人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

井上荒野著「あなたならどうする」を読む ~ 「時の過ぎゆくままに」「小指の思い出」「ジョニィへの伝言」ほか:昭和歌謡に触発されて書かれた短編小説 / 読売日響9/8の公演について

2020年08月14日 07時19分24秒 | 日記

14日(金)。昨日、激しい雷雨のあと 空を見上げると、東京スカイツリーのはるか上空に虹がかかっていました 「オズの魔法使い」のドロシーは あの虹の向こうにいるんだろうか、なんちゃって

 

     

 

読売日響から9月8日開催の第601回定期演奏会の開催について連絡がありました 内容は、①出演者と曲目の変更と②客席数を半数以下に減らすため、当日来場するか欠席(返金または寄付)するか返信ハガキで知らせてほしいというものです ①については当初バルトークの「ピアノ協奏曲第3番」をアンナ・ヴィ二ツカヤが弾く予定だったのが来日不可となったため、小曽根真がモーツアルト「ピアノ協奏曲第23番」を弾くことになったのと、ウォルトン「交響曲第1番」がオネゲル「交響曲第2番」に変更になったというものです 指揮は尾高忠明で変更ありません 私は予定通り聴きたいので「来場希望」にチェックを入れて返信しておきました

ということで、わが家に来てから2144日目を迎え、11月の米大統領選の民主党候補となるバイデン前副大統領と副大統領候補に起用されたカマラ・ハリス上院議員は12日、東部デラウェア州ウィルミントンでそろって演説に臨み、ハリス氏はトランプ政権の新型コロナウイルスへの対応を「失敗」と批判し、政権奪還を訴えたと  いうニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     待望の女性副大統領の誕生なるか?  トランプを蹴散らしてガラスの天井を破れ!

 

         

 

昨日、夕食に「棒棒鶏」と「生野菜サラダ」を作りました    「バンバンジー」はほぼ1年ぶりですが、今回初めてCOOKPADのレシピで作ってみました こちらの方が作り易くて美味しいと思いました

 

     

 

         

 

井上荒野著「あなたならどうする」(文春文庫)を読み終わりました 井上荒野(本名)は1961年 作家井上光晴の長女として東京都に生まれる。成蹊大学文学部卒。1989年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞しデビュー 2008年「切羽へ」で第139回直木賞を受賞したのをはじめ受賞歴多数

 

     

 

私がこの本を買おうと思ったのは「あなたならどうする」という歌謡曲の曲名のような挑発的なタイトルに惹かれたからです この本は、1つの詩「人妻ブルース」と9つの短編小説から成りますが、短編小説は「時の過ぎゆくままに」「小指の思い出」「東京砂漠」「ジョニィへの伝言」「あなたならどうする」「古い日記」「歌いたいの」「うそ」「サルビアの花」といったタイトルから分かる通り昭和歌謡の曲名です つまり著者はこれらの歌謡曲の歌詞に触発されて男と女の物語を紡いでいったのです

たとえば、この本のタイトルもなっている「あなたならどうする」を例にとると、最初に「嫌われてしまったの 愛する人に 捨てられてしまったの 紙クズみたいに 私のどこがいけないの それともあの人が変わったの」という歌詞の一部が紹介され、次に「ミシンの音で揺れる小部屋は二階にあって、暑苦しくなったので窓を開けると、紅花畑にいる一郎さんが見える」という本文に入ります

小説家の江國香織さんが巻末の「解説」を書いていますが、女性の小説家が女性の作家の書いた小説を読むと こういう風に感じるんだな、と納得させられました 彼女は次のように書いています

「言うまでもなく、いま私が問題にしているかなしみというのは、登場人物の身に起きるかなしい出来事のことではないし、彼もしくは彼女の身になってかなしむことでもまったくない 全然ちがう。むしろ誰の身にもならない素の自分のまま感情が右往左往して、ああもう、ああもう、ああもう、と小説の外側で気をもむ行為のことであり、ほとんど一人運動ーーたとえばある登場人物の気持ちを”わかる”と思い、ほんとうに、切実に”わかる”と思い、でも”そっちに行っちゃだめ。行ったら不幸になるわ”となぜだか確信を持って思い、”それでも行くのよね、行くしかないものね”ともまた、なぜだか別種の確信を持って思うーーことなのだ 一人運動だから心がさまざまに揺れる。”まさか”と”やっぱり”のあいだで、”行け”と”行くな”のあいだで、”いいやつじゃん”と”どうしようもないな”のあいだで、”ばかだなあ”と”ああ、わかる”のあいだでーー。誰はばかることなくそれらのあいだで思うさま揺れるこの快楽は、昭和歌謡の神髄かもしれない

井上荒野という小説家は男女の機微を豊かな言葉で表現しますが、それを読んだ江國香織という小説家はその意図を見事に掬い取っています それにしても、同じことで悩むにしても、男の方が単純だと思います

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