人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

シューベルト「交響曲第8番”ザ・グレイト”」を聴く~ジョナサン・ノット+東響

2014年06月15日 09時39分38秒 | 日記

15日(日)。昨日午前、マンションの管理組合の定期総会があったので出席しました。いつも思うのは、情けないほどの出席率の低さです 90人は居るはずなのに、本人出席は役員を含めてたったの9人です ほとんどが委任状です。毎年こんなものなので慣れてしまいましたが、毎年1600万円位の大金が動くというのに、こんなことでいいのだろうか、と思ってしまいます。他のマンションはどうなのでしょうか ローテーションにより、今日から2年間役員を務めることになります。どうなることやら

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第621回定期演奏会を聴きました プログラムは①ブーレーズ「ノクタシオン 1-Ⅳ」、②ベルリオーズ「夏の庭」、③シューベルト「交響曲第8番”ザ・グレイト”」です。指揮はジョナサン・ノット、②のメゾ・ソプラノ独唱はアメリカ出身のサーシャ・クック、コンサートマスターは大谷康子です

 

          

 

1曲目はピエール・ブーレーズの「ノクタシオンⅠ-Ⅳ(管弦楽版)」です。舞台上には所狭しと椅子が並べられています。楽員が登場し配置に着きますが、弦楽器は向かって左から、後ろ側にコントラバス、その前に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2バイオリンという対向配置をとります 木管、金管に加え、右にハープが3台、ピアノが1台設置され、打楽器群は最後列を横断する形で総勢9名がスタンバイします

「ノクタシオン」とは「記号」「覚書」という意味があるそうですが、ブーレーズはもともとピアノのためにこの曲を作曲し、後に管弦楽版に編曲したそうです。第1曲から第4曲までありますが、順番は演奏者に任されるとのことです。この日は作曲者が推奨する第1曲、第4曲、第3曲、第2曲の順に演奏します

聴いていて特徴的だと思うのは、管楽器、弦楽器とともに活躍する様々な打楽器群です 9人の打楽器奏者はいくつかの打楽器を兼任しているため、楽章が変わるごとに右往左往します。この曲を独断と偏見によって一言で表すと「カオス」です

現代音楽というのは、10数分の短い曲にもかかわらず、このような大編成のオーケストラを動員することになります。常に”新しい音”を求めて作曲するからでしょうが、楽団にとっては経費の増大要因になるばかりで大変な思いをしているのではないでしょうか 僕ってあまり現代音楽好きじゃないみたい

2曲目はベルリオーズ「夏の夜」です。タイトルはシェークスピアの戯曲「夏の夜の夢」から採られました メゾ・ソプラノのサーシャ・クックはアメリカ生まれ、グラミー賞も受賞したという実力者ですが、もともと出演予定のジェニファー・ラーモアが「本人の都合により」降板し、代理として出演することになったものです 「本人の都合」っていったい何なのでしょうか。あまり良い印象はありません

ブーレーズから大幅にオケの規模が縮小します。打楽器に至っては9人いたのが一人も残りません。仕切り直ししたオケがスタンバイし、ソリストのクックと指揮者ノットを迎えます

クックは紺色のドレスで登場しますが、落ち着いた雰囲気です。ノットと並ぶとイギリスのレディ&ジェントルマンのカップルのように見えます 「夏の歌」は「ヴィラネル」「バラの亡霊」「入り江にて」「去りし人」「墓地にて」「未知らぬ島」の5曲から成りますが、クックはノット+東響のサポートのもと、美しいフランス語でベルリオーズの世界を歌い上げました

結論としては、当初予定していたラーモアよりも、クックとノットの組み合わせの方が、語呂も良く相性が良かったのではないかと思います

 

          

 

休憩後はシューベルトの交響曲第8番「ザ・グレイト」です。この曲は、シューベルトの兄フェルディナントの所にあった手稿譜をシューマンが発見し、1839年にメンデルスゾーンの指揮で初演されました メンデルスゾーンと言えば、バッハの『マタイ受難曲』を復活演奏し、世に知らしめた功績があります。ただのお大尽のお坊ちゃま君ではありません

さて、オケの編成は総勢で50名強と小ぶりです。通常70名程度で演奏するところですが、この辺はノットのこだわりがあるのかも知れません かと言って、古楽器演奏のスタイルを採るということでもないようです。あくまでもモダーン楽器で現在の解釈によって再現しようというアプローチです

第1楽章のアンダンテから小気味の良いテンポで音楽が進みます。指揮をしているジョナサン・ノットの横顔を見ていると、40~50代のカラヤンにそっくりなことが分かります。指揮振りはまったく正反対ですが

第2楽章のアンダンテの急にフォルテになるところで、隣席の男性が肘掛け椅子からズッコケました。あなた寝てましたね

さて第4楽章のフィナーレ”アレグロ・ヴィヴァーチェ”こそノットの本領発揮といったところです ノットはこれでもか、とオケを煽り立てます

ところでプログラムの解説に「ザ・グレイト」の最終楽章にベートーヴェンの第9の「歓喜の歌」が引用されている、と書かれていましたが、初めて聞きました。いったいどこでしょうか? 後でCDで確かめなくては

最後の音が鳴り終えて、ノットはしばしタクトを宙に泳がせましたが、次の瞬間会場一杯の拍手とブラボーに包まれました 楽員からも惜しみない拍手 が送られ、新しい音楽監督を温かく受け入れようという姿勢が垣間見られました

演奏を振り返ってみると、この日の演奏は「現代のシューベルト像」を描いたものと言えるのではないか、と思いました

 

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