人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

カンヌ国際映画祭「ある視点」部門特別賞受賞『レッドタートル』を観る / 柚木裕子著「蟻の菜園 ー アントガーデン ー 」を読む

2017年02月09日 07時54分03秒 | 日記

9日(木).昨日の朝日朝刊 社会面の「ニュース3Q」欄に「外す?外さない? 焼き鳥の串 論争」という記事が載っていました 記事を超訳すると

「東京・田町にある焼鳥店『鳥一代』の社長が,看板に『焼き鳥を串から外してシェアして召し上がっているお客様が多く見られます.凄く・・・悲しい』と書いたところ,ブログ上で論争になった 否定的な意見は『客の自由』『店員の努力を食いにいってるんじゃない』など.一方『串を外して食べるとか ありえない』『胸がスッキリした』と賛同の声があった.看板に記載後は,ほとんどの客が外さないで食べるようになった  串一代では『最初の一口目が刺したままおいしく感じられるよう串先に大きめの肉を刺し,塩の量も多めにしている.串からネタを外すと,穴があいて冷めるのが早くなる.どう食べるかは,お客様の自由.しかし串に刺さったまま食べた方が絶対においしい』と話している.不動産情報会社アットホームによるネット調査によると,『大勢で焼き鳥を食べる場合は串から外しますか』という問いに,約6割の人が『外さない』,約3割の人が『外す』と答えている

さて,目の前に焼き鳥の「5本盛り合わせ」(お店が決めたメニュー)があったとします.仮に「つくね」「ネギ間」「皮」「はつ」「レバ」の5本とします これを二人で食べようとする時,串から外さない場合どうなるでしょうか?  一人が2本で一人が3本になりませんか? 割り勘だったら喧嘩になりそうですね また二人とも食べたいものが共通していたらどうしたら良いでしょうか? ジャンケンですか

今までの経験から言うと,2人以上の場合は串から外して食べるケースが多かったと思います 焼き鳥は好きなので,あれもこれも食べたいからです ただ,例えば相手が「レバは食べられない」という場合は,「それじゃあ,レバはもらうけど,代わりにネギ間を食べていいよ」ということになります

今年はトリ年です.これを機会に自分はどうするかトリあえずではなくチキンと考えてみるのもいいかも知れません  ということで,わが家に来てから今日で863日目を迎え,リビングで独り言をつぶやいているモコタロです

 

        

         昨日の夕刊は珍しくトランプ米大統領が第1面に登場しなかったな むしろ寂しい~     

 

  閑話休題  

 

昨日 早稲田松竹で,マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督・原作・脚本による映画「レッドタートル」を観ました これは日本(スタジオジブリ)・フランス・ベルギー合作による2016年製作のアニメーション映画(81分)です

 

       

 

大嵐で荒れる海で,一人の男が波にのまれ無人島に流れ着く 男は倒木でイカダを組み 島からの脱出を試みる  しかし,何度か挑戦するたびに外海に出る前に水面下の何ものかにイカダを壊され 島に戻ることになる  そんなある日,男の前に大きな赤いウミガメが現れる.実は島からの脱出を妨害していたのはそのウミガメだったのだ 彼は怒りウミガメを殴り 裏返しにして動けないようにしてしまう  その後,反省した男が水を飲ませて放っておくと,いつしかカメは女に変身していた.そこから二人の物語が始まる

この映画にはセリフが一切ありません 男の叫び声や鳥たちのさえずりくらいしか聴こえません.まさに「絵」のみで物語を紡いでいきます これまでのスタジオジブリのアニメ映画がそうであるように,海,山,動物たちの描写がリアルです 何度か小さな蟹が出てきますが,横歩きの蟹の細かい動きはユーモラスで まるで生きているようです

言葉がないからこそ,観る側の想像力を働かせ,それぞれの人生に重ねることになります ラストで赤いウミガメが海に帰って行くシーンは静かな感動を呼びます

この作品は,カンヌ国際映画祭「ある視点」部門特別賞を受賞しています

 

  も一度,閑話休題  

 

柚木裕子著「蟻の菜園ーアントガーデン」(宝島社文庫)を読み終わりました 柚月裕子は1968年岩手県生まれ.山形県在住.「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい」大賞を受賞して2009年にデビュー 「最後の証人」「検事の本懐」「検事の死命」などの作品がある

婚活サイトを利用して高齢老人に接触し,保険金を巻き上げたうえ練炭による二酸化炭素中毒などで殺人を犯した疑いで女が逮捕された事件がありました この小説はその事件をモデルにしてストーリーを展開しています.しかし,内容はまったく予想外の展開を見せます

 

        

 

並外れた美貌の持ち主である43歳の円藤冬香は,婚活サイトを利用した連続不審死事件に関与したとして,殺人容疑がかけられる しかし,彼女には完璧なアリバイがあり,共犯者の陰もないように見えた 冬香の犯行動機と人生に興味を抱いた週刊誌ライターの今林由美は,仕事上のつてで知り合った千葉新報記者・片芝敬と連絡を取り合いながら事件を追い始める.由美は冬香の生い立ちを探るため千葉・房総から福井・東尋坊まで取材に赴く.そこで,冬香の意外な過去を知ることになる 彼女には幼い頃に離れ離れになった姉がいた.完璧なアリバイの裏には何があったのか

柚月裕子の作品で最初に読んだのは「最後の証人」でした あまりの面白さに「検事の本懐」,「検事の死命」,「臨床真理(上・下)」と次々と読んでいきました この「蟻の菜園ーアントガーデンー」も読む手が止まらない面白さでした

事件の真相をスクープすることになる由美の原稿は週刊誌で連載されることになりますが,彼女が決めた原稿の出だしがこの作品のタイトル「蟻の菜園」です 小説の最後でその説明が語られます

「南米に『蟻の菜園』と呼ばれる,蟻と植物の共依存によって成り立っている事象がある.蟻は地上ではなく樹の上に巣を作り,その巣に数種類の着生植物が生える.蟻たちは着生した植物の果実を食料にし,植物は蟻の廃棄物を栄養源にして生きている.どちらが欠けても生きてはいけない

最後まで来て,なぜこの小説のタイトルが「蟻の菜園」なのかが理解されるのです

コメント
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