人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

上野学園大学プロデュース「フンメル先生とその時代」を聴く

2014年06月11日 07時00分50秒 | 日記

11日(水)。昨日の朝日朝刊に「出版界 縮小の一途~昨年売り上げ1.7兆円 17年間で35%減」という衝撃的な記事が載りました 新潮社の常務は「このまま手をこまねいていれば、業界自体が根こそぎ消えてしまう」と危機感をにじませているとのこと。ネット社会が広がり本を買わなくなったということでしょうか。当ビル1階にもJ書店が入居していますが、ここ数年、かなりの苦戦を強いられているようです 昨年初秋に隣の旧・新生銀行ビル解体工事に伴って飯野ビルとの間の地下通路が閉鎖されてから人の流れが変わり、客足が遠のいたとのことです。とくに雨の日は売り上げが激減しているとのことです

私は「活字文化を守る」「テナントを応援する」という観点から、本は出来る限りJ書店で買うようにしています。入居テナントの皆さま、内幸町の近隣の皆さま、是非J書店を応援してあげてください

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)で、上野学園大学プロデュース公演「フンメル先生とその時代」を聴きました これはサントリーホール・チェンバーミュージックガーデンの「レインボウ21 サントリーホールデビューコンサート2014」の一環として開かれた公演です

 

          

 

演奏曲目は①フンメル「モーツアルトの『フィガロの結婚』からの主題によるファンタジーナ、②モーツアルト「ドゥゼードの『リゾンは眠っていた』の主題による9つの変奏曲」、③ハイドン「ピアノ・ソナタ変ホ長調」から第2楽章「アダージョ」、④フンメル「ピアノ・ソナタ第3番ヘ短調」、⑤シューベルト「ハンガリー風ディヴェルティメント ト短調」から第3楽章「アレグロ」、⑥フンメル「夜想曲ヘ長調」、⑦ショパン「マズルカ風ロンド ヘ長調」、⑧同「華麗なる大円舞曲変ホ長調」、⑨フンメル「ロンド変ホ長調”ラ・ギャラント」です

 

          

 

開場の6時20分早々に、眠気覚ましにホワイエのコーヒーショップでホットコーヒーを飲んだのですが、客が誰もきません しばらくパンフレットを見ながら一人で飲んでいました 大ホールであればチケット・ゲートの手前にショップがあるので存在に気が付くのですが、小ホールの場合は、わざわざ奥まで行かないと分からないところにあるので、存在に気が付かない、あるいは知っていても営業しているとは思わない人が多いのではないか、と思いました 後でボチボチお客さんも来ましたが、もっと分かり易い表示を出すとか、工夫が必要でしょう。別にサントリーから手当てをもらっている訳ではありませんが

座席は全自由席。センターブロック7列目左通路側席を押さえました 初めて気が付いたのですが、ブルーローズでは全自由席のときは椅子に表示された座席表示を取り外すようです。表示が着脱できるんですね

舞台が暗転し、ステージ左手からフンメルに扮した松田康介君が登場して「私はヨハン・ネポムク・フンメル。8~10歳の時にモーツアルトの家に住み込んでピアノを学んだ」などと昔を振り返ります フンメルはサリエリに作曲を、ハイドンにオルガンを習い、ハイドンの推薦で26歳の時にエステルハージ家の楽士長になりました

おぎやはぎの片割れのような雰囲気の古賀大路君が緊張の面持ちで登場し、フンメルの作品、モーツアルトの「フィガロの結婚」の「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」をアレンジした曲を軽快に弾きます

次いで、濃厚な紫色のドレスに身を包んだ新山茜さんが、やはり緊張の絶頂といった趣きで登場し、モーツアルトの変奏曲とハイドンのピアノ・ソナタからアダージョを続けて弾きます

そして前半最後は、ローズ・レッドのドレスに身を包まれた深貝理紗子さんが、フンメルのピアノ・ソナタ第3番を演奏します。これまでの3人の中では一番流れが良く安定感があるように思いました 曲を忠実に再現しているだけあって、フンメルがテンパラメントに欠けた作曲家であることが図らずも露呈したと言っても良いでしょう。とくに第2楽章「アダージョ・マエストーソ」は音階を上がったり下がったりしている印象だけが強く残ります

 

          

 

休憩後の最初は、シューベルトの「ハンガリー風ディヴェルティメント」の第3楽章ですが、古賀大路君(右)と高橋優介君(左)による連弾で演奏されました いかにもハンガリーのリズムが生かされた曲です。譜めくりをやっているのは、上下黒のスーツにお色直しした深貝理紗子さんではありませんか?女性は衣裳を変えると分からなくなってしまうことがあります。間違ったらごめんなさい

次いで、フンメルの夜想曲が新山茜さんと、淡い緑色のドレスの中山千晶さんの連弾によって弾かれました 途中からまるでシューベルトのような曲想になってきました

ここで再びフンメル先生が登場し、中山さんを相手にショパンの才能について語ります。そして、中山さんの演奏でショパンの「マズルカ風ロンド」が弾かれます この曲はあまり聴く機会がないですが、すごく良い曲だと思いました。演奏も素晴らしかったです

次いで再度、おぎやはぎ、もとい、古賀大路君が登場しショパンの「華麗なる大円舞曲」を鮮やかに演奏します 締めは高橋優介君がフンメルの「ロンド」を華麗に演奏しました

そして、最後に出演者全員が揃って登場、聴衆にお別れをしました。ひょっとして、深貝さん、また赤のドレスにお色直ししましたね

演奏終了後、帰ろうと通路を歩いていると、カルミナ・カルテットのメンバーらしき男性が近くの人に「イッツ・インタレスティング」と言っているのが聞こえました。そう、イッツ・インタレスティング ザッツ・エンタテイメント ですよ。

ピアノを弾いた学生の皆さんは、それぞれが素晴らしいと思いましたが、フンメル先生に扮した松田康介君は打楽器を辞めて演劇の道に進んでも生きていけるのではないか、と思うほどフンメル先生に成りきっていました。素晴らしい演技でした

この企画は、古典派からロマン派への時代の架け橋として位置するフンメルにいま一度、光を当てようという試みですが、まさに狙い通りの成果が上がったのではないかと思います

サントリーホールのこのような試みは素晴らしいと思います。これからも若い学生の活躍の場を提供して欲しいと思います

コメント
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