人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

キュッヒル・クァルテットでベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1、7,12番」を聴く~サイクルⅠ

2014年06月14日 09時26分25秒 | 日記

14日(土)その2。昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)で、サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン「キュッヒル・クァルテット ベートーヴェン・サイクルⅠ」を聴きました プログラムは、ベートーヴェンの①弦楽四重奏曲第1番ヘ長調、②同第7番ヘ長調「ラズモフスキー第1番」、③第12番変ホ長調 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の初期、中期、後期からそれぞれ1曲を選んだプログラムです。クァルテットのメンバーは第1ヴァイオリン=ライナー・キュッヒル、第2ヴァイオリン=ダニエル・フロシャウアー、ヴィオラ=ハインリヒ・コル、チェロ=ロベルト・ノーチです

 

          

 

 自席はLB3列5番、左ブロック左から3番目です。ステージ上の椅子の位置を見ると、壁に近い位置にセッティングされています この日の午前中に聴いたクァルテット・エクセルシオは、もっと真ん中に近い位置だったように記憶しています 音の反響を計算してのことでしょうか?4つの椅子のうち、一番右側の椅子の高さが圧倒的に高くセッティングされています 楽器で言えばチェロしかないでしょう。4人が登場して、そのことが判明しました。向かって左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという態勢をとります

 

          

 

最初に演奏するのは弦楽四重奏曲としては第1曲目の作品18-1番です 冒頭の動機を聴いただけで、ベートーヴェンのこの分野に乗り込む意気込みを感じさせます これは最後まで変わりません。終始キュッヒルの主導で演奏が展開しますが、彼は怖い顔をして演奏しています。それに習ってか、他のメンバーも怖い顔でベートーヴェンに大曲に対峙します

キュッヒルは演奏が終わってからもニコリともせず軽く一礼して舞台袖に引っ込んでいきます。宿に帰ったら日本人の奥さんに「あ~た、そんなに気難しい顔してないで、もう少し笑顔を見せたらどうなの~」とか言われているのではないかな、なんて勝手な想像をしてしまいます

とても残念だったのは、第2楽章のアダージョの演奏中に、センターブロック後方から「トゥルルルル・・・・・」という小さな連続音が聴こえてきて、続けて着信メロディーが聴こえてきたのです あれほど、事前放送でケータイの電源を切るように注意を呼び掛けているのに、まだ居るのですね。こういう人種は指定が懸念されているニホンウナギのように「絶滅危惧種」だと思っていましたが、まだ滅亡していないようです あの音は明らかに真剣な表情で「アダージョ」を演奏している4人の演奏者たちの耳に達していました 私などは、彼らが途中で演奏を止めてしまうのではないかと心配したくらいです ウィーンからわざわざ日本の聴衆のためにやってきた4人のアーティスト達に申し訳ない思いでいっぱいです

2曲目に入ります。中期の第7番は「ラズモフスキー第1番」と呼ばれています。ロシアのラズモフスキー伯爵から作曲を依頼されたことから、そのような愛称が付けられました 第1楽章冒頭は懐が深い英雄的と言ってもよい堂々たる音楽です。ベートーヴェンはいいな、とあらためて思います

休憩後は後期の第12番です。この曲は10年以上も弦楽四重奏曲から離れていた晩年のベートーヴェンが、第9初演後に再度このジャンルに取り組んだ最初の作品です。第9初演頃と言えば、ベートーヴェンはほとんど耳が聞こえなかったのではないか、と思います。それでもなお、意欲的に弦楽四重奏曲の作曲に取り組むのですから、凄い生命力です 第1楽章の冒頭を聴くと、ただならぬ強い意志のようなメッセージを感じます 4人の演奏者たちは相変わらず怖い顔で演奏していますが、聴いていて「自分は今、世界最高級のベートーヴェンのクァルテットを聴いているのだ」ということを実感します

会場一杯の拍手 に、何度もステージに呼び戻された彼らは、4度目に出てきた時に着席しました。予想外のことが起こりました。何とまさかのアンコールが演奏されます ギャラップのような速いパッセージで駆け抜けていく、言わば疾風怒濤の曲想です 作曲者が分からなかったのですが、あとでロビーの掲示に「ハイドン作曲、弦楽四重奏曲第74番ト短調作品74-3『騎士』から第4楽章」とありました。この演奏でハイドンを見直しました。それにしても凄い演奏でした

 

          

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サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン・エンジョイ!ウィークエンドVol.2

2014年06月14日 07時02分14秒 | 日記

14日(土)。昨日午後2時半から、サントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)で、サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン「エンジョイ!ウィークエンドVol.2」公演を聴きました。公表されたプログラムは①ベートーヴェン「モーツアルト『魔笛』から『恋人か女房か』による12の変奏曲」、②同「チェロ・ソナタ第5番ニ長調」の2曲 演奏はチェロ=堤剛、ピアノ=小山実稚恵です

 

          

 

 自席はC6-12番。センターブロック右通路側です。偶然前の席が空いていたのでステージが良く見えてラッキーです 開演前に「地震の際は・・・・」というアナウンスが入りますが、その都度思わず天井を見上げてしまいます 「ブルーローズ」は縦横4列、計16個の見事なシャンデリアが吊るされており、「あれが落ちてきたら命がないな」と心配になります。まあ、あの3.11の時も落ちなかったようなので大丈夫なのでしょうが・・・・・

 

          

 

演奏者の登場です。上がダークグリーン、下がゴールド地に花模様の付いた大胆素敵なドレスの小山実稚恵とサントリーホール館長でもある堤剛が姿を見せます 1曲目はベートーヴェン「モーツアルトの『魔笛』から『恋人か女房か』による12の変奏曲」ですが、鳥刺し・パパゲーノのアリアを変奏した曲です。これは楽しい曲です 父娘協演のような微笑ましい雰囲気で楽しい演奏を展開しました

演奏後、小山さんがマイクを握り挨拶します

「ベートーヴェンの室内楽を演奏することは、私にとって喜びであり、リハーサル中から本番がとても楽しみでした 1曲目と2曲目のベートーヴェンと、3曲目のサプライズもありますよ ハイッ」

と、すぐにマイクを堤氏に手渡します。堤氏は笑いながらマイクを受け取り、

「最初に私が話をして冗談でも言おうものなら、小山さんは笑いが止まらなくなってしまうので、最初に話してもらうことにしました 次のチェロ・ソナタ第5番は哲学的で深い音楽です。どうぞお聴きください

とあいさつし、演奏に入りました。それにしても、「3曲目にサプライズがあります」と言ってしまう小山さんは、よほどウソのつけない正直な人なのでしょうね あらかじめ「サプライズがある」と言ってしまったらサプライズにならないのではないか、と思うのですが、どうなんでしょうか 私にとっては、そんな小山さんがサプライズです

ともあれ、曲は堤氏が言われたように、冥想的な音楽で、第3楽章のフーガの演奏は見事でした

 

          

 

演奏後、再度マイクをとった堤氏が

「二人で話したんですが、この2曲だけで演奏を終わるのは、ほとんど詐欺になるので(会場)、アンコールに長めの曲を演奏することにしました(会場)。曲名は皆さまご存知だと思います

とあいさつしました。たしかに、この2曲が終わった段階でまだ40分しか経っていません ピアノの伴奏に載せてチェロがお馴染みのメロディーを奏で始めました。シューベルトの「アルぺジョーネ・ソナタ」です 第1楽章が終わったところで、アンコール終了と思って拍手が起こるかと思いきや、何と第2楽章が続けて演奏されました。どうやら3楽章まで全曲演奏するようです

予想通り、二人は20分を超える「アルぺジョーネ・ソナタ」全曲をアンコールとして演奏し切りました 私は長い人生を生きてきましたが、アンコールに一つの曲の全曲を聴いたのは今回が初めてです これで二人は「詐欺」呼ばわれしないで済むことになりました

あとで冷静に考えてみると、「エンジョイ!ウィークエンド」はほぼ1時間のコンサートなのだから、最初から3曲目のシューベルトもプログラムに組んで公表すべきだったのではないか、と思いました

この後、一旦家に戻って一休みしてから、再びサントリーホール「ブルーローズ」に出かけてキュッヒル・クァルテットのベートーヴェンを聴きましたが、その模様は次のブログでご紹介します

 

          

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