人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

リチャード・パンチャス ✕ アンナ・ツィブラエワ ✕ アジア ユース オーケストラ でラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」、ガーシュイン「パリのアメリカ人」他を聴く

2018年08月26日 07時21分07秒 | 日記

26日(日)。わが家に来てから今日で1424日目を迎え、本州一のサンマの水揚げ量を誇る岩手県大船渡市で25日、サンマの本州発水揚げがあり、不漁だった昨年に比べ魚体は大きめで 量も7割多く、平均価格は1割安くなった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                「サンマ苦いかしょっぱいか」と味わう前に 酷暑の SUMMER をどうにかして!

 

         

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで「アジア ユース オーケストラ 日本公演2018」第2日目を聴きました プログラムは①ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガ-」より第1幕への前奏曲、②プロコフィエフ「ロミオとジュリエット」第1組曲、第2組曲より抜粋、③ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」、④ガーシュイン「パリのアメリカ人」です ③のピアノ独奏はアンナ・ツィブラエワ、指揮はリチャード・パンチャスです

リチャード・パンチャスは1987年にユーディ・メニューインとともにアジアユースオーケストラ(AYO)を設立し、同オケの芸術監督と指揮者を務めています

 

     

 

自席は1階24列22番、センターブロック右通路側です。会場は前日とほぼ同じくらいの入りでしょうか

オケのメンバーが配置に着きます。この日は左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります。コントラバスは指揮者とソリストの出入口側なのですごく窮屈そうに見えます。この日のコンマスは男性です

1曲目はワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガ-」より第1幕への前奏曲です この楽劇はリヒャルト・ワーグナー(1813‐1883)が1845年に着手し1867年に完成させた作品です マイスタージンガーとは名歌手のことで、14世紀ごろドイツでおこった詩人音楽家を指します この作品は全3幕で上演に4時間半近くかかります 演奏されるのは第1幕への前奏曲です

パンチャスはゆったりしたテンポで音楽を進め、歌わせるところは徹底して歌わせ マスの迫力でスケールの大きな演奏を展開しました

2曲目はプロコフィエフ「ロミオとジュリエット」第1組曲、第2組曲より7曲を抜粋したものです セルゲイ・プロコフィエフ(1891‐1953)は1935年にシェイクスピアの悲劇「ロメオとジュリエット」を基にバレエ音楽を作曲しましたが、その後、1936年に管弦楽用の第1組曲、翌37年に第2組曲を発表しました なお、彼はこのほか第3組曲とピアノ独奏用組曲も作りました

この日演奏されるのは、①モンタギュー家とキャピュレット家(第2組曲)、②少女ジュリエット(同)、③情景(第1組曲)、④メヌエット(同)、⑤仮面(同)、⑥ロメオとジュリエット(同)、⑦ティボルトの死(同)の7曲です

全体を聴いた印象は、1曲目の「モンタギュー家とキャピュレット家」のおける分厚いブラスと切れ味のある弦の演奏、4曲目の「メヌエット」におけるテナー・サックスの味のある演奏、6曲目の「ロメオとジュリエット」における金管楽器の咆哮、弦の底力、打楽器の破壊力、そして7曲目の低弦のたっぷりした響きなどが特に印象に残りました


     


プログラム後半の1曲目はラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873‐1943)が1934年の夏に避暑地スイスの別荘で作曲したもので、同年11月7日、作曲者のピアノ、レオポルド・ストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団により初演されました

この作品は主題と24の変奏から成りますが、主題はパガニーニのヴァイオリン曲「24の奇想曲」第24番「主題と変奏」の「主題」を用いています。中でも第18変奏「アンダンテ・カンタービレ」は一番有名な曲で、単独で演奏されることが多い楽曲です

この作品で気を付けなければならないのは、一般の変奏曲と異なり、まず「序奏」が演奏され、次に「第1変奏」がきて、その次に「主題」が演奏されて、それから「第2変奏」「第3変奏」・・・と続いていくことです

ピアノ独奏のアンナ・ツィブラエワは1990年ロシア生まれで、2015年のリーズ国際ピアノ・コンクール第1位ほか、数々の入賞歴があります

パンチャスの指揮で序奏から開始され、途中から独奏ピアノが入ってきますが、彼女は相当の技巧派ピアニストであることが分かります ぶっちゃけた言い方をすれば滅茶苦茶上手いです 確かな技術を背景にそれぞれの変奏曲の表情が豊かに再現されます 速いパッセージでも音はクリアで、ゆったりしたパッセージでは叙情豊かに、見事に弾き分けます この曲で一番有名な第18変奏「アンダンテ・カンタービレ」のドラマティックな音楽を聴いていたら、まるで第17変奏までがこの第18変奏の前奏曲だったのではないかと思うほど この曲のピークを形成しています

最後の第24変奏のフィナーレはいかにもプロコフィエフらしいユーモアを感じさせる終わり方です トゥッティで盛り上がったと思ったら、ピアノが主題の断片を極めて弱く演奏して「なんちゃって」みたいに曲を閉じるのです

満場の拍手に、アンナはアンコールにショパンの「ワルツ作品64-1”子犬のワルツ”」を鮮やかに演奏しました それでも鳴り止まない拍手にもう1曲演奏しましたが、曲名は分かりませんでした(終演後、ロビーにはこの日のアンコール曲の表示がありませんでした)。

 

     

 

最後の曲はガーシュイン「パリのアメリカ人」です この作品はジョージ・ガーシュイン(1898‐1937)が1928年にニューヨーク・フィルの委嘱により書いた曲で、1920年代に過ごしたパリの活気に満ちた様子を全3部構成で描いた”シンフォニック・ジャズ”です 第1部ではニューヨークの喧騒を表す車のクラクションがこれでもかというほど鳴らされます 第2部ではトランペット・ソロの演奏が郷愁を誘います 第3部ではチャールストン風の音楽が賑やかに演奏されますが、管楽器、弦楽器、打楽器ともノリノリの演奏を展開します

会場いっぱいの拍手に応え、パンチャス✕AYOはオッフェンバックのオペレッタ「地獄のオルフェ」(邦名「天国と地獄」)から「地獄のギャロップ」(カステラ1番電話は2番♬)を賑やかに演奏しました 彼らは各楽器セクションごとに立ち上がって身体を揺らしながら演奏し、この時ばかりは「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ」に変貌を遂げていました 客席も半ば自然発生的に手拍子で演奏に参加しました 演奏者と聴衆が一体となった瞬間でした

その後、例によってパンチャスがマイクを持って再登場し、100人のメンバーを国・地域別に紹介し、呼ばれた国の若者はその場で立ち上がり、大きな拍手を浴びました(昨日のブログ参照)。ここで、この日のコンマスが参加者が一番多い台湾出身であることが分かりました

最後に、8月3日の香港公演から始まった「AYO2018コンサートツアー」の最終公演の締めくくりに、2曲目のアンコールとして エルガー「エニグマ変奏曲」から「ニムロッド」を、それぞれの思いを込めて演奏し、6週間にわたる「AYO」演奏活動を終了しました 演奏した100人の若者たちは、香港での3週間のリハーサル・キャンプ、3週間のコンサートツアーを共にした仲間たちと握手を、あるいはハグし合い、別れを惜しんでいました

アジア各国から集まって演奏してくれた若者の皆さん、感動をありがとう また来年もオーディションに合格し AYOの一員として東京で演奏してください   楽しみに待っています

 

     

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