人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

キュッヒル・クァルテットの「シューベルティアーデⅢ」を聴く~四重奏断章、第9番、弦楽五重奏曲

2016年06月26日 08時49分16秒 | 日記

26日(日)。わが家に来てから637日目を迎え、廊下の本棚の前でくつろぐモコタロです

 

          

            みなさん 本を読みましょうね! ぼくはムリだけど

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」で、キュッヒル・クァルテットの「シューベルティアーデⅢ」を聴きました  プログラムはシューベルトの①弦楽四重奏曲第12番ハ短調「四重奏断章」、②同第9番ト短調、③弦楽五重奏曲ハ長調です 演奏は第1ヴァイオリン=ライナー・キュッヒル、第2ヴァイオリン=ダニエル・フロシャウアー、ヴィオラ=ハインリヒ・コル、チェロ=ロベルト・ノーチから成るキュッヒル・クァルテットに、③ではチェロの堤剛が加わります

 

          

 

自席はC4列10番、センターブロック右から3つ目です

1曲目は弦楽四重奏曲第12番ハ短調「四重奏断章」です これは未完の作品で、第1楽章の全部と第2楽章のはじめの部分まで書いたまま放棄されました 作曲は1820年12月です。この作品は未完ながらシューベルトの弦楽四重奏曲の中では重要な位置を占めています この曲以降、それまでの家庭用の枠から大きく飛躍し、シューベルトの個性を発揮するようになったからです 残念ながら、この曲は長い間演奏されず、シューベルトの死後40年ほど経った1867年になってやっと初演されました

この曲は、この日の後半で演奏される「弦楽五重奏曲」とともに、ウィーン・フィルのメンバーから成る「ヴェラー弦楽四重奏団」のCD(1969~1970年録音)で予習しておきました

 

          

 

4人のメンバーが登場し、配置に着きます。曲は「アレグロ・アッサイ」です。冒頭、第1ヴァイオリンから第2ヴァイオリン、ヴィオラ、そしてチェロへとフーガの様にトレモロが刻まれます。何かが起こりそうな曲想です。彼自身の転換点にある曲だけに完成しなかったのが残念です

2曲目は第9番ト短調です シューベルトが18歳の時の1815年に、家庭音楽会(仲間達から「シューベルティアーデ」と呼ばれた)で演奏されることを前提に書かれました シューベルトの書いた初めての本格的な短調の作品です

この曲は、ウィーン・フィルのメンバーから成る「ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団」のCD(1953年録音)で予習しておきました

 

          

 

第1楽章は4人の力強い総奏で入りますが、曲を聴く限り、極めて”モーツアルト的”です 第9番あたりではまだモーツアルトやベートーヴェンの 曲から影響を受けていたのではないかと思いますが、短調特有の魅力に溢れています

休憩時間にロビーの片隅にあるショップで絵ハガキなどを冷やかしていると、同年配ぐらいの見知らぬご婦人が目の前に来て「ちょっと失礼」と言って、手に持ったネクタイを私のシャツに合わせようとしました 私は濃紺のシャツにノーネクタイだったので、たぶん、彼女は濃紺のシャツに合うネクタイを誰かにプレゼントしようとして手近なモデルを探していたのだと思います 当方は、あまりの突然の出来事に、しばらく固まっていたと思います どう対処したらよいか分からないので、あいまいな表情のままその場を立ち去ったと思います ジョークで「プレゼントありがとうございます」とでも返せば良かったのでしょうか? 私は根が真面目なのでジョークは言えません コンサートに来るといろいろな出来事に遭遇します

 

          

 

休憩後は「弦楽五重奏曲ハ長調」です この曲は、1828年8月から9月にかけて作曲されましたが、完成して2か月余り後の11月19日にシューベルトは世を去っています 初演はシューベルトの死後、1850年9月にウィーンで行われました

モーツアルトやベートーヴェンの弦楽五重奏曲はヴァイオリン、ヴィオラが各2本とチェロ1本の組み合わせでしたが、シューベルトのそれはヴィオラの代わりにチェロが2本となっているのが特徴です チェロを2本としたことにより、低音部に厚みが出て規模としては交響曲のような様相を呈しています

キュッヒル・クァルテットの4人とチェロの堤剛氏が登場、さっそく第1楽章に入ります この曲は4つの楽章からなりますが、実に50分以上かかります。まるで交響曲です

この曲を聴いて特にいいなと思うのは第2楽章「アダージョ」と第3楽章「スケルツォ」です 第2楽章「アダージョ」はベートーヴェンの緩徐楽章に通じる美しさがあります そして第3楽章「スケルツォ」は、ブルックナーの先駆けではないかと思わせる勇壮な音楽です

全曲を通して、チェロが1本加わったことにより曲に厚みが増したと感じました 

終演後、キュッヒル氏が堤氏に握手を求め、他のメンバーも次々と握手を求めました 翌日(今日)キュッヒル・クァルテットの4人も堤氏もチェンバーミュージック・ガーデンの「フィナーレ」公演に出場するので(それに、お歳ということもあって)、アンコールはありませんでした 残念ながら私は、今日は東京交響楽団の定期演奏会を同じサントリーホールの大ホールの方で聴くのでチェンバーミュージック・ガーデンの「フィナーレ」は聴けません

これで私にとっての「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン2016」も終わりです 今年は全部で15公演聴きました

サントリーホールは来年2月から8月まで大規模修繕を行うのに伴い、来年の「チェンバーミュージック・ガーデン」は9月に10日間に短縮して開催するとのことです そうであれば、今から来年の9月は他のコンサートを出来るだけ入れないように心掛けなければならないと決意しています

 

          

コメント
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