人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでR.シュトラウス「エレクトラ」を観る~ステンメにブラボー!/本を5冊買う

2016年06月09日 07時51分33秒 | 日記

9日(木)。わが家に来てから620日目を迎え、久々にブラッシングと耳掃除をしてもらうモコタロです

 

          

             これから暑くなるから 梳いてもらうと助かるなぁ

 

          

          ちょっと耳を貸して、と言われたから貸したんだ 後で返してね

 

  閑話休題  

 

本を5冊買いました。1冊目は立川談四楼著「シャレのち曇り」(PHP文芸文庫)です 立川談四楼は立川談志師匠が落語協会を脱会してから最初に新打になった記念すべき落語家です このブログでは、立川談春著「赤めだか」をご紹介しましたが、この本は、談春が入門する前の話です。これは楽しみです

 

          

 

2冊目は、誉田哲也著「増山超能力師事務所」(文春文庫)です 誉田哲也の本はこのブログで何冊も取り上げてきましたね

 

          

 

3冊目は、新保裕一著「ローカル線で行こう!」(講談社文庫)です このブログでは「デパートへ行こう!」を取り上げました

 

          

 

4冊目は、吉本隆明著「真贋」(講談社文庫)です たまにはこういう”真面目な”本も読まないとバカになる一方です

 

          

 

5冊目は、せきしろ・又吉直樹共著「カキフライが無いなら来なかった」(幻冬舎文庫)です せきしろは文筆家です。このブログでは西加奈子との共作「ダイオウイカは知らないでしょう」を取り上げました。又吉直樹は言うまでもなく「火花」で第153回芥川賞を受賞した芸人です。このブログでも「火花」についてご紹介しました

 

          

          

  も一度、閑話休題  

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、リヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」を観ました これは今年4月30日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された全1幕オペラのライブ映像です 出演は、エレクトラにニーナ・ステンメ(ソプラノ)、その母クリテムネストラにヴァルトラウト・マイヤー(メゾソプラノ)、エレクトラの妹クリソテミスにエイドリアン・ピエチョンカ(ソプラノ)、母の情夫エギストにブルクハルト・ウルリヒ(テノール)、エレクトラの弟オレストにエリック・オーウェンズ(バスバリトン)です 指揮はエサ=ペッカ・サロネン、演出はパトリス・シェローです

 

          

 

アルゴスの王アガメムノンは王妃クリテムネストラと その情夫エギストによってミュケーナイ宮殿で暗殺された  息子オレストは命からがら国外に逃亡し、娘エレクトラは宮殿内に留まって犬のような生活を強いられながら、復讐のチャンスを待っていた やがて王妃クリテムストラとエレクトラとの凄惨な口論が始まるが、そのさなかにオレストが外国で死んだという知らせが使者によってもたらされる 母親は狂喜し、娘エレクトラは落胆する。しかし、実はその使者こそ変装したオレストだった 弟との再会にエレクトラは狂喜し、ついにオレストは宮殿内で父を裏切った母クリテムネストラを殺し、次いで帰宅した情夫エギストも殺害する。宮殿は彼らの支持者の喜びの声で沸き立ったが、エレクトラは一人 神に捧げる舞踏を続けるのだった

 

          

 

私は「エレクトラ」を観るのも聴くのも初めてですが、これ程 凄まじいオペラだとは思いませんでした 同じ作曲家の凄惨なオペラ「サロメ」よりも衝撃的でした 全1幕を103分ノンストップで進みます。METで上演するオペラの中で最もオケの規模の大きな作品とのことで、リヒャルト・シュトラウスらしく、時に大管弦楽が咆哮します

シェローの演出による幕開けのシーンは、拍手のない中 無言のうちに始まります。指揮者はあらかじめ指揮台にスタンバイしています 灰色の壁で囲まれた舞台上では女性たちが水まきをしたり、箒で階段を掃いたりしています。突然、門戸が開きエレクトラが入ってくると管弦楽が咆哮します ここから悲劇が始まります

エレクトラを歌ったニーナ・ステンメはスウェーデン出身のドラマティック・ソプラノですが、オペラの最初から最後まで103分出ずっぱりで、力強い歌を披露します 体力勝負のようなところもありますが、むしろ、このオペラは心理劇の色彩が強いと思われます。ステンメはエレクトラの微妙な心理を 顔の表情で、身体の動きで、そして歌う中で、見事に表現していきます 彼女は今シーズンのMETライブで「トゥーランドット」のタイトルロールを歌っていますが、あの時よりも鮮烈な印象が残ります。凄い歌手です

母クリテムネストラを歌ったヴァルトラウト・マイヤーはドイツ出身のメゾソプラノですが、ワーグナー歌いとして世界的な名声を博している歌手です 彼女は、そこに居るだけで存在感があります。もちろん歌には深みがあります

エレクトラの妹クリソテミスを歌ったエイドリアン・ピエチョンカはカンザス州生まれのソプラノですが、彼女の特徴と言えば歌の透明感でしょう 声に力もあります。また、弟オレストを歌った黒人歌手エリック・オーウェンズは、深みのあるバスバリトンで、大きな体躯と相まって存在感抜群です

このオペラの”見せ場”はいくつかありますが、一番感動したのは エレクトラが 死んだと思っていた弟のオレストが生きて目の前にいることに気が付いた瞬間です ここで管弦楽が、まるでオペラ「ばらの騎士」の騎士登場シーンのような感動的な音楽を奏でます ドラマティックな音楽を聴きながら不覚にも涙が出てきました まさか、リヒャルト・シュトラウスのオペラを観て涙を流すとは思いもよりませんでした

最後に、ヘルシンキ生まれのエサ=ペッカ・サロネン指揮によるメトロポリタン歌劇場管弦楽団の熱演にブラボーを送ります 映像では、繰り返されるカーテンコールが映し出されていましたが、客席は文字通り”総立ち”のスタンディング・オベーションでした こういうオペラを生で観たいものです

このオペラ公演をもって今シーズンのMETライブビューイングも終了です すべての作品を観たので、「全10作品制覇キャンペーン」に応募します。もれなく「オペラ観劇ノート」がもらえるそうです

 

          

          

          

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする