが、そのころに強い中性子線を検出したという情報が
あった。

それはどこかで核反応がおこったということだ。

その中性子線と蒸気を合わせて考えると、4号機の燃料プールで、
部分的臨界が起こったと推測する。
ただその臨界の条件は、ウランの量と距離などによるので、いったん臨界に
なってすぐに臨界ではなくなるということもある。

したがって、臨界になったり、臨界でなくなったり、その繰り返しかもしれない。
それが4号炉における使用済み燃料プールでの蒸気の発生の可能性
である。


いくつかの質問の中に再臨界についてのものがあった。
原子炉の中で炉心が溶融して落ちると、場合によっては、再臨界が起こると
私はかつて説明した。

それに対してある専門家から、可能性としては凄く低いと言われた。

なぜかというと、溶融物が固まりとなって落ちたのでは臨界しない。
中に水が入る必要がある。

そうすると適当な量があって、ある形状になって、水も適当な量がある。
つまり臨界になる条件は厳しいので、なかなかそうはならないのではないかと
ある専門家は説明している。

私もそう思うが、再臨界は起こらないと言う事ではなくて、起こりにくい、
だから滅多に起こらないだろうということだ。

ただどうしても付け加えなければいけないのは、事故はレアケースの
かたまりであり、まったく起こらないとはその専門家もいっていない。
絶対ないとは言わなかった。

そのためしメルトダウンした場合に、再臨界よりも、蒸気爆発になる方が
可能性がある。

圧力容器の下には、制御棒などがあり、そこを通してメルトすると、溶融物
が下に落ちて、格納容器の床に落ちる。

そこにはコンクリートがあり、それと溶融物は反応する。コアコンクリート
反応という。非常に大量の水素と、炭酸ガスがでる。酸素がなければ
爆発はしないが、圧力が急激にあがって、格納容器が破損する
可能性がある。


プラントの中は圧力情報はあるが、温度情報はない。
温度が分からない。

ものが壊れるには圧力と温度の両方が関係する。
格納容器は138度の温度で設計されている。この中の温度が高くなり200度
などになると、ボルトで留めたところなどから漏れる可能性が出てくる。

金属でできているところは温度には強いが、電気配線の貫通部は、樹脂材料が
充填されていて、熱に弱い。
トップヘッドのフランジもガスケット=ゴムが入っている。
そこはシリコンゴムが間に入って、抑え込んでシールしている。
その材料が200度から300度で破損する。

ベントして圧力を逃がすといっているが、温度によっても破損する可能性が高い。
これも破損モードとしては確率が高い。

以上

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地震続報( 30 )放射能漏れに対する個人対策の指針

2011年03月22日 13時58分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110322 13:55)

放射能から身を守るために、どのような数値を避難の基準とするといいのか、
とても分かりやすい情報が出されています。

あらかじめ要約すると以下のごとしです。

(1) 1000マイクロSv/時に達したら、緊急脱出しなければならない
= 赤信号。
(2) 100マイクロSv/時に達したら、脱出の準備を始めた方が良い
= 黄信号。
(3) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、
300マイクロSv/時に達したら、緊急脱出しなければならない
= 赤信号。
(4) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、
30マイクロSv/時に達したら、脱出の準備を始めた方が良い
= 黄信号。
逆に言えば、(2)や(4)の1割以下(普通の人で10マイクロSv/時、
妊娠初期の人で3マイクロSv/時)なら安心して良い
(5) もしも原発の近くで50ミリSv/時を越えたら風下100km以内
(左右60度の扇形)の 人は緊急に屋内に退避し、100km以上でも
近くの放射能値情報に随時注意する
= 赤信号。
(6) もしも原発の場所で急に5ミリSv/時以上の上昇が見られたら、
風下100km以内(左右60度の扇形)の人はなるべく屋内に退避し、
100km以上でも近くの放射能値に随時注意する
= 黄信号。

以下、転送自由です。

**************************

放射能漏れに対する個人対策
http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html

=== 転載自由(source code をそのままコピーして下さい) ===

放射能に関して、 放射線医学総合研究所(事故対策本部に加わった組織)を
始めとして、多くのメディアや研究者が 『現在の放射能の値は安全なレベルである』
という談話を発表していますが、残念ながら、どの組織も 『どこまで放射線レベルが
上がったら行動を起こすべきか(赤信号と黄信号)』を発表していません。

これでは近隣地域の人々の不安を払拭する事は出来ないと思います。行動を
必要とする危険値や警戒値を語らずに『安全です』と言ってそれは情報とは
全く言えないからです。これは我々が取り扱っている宇宙飛翔体での管理に
ついても言える事です(その為に宇宙天気予報があります)。

そこで、少々荒っぽいですが、行動指針を概算してみました。科学的に厳密な
予測は気象シミュレーションや拡散条件など多分野に渡る計算を必要として、
短い時間にはとても出来ないので、多少の間違いもあるかも知れませんが、
緊急時ですので概算をここに公表します(3月21日現在)。

先ず第一に、刻々と変化する放射能に対してどう判断するかです。色々な
研究所が上限値を出していますが、これが総量である事が問題です。というのも
測定値は1時間当たりの値だからです。とりあえず、総量100ミリSv
(Svはシーベルト)という数字で考えてみます。この数字は原子力関係者が
緊急時に受けて良いとされる政府基準・東電基準で(平時50ミリSvの倍、
ちなみに国際基準は500ミリSvなので政府は今回に限り250ミリSvに引き上げた)、
更に妊婦を除く大人が受けても概ね大丈夫と科学的に示されている値
でもあります( R.L. Brent の2009年のレビュー論文を参照)
居住地付近での悪化に気がついてから脱出まで半日かかるとして、かつ
状況が刻々と悪くなる事を考慮すれば、危険値は100時間で割るのが
妥当ですから、

(1) 居住地近くで1000マイクロSv/時(=1ミリSv/時)に達したら、
緊急脱出しなければならない = 赤信号。

という事になります。しかしながら、この値になって行動すると云う事はパニックを
意味します。現在の値の変動幅を見るに、一桁の余裕を見れば数日の余裕が
あると考えられます。逆に言えば、1割以下の量を超えた段階で行動を
開始するのが妥当で、

(2) 居住地近くで100マイクロSv/時(=0.1ミリSv/時)に達したら、
脱出の準備を始めた方が良い = 黄信号。
という事になります。

第2に、妊婦に関する特別な考慮です。事故対策本部の放射線医学総合
研究所に100ミリSv(総量)で大丈夫とありますが、これは正確ではありません。
上にあげた R.L. Brent のレビュー論文(2009年)によると、100ミリSv(総量)
というのは、1%以上の人が影響を受ける値です。つまり、安全値というより、
むしろ、これを越えると有為な差があるという危険値です。

論文の Table 5 や Figure 4 論文を見ると、おおむね安全と言えるのは
5ミりSv(総量)以下で、そこから100ミリSv(総量)まではグレイゾーンです。
現に、大人の場合、同様に『大人に明らかに影響がある』と言われる
1000ミリSv(総量)に対して、原子力従事者の緊急時安全基準は1割の
100ミリSv(総量)です。普通の人が毎年放射能を受ける訳でない事を
考えても、3割(30ミリSv)以下でおおむね安全と考えるのが妥当で、
その事は上記論文の Figure 4 からも見て取れます。ということは、

(3) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、居住地
近くで300マイクロSv/時(=0.3ミリSv/時)に達したら、緊急脱出
しなければならない = 赤信号。


(4) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、居住地
近くで30マイクロSv/時(=0.03ミリSv/時)に達したら、脱出の準備を
始めた方が良い = 黄信号。

となります。

逆に言えば、(2)や(4)の1割以下(居住地近くでの値が、普通の人で
10マイクロSv/時、妊娠初期の人で3マイクロSv/時)なら安心して
良い
事になります。ちなみに、放射能の影響は、細胞分裂の活発な
若い人ほど深刻だと思われている(注:未確認ですので情報を持っている人は
お教え下さい)ので、乳幼児や子供は妊婦と大人の中間になります
(上記論文の表4参照)。

第3に、距離との関係です。チェルノブイリで問題になったのは事故現場からの
直接放射でなく、そこで発生した高濃度の放射性噴煙が移動しながら
出す放射線でした。
福島原発も、レベルは違うものの放射性ダストを外に出しています。というのも、
燃料棒が壊れて、しかも開放弁を通して外気に直接触れているからです。
水を被っていない燃料棒は、焚き火での焼けぼっくいと同じように、
マイクロスケールでの崩壊(爆発)を繰り返して、それが放射能の濃淡を
作ります。この手のマイクロスケールの高濃度ダスト放出は自然界では
普通に起きている事で、それ故に科学者でなくても多くの人が
『そんなものだ』と感じているでしょう。このリスク計算がありません。

地表と違って上空100mを越えると風は安定的にかなりの速さで吹いています。
その場合、だいたい10m/秒という見積もりが良く(10km上空は
50~100m/秒です)、この速度だと、高濃度の放射性ダストは(サイズにも
よりけりだけど)数時間は拡散せずに放射能を出し続けます。一部の
人が言っているように距離の逆自乗で減衰する事はありません。


10m/秒とは時速約40kmに相当します。そのようなダストは原発現場でも
高濃度の放射能を出しますから、現場で非常に高い値を記録したら、その
風下の人間は緊急に室内に退避しなければなりません。その警報が
届くまでに2時間見積もる必要があり、そこから80km圏という数字が
簡単に出て来ます。ちなみに、こういう警報は日本語で出されますから、
日本人(現状では1時間以内で対応すると思われる)と外国人とでは避難の
速さが違い、その為に日米での退避半径が違うと考えられます(もちろん、
避難範囲を広げると国が後日保証しなければならない人が多くなる、という
事情もあるかも知れませんが、そういう政治的・裁判手管的考察はここでは
しません)。

ここで風向きをどう知るかが問題になります。要領は花粉予想や煤煙予想と
同じなので、気象庁で出来るはずですが、残念ながらそこまで至って
いません。ですが、海外の研究所がこの予報を出しています。日本全体は
ノルーウェー気象研究所(http://transport.nilu.no/products/fukushima
が出していて、例えば地表のどこにダストが届くかは これ です。
この予報は ノルーウェー気象研究所(http://www.yr.no/)の風向き予報
(例えば東京だと これ)に基づいています。

もちろん、予報と実際の値は得てして違います。ですから、実際の地上での
風向き(アメダスなどの観測値)も見る必要があります。この場合、地表から
上空1km程度まで、風向きがゆっくりと時計回りに変わる事(エクマン螺旋と
いいます)を考慮して、誤差を最大120度と見積もると、地表風向きに対して
(上から見て)時計回りに90度、反時計回りに30度の範囲が風下に当たります。

さて、では福島原発での放射能の値がどれだけ上がったら室内退避を
すべきでしょうか? 急速に運ばれた放射性ダストが、例えば朝凪夕凪になって
居住圏にジグザグしながら浮遊するとして、2時間を想定すれば50ミリSv/時が
危険値です。つまり

(5) もしも原発の近くで50ミリSv/時を越えたら風下100km以内
(時計回り90度、反時計回り30度の扇形)の人は緊急に屋内に退避し、
100km以上でも近くの放射能値情報に随時注意する = 赤信号。



では警戒値はどの程度になるでしょうか? この場合、原発での測定が一ヶ所で
あることを考慮しなければなりません。局所的な高放射能雲なので、一桁の誤差を
見積もる必要があります。従って、緊急避難値の1割の5ミリSv/時という事に
なりますが、この位の値になると、原発正門(測定値のある所)では、
事故現場からの直接放射の量が大きくて、浮遊性ダスト起源と区別がつきません。
こういう時は変動幅を使うのが常套です。つまり

(6) もしも原発の場所で急に5ミリSv/時以上の変動が見られたら、
風下100km以内(時計回り90度、反時計回り30度の扇形)の人は
なるべく屋内に退避し、100km以上でも近くの放射能値に随時
注意する = 黄信号。
となります。

最期に、気象庁と原子力保安院への提言です。原発サイトの回りでの
放射性ダストの分布を推定する為に
(a) 原発を取り巻くような形で500m程度離れた地点での放射能モニターを
至急設置して欲しい。
(b) ダストと風の垂直分布と知る為に、気象ゾンデに放射能モニターを
積んで、毎日数回、原発サイトの近くで打ちあげて欲しい。

これらの情報があるだけで、放射性ダストの行き先の予測が非常に
楽になります。

written 2011-3-18
revised 3-19: (1)と(2)を追加
revised 3-21: (5)と(6)とラストを追加、放射性ダストの流れの予報サイトを追加、
(1)~(4)に『居住地近くで』を追加、安全基準値に関するミスを修正。
山内正敏
スウェーデン国立スペース物理研究所(IRF)
(日本の研究者が研究室と学会(被災地の研究室)の復旧で手一杯の
ようですので、海外の私が敢えて発信する事にしました)
===========================================
単位について(Gy と Sv)

Sv = Q x Gy

で大抵は Q=1 です。但し、ソースの近く(原子炉の近くとか、放射性ダスト
の近く)では中性子の事があり、その場合はQ=10です。

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地震続報( 29 )放射能汚染と、人を守ろうとする心とが広がっている

2011年03月22日 02時46分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110322 02:40)

みなさま。
今回の文章はこみだしをつけて出します。


IAEAが危機の継続を宣言

前回のメールで、僕は、現状はまだまだ極めて危険だと見るべきだという
観点を打ちだしました。そして、どこかで僕と似たような見解を持っている
方はいないかと探していたら、見つかりました。国際原子力機関(IAEA)
です!記事は同機関の緊急理事会で、「天野(ゆきや)之弥事務局長は冒頭、
「危機はまだ去っていない。状況は依然、非常に深刻だ」と述べた。」ことを
紹介しています。

ただし記事の中で分からない点があります。
「(1986年に発生した旧ソ連)チェルノブイリ原発事故を踏まえた現行の
国際緊急対応体制は、現状に即していない」とし、見直しの必要性を強調した。
という点です。

まず国際緊急対応体制が、「チェルノブイリ原発事故を踏まえた」ものとして
組まれてきていること、つまり少なくともこれまで、国際的には、チェルノブイリ
原発事故を想定した体制が組まれてきたことが、ここから読み取れます。

その上で、それが現状に即していないとなっているわけですが、どう即して
いないのかが分かりません。この記事はつい先ほど出てきたものなので、
おそらく続いて、もっと詳しい内容が出るのではないかと思います。
この点は、そのときに再度紹介したいと思います。


放射性ヨウ素の基準値、乳児には厳格化
・・・福島市などで100ベクレル以上が


次に、避難を急いだ方がいいという提言を補強する記事を見つけました。
政府が屋内退避を勧告した原発から半径30キロよりも外側の広範な地域で、
水道水から、100ベクレル以上の放射性ヨウ素が検出されたことです。
またこれに対して、厚生省は、規制値は300ベクレル以上でありながら、
より影響を受けやすい乳児に関しては、規制を100ベクレル以上とし、
これらの地域では水道水を乳児に飲ませないようにという指示を出しています。

具体的な地域は、福島県飯舘村、川俣町、福島市の3か所ですが、それぞれの
役場から原発までの距離は、約35キロ、45キロ、58キロです。
つまり58キロの地点で、乳児が水道水を飲むと危険性があるという認識が
厚労省から出されたわけです。300ベクレルという規制値から乳児の
規制値を下げたのは賢明だと思います。ただし100ベクレルでいいのかどうか
僕には分かりません。

ただしこの記事もまた、せっかく厚労省が乳児の危険性を考慮して、
規制を厳しくする判断をしたことが明らかになっていながら、
それで、避難すべき地域は現行のままでいいのかといった大事な点に
触れられていません。この点、残念ですが、「ただちに健康に害が
あるわけではない」などとは、付け加えられない内容が出てきたことは
注目に値します。

しかもこうした地域は急速に拡大してきています。これらの点からも、
だんだんに同地域は、水を飲むのも危険になってきていることが見えて
きます。すでに60キロ近く離れた福島市で、こうした危険性が生まれている
ことがここに表れています。

また厚生省の踏み切った判断により、ヨウ素に関して出されている水道水の
情報について、乳児については、100が基準にならなければならないことが
分かったので、牛乳や野菜なども、当然、乳児のための厳しい規制値を出す
必要があることもここから分かります。それぞれに対して、乳児の場合の
規制値が出される必要がありますが、少なくともそれまで、水道水については、
300から100に厳格化されたことを参考に、情報を読み解いていく必要が
あります。

いずれにせよこれらから、福島市もまた、乳児、妊婦、子どもをどんどん
疎開させた方がよさそうです。水道水すら飲めないのでは、生活的にも
たちまちピンチになってしまいます。


福島市が県外からのボランティアの安全を優先

ここまで書いていたら、胸が痛くなる記事も入ってきました。福島市が
放射能汚染の広がりを考慮し、独自に、県外から申し入れのあった
ボランティアの受け入れを断念したというのです。

これにはいろいろな意味があります。第一に、福島市は自らの
苦しみよりも、県外から入ってこようとする人々の安全を優先している
ということです。政府やマスコミが行わない、原発から30キロ以上でも
危険で立ち入らない方がいいという判断をみずからくだし、実行しています。
自分たちを犠牲にしてです。

こういう人たちを助けなければならない。そのためには政府が動かなくては
いけない。避難所にいる8万余をはじめ、この地域の人々を、政府が自衛隊や
警察などを使って無事に避難できるようにするべきです。

福島市の人々は、もはやそこが放射能で危険なことを察知している。
だから外から入ってくる人を守らねばならないと考えています。
その福島市の人たちが飲む水の、ヨウ素濃度が濃くなってきています。
自力では逃げられない人たちを、政府は救出する責務があります。
このことをマスコミが書いて欲しい。少なくとも、これでもまだ半径30キロ
の外は安全だと言うのかと、追及して欲しいです。

福島市・川俣町・飯館村などの人々の避難、いやもっと非常に広い範囲の
人々の避難が、早急に進むことを祈るばかりです。


住民の被曝予測を国が隠している

さらに国が、住民の被曝予測を公開していないという批判が研究者たち
から出ました。こうした批判が出てくるのもいい流れだと思います。どんどん
政府に情報開示を迫り、今いるところにどれだけの危険性が迫ってきて
いるのかがもっと見えるようにすることが大事です。研究者たちが、少なくとも
重要なデータを国が握ったままにしていることを明らかにしてくれたこと
だけでもありがたい気がしました。


以下、それぞれの記事を貼り付けます。
***************************

福島原発は非常に深刻、独自に調査…IAEA

 【ウィーン=佐藤昌宏】
国際原子力機関(IAEA)は21日、ウィーンの本部で、
福島第一原発の事故に関する緊急理事会を開いた。

 天野之弥(ゆきや)事務局長は冒頭、「危機はまだ去っていない。
状況は依然、非常に深刻だ」と述べた。
その上で、「(1986年に発生した旧ソ連)チェルノブイリ原発事故を踏まえた
現行の国際緊急対応体制は、現状に即していない」とし、見直しの必要性を強調した。

 また、日本政府からIAEAへの情報提供不足が指摘された点を踏まえ、
菅首相がすべての情報の迅速な提供を確約したことや、
IAEAも独自に日本国内で放射性物質の測定調査を開始したことなどを説明した。

(2011年3月21日23時57分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110321-OYT1T00832.htm?from=main3


放射性ヨウ素の水道水基準、乳児には厳格化

 厚生労働省は21日、乳児について、100ベクレルを超える
放射性ヨウ素が検出された水道水の飲用を控えるように都道府県に通知を出した。


 水道水の食品衛生法の暫定規制値は、1キロ・グラム当たり300ベクレルで、
厚労省では、この値を超えた水道水について飲用しないように求めているが、
乳児については、放射線の影響を受けやすいことなどを考慮し基準を厳格にした。

 通知では、粉ミルクを水道水で溶かして乳児に与える場合などに、
ヨウ素が100ベクレルを超える水道水を使わないように求めている。
厚労省によると、地震発生後、
水道水から100ベクレル以上の放射性ヨウ素が検出されたのは、
福島県飯舘村、川俣町、福島市の3か所。

(2011年3月21日23時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110321-OYT1T00564.htm


安全確保ムリ…福島県外のボランティア募集断念

 東日本巨大地震の発生から10日が経過し、各地でボランティアが活躍する中、
福島県災害ボランティアセンターでは、「原発の事故が起き、安全が確保できない」として、
県外からのボランティア受け入れを見送らざるを得ない事態となっている。


 福島県は、地震が発生した翌日の12日に県災害ボランティアセンターを設置し、
避難所や高齢者宅などで活動するボランティア募集を開始した。20日までに、
県内外からの応募は262人に上り、
このうち、県外からは在日ブラジル人留学生なども含め162人が応募した。

 だが、同センター設置日の12日昼に福島第一原発1号機が爆発。
続いて、3号機、2号機、4号機と次々と事故が置き、放射性物質が漏出した。
同センターには初日から県外からの応募が相次いだが、
ボランティアの安全を考えて募集を断念した。

 県内の避難所で生活する被災者は21日現在、8万2786人。
高齢者も多く、介護経験のあるボランティアの確保は喫緊の課題だ。
避難生活が長期化する中、今後は津波で身内をなくした被災者らの
精神的なケアも必要となってくる。

同センター職員の関靖男さん(50)は「原発が安全にならないと、
県外からボランティアを受け入れるわけにはいかない。
猫の手も借りたいくらい人手が欲しいが、しばらく県民だけで頑張るしかない」と話し、
「ガソリン不足や放射能漏れが収まれば県外からの受け入れを始めたいが、めどが立たない」
とため息をついた 。

(2011年3月21日23時26分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110321-OYT1T00650.htm


国、住民の被曝予測公表せず 研究者らが批判

 住民の被曝(ひばく)量や放射性物質が降る範囲の予測を国が公表していないため、
研究者らから批判が出ている。
文部科学省が委託した機関が1時間ごとに計算し原子力安全委員会に報告しているが、
国は「データが粗く、十分な予測でないため」と説明している。

 予測システムはSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)と呼ばれる。
原子力安全技術センター(東京)が、原発の位置、放射性物質の種類や量、
放出される高さ、地形などを元に、最新の風向きや風速のデータを加えて計算。
日本全域を250メートル四方に区切り、
それぞれの場所にすむ人が吸入などで被曝する量を予測する。

 同センターによると、11日の地震発生約2時間後から、
東京電力・福島第一原発について計算を始めた。
放射性のヨウ素や希ガスについて、放出量の見積もりを何段階かに変化させて計算。
1時間ごとに2時間後までの被曝予測データを、原子力安全委員会に報告しているという。

 原子力安全委員会事務局は「放射性物質の種類や量、放出時間などの推定が粗いので、
避難などの判断材料としては使っていない。その状況なので軽々しく公表できない」
と説明している。

 一方、長瀧重信・長崎大名誉教授(被曝医療)は
「条件がそろわないと予測できないというのはおかしい。
国は持っているデータをすべて公開することが大事だ。根拠をもとに住民と相談して、
対応を決めるのが原則ではないか」と話している。

 福島第一原発から出た放射性物質の拡散予測について、
米原子力規制委員会(NRC)は「あくまで推定で、実際とは異なるかもしれない」
と注釈つきで公表。
米国はこれらを参考に原発から半径80キロメートル以内にいる米国人に避難を勧告した。
また、フランスやオーストリアの研究所なども拡散する様子の動画を
ホ ームページなどで公開している。(木村俊介)

(2011年3月21日23時45分 朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0321/OSK201103210061.html

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