人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

バッハ・コレギウム・ジャパン「カンタータ第140番”目覚めよと,われらに呼ばわる声”」を聴く

2011年09月26日 06時14分26秒 | 日記

26日(月).昨日,東京オペラシティ・コンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの定期演奏会を聴いてきました バッハの教会カンタータ全曲シリーズ第61回「ライプツィッヒ時代1730-40年代のカンタータ①」です.

最初に今井奈緒子によるパイプオルガンで①プレトリウス「わが魂よ,いざ主を讃えよ」と②J.S.バッハ「目覚めよと,われらに呼ばわる声BWV.645」が演奏されました プレトリウスは17世紀初頭のプロテスタント教会音楽で重要な位置を占める作曲家だとのことです.バッハの「目覚めよと・・・・」は「コラール・カンタータ第140番」の第4曲”シオンは物見らの歌声を聴く”をそのままオルガンに移し替えたものですが,オルガン曲の演奏の方がポピュラーですね.パイプオルガンの曲を聴くとクリスチャンでもないのに,いつも敬虔な気持ちになります

カンタータの演奏に先立って,指揮の鈴木雅明が登場し,あいさつをします

「このたびの大震災で被災した東北地方は,半年経った現在,新たな困難や問題を抱えている.BCJは被災地支援を続けていきたいと思っている.ロビーで義捐金の依頼をするので協力をお願いしたい」

最初のカンタータは第29番「われらはあなたに感謝します.神よ,あなたに感謝します」です.いつものように.最初にオーケストラのメンバーが拍手の中を入場し,コーラス,そして指揮の鈴木雅明が登場します.コーラスを見ると,16人の背の高さの違いで波のように見えました.舞台左から低い,やや高い,高い,やや低い,低いというように順番に並んでいて4つの波ができているように見えました.この順番は指揮者・鈴木雅明の考えによるものか,あるいは偶然か,分かりません.

もう一つ気が付いたのは,コーラスのメンバーの何人かが替わっているということです.とくに男性は,ソリストを除けば総入れ替えに近いのではないか,と思えるほど新しい顔ぶれが目立ちました.

いつものように鈴木雅明の両手による指揮でカンタータが始まります 第1曲目はどこかで聴いたことがあると思ったら,バッハの無伴奏ヴァイオリン組曲BWV1006の”プレリュード”を編曲したものでした.バッハはよく自分の作った曲を別の曲に編曲したり,転用したりしています.トランペット3本が華やかな音楽づくりに活躍します

ソプラノはハナ・ブラシコヴァ.美しいノン・ビブラートで歌います.カウンター・テナーはロビン・ブレイズ.男性が女性のような高い声を歌ういわゆるカストラートです.テノールはゲルト・テュルク.マタイ受難曲でのエヴァンゲリストは定評があります.バスはペーター・コーイ.同じくイエス・キリストは定評があります.彼らはバッハ・コレギウム・ジャパンのレギュラー的な存在で,ソリストを務めるとともに合唱のメンバーの一人としても活躍します.とにかくこの4人の歌唱力は文句の付けようのない素晴らしさです

休憩後の1曲目はカンタータ第112番「主はわが頼もしき羊飼い」です.今度はホルン2本が活躍します.現代のようにバルブがたくさんついているホルンではなく,ただ管がまるまっただけのホルンで,吹き方によって音程を変える演奏困難な楽器です.ここでもソリストたちの歌声は完璧です

最後はバッハのカンタータの中でも一番有名かも知れない「目覚めよと,われらに呼ばわる声BWV140」です.第4曲でテノールが「シオンは物見らの歌声を聞く~」と歌うのですが,この歌の伴奏部分が有名なメロディーです

いつものことですが,ソリストたちが歌う時の伴奏を付ける演奏家たちの素晴らしさは特筆すべきものがあります.バロック・オーボエとオーボエ・ダモーレを演奏する三宮正満の抜群のテクニックと高い音楽性 コンマスの若松夏美のヴァイオリンによるフォロー バロック・チェロの鈴木秀美の通奏低音の素晴らしさ 他のメンバーを含めて一人一人が優れたプロの古楽器音楽集団と言ってもいいでしょう.

鳴り止まないアンコールに応えて,最後に演奏したBWV140のコラール「待望される天の御国の輝かしさゆえ,神に栄光あれ」をもう一度演奏しました.世界に通用するBCJの実力を再確認した演奏会でした.

終演後,ロビーの義捐金箱に,わずかながら協力をさせてもらいました.ガンバレ日本!頑張れ東北!!

                            

 

 

 

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