人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン・フィナーレを聴く~ショスタコーヴィチ「第2SQ」他

2014年06月24日 07時00分21秒 | 日記

24日(火)。昨夕、X部長が日帰りで京都から帰って来たN氏を慰労しようと緊急動議を提出、タイムキーパー役のK君も巻き込み4人で地下のRで飲むことになりました 「30分だけね。30分というのは6時30分までということね」というX部長特有の商品先物取引まがいの勧誘に乗せられて、結局2時間たっぷり付き合うことになりました。N氏の話では行きも帰りも新幹線は満員だったそうで、やっぱり月曜日はね・・・・ということで提出法案は可決されました 同時に、N氏が京都で買った奈良漬は土地の垣根を乗り越えて美味いに違いない、という付帯決議も可決、牛歩戦術に悩まされた根気臨時黒海は午後7時30分に閉会となりました。月曜日から、もうイヤ、こんな生活、通販生活

 

  閑話休題  

 

22日(日)午後1時半からサントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)で、チェンバーミュージックガーデン「フィナーレ」コンサートを聴きました プログラムは①アイヴズ「ピアノ三重奏曲」、②ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第2番イ長調」、③ゴリホフ「ラスト・ラウンド」、④武満徹「そして、それが風であることを知った」、⑤ヴィヴァルディ「ヴァイオリン協奏曲集”四季”」から第1番「春」、第2番「夏」です 出演は、ヴァイオリン=ライナー・キュッヒル、フルート=佐久間由美子、ヴィオラ=川本嘉子、ハープ=吉野直子、弦楽四重奏=パシフィカ・クァルテット、クァルテット・エクセルシオ、オケ=チェンバーミュージックガーデン・アンサンブルです

 

          

 

自席はLb2列10番、左サイドの右から3つ目です。最初のアイヴズ「ピアノ三重奏曲」は「アルク・トリオ」によって演奏されます メンバーは、ヴァイオリン=依田真宣、チェロ=小野木遼、ピアノ=小澤佳永です。アイブズは20世紀のアメリカの作曲家です。第1楽章はピアノの伴奏でチェロがメロディーを奏で、ヴァイオリンが加わります。この楽章が終わった時点で、ヴァイオリンの依田君の弓の繊維が切れて垂れ下がっていました。相当力が入ったようです 第2楽章はTSIAJと記されています。何かと思ったらThis Scherzo is a joke だそうです 終始激しいアタックで破壊的な音楽が展開します。第3楽章は再度、穏やかな雰囲気に戻りますが、一筋縄では済みません

2曲目はショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第2番イ長調」です。演奏はパシフィカ・クァルテット これは先日のコンサートの時、会場ロビーで彼らの演奏によるCDを買ったのでしっかり予習しておきました

 

          

 

4人が登場します。第1ヴァイオリンのガナートラは黒地にシルバーの模様を配したシックなドレスです 左からガナートラ、バーンハートソン、ヴェイモス、バーモスタードという並びですが、ヴィオラのバーモスタードだけが、突出して椅子を高く調整しています。4人のメンバーの中で一番背が高いのですが、ほとんど中腰スタイルです

ガナートラの主導で第1楽章に入りますが、CDで聴いていたのはいったい何だったのか と思うほど、最初から激しい音楽が展開します CDはあくまでパッケージ音楽に過ぎません。生でこの演奏を聴く醍醐味はCDでは伝わりません ガナートラはある時は腰を浮かせ、ある時は足を浮かせ、ある時はのけ反り、身体全体で演奏します 自席からは彼女の後姿しか見られませんが、対面する位置にいる聴衆は彼女の千変万化の表情を見ることができるはず 第2楽章では第1ヴァイオリンによる抒情的な”歌”が延々と続きますが、1本のヴァイオリンから様々な表情の音が繰り出してくるのが不思議なくらいです。何という表現力でしょうか

第3楽章はワルツですが、ショスタコーヴィチらしい、アイロニカルな世界が展開します 第4楽章では、主題がヴィオラ、第2ヴァイオリン、チェロ、第1ヴァイオリンと受け継がれていきます。4人の奏者は身体全体を使って演奏、フィナーレになだれこみます 何という演奏でしょうか。もの凄い演奏でした パシフィカ・クァルテットの最大の魅力は、確かな技術力を背景に躍動的に音楽を表現するところです この日の演奏は今年のマイベスト10に入ること間違いないでしょう

ところで、女性から見た同じ女性のガナートラはどのように映るのでしょうか?私などは、自分より大柄な男どもを3人も従えて颯爽と演奏をリードする彼女は、胸がすくほどカッコいいと思います その鋭い感性を、ヴァイオリン界のアルゲリッチと呼びましょう

 

          

 

前半の最後はアルゼンチン生まれでアメリカで活躍しているゴリホフの「ラスト・ラウンド」です 同郷の作曲家アストル・ピアソラへのオマージュ的な作品です。向かって左サイドにパシフィカ・クァルテットが、センターにコントラバスの吉田秀が、右サイドにクァルテット・エクセルシオがシンメトリックに対向します。チェロ以外は立って演奏します

曲は、タンゴのリズムに乗って熱狂的に演奏されます。まさにピアソラの世界にいるようです。聴いているわれわれ聴衆も熱くなります

 

          

    

休憩後の最初は、武満徹の「そして、それが風であることを知った」です。演奏はフルート=佐久間由美子、ヴィオラ=川本嘉子、ハープ=吉野直子です こんな珍しい組み合わせによる曲なんて、いったい誰が最初に書いたのでしょうか?フランスの作曲家クロード・ドビュッシー以外にいないでしょう 彼は「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」を作曲しています。明らかに武満はドビュッシーのこの曲を意識して作曲したに違いありません

ソリストの3人はドレスをグリーン系で統一しています。最初はハープ独奏で始まりますが、途中でフルートとヴィオラが絡んできます 不思議なくらい3つの楽器の組み合わせに違和感がありません。3人のソリストは演奏が安定しています。それにつけても、かなりベテランの域に達しましたね、3人とも

最後はキュッヒルを主導者としてヴィヴァルディ「ヴァイオリン協奏曲集『四季』から第1楽章『春』、第2楽章『夏』が演奏されます

チェンバーミュージックガーデン・アンサンブルのメンバーがステージに登場します 向かって左から第1ヴァイオリン(依田真宣、北見春菜、平野悦子、外園萌香)、ヴィオラ(高橋梓、福井萌、吉田有紀子)、チェロ(中実穂、鎌田茉莉子)、第2ヴァイオリン(小形響、福崎雄也、東山加奈子、花田和加子)、後ろにチェンバロ(古藤田みゆき)、コントラバス(吉田秀)がスタンバイします 女性陣は色とりどりのドレスで目を目を楽しませてくれます チェロとチェンバロのみが座って演奏します。リーダー役は第1ヴァイオリンの依田君が務めます

ライナー・キュッヒルが登場、指揮者を兼ねてソリストとして演奏します 私は、チェンバーミュージックガーデンのフィナーレとして、最後にこのヴィヴァルディの『四季』を持ってくることにはあまり感心しませんでした しかし、ウィーン・フィルのコンマス、キュッヒルとともにこの曲を真摯に演奏する若い演奏家たちを見ていると、『四季』で良かったのだ、と思うようになりました 技巧的にも見せ場があり、なかなか聴かせる曲です

鳴り止まない拍手に、いま演奏した四季の「夏」の第3楽章をもう一度演奏しました キュッヒルは演奏者一人一人と握手し、颯爽と舞台袖に引き上げて行きました

これで今年のチェンバーミュージックガーデンも終わり とても寂しいです。またパシフィカ・クァルテットを聴きたいです

 

          

コメント
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