26日(日).昨日の日経朝刊別刷り「NIKKEIプラス1」の「何でもランキング」のテーマは「全問わかる?目指せことわざ名人」でした 「正しい読み方・漢字はどっちか?」ということで次の10問が出題されています アンダーライン部分の読み・書きが問題です.さてこの難問 あなたは何問できますか?
1.習い性となる せい しょう
2.間髪を容れず かんはつ かんぱつ
3.水を得た魚のよう うお さかな
4.野に下る や の
5.人生いきに感ず 意気 粋
6.顔色を失う がんしょく かおいろ
7.一を以て万を知る ばん まん
8.泣く子と〇〇には勝てぬ 地頭 地蔵
9.国やぶれて山河あり 破れて 敗れて
10.寄らば大樹のかげ 陰 影
問題の正解はこのブログの最後に掲載します
ということで,わが家に来てから今日で880日目を迎え,スパイサー米大統領報道官が,ホワイトハウスの定例記者会見を中止し,政権側が指名した報道機関だけが参加できる記者懇談に切り替えた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
かつて日本の某首相が「新聞は出てけ」と言ってテレビだけ許可したケースがあったね
閑話休題
昨日,すみだトリフォニーホールで新日本フィルの第569回「トパーズ」定期演奏会を聴きました プログラムは①モニューシュコ:歌劇「パリア」序曲,②ショパン「ピアノ協奏曲第1番ホ短調」,③シマノフスキ「交響曲第2番変ロ長調」で,すべてポーランドの作曲家による作品です ②のピアノ独奏はクシシュトフ・ヤブオンスキ,指揮はアント二・ヴィットで,二人ともポーランド人です
ヴィットは1944年クラクフ生まれ.71年のカラヤン・コンクールで第1位を受賞し,ザルツブルク復活音楽祭でカラヤンのアシスタントを務めました 2001年から13年まではワルシャワ・フィルの芸術監督を務め,現在はスペインのナヴァラ交響楽団の音楽監督,クラクフ・フィルの桂冠指揮者を務めています
開演に先立って,ロビーコンサートがありました 西江コンマスとハープの池城菜香さんにより,ピアソラの「タンゴの歴史」から3曲が演奏されました ちなみにハープは募金により集まった資金で購入した金箔を施した楽器だそうです 在京オケは定期会員獲得のためロビーコンサートをやったり,小中学校に行って演奏したり,大変ですね.リラックスした良い演奏でした
オケの面々が登場し配置に着きます コンマス西江王子の音頭でチューニングが始まります.すると,やってきました 白髪で草履履きのサスペンダーおじさん いそいそと最前列のど真ん中の席に座ります.今年何度か別の会場で見かけましたが,あまり目立ちませんでした 久しぶりにその唯我独尊・傍若無人ぶりを見せつけられました 楽員も呆れた様子です.本人だけが 自分がいかに目障りで迷惑な存在になっているかが分かっていないところが悲劇です
さて,1曲目はポーランドの国民楽派を確立したモニューシュコ(1819-72)の歌劇「パリア」序曲です オペラの物語はインドの下層民「パリア」のカーストに生まれた青年を主人公とする恋愛悲劇とのことです.序曲では,激情から悲哀,絶望から情愛へと登場人物の揺れ動く情感を描写していきます
拍手の中,73歳とは思えないかくしゃくとした足取りのアント二・ヴィットが登場します 指揮台に上がるや否や,拍手が終わらないうちにタクトを振り下ろし,激しい音楽を展開し,度肝を抜きます 1曲目の短い曲で聴衆の心を掴む.なかなかしっかりしたエンタテナーだと思いました
ピアノがセンターに移動し,2曲目のショパン(1810-49)の「ピアノ協奏曲第1番ホ短調」の演奏に入ります この曲は,前日のブログにも書いた通り,実質的に2番目に書いた(1830年)ピアノ協奏曲です.第1楽章「アレグロ・マエストーソ」,第2楽章「ロマンツァ,ラルゲット」,第3楽章「ロンド,ヴィヴァーチェ」の3つの楽章から成ります
巨漢ヤブオンスキがヴィットとともに登場し,ピアノに向かいます ヤブオンスキは1985年のショパン国際ピアノコンクールの入賞者ですが,この年の入賞者を調べてみると驚くべき事実が判明します 優勝:スタニスラフ・ブーニン,第2位:マルク・ラフォレ,第3位:ヤブオンスキ,第4位:小山実稚恵,第5位:ジャン・マルク・ルイサダという顔ぶれです 後の彼らの活躍を見れば,この年のコンクールがいかに激戦だったかが分かります.第3位は侮れません
アント二・ヴィットの指揮で第1楽章が開始されます 前日 読響で第2番の協奏曲を振ったバルケに比べると,音楽作りが劇的です もちろん曲が違うということもありますが,それを考慮しても二人のアプロ―チは違います ヴィットの指揮は「ポーランドの作曲家はオレにまかせろ」という自信に満ちたものです 長い序奏の後,ヤブオンスキのピアノが力強く入ってきます.本人はそれほど力を入れているようには思えないのですが,巨体から繰り出される音は重量感があります 第2楽章では,あの巨体からこんなナイーブな音が・・・と思うほど透明感のある美しい響きが紡ぎ出されます そして第3楽章は弾むようなリズムで開始されますが,ポーランド人の血が騒ぐといった会心の演奏です バックを務めるヴィット+新日本フィルの快演とともにスケールの大きな演奏でした
ヤブオンスキは会場いっぱいの拍手に,ショパンの「ワルツ第2番”華麗なる円舞曲”」を,それでも鳴り止まない拍手に,同じくショパンの「ノクターン第20番”遺作”」をアンコールに演奏しさらに大きな拍手を受けました
休憩後はシマノフスキ(1882-1937)の「交響曲第2番変ロ長調」です この曲は1909年~10年にかけて作曲されました.曲は2つの楽章から成りますが,第1楽章はソナタ形式で,第2楽章は主題と6つの変奏曲から構成されています
意表を突かれたのは第1楽章の冒頭です 穏やかな管弦楽をバックに,コンマス西江のソロにより美しいメロディーが奏でられるのですが,すぐに頭に浮かんだのはオーストリアの作曲家コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲でした どこか似ているのです.次第に大管弦楽曲になっていきますが,ワーグナーになってもシェーンベルクにはならない,というか,どこまでもメロディーに溢れているので,比較的聴きやすい曲だと思いました 第2楽章も分かり易い曲想です.全体を通して西江コンマスによるヴァイオリン独奏の活躍するシーンがありますが,さすがはコンマスという演奏でした
ヴィットはクラリネットの重松,ファゴットの坪井,フルートの白尾,オーボエの古部といった管楽セクションのリーダーたちを中心に立たせ,次いで,弦楽器をチェロ,コントラバス,ヴィオラ,第2ヴァイオリンと順番に立たせていきましたが,第1ヴァイオリンを立たせるのを忘れて舞台袖に引き上げようとして,途中で「いかん,いかん,ワシとしたことが」と気が付いて,立たせました.会場は大爆笑,第1ヴァイオリンは苦笑いです 祖国ポーランドの曲だけのコンサートを指揮して興奮状態にあって,思わず度忘れしたという感じでした 愛すべきヴィット
カーテンコールが続き 拍手が鳴りやまない中,ヴィットは なぜかヴィオラのフォアシュピーラー脇屋冴子の手を取って「もう終わりだ,引き上げよう」とでも言いたげに,彼女を舞台袖に連れて行こうと歩き出しました 指揮者がコンマスの手を取って一緒に引き上げ,聴衆にアンコールがないことを知らせるという光景は何度も見たことがありますが,相手がヴィオラ奏者なのは初めてです ヴィットからみれば脇屋冴子は可愛い孫のような存在なのでしょう 「サエコ,サ~行こ」と言われたかどうか,脇屋は困惑しながらも「おじいちゃんがそう言うんじゃ 行こうかな」と思ったかどうか,嬉しそうに舞台袖に引き上げていきました またまた会場は大爆笑です ヴィットは最後までエンタテナーでした
冒頭の問題の正解はすべて「左側」です