21日(金)。わが家に来てから今日で2151日目を迎え、北朝鮮は19日、朝鮮労働党の中央委員会総会を開き、2021年に党大会を開くことを決めたが、総会の議定書では「予想しなかった挑戦が重なって計画した目標にとても達せず、人民生活を向上できない結果となった」と経済不振を認め、早くも異例の総括を行った というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ミサイル発射実験に大金をつぎ込んだ結果 人民の生活が犠牲になったってことか
昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「アジを塩焼き」にして、「生野菜サラダ」と「海鮮汁(ワカメ、とろろ昆布、エビ、オキアミ入り)」を作り、私が買ってきた「真鯛の刺身」と、娘が原宿にある新潟県のアンテナショップで買い求めた「サーモンの塩辛」といっしょにいただきました 海産物尽くしですが、どれも美味しかったです
原田マハ著「暗幕のゲルニカ」(新潮文庫)を読み終わりました 原田マハは1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科と早稲田大学第二文学部美術史科を卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事を経て、森ビル森美術館設立準備室在籍時に、ニューヨーク近代美術館に派遣され同館で勤務。2005年「カフーを待ちわびて」で日本ラブストーリー大賞を受賞しデビュー
2012年「楽園のカンヴァス」で山本周五郎賞、R-40本屋さん大賞、TBS系「王様のブランチ」BOOKアワードなどを受賞
当ブログでは「デトロイト美術館の奇跡」をご紹介しました
ニューヨークの国連本部で、イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後に飾られていたピカソの「ゲルニカ」のタペストリーが暗幕に覆われて隠されていた ニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーター八神瑤子は、誰がなぜ「ゲルニカ」を隠したのかの謎を追ううち「ゲルニカ」を巡る陰謀に巻き込まれていく
一方、ピカソの恋人で写真家のドラ・マールの視点から「ゲルニカ」が生まれた背景が語られる
物語は瑤子が生きる現代とピカソ、ドラ・マールが生きた過去とが交錯するなかドラマティックに展開する
2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロを受けて、ブッシュ大統領は「テロとの闘い」を標榜し、アフガニスタンを攻撃した後、次の標的としてイラクに標的を定めていました イラクのフセイン大統領が大量破壊兵器を開発しているという疑惑がその根拠でした(この疑惑は後に、作り話だったことが暴かれます
)。この時、コリン・パウエル国防長官は国連安全保障理事会のロビーで記者会見を開き、イラクが化学兵器や生物兵器などを密かに開発していると糾弾しましたが、この時、長官の後ろに位置する場所にあったピカソの「ゲルニカ」のタペストリーに暗幕がかけられていた
「ゲルニカ」はナチスによる無差別空爆によって地獄絵となったゲルニカの事態を表現したもの。アメリカがこれから実行するイラクへの空爆によって同じような悲劇が起こることを予想した人物が隠したのではないか、と著者の原田マハさんは推定したのです
それをきっかけに書かれたのが本作です
アートの力で平和を訴えようとする八神瑤子は、かつてMoMAに”フランコ政権下のスペインから42年間”避難”していたことのある「ゲルニカ」を、同時多発テロを引き金に始まった負の連鎖を断ち切るシンボルとするため、再びニューヨークに持ってきて公開しようと奮闘します 一方、1937年にスペイン内戦中のパリで「ゲルニカ」に取り組むパブロ・ピカソに寄り添う実在の女性写真家・ドラ・マールは「ゲルニカ」の制作過程を写真に収め、歴史の証人となります
この本を読んでいると、いったいどこまでが史実で、どこからがフィクションなのか、まったく途方に暮れてしまいますが、原田マハさんの注釈によると、「20世紀の登場人物は、架空の人物であるパルド・イグナシオとルース・ロックフェラーを除き、実在の人物であり、21世紀の登場人物は全員が架空の人物である」としています
ところで、原田マハさんが本作を書くきっかけとなった「国連のゲルニカ」(タペストリー)は、本書の中で次のように解説されています
「オリジナルの『ゲルニカ』と寸分たがわぬ構図とサイズで、1955年に制作されたものである ルース・ロックフェラーの父であり、当時の大統領の側近として活躍していたネルソン・ロックフェラーが『ゲルニカの精巧な複製画が欲しい』とピカソに依頼、タペストリー職人のデュルバックがピカソの監修のもとに完成させた
ネルソンの死後、未亡人、つまりルースの母が1985年に国連に寄託し、安全保障理事会会議場のロビーに展示されて現在に至る
」
原田さんの注釈によると、ルース・ロックフェラーは架空の人物ですが、Wikipediaによると、ルースの父親であるネルソン・ロックフェラーは実在の人物で、しかもニューヨーク近代美術館の設立に多大な貢献をした と書かれているので、どうやら上の解説は本当のようです
物語の最後は、ニューヨーク近代美術館で開かれる「ピカソの戦争」展のオープニングの模様が描かれています 果たして八神瑤子は門外不出の「ゲルニカ」を42年ぶりにスペイン・マドリード市内にある「国立ソフィア王妃芸術センター」からニューヨークのMoMAに持ち込み、展示することが出来るのか
プレスリリースで公表された展示品目録に「ゲルニカ」は載っていない
しかし、「ゲルニカ」は、展示されるのが最も相応しいニューヨークの某所に持ち込まれていたーーこのラストは衝撃的です
とくに美術に関心がない人にも、手に汗握るサスペンスとして楽しめる傑作です 一気読みをお勧めします