22日(水)。わが家に来てから633日目を迎え、「夏限定 オリオン 沖縄だより」にするか、「期間限定 カルビー じゃがりこ 20周年記念 おめで鯛味」にするか迷っているモコタロです
ぼく じゃがりこ食べらんないし オリオンビール飲めないし
閑話休題
昨日、夕食に「鶏肉とホウレン草の卵とじ」と「生野菜とワカメのサラダ」を作りました 「鶏肉と~」は自分で言うのも何ですが、美味くできました
も一度、閑話休題
昨日、池袋の東京芸術劇場ボックスオフィスに徒歩で行き、12月11日(日)午後3時から東京芸術劇場大ホールで開かれる東京交響楽団のモーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」のチケットを購入しました これは12月9日(金)ミューザ川崎と11日(日)の2日間、演奏会形式により上演されるものです 指揮とハンマーフリューゲルはジョナサン・ノットが務め、ソプラノのミア・パーションなどが出演します アンサンブル・オペラの傑作「コジ・ファン・トゥッテ」は観て 聴いて楽しいオペラです。今から楽しみです
最後の、閑話休題
昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」で「キュッヒル・クァルテットのシューベルティアーデⅠ」を聴きました これはサントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデンの一環として開かれたコンサートです プログラムは①シューベルト「弦楽四重奏曲第13番イ短調”ロザムンデ”」、②同「弦楽四重奏曲第15番ト長調」です。演奏は第1ヴァイオリン=ライナー・キュッヒル、第2ヴァイオリン=ダニエル・フロシャウアー、ヴィオラ=ハインリヒ・コル、チェロ=ロベルト・ノーチです
自席はC1-8番。つまり1列目のセンターブロックの中央に近い席です。こんなに良い席は滅多に取れません
さて、今回の公演タイトルとなっている「シューベルティアーデ」というのは、シューベルトは毎晩のように友人、知人たちと集まって、ダンス・音楽・文学に興じており、その集まりは、いつしか参加者たちの間で「シューベルティアーデ」(シューベルト仲間)と呼ばれるようになったというものです
1曲目の「弦楽四重奏曲第13番イ短調」は1824年3月に、ベートーヴェンの多くの作品を手掛けたシュパンツィヒ弦楽四重奏団によって初演されました この曲は「ロザムンデ」という愛称が付いていますが、これは第2楽章のテーマが自作の劇付随音楽「ロザムンデ」(1823年)の間奏曲からとられていることによります 同じ1824年に作曲された第14番「死と乙女」とともに、シューベルト(1797-1828)が27歳の充実した時期の作品です
キュッヒル氏以下4人のメンバーが登場します 椅子は高さが調節できるようになっていますが、全員が高めに調節しています。とくに背丈の高い4人の中でも頭一つ抜けているチェロのノーチ氏は一段と高く設定にしています 第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという並びですが、私の席のすぐ前はヴィオラのコル氏です。ウィーン・フィルのメンバーがこんなに近くで演奏するのを聴くのは生まれて初めてです
4人を見て驚くのは、それなりの年齢に達していると思われるのに、眼鏡をかけて演奏するのはキュッヒル氏だけだということです また、4人の顔にはそれぞれの歴史が刻まれており、顔を見ただけで”芸術家”を感じるということです
「ロザムンデ」の第1楽章に入ります。第1ヴァイオリンのキュッヒル氏の奏でる憂いを帯びた旋律が会場に広がります ナイーヴなシューベルトを感じます。精緻なアンサンブルが展開しますが、第3楽章の冒頭、チェロが強いアタックで入り、ちょっとビックリしました というのは、この曲はすべての楽章がピアニッシモで入るからです。ノーチ氏の演奏は、これからドラマが起こる前兆のように聴こえました
休憩時間にロビーに出ようとすると、後方の席にクァルテット・エクセルシオの第1ヴァイオリン・西野ゆかさんがいらっしゃいました その前日にはヴィオラの吉田有紀子さんの姿が見えました やはり、日本を代表する弦楽四重奏団の演奏者としては世界のウィーン・フィルのメンバーによるクァルテットの演奏が気にかかるのでしょう
プログラム後半は「弦楽四重奏曲第15番ト長調」です この曲は1826年6月に作曲されましたが、最後の弦楽四重奏曲となりました 今現在が2016年6月ですから、ちょうど190年前に作曲された作品ということになります。演奏時間にして50分を要する超大曲です 交響曲でなくて弦楽四重奏曲ですよ、奥さん
4つの楽章から成りますが、第1楽章だけで20分以上かかります この楽章と第2楽章に、弦楽器を細かく擦る”トレモロ”奏法が使用されますが、この弦楽四重奏曲の一つの特徴になっています 「トレモロ」というと想い起すのがブルックナーの交響曲です
この曲を聴くにあたってウィーン・コンツェルトハウス四重奏団によるCDで予習しておいたのですが、その曲目解説の面白いことが書かれていました。超訳すると
「シューベルトは1828年に31歳で亡くなったが、もし彼がもっと長生きしていたらどんな曲を書いただろう? ブラームスやワーグナーが活躍し始めた1857年のシューベルト(60歳)が弦楽四重奏曲や交響曲を作曲したとしたら・・・・ちなみに、ドイツの音楽好きは、ブルックナーの交響曲がシューベルトの延長線上にあると感じるらしい シューベルトのハ長調交響曲の”天国的な長さ”とワグネリズムを掛け合わせたのが、ブルックナーだというわけである・・・・シューベルトの最後の弦楽四重奏曲第15番は文字通りブルックナー風で始まる 秘めやかなトレモロを背景にして、チェロとヴァイオリンが、まるで種子から植物が育つようにゆっくり歌を育む箇所は、いわゆるブルックナー開始を先取りしているかのようだ」
これは興味深い見解だと思いました ただ、「トレモロ」を考える材料として自説を繰り広げるのには限界があるようにも思いました
話を戻します。50分にも及ぶシューベルトの最後の「弦楽四重奏曲第15番」を聴き終わって思うのは、なぜシューベルトは執拗に同じメロディーを繰り返し繰り返し持ち出すのだろうか、ということです ただ、今回のキュッヒル・クァルテットで聴いた第15番にまったく飽きが来なかったのは、やはり演奏者のレベルが高かったということに尽きるのだと思います
会場割れんばかりの拍手に4人はアンコールに応え、メンデルスゾーンの「弦楽四重奏曲第1番」から第2楽章を演奏しました 今度は是非全曲を演奏してほしいと思いました 鳴り止まない拍手に、どこかで聴いたことのある日本的なメロディーの曲を演奏しました。あとでロビーの掲示で確かめたら「弦楽四重奏のための日本民謡から”佐渡おけさ”」でした
超一流の演奏を間近で聴けたという意味でも、この日のシューベルティアーデは思い出に残るコンサートになるでしょう