9日(金)。昨夕、サントリーホールで「第14回チャイコフスキー国際コンクール優勝者ガラ・コンサート」を聴いてきました。演奏者は全部門を通じてのグランプリ受賞・ピアノ部門第1位・聴衆賞のダニール・トリフォノフ(ロシア)、バイオリン部門第2位(1位なし)・聴衆賞のセルゲイ・ドガ―ジン(ロシア)、チェロ部門第1位・聴衆賞のナレク・アフナジャリャン(アルメニア)、声楽部門女声第3位・聴衆賞のエレーナ・グーセワ(ロシア)の4人。バックを務めるのは高関健指揮東京交響楽団です。
チャイコフスキー国際コンクールは1958年にピアノとバイオリン部門でスタートしましたが、世界で最も伝統と名声のある若手音楽家の登竜門のひとつとされています。6月に開かれた今回のコンクールは、世界的な指揮者ワレリー・ゲルギエフを総裁に迎えました。これまでの審査員を大幅に入れ替え、世界的に活躍している演奏家を多く採用するなど、審査の公正を図ったといわれています。その割にはロシア勢の優勢が目立ちますが なお、過去の日本人の優勝者には上原彩子(ピアノ)、諏訪内晶子(バイオリン)、佐藤美枝子(声楽)がいます。みな女性ですね
会場の入りは8~9割程度でしょうか.今回はチケットを押さえたのが遅れたので2階LB3列6番という,2階席でもかなり前方の左サイドの席ですが,舞台にはかなり近く,オーケストラはビオラが正面に見えます.
トップ・バッターはソプラノのエレーナ・グーセワ。歌うのは歌劇「エフゲニー・オネーギン」から”手紙の場面”です。寝室で一人になったタチヤーナが,思いを寄せるオネーギンに長い手紙を書きながら歌うアリアです.グーセワは白いドレスで登場,ヒロインの心情を歌い上げます
続く2番手はセルゲイ・ドガ―ジン。演奏するのは「バイオリン協奏曲ニ長調」です。この曲には数々の名演奏があるので,個性を発揮して聴衆の心をつかむには相当の実力がないとだめです.ドガージンは朗々と歌わせるのですが,今ひとつ訴える力が足りないような気がします.1位なしの2位の限界でしょうか
休憩後の最初はチェロのナレク・アフナジャリャン。演奏するのは「ロココの主題による変奏曲イ長調」です。彼の演奏は詩情に溢れ,歌心があります.”演奏を聴きながら,聴く側もいっしょに呼吸が出来る”というのでしょうか,心地よい歌わせ方で聴かせます.最後の一音が鳴り終わると,あちこちからブラボーがかかりました.彼の演奏のおかげで,私はこの曲の素晴らしさを再認識しました.こういう演奏こそ名演奏というのでしょう.彼はこれから伸びるのではないでしょうか
最後の”とり”を務めるのは今回のグランプリ受賞者ダニール・トリフォノフ。彼は昨年秋のショパン国際ピアノコンクールでも3位に入賞している実力者。演奏するのは「ピアノ協奏曲第1番変ロ短調」です。最初からエンジン全開といった感じです.2階の自席からは彼の背中を見る形になりますが,背中を通して彼の気迫を感じます.時には獲物を追いかける豹のように,時には水面に投げた小石の波紋が広がっていくように,いろいろと表情を変えながら,チャイコフスキーの世界を描いていきます テクニックは申し分ありませんが,それだけに止まりません
演奏中に気が付いたのですが,彼の弾いているピアノは多くのピアニストが使用しているスタインウェイでも,ベーゼンドルファーでもありません.イタリアのファツィオリを弾いています.イギリスのアンジェラ・ヒューイットもファツィオリを弾いています.2人ともこだわりがあるのでしょう
終楽章が終わるや否や会場はブラボーとの嵐になりました.そして5回も6回も舞台に呼び戻されていました.彼は実力もあるし人気もあるので,”今が旬”と言えるかも知れません.
トリフォノフは今がピークなのか,これからどんどん伸びていくのか,将来が楽しみです
チャイコフスキー国際コンクールは1958年にピアノとバイオリン部門でスタートしましたが、世界で最も伝統と名声のある若手音楽家の登竜門のひとつとされています。6月に開かれた今回のコンクールは、世界的な指揮者ワレリー・ゲルギエフを総裁に迎えました。これまでの審査員を大幅に入れ替え、世界的に活躍している演奏家を多く採用するなど、審査の公正を図ったといわれています。その割にはロシア勢の優勢が目立ちますが なお、過去の日本人の優勝者には上原彩子(ピアノ)、諏訪内晶子(バイオリン)、佐藤美枝子(声楽)がいます。みな女性ですね
会場の入りは8~9割程度でしょうか.今回はチケットを押さえたのが遅れたので2階LB3列6番という,2階席でもかなり前方の左サイドの席ですが,舞台にはかなり近く,オーケストラはビオラが正面に見えます.
トップ・バッターはソプラノのエレーナ・グーセワ。歌うのは歌劇「エフゲニー・オネーギン」から”手紙の場面”です。寝室で一人になったタチヤーナが,思いを寄せるオネーギンに長い手紙を書きながら歌うアリアです.グーセワは白いドレスで登場,ヒロインの心情を歌い上げます
続く2番手はセルゲイ・ドガ―ジン。演奏するのは「バイオリン協奏曲ニ長調」です。この曲には数々の名演奏があるので,個性を発揮して聴衆の心をつかむには相当の実力がないとだめです.ドガージンは朗々と歌わせるのですが,今ひとつ訴える力が足りないような気がします.1位なしの2位の限界でしょうか
休憩後の最初はチェロのナレク・アフナジャリャン。演奏するのは「ロココの主題による変奏曲イ長調」です。彼の演奏は詩情に溢れ,歌心があります.”演奏を聴きながら,聴く側もいっしょに呼吸が出来る”というのでしょうか,心地よい歌わせ方で聴かせます.最後の一音が鳴り終わると,あちこちからブラボーがかかりました.彼の演奏のおかげで,私はこの曲の素晴らしさを再認識しました.こういう演奏こそ名演奏というのでしょう.彼はこれから伸びるのではないでしょうか
最後の”とり”を務めるのは今回のグランプリ受賞者ダニール・トリフォノフ。彼は昨年秋のショパン国際ピアノコンクールでも3位に入賞している実力者。演奏するのは「ピアノ協奏曲第1番変ロ短調」です。最初からエンジン全開といった感じです.2階の自席からは彼の背中を見る形になりますが,背中を通して彼の気迫を感じます.時には獲物を追いかける豹のように,時には水面に投げた小石の波紋が広がっていくように,いろいろと表情を変えながら,チャイコフスキーの世界を描いていきます テクニックは申し分ありませんが,それだけに止まりません
演奏中に気が付いたのですが,彼の弾いているピアノは多くのピアニストが使用しているスタインウェイでも,ベーゼンドルファーでもありません.イタリアのファツィオリを弾いています.イギリスのアンジェラ・ヒューイットもファツィオリを弾いています.2人ともこだわりがあるのでしょう
終楽章が終わるや否や会場はブラボーとの嵐になりました.そして5回も6回も舞台に呼び戻されていました.彼は実力もあるし人気もあるので,”今が旬”と言えるかも知れません.
トリフォノフは今がピークなのか,これからどんどん伸びていくのか,将来が楽しみです