人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

鈴木優人+読響=読響アンサンブル・シリーズを聴く/「Kissポートクラシックコンサート」のチケットを買う

2016年06月08日 07時34分54秒 | 日記

8日(水)。昨日の日経夕刊に英国の劇作家ピーター・シェーファー氏の死亡記事が載っていました 6日に滞在先のアイルランド南西部で死去したとのことです(90歳)。ピーター・シェーファーと言えば戯曲「アマデウス」を思い浮かべます。その昔 池袋にサンシャイン劇場があったころ、松本幸四郎のサリエリ、江守徹のモーツアルトによる劇を観に行ったことを懐かしく思い出します

ということで、わが家に来てから619日目を迎え、戯曲を演じるわけでもないのにカメラ目線で対応するわが家のスーパースター、モコタロです

 

          

           テレビ・クルーの人は 整理券をもらって並んでくださいね 人気者は辛いよ

 

  閑話休題  

 

9月22日(木・祝)午後2時からサントリーホールで開かれる「第25回Kissポートクラシックコンサート」のチケットを電話で発注しました これは港区の外郭団体・Kissポート財団が主催して毎年開催している公演で、今年のプログラムは①チャイコフスキー「ロココの主題による変奏曲」、②ベートーヴェン「交響曲第9番ニ短調”合唱付き”」です 出演は、①のチェロ独奏=サントリホール館長・堤剛、②の独唱はソプラノ=森麻季、メゾソプラノ=八木寿子、テノール=福井敬、バリトン=福島明也で、管弦楽は東京交響楽団、混声合唱=ミナトシティコーラス、指揮は大友直人です

入場料はS席=4,000円、A席=3,000円、B席=1,500円と格安になっています。たまには「秋の第九」もいいかも

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日の日経朝刊「新製品欄」にソニーの「レコードプレーヤーPS-HX500」が紹介されていました 収録曲を音楽CDよりも高音質のハイレゾリューション規格で聴ける”世界初”の製品とのことで人気を集めているそうです 

「生演奏中心主義」の私は今のところ機械には興味はありませんが、記事の中の「昨年のレコード国内生産 5年前の6.9倍に」という見出しに興味を魅かれました 日本レコード協会によると、2015年のレコード国内生産は前年比73%増の11億7500万円と、10年の6.9倍に達したそうです 2008年に米国でレコード店主らが始めたイベントを機に国内外で著名歌手がレコード盤を発売するようになり、人気が広がったとのことです

私はもともと約2,000枚のLPレコード(クラシック)を所有していましたが、新しいアンプと引き換えに500枚を手放したので、現在手元にあるのは約1,500枚です(ほかにCDが約4,000枚)。しかし、最近は生のコンサートを聴くことに忙しく、レコードを聴いている暇がありません 幸か不幸かこの状態はしばらく続きそうです。時期が来たらローテルのアンプ、マイクロのベルトドライブ・プレーヤー、タンノイのスピーカー(アーデンⅡ)でじっくりと聴くつもりです

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

昨夕、よみうり大手町ホールで「読響アンサンブル・シリーズ ~ 今 一番新しい古典」演奏会を聴きました プログラムは①武満徹「地平線のドーリア」、②C.P.E.バッハ「チェンバロ協奏曲第1番ハ短調」、③メンデルスゾーン「交響曲第1番ハ短調」です 指揮とチェンバロはバッハ・コレギウム・ジャパンのチェンバロでお馴染みの鈴木優人です

 

          

 

 新シーズン初のアンサンブル・シリーズです 前シーズンよりも前方の席に移りました。開演前にプレトークがありました 読売新聞の鈴木美潮専門委員が指揮者・鈴木優人にインタビューする形で進めます。彼は1981年にオランダで生まれ、3歳まで過ごして神戸に移り、その後小学校3年生の時に東京に移ったとのことです 父親はオルガ二ストでバッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)の音楽監督・鈴木雅明氏、母親もB.C.Jのコーラス員という音楽一家ですが、幼少の頃から 音楽をやれと無理強いされることはなかったとのことです

拍手の中、オケのメンバーが入場します。1曲目の武満徹「地平線のドーリア」の演奏に備えて、舞台前方には8人の弦楽メンバーが、後方には9人の弦楽メンバーがスタンバイします 顔ぶれを見ると、コンマスが長原幸太、隣にヴィオラの鈴木康浩、その反対側には小森谷巧、ヴィオラの柳瀬省太が、センターにはコントラバスの石川滋がスタンバイします。また、後方のメンバーにはヴァイオリンの瀧村依里、コントラバスの西澤誠治の姿が見えます。つまり、読響はアンサンブル・シリーズに首席クラスを揃えて望んでいるのです。読売日響は手を抜きません。ここに「読響スピリッツ」を感じます

「地平線のドーリア」は1966年にアメリカのクーセヴィツキー財団の委嘱により作曲されたものです 実はこの曲は若杉弘指揮読売日響が初演しています タイトルに示された「ドーリア旋法(ドレミファのレから始まる教会旋法)」を用いて、まるで日本古来の楽器・笙(しょう)のような音を出します この曲が世界的に認められたのは、西洋と東洋の交錯を感じさせるからでしょう

チェンバロが舞台中央に運ばれ、鈴木優人のチェンバロの弾き振りにより、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの「チェンバロ協奏曲ニ短調」の演奏に入ります 今では信じられないかも知れませんが、当時は父親のヨハン・セバスチャン・バッハよりも有名だったようです 3楽章形式ですが、第1楽章「アレグロ」の冒頭を聴くと、プレトークで鈴木氏が解説していたように、「バロック」というよりも「ロック」だと言いたくなるような劇的でノリノリの曲です 各楽章でチェンバロの独奏が聴かれますが、さすがはB.C.Jで培った演奏力で聴衆を魅了します

 

          

 

休憩後は待望のメンデルスゾーンの「交響曲第1番ハ短調」です ここ数日、クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団のCDで予習しておきました

 

          

 

再度オケのメンバーが登場しますが、管楽器もクラリネットの金子平、オーボエの蠣崎耕三をはじめ首席クラスを揃えています

メンデルスゾーンは12~14歳の時に「弦楽のための交響曲」を13曲(1曲は未完)書いていますが、15歳の時に管楽器を加えたこの交響曲を書いています

4つの楽章から成りますが、第1楽章「アレグロ・ディ・モルト」の冒頭を一言でいえば「疾風怒濤」です エネルギーに満ちた、若さあふれる情熱的な音楽です。第2楽章「アンダンテ」は穏やかな曲想ですが、木管楽器によるアンサンブルが美しい楽章です

第3楽章「メヌエット:アレグロ・モルト」を聴いていて思ったのは、モーツアルトの交響曲第39番の第3楽章「メヌエット:アレグレット」の変形バージョンみたいだな、ということです メンデルスゾーンの方が変則的ですが、精神はモーツアルトのようです

第4楽章「アレグロ・コン・フォコ」は、再び疾風怒濤の快進撃が展開しますが、中盤で、弦のピッツィカートに乗せてクラリネットが歌うメロディーは心なごみます そして、劇的なフィナーレで曲を閉じます

鈴木優人+読売日響による演奏は情熱的で、メンデルスゾーンのほとばしるエネルギーが客席に押し寄せてくるような素晴らしい演奏でした

聴き終わって思うことは、「これが本当に15歳の少年が作曲した作品だろうか」ということです。メンデルスゾーンは16歳であの名曲「弦楽八重奏曲」を、17歳で傑作「真夏の夜の夢」序曲を書いています モーツアルトに次ぐ天才と呼んでも良いと思います こんなに素晴らしい曲が演奏される機会がほとんどないのは寂しい限りです プログラムの曲目解説にも書かれていましたが、今回の演奏はメンデルスゾーンの初期の音楽を見直す好機だと思います

ところで、鈴木優人はタクトを持たずに指揮をしましたが、父親ゆずりでしょうか 

プレトークの時に話が出たのですが、武満徹が「地平線のドーリア」を作曲したのが36歳の時、C.P.E.バッハが「チェンバロ協奏曲ニ短調」を作曲したのが34歳の時、そして指揮をする鈴木優人が現在35歳ということです トークの際に「同世代の音楽を演奏することについてどう思うか?」と訊かれた鈴木優人は「同世代と言っても、時代が違うので その時代によって受け止め方が違うのではないか」と答えていました

ちなみに、メンデルスゾーンは38歳の若さで死去したので、彼にとっての30代の半ばは晩年です モーツアルトは35歳、シューベルトは31歳・・・・天才ほど早死にします

コメント (4)
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