16日(日)。わが家に来てから今日で2146日目を迎え、終戦から75年を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館で開かれ、天皇陛下が「さきの大戦のおいて、かけがえのない命を失った数多くの遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします」と述べられたのに対し、安倍首相は「わが国は積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携えながら、世界が直面している様々な課題の解決にこれまで以上に役割を果たす決意だ」と式辞を読み上げ、8年連続で歴代首相が述べてきた「深い反省」や「哀悼の意」などアジア諸国への加害責任には言及しなかった という二ュースを見て感想を述べるモコタロです
初めて”積極的平和主義”を使ったけど 攻撃される前に攻撃するという意味かい?
昨日、池袋の新文芸坐で大林宣彦監督映画「この空の花 長岡花火物語」「野のなななのか」「花筐 HANAGATAMI」の3本立てを観ました ここでは「この空の花 長岡花火物語」と「野のなななのか」の2本をご紹介します
「この空の花 長岡花火物語」は大林宣彦監督による2011年製作映画(160分)です
2011年夏、熊本県天草の地方紙記者・遠藤玲子(松雪泰子)が新潟県長岡市を訪れる 目的は、中越地震を乗り越えて復興し、2011年の東日本大震災の被災者をいち早く受け入れた同地を取材すること。そして、長年音信不通だった元恋人・片山健一(高嶋政宏)からの「長岡の花火を見てほしい」という便りに心惹かれたためだった 長岡を訪ねた玲子は、「まだ戦争は間に合う」という連載記事を書いた新潟日報長岡支社の記者・井上和香子(原田夏希)の案内で、長岡の被災地を訪れ取材する。物語は女子学生・元木花(猪俣南)が書いた「まだ戦争は間に合う」の脚本を中心に、長岡空襲からはじまる長岡市の歴史が描かれる
この映画は2004年の新潟県中越地震から復興を遂げ、11年の東日本大震災発生時には”恩返し”として福島の被災者をいち早く受け入れた新潟県長岡市を舞台に、一人の女性新聞記者が様々な人と出会い、不思議な体験を重ねていく姿を描いた作品です 花火師3代目・野瀬清治郎(柄本明)は花火を絵に描こうとする山下清を、何者か知らずに追い払ってしまいますが、大林監督は山下清に「世界中の爆弾が花火に変わったら、きっとこの世の中から戦争はなくなる」と言わせます これがこの映画のテーマです
「野のなななのか」は大林宣彦監督による2014年製作映画(171分)です
北海道芦別市で古物商を営む元病院長・鈴木光男(品川徹)が92歳でこの世を去り、離れ離れに暮らしていた鈴木家の人々が葬式のために帰郷する そこに現れた謎の女・清水信子(常盤貴子)により、次第に光男の過去が明らかになっていく 彼女は光男が病院長を務めていた時の看護師をしていたが、密かに光男の絵のモデルになっていた。しかし、電車事故で亡くなっていた
この映画は、一人の老人の死によって郷里に集まった家族の姿と、その老人の人生に影響を及ぼした戦争体験を通して、3.11以降の日本再生のあり方を問うた作品です タイトルの「なななのか」とは四十九日のことです
登場人物の誰かが「『なななのか』を過ぎたら魂は迷わない」と言いますが、まさに老人・鈴木光男はそれまでの間、家族や信子の意識の中に頻繁に登場し、迷いに迷っている感じがします 鈴木光男が清水伸子を過去に愛した女性・山中綾野(安達祐実)の生まれ変わりと見たように、この映画は輪廻転生をテーマにしているようです
「この空の花 長岡花火物語」と「野のなななのか」とは姉妹作品と言うべき映画ですが、共通しているのは”戦争の影”です 大林監督は声高に「反戦平和」を唱えることは決してしませんが、映像からは強くそのメッセージが伝わってきます ”敗戦の日”に観るのに相応しい映画でした