20日(火).最近疲れ気味なので,昨日は家でのんびり過ごすことにしました.とはいうものの,窓ガラスの汚れが気になるのでベランダに出て,ジェット噴射の放水で汚れを落としました.やっぱり外の景色がきれいに見えるのは気持ちのいいものです 今週は5回コンサートが入っているので,その予習のため,モーツアルト「ミサ曲ハ短調」,ブラームス「交響曲第1番」,ベッリーニ「清教徒」などのCDを聴きながら,中山七里「おやすみラフマニノフ」と佐藤正午「事の次第」を読みました
閑話休題
昨日の朝日朝刊に「ドイツの名指揮者ザンデルリンク氏死去」の記事が載っていました.記事によると,
「ドイツのメディアによると,ドイツの名指揮者クルト・ザンデルリンクさんが18日,ベルリンで死去した.98歳だった.1912年生まれ.ベルリンで音楽家としてのスタートを切ったが,ナチスを避けて35年にソ連へ移住.レニングラード・フィルの指揮者などを務める.巨匠ムラビンスキーや作曲家のショスタコービィチら,旧ソ連の芸術家たちと深い人脈を築いた.60年に当時の東ドイツに戻り,ベルリン交響楽団とドレスデン国立歌劇場管弦楽団の主席指揮者を歴任.79年から読売日本交響楽団名誉指揮者.02年に指揮活動を引退した」
ザンデルリンクといえばブラームスの交響曲全集が忘れられません 1971年~72年にドレスデン国立歌劇場管弦楽団を指揮したLPです.レコードジャケット(写真左)には日本語訳で「ドレースデン国立管弦楽団」という表記がありますが,原語は「スターツカペレ・ドレスデン」なので「ドレスデン国立歌劇場管弦楽団」です.写真右は同一録音によるCD盤です.彼が59歳の時の脂の乗り切った時期の演奏です
私はこの演奏を聴いて「ドレスデン国立歌劇場管弦楽団」が大好きになりました.ドイツの伝統に根ざした底力のある”いぶし銀”のような”しぶい”,しかし輝いた音です その後,ヘルベルト・ブロムシュテットがこのオーケストラを率いて来日した時には真っ先にチケットを買って聴きに行きました.それは素晴らしい音色でした.できればザンデルリンクの指揮で聴きたかったと思います.その後,FM放送などでブラームスの演奏がライブで流れてきたとき「あっ,これはドレスデンじゃないかな?」と思って,演奏終了後の解説を聞くと,当たっていたことが何度かありました.大好きなオーケストラの音色は耳が(頭が?)覚えているものらしいです
ザンデルリンクは,1990年に新たに「ベルリン交響楽団」を指揮して「ブラームス交響曲全集」をCD録音しました(写真下).彼が78歳の時の演奏です.ドレスデン盤に比べて,テンポがゆったりとして堂々たる演奏を展開しています このCDは今でもこの曲のベストスリーに入るほど専門家の評価が高いディスクです.
ザンデルリンクは,ブラームスのほか,ベートーベン,マーラー,ブルックナー,ショスタコービィチなどでも,数え切れない名演奏を残しています.その中でも,最も輝きが失せないのは「ドレスデン国立歌劇場管弦楽団」を振った「ブラームス交響曲全集」だと確信しています