人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

今が旬の三浦文彰のヴァイオリンで”メンコン”を聴く~東京フィル・響きの森クラシックシリーズ

2011年09月24日 06時34分33秒 | 日記

24日(土)。昨日、文京シビックホールで「響きの森クラシック・シリーズvol.37」を聴いてきました 演奏は小林研一郎指揮東京フィルです。

演奏曲目は①ムソルグスキー「交響詩:はげ山の一夜」、②メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」(バイオリン=三浦文彰)、③R・コルサコフ「交響組曲:シェへラザード」の3曲です。

1曲目の「はげ山の一夜」を作曲したムソルグスキーは,ロシア国民楽派の「5人組」の一人です.曲は「聖ヨハネ祭の夜には,悪魔たちがはげ山で酒宴を開く」という伝説に基づくもので,「地下から響く奇怪な声.闇の精,続いて闇の神が出現.闇の神への賛美と黒ミサ,魔女たちの饗宴.狂乱の頂点で教会の鐘が鳴り,闇の精たちは消え去る.夜明け」という内容です.オーケストラは1曲目からエンジン全開.管も弦も奇妙な世界を音楽で表します この曲はディズニーのアニメ「ファンタジア」でストコフスキーが演奏していましたね.

2曲目のメンコンは,メンデルスゾーン35歳の時の作品です.数あるバイオリン協奏曲の中でも最も人気があります.個人的には”ヴァイオリン協奏曲というと何でメンコンなの?”と文句を言いたくなりますが,名曲であることに異論はありません.あまりにも有名なので,演奏する側は他のヴァイオリニストと差別化を図りつつ個性を発揮するのが難しいのではないでしょうか

ヴァイオリン独奏の三浦文彰は2009年世界最難関と言われるハノーファー国際コンクールで史上最年少の16歳で優勝し、一躍有名になりました。3歳からヴァイオリンを始め,徳永二男らに師事,現在は明治安田生命の財団から奨学金を得てウィーン私立音楽大学に留学中です.第1楽章の出だしから丁寧な音作りで滑らかな演奏が続きます.音の流れが自然で聴いていて気持ちがいい演奏です 第1楽章のカデンツァもなかなか聴かせました.終了後,圧倒的な拍手を受け,指揮者とハンギング,そしてコンサートマスターに握手を求めました.コンマスはオッと引きましたが,にこやかに応じました.オーケストラのメンバーからも熱烈なが寄せられました.小林は若手の演奏家を引き立てるのが上手です.年齢的には孫の世代の演奏家を前面に押し出します

三浦は5回も6回も舞台に呼び戻されて,アンコールにパガニーニの超絶技巧無伴奏ヴァイオリン曲(ネル・コル・ピラによる変奏曲?)を演奏しました.メロディーを弾きながらピチカートを弾くという,相当技術的に難しい曲です.三浦は何の困難さも感じさせず見事に弾ききりました.基礎がしっかりしていたうえで,技術も優れているのだと思います.これからが楽しみです

休憩後のシェヘラザードは「5人組」の最年少リムスキー・コルサコフが作曲した曲です.シェヘラザードというのは「千一夜物語(アラビアン・ナイト)の語り部となる女性の名前です.「妃の不貞に怒った王は,処女と初夜を過ごし,翌朝殺すという習慣を続けていた.しかし,シェヘラザードは,王に毎晩面白い話を聞かせ,遂にそれが千一夜にも及んで,王の残忍な心は消えた」という物語です.

第1楽章の王のテーマに続いて独奏ヴァイオリンが優美なシェヘラザードのテーマを奏でます.これを弾くのはコンサートマスターの役割.コンマスのソロは全楽章を通じて演奏されますが,なかなか味わいのある演奏です.指揮の小林は暗譜で通します.

終演後,大きな拍手を制して小林が,例によってオーケストラをパートごとに立たせて賞賛します.いつも思うのですが,やりすぎです.そして拍手を制して”一言あいさつをしたい”という合図を送りました.私は”絶対やるな!”と思っていましたが,やっぱりやりました 彼はコンサートマスターの三浦章宏を立たせ,「さきほどメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を弾いた三浦文彰君のお父さんです」と紹介しました.会場からは「おーっ」という感嘆の声とともに大きなが起きました.コンマスは嬉しいような,恥ずかしいような微妙な顔をしていました.この日,ソリストとコンマスの親子競演が実現したということですね.

気をよくした小林が再び拍手を制し,「このたびの震災で被災された方々の霊に届くように,アンコールとしてマスカーニの”カバレリア・ルスティカーナ間奏曲”を演奏します」とあいさつして,静かなメロディーを演奏しました.この曲は本当に魂が救われるような美しい音楽です.このシリーズ定期会員の知人のAさんは”葬儀の時はこの曲を流して欲しい”と言っていますが,気持ちは良くわかります

        

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