人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

エリック・ロメール監督「満月の夜」&「海辺のポーリーヌ」を観る ~ 「喜劇と格言」シリーズ第3、第4作:新文芸坐

2020年08月30日 07時17分03秒 | 日記

30日(日)。わが家に来てから今日で2160日目を迎え、安倍首相が28日に辞任を表明したことに対し、トランプ米大統領は同日、大統領専用機中で「彼は私の素晴らしい友人で、とてもいい関係を築いてきた。辞めるのはとてもつらいことだろうし、とても残念だ」と記者団に語った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     世界中で数少ない友人だったもんね  11月の大統領選で後を追うことになると思う

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐で、エリック・ロメール監督「満月の夜」と「海辺のポーリ―ヌ」の2本立てを観ました

「満月の夜」はエリック・ロメール監督による1984年製作フランス映画(101分)です

インテリアデザイナーのルイーズ(パスカル・オジエ)はパリ郊外のモダンなアパートで建築家の恋人レミ(チェッキー・カリョ)と暮らしている 生真面目なレミと他人に束縛されたくない自由奔放なルイーズの間には口喧嘩が絶えない レミとの生活に息苦しさを感じたルイーズは、職場があるパリに自分だけの部屋を借り、妻子持ちのボーイフレンド、オクターブ(ファブリス・ルキー二)と遊び歩くようになる あるパーティーで、ルイーズはバスチアン(クリスチャン・ヴァデム)という美青年と知り合う。オクターブの忠告も聞かずルイーズはバスチアンの誘いに乗り、その夜バスチアンとオートバイに乗り、ダンスを踊り、ルイーズの部屋でベッドを共にする しかし、明け方、眠れずに起き出した彼女は、郊外のレミとの部屋が恋しくなり、ひっそりと抜け出して街のカフェに入る そこで、絵を描いている風変わりな中年男に出逢う。彼はルイーズに「きのうは眠れなかったでしょ」と話しかけてきた。「満月の夜は誰も眠れないんですよ」と 彼女は始発電車でレミの部屋に戻ったが、レミは不在だった しばらくして帰ってきたレミは、「好きな女性ができた。君よりも自分に合っている」と語る。ルイーズは泣き崩れるが、オクターブに電話をかけ、会う約束を取り付ける

 

     

 

この映画はエリック・ロメール監督による「喜劇と格言」シリーズの第4作です そもそもなぜ性格が正反対の二人が同棲を始めたのかが不思議に思われるストーリー展開です ルイーズは「自由奔放」と言えば聞こえが良いけれど、ほとんど自分勝手で傲慢です 自分だけの部屋を借りるのは「たまには一人になりたい時があるから」というのは良く分かります しかし、同棲相手に相談することもなく実行するのはルール違反です。さらにレミのことを「愛している」と言葉では言うけれど、まったく態度に表れていません だからレミも我慢の限界がきて、自分に合う女性を見つけたのでしょう。エリック・ロメールという監督は、時にこういう極端な女性を登場させますが、この映画が「喜劇」なのは、レミがだめならオクターブがいるわ、とばかりに電話を掛けるところです レミの頭にドを付けたらドレミになって、あとの音符が揃えばオクターブになりますね

傲慢なまでのルイーズを演じたパスカル・オジェは、本作でベネチア国際映画祭主演女優賞を受賞しましたが、本作公開2カ月後に25歳の若さで急逝したそうです 独特の囁くような甘い声が忘れられません

 

         

 

「海辺のポーリ―ヌ」はエリック・ロメール監督による1983年製作フランス映画(95分)です

15歳の少女ポーリ―ヌ(アマンダ・ラングレ)は、歳の離れた従姉マリオン(アリエル・ドンパール)と一緒にノルマンディの別荘へバカンスにやってくる 海辺へ出かけた2人は、マリオンの元恋人ピエール(パスカル・グレゴリー)と出会う ピエールは現在もマリオンへの思いを引き摺っていたが、マリオンはピエールの知人でプレイボーイの子持ちのアンリ(フェオドール・アトキン)に恋をしてしまう 一方、ポーリ―ヌは海辺でウィンドサーフィンをしていた少年シルヴァン(シモン・ド・ラ・ブロス)と親しくなる    アンリはキャンディ売りのルイゼットを部屋に誘い入れ、戯れているところを通りかかったピエールが偶然目撃する アンリはマリオンに、ルイゼットと部屋にいたのはシルヴァンだったと嘘をつく ピエールが目撃したことをマリオンに伝えても、アンリに夢中なマリオンは信じようとしない 一方、マリオンはシルヴァンに欺かれたと思い込んで悲しむポーリ―ヌを慰める パリに用事ができたマリオンは一時別荘を離れるが、急いで戻ってくると、アンリはスペインへと旅立ってしまっていた マリオンはショックを受けるが、アンリを信じると自分に言い聞かせる

 

     

 

この映画はロメール監督の「喜劇と格言」シリーズの第3作です 主人公のポーリ―ヌは15歳という設定ですが、従姉のマリオンをはじめ大人たちと対等に話をするところが頼もしい マリオンは離婚経験があるのに、「危ない男ほど惹かれる」と 情熱的な恋愛に憧れているし、ピエールは真面目だけれどちょっとうざいところがあるし、アンリに至っては女性なら誰かれかまわずちょっかい出すし・・・と考えると、一番しっかりしているのはポーリ―ヌではないかと思ってきます そこが一番の「喜劇」かもしれません。アンリが寝込みを襲い身体を触ろうとした時、気付いたポーリ―ヌが足蹴りですっ飛ばすシーンは、ジャッキーチェンも顔負けでした

コメント
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