17日(金)。わが家に来てから628日目を迎え、ゲージの中からおやつをねだるモコタロです
おやつくれ お願いだ 夕食いらないから おやつくれ
閑話休題
神楽坂のギンレイホールで、ネメジュ・ラースロー監督、2015年ハンガリー映画「サウルの息子」(107分)を観ました
1944年アウシュビッツ=ビルケナウ収容所で、ユダヤ人の同胞の死体を処理する”ゾンダーコマンド”として働くサウルは、ガス室で生き残った息子とおぼしき少年を発見するが、少年は窒息死させられ解剖されることになる サウルは人間の尊厳にかけて、何とか息子を正しく埋葬したいと思い、解剖される前の死体を奪う。サウルは他のゾンダーコマンドたちと共に息子を背負って脱獄するが、追手はすぐ後ろに迫っていた
第二次世界大戦では、ナチスドイツによって数えきれないほどのユダヤ人たちがガス室送りになり虐殺された訳ですが、この映画で明らかになっているのは、ナチは同じユダヤ人を使って同胞をガス室に送り、死体を焼却させたという事実です 映画では 映像がぼかされてはいるものの、死体が引きずられるシーン、焼却されるシーン、死体の山のシーンが、死体を”部品”と呼ぶシーンが これでもかというくらい出てきます
人間の尊厳とは何か、ということを考えさせられるシリアスな映画です
なお、この映画は第68回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞、第88回アカデミー賞外国映画賞受賞作です
も一度、閑話休題
昨日、上野の東京藝大奏楽堂で「藝大モーニング・コンサート」を聴きました プログラムは①大橋征人「I was born」、②ブラームス「ピアノ協奏曲第2番」です
②のピアノ独奏は横山瑠佳、指揮は山下一史です
開演15分前に会場に着くと、全自由席の約半数の席が埋まっていました 1階14列27番、右ブロック左から2つ目の席を確保しました
1曲目は藝大作曲科4年の大橋征人君作曲の「lwas born」です 演奏に先立って本人が舞台に登場し自作について解説しました
プッチーニの歌劇「マノン・レスコー」の一つのアリアを動機として、旋律を分解し、音列として発展させた作品ということです
しっかりした学生だと思いました
藝大フィルハーモニアのメンバーが揃い、指揮の山下一史のタクトで曲が開始されます 冒頭から宇宙のビッグバンを表すかのような大太鼓の連打が会場に響き渡り、弦楽器を中心にいかにも現代音楽風の音楽が奏でられます
そのうち、マノン・レスコーのアリアらしきメロディーが現れ、ハーモニーが奏でられます
拍手の中、指揮者に促されて会場にいた大橋君がステージに上がり、会場の拍手を受けました
2曲目はブラームス「ピアノ協奏曲第2番変ロ長調」です グランド・ピアノがセンターに移動し、ソリスト横山瑠佳を待ちます。この人、実は男性です
この曲は、ピアノ協奏曲第1番から約20年後の1881年に完成しました。イタリアへの旅行の際に構想を得たもので、明るく明朗な曲想が特徴となっています もう一つの特徴は それまで3楽章形式だった協奏曲を、交響曲のように第4楽章形式として作曲したことです
ステージに登場したソリストの横山君は相当緊張しているようで、座る位置がなかなか決まりません 気持ちを落ち着けるためでしょうか、椅子を動かしたり、ハンケチでピアノの鍵盤を拭いたり、ペダルの位置を確かめたりしています。やっと指揮者に向き直り準備OKの合図を送ります
第1楽章冒頭はホルンの雄大な独奏から入りますが、ちょっと残念な結果になりました ただし、横山君のピアノは落ち着いて堂々と入ってきたので安心しました
山下一志は藝大フィルハーモニアからスケールの大きな演奏を引き出します
第2楽章はピアノ独奏により力強く入ります この楽章はソリストもオケもエネルギッシュに音楽を進めます
第3楽章は独奏チェロによって美しいメロディーが奏でられますが、このチェロが何とも素晴らしかったです ピアノもロマンティックな演奏に徹しました。間を置かずに第4楽章に移りますが、ここまでくると、大橋君も多少リラックスしてきたようで、陽気で軽快な演奏を展開します
そして、ピアノとオケで雄大なスケールのフィナーレを飾ります。「ピアノを独奏とした交響曲」という曲想を感じさせる堂々たる演奏でした
ところで、第4楽章に移るころに気が付いたのですが、オーボエ奏者は東京交響楽団の首席奏者・荒木奏美さんではないかと思います 顔付きがそっくりです。彼女は確か藝大大学院に在籍しながら東響でプロとして活躍しているはずです
この曲はホルンとクラリネットが活躍するシーンが多いのですが、オーボエはそれほど出番がないので、気が付きませんでした
この日のモーニング・コンサートは、横山君の真摯な演奏が印象に残る素晴らしいコンサートでした