20日(金)。昨日は12月7日(日)の「ミューザ川崎シンフォニーホール開館10周年記念コンサート」のチケットの一般発売開始日だったので、さっそく予約の電話を入れました ただ、午後5時頃になってしまったので、すでに良い席は売り切れていて、S席でも2階センターブロック左サイドの席をとるのがやっとでした ただし東響定期会員は1割引なので13,500円で買うことができました
プログラムはマーラーの交響曲第8番『千人の交響曲』1曲のみです コンサートホールの周年記念やリニューアル・オープンには、同じマーラーの交響曲第2番『復活』とともによく演奏される曲です したがって大規模なこの曲は滅多に演奏される機会がありません 今回は東響音楽監督ジョナサン・ノットのタクトのもと東京交響楽団が演奏します
閑話休題
昨夕、初台の新国立劇場中劇場で池辺晋一郎のオペラ「鹿鳴館」を観ました 原作は三島由紀夫、上演台本は鵜山仁です。ダブル・キャストですが、この日は、影山悠敏伯爵=黒田博、同夫人=大倉由紀枝、大徳寺公爵夫人・季子=手嶋真佐子、その娘・顕子=高橋薫子、清原永之輔=星野淳、その息子・久雄=鈴木准という顔ぶれです 演奏は新国立劇場初登場の飯森範親の指揮、オケは東京フィル、演出は鵜山仁です
物語はー明治19年11月3日、天長節。元芸者で現在は景山伯爵夫人の朝子は、友人の娘顕子の恋人の名前が久雄であると聞いて驚く 朝子は反政府のリーダー清原とかつて恋仲にあり、久雄は二人の間に生まれた子供だった。朝子は、父を憎む久雄がその夜、鹿鳴館で開かれる舞踏会で清原の暗殺を計画していることを知る 朝子は未だ愛する清原と久雄を助けるために奔走する。しかし、実は、この暗殺計画の首謀者は景山だった 清原親子の運命やいかに
本来なら21日に観る予定だったのが、その日に3つのコンサートが重なってしまったため19日に振り替えたものです そのせいで座席が1階14列57番と、右ブロックになってしまいました 中劇場は久しぶりです。ロビーでは「鹿鳴館」の作曲者・池辺晋一郎氏が談笑しています 池辺晋一郎といえばダジャレの大家。「ダジャレを言うのはダレジャ」などとシャレにもならないシャレを連発して市井の人々を困らせている、もとい、笑いの渦に巻き込んでいる張本人です かつて20世紀から21世紀にかけて、N響アワーで檀ふみとコンビを組んで進行役を務めていた時の池辺氏のダジャレと天然ボケの壇さんとの絶妙なやり取りは世界遺産ものでした
さて、今回の公演は2010年6月に世界初演された公演の再演です。あの時は沼尻竜典がタクトをとりました
序曲に続いて朝子、大徳寺夫人・季子、その娘・顕子が登場してアリアが歌われますが、日本語がよく聞き取れません まいったなあ、と思ってステージの上を見上げると、テロップが出ていました 自席からは見上げないとよく見えないので、もっと後部の座席の方がよかったな、と思いました 幸い、そのうち歌われている日本語に慣れてきて意味が通じるようになってきました それにしても、日本語で歌っているのに日本語のテロップとは・・・・でも、そうしないと三島由紀夫の作品は通じない部分もありますね
池辺晋一郎氏は東京藝大在学中のクラブ活動が演劇部だったこともあり、このオペラも演劇の延長線上で捉えています 観ていて感じるのは、文学座や俳優座の俳優たちが演技の合間にオペラを歌っているのではないか、ということです それだけ、歌手たちは歌が優れているばかりでなく、演技も優れていなければなりません
例えばイタリア・オペラなどで日本人歌手が歌っているのを観ていて感じる”違和感”は、今回の「鹿鳴館」のような日本人によるオペラの場合はまったく感じません 日本人以外に歌ってほしくないとさえ思います
歌手では、何と言っても影山夫人・朝子を演じた大倉由紀枝の歌と演技が印象に残ります 影山伯爵を演じた黒田博、清原を演じた星野淳の二人は深みのある演技と会場の隅々まで響き渡る歌声が素晴らしかったです また、顕子を演じた高橋薫子は相変わらず美しいソプラノで楽しませてくれました 久雄を演じた鈴木准は、経種廉彦に代わって急きょ出演したテノールですが、よく頑張りました
午後6時半に始まった「鹿鳴館」は途中30分の休憩を挟んで、カーテンコールが終わったのは9時50分でした。一昨日は3軒はしごして10時まで飲んだので、連日厳しい状況下にあります。さらに今夕は新日本フィルの定期公演を聴きに行きます。別の言葉で言うと、身体が持ちません