人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

大林宣彦監督「海ベの映画館 キネマの玉手箱」を観る ~ まるで動くパッチワーク、大林ワールド全開!:TOHOシネマズ新宿

2020年08月18日 07時15分57秒 | 日記

18日(火)。わが家に来てから今日で2148日目を迎え、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻なブラジルで、経済活動の再開を提唱するボルソナロ大統領の支持率が37%となり、不支持率の34%を上回った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

        経済優先を提唱しても トランプの支持率が上昇しないのは 自分中心主義だからか

 

         

 

昨日、夕食に「豚しゃぶ」「生野菜サラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 夏は豚しゃぶがいいですね

 

     

 

         

 

昨日、TOHOシネマズ新宿で大林宣彦監督による2019年製作映画「海ベの映画館 キネマの玉手箱」(179分)を観ました

尾道の海辺にある映画館「瀬戸内キネマ」が閉館を迎えた 最終日のオールナイト興行「日本の戦争映画大特集」を観ていた馬場毬男(厚木拓郎)、島鳳介(細山田陸人)、団茂(細田善彦)の3人の若者は、突如として劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの中の世界にタイムリープする 彼らは戊辰戦争、日中戦争、沖縄戦、そして原爆投下前夜の広島に辿り着く。3人は劇中で出会った希子(吉田玲)、一美(成海璃子)、和子(山崎紘菜)の無残な死と向き合い、戦争の悲惨さを味わう 彼らは8月の広島で移動劇団「桜隊」の看板女優・百合子(常盤貴子)ら劇団員を救うため、運命を変えるべく奔走するが、運命は変えられない

 

     

 

この映画は、大林宣彦監督が20年ぶりに故郷・尾道で撮影し、無声映画、トーキー、ミュージカルと様々な映画表現で戦争の歴史を辿ったドラマです これまで大林監督は日本各地を舞台に戦争にまつわる物語を紡いできましたが、この映画はその集大成と言うべき作品です それと同時に、幕末や戊辰戦争のシーンではモノクロ・サイレントで表現、トーキー時代になると音が入り、その後カラーの世界に移るといった具合に、映画の表現技術の歴史を併せて描き出しています

現実の世界、映画の中の世界、主人公の青年たちが映画の中にタイムリープした虚構の世界、これらが入り混じって次々と速いテンポで場面が切り替わり、まるで動くパッチワークです 観客であるわれわれは大林ワールドについていくのが精一杯です

この夏、私は集中的に大林監督の作品を観てきました 「HOUSE/ハウス」「狙われた学園」「時をかける少女」「青春デンデケデケデケ」「この空の花」「野のなななのか」「花筐 HANAGATAMI」「海辺の映画館 キネマの玉手箱」の8作品です これらの作品に共通して感じるのは「饒舌な映画」です 常にセリフが話され、音楽が流され、画面にはいつも”音”が存在しています 本作では、戦争の犠牲から守られたドイツのピアノ、ベヒシュタインによりショパン「革命のエチュード」、ベートーヴェン「月光ソナタ」が弾かれ、「ショパンのポーランドは敵国、ベートーヴェンのドイツは味方」というナレーションが流れます 音楽に敵も味方もないのですが、戦争時は敵か味方かしかないのです

この映画は2019年の東京国際映画祭で上映されましたが、その後、コロナ禍で当初の公開が延期となりました 当初予定されていた公開初日の4月10日、大林監督は他界し、本作が遺作となりました この映画では、古いピアノに向かい不協和音を弾く一人の男の後ろ姿が映し出されます。それは大林監督その人です 観客であるわれわれ一人一人に「あとのことは頼んだよ」と呼びかけているようでした

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする