人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

デセイの「ランメルモールのルチア」~METオペラ・ライブ・ビューイング

2011年04月10日 20時05分56秒 | 日記
10日(日)。新宿ピカデリーに映画METオペラ・ライブ・ビューイング「ランメルモールのルチア」(ドニゼッティ作曲)を観に行った。休憩を2回挟んで3時間半の上映。ヒロインのルチアにナタリー・デセイ(ソプラノ)、恋人エドガルドにジョセフ・カレーヤ、ルチアの兄でエドガルドの政敵エンリーコにルートヴィック・テジエといったベスト・メンバーを揃えた。

物語のあらすじは、ルチアとエドガルドは愛し合っているのだが、兄のエンリーコは自分の保身のため妹のルチアを引き離し別の男を押し付ける。ルチアは結婚式の夜、新郎を刺し殺したうえ狂って死を迎える、という悲劇だ。

指揮者パトリック・サマーズは前奏曲から集中力を見せ、悲劇の幕開けを告げる。オーケストラのメトロポリタン歌劇場管弦楽団も指揮者の意図に応え集中して演奏する。「デセイと言えばルチア、ルチアと言えばデセイ」と言われる当たり役だ。とくに第3幕で気が狂って歌う「狂乱の場」では約15分間一人で演技をしながら歌い続けるのだが、並みのソプラノではとても持たない。しかもコロラチューラ・ソプラノで”聴かせなければ”ならない。バックを務めるオケも十分歌っている。ルチアに寄り添って、フルートが、チェロが泣いている。これ以上のルチアが望めるのだろうか?心の底から感動を覚える。

幕間にソプラノのルネ・フレミングがデセイにインタビューするところが映し出される。「あなたは今回の”ルチア”のような悲劇のヒロインも得意だし、同じドニゼッティの”連隊の娘”のような喜劇のヒロインも得意だけれど、本当のところどっちが好きなの?」という質問に、デセイは「そうね、悲劇のヒロインの方は自然に歌えて歌いやすいわね。でも喜劇の方が、観客の反応を見ながら演じて歌えるので、好きといえば喜劇かしらね」と答えていた。本当にそうだと思う。昨年、ライブ・ビューイングで”連帯の娘”を観たが、小柄な彼女が歌いながらあちこち走り回ったりして、ユーモア精神満開だった。

次の幕間でフレミングが「このたびの日本の皆さまの被災に対し心からお見舞い申し上げます」と挨拶していた。今日の朝刊によれば本日現在で死者は1万2915人、行方不明者は1万4921人という。世界の音楽界も日本の惨状に注目している。

メトロポリタン・オペラは6月に来日公演を挙行する。プッチーニ「ラ・ボエーム」、ベルディ「ドン・カルロ」、そしてドニゼッティ「ランメルモールのルチア」を取り上げる。すべて聴きにいく。アンナ・ネトレプコの「ミミ」、フリットリの「エリザベータ」、ダムラウの「ルチア」を聴くために。メトのあの豪華な舞台を観るために。この機会を逃すと絶対に後悔する。もう、来日中止は止めてほしい。




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