19日(火)。新国立劇場にR・シュトラウスのオペラ「
ばらの騎士」を観に行ってきました。東日本大震災の影響で中止になった公演の振り替えです。いつもは1階センター通路寄りの席なのですが、振り替えのため別の席が用意され、1階センターど真ん中の特等席といってもよい席でした。でも、個人的には多少左に寄っていても通路寄りにこだわっているので、両脇に人が座っていると落ち着きません。まあ、贅沢はいえませんが
「ばらの騎士」とは、古き良きウィーンの時代に婚約の儀に際して使者を送り花嫁となる女性に純銀製のばら
を手渡す風習があり、その役割を果たしたのが”ばらの騎士”と呼ばれる若者でした。というのは全くのウソ
で、19世紀末のウィーンの文豪ホフマンスタールが作り出した創作です。リヒャルト・シュトラウスとホフマンスタールが「モーツアルトのオペラ」を理想に「女帝マリア・テレジアによる治世の初期」という時代設定で共同制作したのが「ばらの騎士」なのですね。
今回の大震災の影響で主役級の元帥婦人役、オクタビアン役、ゾフィー役、ファーニナル役、それに指揮者までもが来日中止となり、出演者変更となっての挙行ということで、どうなることかと思って聴きに行ったのでした。オーケストラは予定通り新日本フィルですが、このオケがオペラ・ハウスのオーケストラ・ピットに入るのは初めてだと思います。
指揮は来日しなかったアルミンクに代わって同じオーストリアから来日したマイヤーホーファーです。最初からアグレッシブな指揮振り
でオケをグイグイ引っ張っていきます。元帥婦人役のベーンケは”おとなの女の悲哀”をよく表現していました。光っていたのはオックス男爵役のハブラタ。粗野ではあるが気品のあるすばらしいバスでした。拾い物はゾフィー役の安井陽子。モーツアルトの”魔笛”の”夜の女王”で名を馳せたソプラノですが、今回は可憐なお嬢様といった感じが良くでていました。オクタビアン役の井坂恵は声も良く歌も上手なのですが、代役としてはいま一歩かな、という感じがしました。イメージがちょっと違うのです。私の頭の中にある理想はカラヤンの指揮のもとセーナ・ユリナッチが演じたオクタビアンです。彼女を超えるオクタビアンは2度と出でこないと思います。比べるのはよくないですね。反省しています
。
第2幕でばらの騎士が登場するシーン、第3幕で元帥婦人が登場するシーン、シュトラウスは何と感動的な音楽を用意するのでしょうか
また、3幕フィナーレのソプラノ3重唱はいつ聴いても感動して背筋が寒くなります。
このオペラのテーマはマルシャリン(元帥婦人)の加齢と諦念に形を借りた「時のうつろい」であると言われていますが、第3幕で3重唱が終わって、元帥婦人が若い二人を残して身を引いていくシーンなどは、おとなの女にとっては涙なくして観られないでしょうね
ラストのシーンは、ゾフィーが舞台にハンカチを落として、それを元帥婦人のお小姓が拾っていって、慌しく幕が降りるというのが一般的な演出なのですが、ジョナサン・ミラーの演出では、ハンカチ落としはなく、お小姓が現れてテーブルの上に乗っているお菓子
をつまみ食いして去っていく、という演出になっています。これって許される範囲なのでしょうか


「ばらの騎士」とは、古き良きウィーンの時代に婚約の儀に際して使者を送り花嫁となる女性に純銀製のばら


今回の大震災の影響で主役級の元帥婦人役、オクタビアン役、ゾフィー役、ファーニナル役、それに指揮者までもが来日中止となり、出演者変更となっての挙行ということで、どうなることかと思って聴きに行ったのでした。オーケストラは予定通り新日本フィルですが、このオケがオペラ・ハウスのオーケストラ・ピットに入るのは初めてだと思います。
指揮は来日しなかったアルミンクに代わって同じオーストリアから来日したマイヤーホーファーです。最初からアグレッシブな指揮振り


第2幕でばらの騎士が登場するシーン、第3幕で元帥婦人が登場するシーン、シュトラウスは何と感動的な音楽を用意するのでしょうか

このオペラのテーマはマルシャリン(元帥婦人)の加齢と諦念に形を借りた「時のうつろい」であると言われていますが、第3幕で3重唱が終わって、元帥婦人が若い二人を残して身を引いていくシーンなどは、おとなの女にとっては涙なくして観られないでしょうね

ラストのシーンは、ゾフィーが舞台にハンカチを落として、それを元帥婦人のお小姓が拾っていって、慌しく幕が降りるというのが一般的な演出なのですが、ジョナサン・ミラーの演出では、ハンカチ落としはなく、お小姓が現れてテーブルの上に乗っているお菓子


