5日(水)。昨日の日経朝刊「経済教室」に大阪大学名誉教授・猪木武徳氏が「アフターコロナを探る㊤ 相互理解・連携の衰弱一段と」というテーマで論考を寄せていました その中で、これまでの季節性インフルエンザと新型コロナの死亡者数の比較が国別に示されていてます。新型コロナの死者数はReal Clear Politicsが公表する7月末の数値で、季節性インフルエンザの死者数はCDCとWHOの数値とのことです。それによると、主要各国における①新型コロナによる死者数、②インフルエンザによる死者数は次の通りです
アメリカ ①156,747人 ②40,905人
ブラジル ①92,568人 ②16,910人
メキシコ ①46,688人 ②6,075人
英国 ①46,119人 ②13,879人
インド ①36,551人 ②362,108人
イタリア ①35,141人 ②10,058人
フランス ①30,265人 ②9,199人
スペイン ①28,445人 ②8,091人
ドイツ ①9,224人 ②16,876人
中国 ①4,634人 ②91,814人
インドネシア ①5,131人 ②59,453人
日本 ①1,006人 ②38,951人
韓国 ①301人 ②7,146人
これを見ると、新型コロナとインフルエンザによる死者数の関係は国によって大きく異なることがわかります アメリカをはじめブラジル、英国、イタリア、フランス、スペイン、メキシコなどは新型コロナの死者数がインフルエンザのそれを大きく上回っています その一方、新型コロナの死者数が1万人以下の国~中国、インドネシア、日本、韓国ではインフルエンザの死者数の方がはるかに多い結果となっています これを見ると、日本は新型コロナばかりに目を奪われている訳にはいかないのではないか、と思ってしまいます
そう思っていたら、同じ日経の社会面に「インフル・コロナ同時検査を 感染症学会提言 冬の流行に備え」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、
「日本感染症学会は3日、冬に新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの双方が流行した場合の望ましい診療方法などをまとめた提言を発表した 診療にあたる医師に対し、発熱やせきなどの症状がある患者では両方の可能性を考慮し、できるだけ両方の検査を実施することを推奨した 医療関係者や高齢者へのインフルエンザワクチンの接種も促している。新型コロナやインフルエンザのおそれがある患者に対しては、その地域の新型コロナの流行状況や患者の直近2週間の行動履歴から、新型コロナに感染しているリスクが通常より高いかどうかを判断すべきと記した」
新型コロナにしてもインフルエンザにしても、対処法は共通しているので、われわれ一般市民が罹患しないためには、普段から 頻繁な手指の消毒やマスクの着用などを心がけることが重要だと思います
ということで、わが家に来てから今日で2135日目を迎え、トランプ米大統領は3日の記者会見で新型コロナウイルスの新規感染状況について「スペイン、ドイツ、フランス、オーストラリア、日本、香港は感染が短期間で再び急増している。日本は6倍になった」と語った というニュースを見て感想を述べるモコタロです
誰が考えたって 米国の感染症拡大を棚に上げて 政権批判を回避しようとしている
昨日、夕食に勝浦市在住の大学時代の友人S君が送ってくれた秋刀魚を塩焼きにして、「生野菜サラダ」「ジャガイモと玉ねぎの味噌汁」を作り、買ってきた「ヒラマサの刺身」と一緒に食べました 秋刀魚がとても美味しかったです
昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールでフェスタサマーミューザ参加公演「新日本フィルハーモニー交響楽団」のコンサートを聴きました プログラムは①久石譲「Encounter for String Orchestra」、②ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」、③同「交響曲 第7番 イ長調 作品92」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=豊嶋泰嗣、指揮=久石譲です
豊島泰嗣氏は1986年に桐朋学園大学を卒業と同時に新日本フィルのコンマスに就任、1997年からは同楽団とともに九州交響楽団のコンマスを兼任し、現在は新日本フィルのソロ・コンサートマスターを務めています 久石譲氏は「風の谷のナウシカ」以降の宮崎駿監督全作品ほか数多くの映画音楽を手掛け、日本アカデミー賞優秀音楽賞など国内外で受賞歴が多数あります 今年9月から新日本フィルの Conposer in Residence and Music Partner に就任予定です
開演に先立ち、ヴァイオリン=チェ・ムンス、ビルマン聡平、ヴィオラ=篠崎友美、チェロ=植木昭雄の4人によりショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第8番ハ短調」の演奏がありました ペラ1枚の曲目解説によると、この曲は「反ファシズムと第2次世界大戦で亡くなられた方への哀歌」であり、4人は「コロナ禍の犠牲になられた方々へ捧げたい」としています 全5楽章から成りますが、続けて演奏されます。4人は静謐、緊迫、諧謔、厳粛が凝縮された各楽章の音楽を、極限までの集中力で演奏しました 素晴らしい曲、素晴らしい演奏でした
さて本番です。自席は2RB2列5番。弦楽奏者のみ配置に着きます。オケは12型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります 譜面台は1人1台を使用し、全員マスクを着用しています
1曲目は久石譲「Encounter for String Orchestra」です 久石氏は国立音楽大学作曲家時代にミニマル・ミュージックに出逢い、研究を進めたといいます この曲は、まさに弦楽オケによる変拍子のミニマル・ミュージックでした
2曲目はベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1805年に作曲、同年アン・デア・ウィーン劇場で初演されました この時期は、「交響曲第4番」「ピアノ協奏曲第4番」「ピアノ・ソナタ”熱情”」などの傑作が次々と生まれた時期で、ロマン・ロランは1804年からの10年間を「傑作の森」と呼んでいます 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「ロンド」の3楽章から成ります
管楽器とティンパニが加わり、総勢54人態勢となります ソリストの豊嶋泰嗣氏と指揮の久石譲氏が登場、さっそく第1楽章に入ります ティンパニの4連打に導かれる長いオケの序奏に続いて独奏ヴァイオリンが入ってきます 前半はあまり調子が良くなかったのか、ヴァイオリンが鳴り切っていないように感じます 一方、オケは良く鳴っています クラリネットの重松希巳江、ファゴットの河村幹子が素晴らしい オーボエも素晴らしいと思ったら、1985~1990年に新日本フィルの首席オーボエを務め、東京藝大でも教鞭を執った小畑善昭氏が客演していました 金子亜未、古部賢一の首席二人の相次ぐ退団は大きい いつまでも客員に頼っているわけにはいかないでしょう。どうする、新日本フィル
さて、今回の演奏の聴きどころは第1楽章終盤のカデンツァです ベートーヴェンはこのヴァイオリン協奏曲をピアノ協奏曲に編曲していますが、今回演奏されるカデンツァは、そのピアノ協奏曲に編曲する際にベートーヴェン自身が作ったカデンツァをもとに久石氏が再構築したものです 豊島泰嗣の独奏ヴァイオリンが演奏を始め、しばらくすると植木昭雄のチェロが呼応し、さらに川瀬達也のティンパニがリズムを刻みます いつものヴァイオリンのみのカデンツァを聴き慣れている耳にはちょっとした違和感を感じますが、遊び心に満ちた楽しいカデンツァです この三重奏カデンツァで豊島氏もペースを取り戻したようです オケの万全のフォローと相まって素晴らしい演奏でした 第2楽章、第3楽章へと豊島氏は調子を上げていきました テンポ感の良い久石氏の指揮のもと新日本フィルの面々は分厚い弦を中心にしっかりとソリストを支えました
プログラム後半はベートーヴェン「交響曲 第7番 イ長調 作品92」です この曲は1811年から翌12年にかけて作曲、1813年にウィーンのルドルフ大公邸で私的に初演され、同年ウィーン大学講堂で公開初演されました 一時期、日本で一世を風靡したテレビ番組「のだめカンタービレ」のテーマ音楽として有名になった曲です 音楽の3要素=リズム、メロディー、ハーモニーのうち、リズムを強調した作品で、ワーグナーは「舞踏の神化」と呼びました 第1楽章「ポコ・ソステヌート~ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「プレスト」、第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」の4楽章から成ります
久石氏の指揮で第1楽章が開始されます ゆったりとした「ポーコ・ソステヌート」から「ヴィヴァーチェ」に入ると、途端に超高速テンポで駆け抜けます この曲でも木管楽器が絶好調です 久石氏は第1楽章が終わると、間を置かずに第2楽章に入ります。「アレグレット」ですが、やはり若干速めのテンポで演奏します 第3楽章は指定通り「プレスト」で駆け抜けます 速いなあと思っていると、第4楽章に入るとそれに輪をかけて超高速で突っ走ります 私が一番良かったと思うのは、終楽章のフィナーレのチェロとコントラバスの重低音です 今回のオケの配置ではコントラバスは左サイドの壁を背にして演奏するので、音が直接跳ね返って聞こえてくるので迫力十分です このフィナーレを含めて、この楽章は「怒涛の快進撃」とでも表現すべき凄まじい演奏でした
私はこれまでこの曲を何度も聴いてきましたが、全楽章を通じてこれほどの高速テンポは初めてです 「久石譲=となりのトトロ」のイメージがすっかり覆されたコンサートでした