人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ロッシーニ「セビリャの理髪師」を聴く~アルベルト・ゼッダ指揮,藤原歌劇団公演から

2011年09月12日 06時21分00秒 | 日記
12日(月).昨日,初台の新国立劇場で藤原歌劇団公演=ロッシーニの歌劇「セビリャの理髪師」を聴いてきました 指揮はロッシーニの世界的な権威アルベルト・ゼッダ,オーケストラは東京フィルです.キャストはアルマビーバ伯爵=アントニーノ・シラグーザ,ロジーナ=島木弥生,フィガロ=森口賢二,バルトロ=久保田真澄,ドン・バジーリオ=デニス・ビシュニャほか.

指揮者アルベルト・ゼッダについては藤原歌劇団でロッシーニ「タンクレーディ」を聴き,東京フィルで同「スターバト・マーテル」を聴いて,80歳を超えているとはとても思えない精力的な矍鑠たる指揮ぶりに圧倒され,今回も是非聴いてみたいと思ったのです.

ゼッダの指揮で序曲が始まります.ロッシーニとモーツアルトのオペラは軽快なテンポが求められます.ゼッダのは,まさにロッシーニのテンポです

シラグーザは写真でみるとスキンヘッドでツルツルなのですが,実際に出てくるとカツラを被っているのでちょっと違和感があります.しかし,第1幕に登場したリンドーロ=アルマビーバ伯爵役の彼の歌声を聴くと,さすが”ロッシーニ・テノール”に恥じない素晴らしい歌声です.初めて彼のテノールを聴きましたが,”これが噂のシラグーザか”と納得させられました

ロジーナ役はメゾ・ソプラノの島木弥生です.ソロあるいは二重唱で歌うときはいいのですが,3人以上の重唱になると声が聴こえなくなってしまうのが欠点です 今回の公演はダブルキャストで,ロジーナ役は9日がソプラノの高橋薫子で,この日がメゾ・ソプラノの島木弥生となっています.今回メゾを聴く限りではソプラノの方がいいのではないかと想像しました.むしろ小間使いベルタ役の宮本彩音(ソプラノ)の方が合唱の中でもよく声が通っていたように思います.

今回の公演で光っていたのはフィガロ役の森口賢ニです 第1幕の登場から第2幕最終局面まで,その存在感は圧倒的でした.歌もいいし役作りも良かったと思います.シラグーザとの二重唱(あのロッシーニ・クレッシェンド!)など,ぞくぞくわくわくしながら聴き入ってしまいました

第2幕フィナーレ近くのアルマビーバ伯爵の「もう逆らうのはやめろ」は長いアリアですが,シラグーザは明るいテノールで朗々と歌い上げ,聴衆の圧倒的なとブラボーを受けていました.初めて”拍手が鳴り止まない”状況を目の当たりにしました 何分続いたのか,実際には1分とかせいぜい2分だったのかも知れませんが,ものすごく長く感じました.私自身もこれほど長く拍手をした記憶がありません.すごい実力と存在感です

カーテンコールではソリストとともに指揮者アルベルト・ゼッダが呼ばれましたが,80歳を超えているとはとても思えない矍鑠たる態度で聴衆の歓声に応えていました

シラグーザは,ボローニャ歌劇場とともに来日する予定でノドを痛めてキャンセルになったフローレスに代わりベッリーニのオペラ「清教徒」のアルトゥーロ役を歌うことになりました.シラグーザだったら歓迎します フローレスには,次に来日する時には是非「セビリャの理髪師」のアルマビーバ伯爵を歌って欲しいと思います

それにしてもロッシーニのオペラは何と楽しいのでしょうか.とくにこの「セビリャの理髪師」は最高傑作です

ところで,今日はモーツアルトの「バイオリン協奏曲第3番ト長調K.216」が完成した日です.1775年9月12日に生誕地ザルツブルクで作曲されました.モーツアルトは5曲のバイオリン協奏曲を作曲したと言われていますが,ピアノ協奏曲を17歳から死に至るまでピアノ協奏曲を作曲し続けたこととは裏腹に,19歳の時に集中的に作曲しています.その理由は明らかではありません.第2楽章が当時のフランスの作曲家アレクサンドル・ジュナンの緩徐楽章のスタイルを模倣していることが分かっています.優雅で明るい音楽です

      
          
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする