昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[舟のない港](十二)

2016-03-14 09:07:02 | 小説
「もう、私たちダメね。別れましょう」  冷然とした態度で告げると、女性はそのまま席を立った。  女性からのプレゼントである、ダイヤカットのライターがやけに重く感じられた。 そしてその銀色がやけに冷たく感じる。 . . . 本文を読む

[舟のない港](八)

2016-03-10 08:49:16 | 小説
 暫く沈黙を続けながらネオン街を歩き、外れの小さな屋台でラーメンをすすった。 盛んに「おいしい、おいしい」と頷きながら、パクつく娘だった。  体も温まり、また二人して当てもなく歩き始めた。五分ほど歩いたろうか、突然娘は 短く言った。 . . . 本文を読む

[舟のない港](四)

2016-03-04 09:06:55 | 小説
 空になったコップを見つめながら、「内緒なんだけど」と、少女は小声で話し始めた。 「こんなこというと笑うかもしんないけど、あたい、まだバージンなんだ。 同じ部屋の女の子は、みんな誰かにあげたらしいんだけど。 あたいはまだなんだ。それで、あたいも誰かにあげなくっちやと思って。 ユキオにね、あげようかなあって思って。 べつにハンサムでもないんだけど、すっごくジョーダンがじょうずでね、いっつも笑いこ . . . 本文を読む

[舟のない港](一)男

2016-03-01 09:20:36 | 小説
時代としては、昭和の…そうですねえ。 四十年代の中頃、いざなぎ景気が終わりとなった頃のお話です。 同期の先陣を走っていた男が、ひとつのミスで転落していく様と、 交際中だった女性との別れが訪れ、新たな恋に走りはしたものの…。 麗子とミドリ…。 頭を空っぽにして、どうぞ二人の女性をみてくださいな。 . . . 本文を読む

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