人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

吉祥寺クラシック音楽喫茶「バロック」を訪ねて

2011年09月06日 06時37分58秒 | 日記
6日(火).昨日,ジョリベの「クリスマス・パストラール」のCDを探しに出かけました.この曲は9月1日に新日本フィルの室内楽シリーズでフルート,ファゴット,ハープによって演奏された曲ですが,すごく気に入ったので,どうしても手に入れたくなりました

まずタワーレコード新宿店に行きました.「ジョリベ」のコーナーに行って探してみたのですが,ありません.仕方なく渋谷店に行ってみました.しかし,ここにもありません ちょうど,欲しかったグレン・グールドのピアノ,バーンスタイン指揮ニューヨークフィルによるブラームスの「ピアノ協奏曲第1番」があったので,それを買うついでに店員さんに訊いてみました.レコード会社にも電話で問い合わせてくれたらしく,製造中止になっていることがわかりました.あとは中古CDを根気よく探すしかなさそうです

新宿を後にして,先日手に入れた「東京クラシック地図」を頼りに吉祥寺のクラシック音楽喫茶「バロック」に行くことにしました.吉祥寺駅中央口で降りて徒歩で4,5分程度のところ,「みそのビル」2階にお店はありました.店に入ると女主人らしき人(前掲書によるとオーナーの中村幸子さん)と年配の男性客2人が音楽談義をしているところでした.音楽は何もかかっていませんでした

中央にはタンノイの大型スピーカーが配置され,その外側にもう1組のスピーカー(前掲書によると「バイタボックス」というらしい)が堂々と鎮座しています.両方ともコンクリートブロックを積み上げた上に置かれています.これはスピーカー・コーンの位置が耳の高さになるように配慮されたものです.座席はすべてスピーカーの方を向いています.あくまでも「音楽を聴くための喫茶店」であることを主張しています

買ってきたばかりのブラームスのCDジャケットを眺めながら,ホットコーヒーを注文しました.が,なかなかコーヒーが来ません.そのうちブラームスの「交響曲第1番」が大音響で鳴り始めました だれの演奏かは定かではありませんが,ドイツ系の指揮者によるドイツのオーケストラのような気がします.重低音がズシンと響いてきます.

15分くらい経って,やっとホットコーヒーが届きました.1杯800円也.高いけど美味しいです 全曲が終わると,中村さんが席に来て「何かおかけしましょうか?」と尋ねます.それでは,ということで「このブラームスのCDをかけていただけますか?」と訊くと「残念ですが,CDはおかけできません」という答えです 「それではCDと同じ演奏によるLPで」とリクエストしました.すると,「申し訳ありませんが,ございません.他の演奏家ではどうでしょうか?」と言って写真アルバムのような分厚いリクエスト帳を持ってきてくれました.

リクエスト帳のブラームス「ピアノ協奏曲第1番」のページには5組ほどの演奏家が載っていました.そのうち,ルドルフ・ゼルキンのピアノ,ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団による演奏を選びました.これはLPで持っています(下の写真・右)

これも凄い重低音が室内に響き渡ります.自宅のタンノイではこんなに大きな音を出して鑑賞することは出来ません.いつの間にか先客2名が退席し,代わりに3名のお客さんが入っていました.前掲書によると今は亡きご主人はお客に厳しい人で,自分のリクエストした曲をろくに聴かず読書や書き物をしていたら”自分のリクエストした曲にはきちっと向き合ってほしい”と注文した,と書いてありました その精神が多分奥様にも受け継がれているに違いない,と思い,真摯に音楽に耳を傾けました.それに値する音楽,演奏です

途中でハッと気が付きました.「なぜ,注文したコーヒーがなかなか来なかったのか」「なぜリクエストもしないのにブラームスの交響曲第1番がかかったのか」.多分,オーナーの中村さんは注文したときに私が眺めていたブラームスのCDジャケットを垣間見て,この人はブラームスが好きなのかも知れない,と思ったのではないか,その選曲に手間取ってコーヒーを淹れるのが遅くなったのではないか,と.そうであれば,この道のプロフェッショナルです

そんなこともあって,吉祥寺の「バロック」にはまた行ってみたいと思っています

   
コメント (2)
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