人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

クァルテット・エクセルシオで「ベートーヴェン・サイクルⅢ」を聴く~第4番、第7番、第16番

2016年06月13日 07時46分56秒 | 日記

13日(月)。わが家に来てから624日目を迎え、白ウサちゃんに 本人が見えない事実を教えてあげているモコタロです

 

          

             白ウサちゃん 耳から緑色の風船が生えてるよ!

 

  閑話休題  

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」でサントリーホール・チェンバーミュージックガーデン、クァルテット・エクセルシオによる「ベートーヴェン・サイクルⅢ」を聴きました プログラムは、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲①第4番ハ短調、②第7番ヘ長調”ラズモフスキー第1番”、③第16番ヘ長調です

 

          

 

この日の女性陣は赤系統の鮮やかな衣装で統一しています このサイクルは5回あるので5種類のステージ衣装を揃えているのでしょうか? その点、黒一点の大友さんは いつも上下黒で衣装選びに苦労はなさそうです 黒の上下を5種類持ってたりして・・・

1曲目の「弦楽四重奏曲第4番ハ短調」は、初期の作品18の6曲の中で唯一の短調の作品ですが、ハ短調はまさに第5”運命交響曲”の調性です 私は初期の作品の中ではこの曲が一番好きです。とくに第1楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」に暗い情感とでもいうような曲の性格が現れています

2曲目は「第7番ヘ長調”ラズモフスキー第1番”」です。この曲は1805年~06年に、ウィーン駐在のロシア大使ラズモフスキー伯爵からの依頼で書かれた3曲の作品59の最初の曲です。伯爵はシュパンツィヒ四重奏団を抱えていて、自ら第2ヴァイオリンを弾いていたと言いますから、相当な音楽好きです ベートーヴェンは伯爵の実力を踏まえて曲を書いたのではないでしょうか

第1楽章「アレグロ」は、冒頭 大友の雄大なチェロから入ります この演奏を聴いていると、この曲が 1年ほど前に書かれた「交響曲第3番”英雄”」に並び評されるスケールの大きな作品であることが分かります まさにベートーヴェンは前作=第6番までの初期の作品から一段階上の境地に達したのです

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴いていていつも思うのは、緩徐楽章の素晴らしさです この曲も例外ではなく、第3楽章「アダージョ・モルト・エ・メスト」は痛切ではあるけれど美しい曲想です エクセルシオは第1ヴァイオリンの西野ゆかを中心に切々と美しいメロディーを奏でていきます 切れ目なく続く第4楽章は、雲の間から晴れ間が見えたように明朗な音楽が奏でられます

 

          

 

休憩後は最後の弦楽四重奏曲「第16番ヘ長調」です ベートーヴェンの死の半年前の1826年10月に完成しました。第13番=6楽章、第15番=5楽章、第14番=7楽章と規模を拡大してきたベートーヴェンですが、最後の第16番では4楽章に戻っています

この作品の特徴は第4楽章の冒頭に「ようやくついた決心」という標題とともに、「そうしなければならないのか?」「そうしなければならぬ」という言葉が音符の下に付されていることです 「弦楽四重奏曲もこれで最後にしなければならないのか?」「そうしなければならぬ」という意味だったのか、あるいはもっとお気軽なことを意味しているのか、ベートーヴェンしか分かりません

エクセルシオの演奏を聴いて感じるのは、作品の軽さです 演奏時間にして30分足らずの簡素な作品で、しかも その曲想は明るく爽快でさえあります これがベートーヴェンが最後に到達した悟りの境地なのでしょうか

ところで、この作品の第3楽章「アッサイ・レント、カンタービレ・エ・トランクィロ」の冒頭、数小節入ったところから、ある音楽のメロディーに似ていると思いました それはマーラーの「交響曲第3番ニ短調」第6楽章「ゆっくりと、平静に、感情をこめて」の冒頭です 順番から言えば、マーラーの交響曲第3番の一部がベートーヴェンの弦楽四重奏曲第16番の一部に似ているというべきでしょう エクセルシオは、静かに、一音一音を慈しむように音楽を進めます

第4楽章のアレグロを聴きながら、「最後の完成した作品が『大フーガ』のようなシリアスな作品でなく、明るく軽快な音楽で良かった」とつくづく思いました。エクセルシオの演奏はそうした想いを音で表現してくれた素晴らしい演奏でした

 

          

 

明日(14日・火)は「0時から12時までブログ・メンテナンスのためアクセスできない」というお達しがgooブログから出ていますので、午後にアップします(tora)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする