人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

中川右介著「二十世紀の10大ピアニスト」を読む

2011年09月08日 06時37分13秒 | 日記
8日(木).昨日、東京ビル協のお世話で内幸町にリニューアル・オ―プンする新イイノビルを見学しました。24階、エントランス、イイノホール、地下1階の店舗街を見学しましたが、個人的な興味はイイノホールです 案内してくれた担当者の話では、このホールは500人収容。反響板を使った場合の残響時間は1.5秒とのこと。落語や講演会の時は反響板を外し残響が無いようにするとのことでした。空調はホール全体のほか、個々の椅子の背中の下からも涼しい風が吹き出すように出来ているとのことです 

ホールの後方から前方を見ると、椅子がまるで魚の鱗のように並んでいるのが見えます。飯野海運という船会社のこだわりがここにも現れています 舞台の中央にはスタインウェイのグランド・ピアノが堂々と鎮座していました。

10月初旬からは、地下1階を通じてイイノビル、旧・新生銀行ビル、日比谷国際ビル経由で地下鉄都営三田線まで直結します。もちろん日比谷国際ビルを経由して当PCビルにも直結します。雨に濡れずにお互いのビルに行けるので便利になります

 閑話休題 

最近読んだ本は岩城宏之著「音の影」,中川右介著「二十世紀の10大ピアニスト」(幻冬舎新書)の2冊です.今回は「二十世紀の10大ピアニスト」を紹介します.著者の中川右介氏はクラシック音楽や歌舞伎を中心に,膨大な資料を収集し,比較対照作業を通して,見逃されていた事実を再構築する独自のスタイルで文筆活動を展開しています.雑誌「クラシックジャーナル」の編集長でもあります

中川氏が独断と偏見で選んだ10大ピアニストは,ラフマニノフ,コルトー,シュナーベル,バックハウス,ルービンシュタイン,アラウ,ホロビッツ,ショスタコービィチ,リヒテル,グールドの10人です

本のカバー文書によれば「”名ピアニスト”はいつの世にもいる.しかし世紀を代表する”巨匠”は稀である.天才的な技巧や感性,音楽的業績だけでは計れない”巨匠”という存在,それは戦争で世界が混乱する二十世紀,同時多発的に開花した.当代一のピアニストと名高く独創的なラフマニノフ,情熱と神技のホロビッツ,自由かつ情感溢れるルービンシュタイン・・・,計10人の大ピアニストが運命的に出会い、絡み合い,それぞれの人生と音楽を変えていく・・・・歴史の流れと共に消えた最後の巨匠たちの物語」ということになります

10大ピアニストの中に作曲家ショスタコービィチを入れることについては疑問視する向きも多いのではないかと思いますが,1927年にワルシャワで開かれた第1回ショパンコンクールにソ連から参加した5人のピアニストの1人がショスタコービィチだったのです.実質的には彼は第3位だったのですが,審査員が全員ポーランド人だったこともあり,ポーランドのピアニストが2位,3位を占めたということです

この本の中で一番面白いのはルービンシュタインとホロビッツの出会いと対立です.世界の音楽界の頂点に立っていたルービンシュタインですが,16歳年下のホロビッツの登場により,その地位が脅かされていきます.その辺のいきさつ,エピソードをまるで小説のように語っています

もう一つ面白いのは,グレン・グールドとバーンスタインが組んで演奏したブラームスの「ピアノ協奏曲第1番」を巡るエピソードです.これについては1962年4月6日にカーネギー・ホールで演奏された同曲のライブ録音がCDに残っています この本を読んで”是非このブラームスの協奏曲を聴かなければ”と思い,さっそくタワーレコード渋谷店で購入しました.このCDについては別の機会に取り上げようと思っています

ルービンシュタインとホロビッツ,グレングールドに限らず,この年のこのときは誰がどうしていたかが,同時進行で語られていきます.よくもここまで詳しく調べて書いたものだと感心します読んでいると,”事実ほど面白いものはない”と思えるほど見事に巨匠たちの人生を写し取っています.クラシック音楽,特にピアノ音楽好きにはたまらなく面白い本です

     
コメント
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