人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

尾高忠明 ✕ 戸澤采紀・佐藤晴真・田村響 ✕ 東京フィルで ベートーヴェン「ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲」、チャイコフスキー「交響曲第5番」を聴く ~ フェスタサマーミューザ

2020年08月03日 07時20分17秒 | 日記

3日(月)。わが家に来てから今日で2133日目を迎え、安倍首相は1日、いつもの小さめの布マスクではなく、鼻から顎まで覆うタイプの白いマスクに替えて首相官邸を訪れた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     マスクから顎がはみ出ていると 顔が広い ではなく 顔がデカい と勘違いされるし

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールでフェスタサマーミューザ参加公演「東京フィルハーモニー交響楽団」のコンサートを聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲 ハ長調 作品56」、②チャイコフスキー「交響曲 第5番 ホ短調 作品64」です 演奏は、①のヴァイオリン独奏=戸澤采紀、チェロ独奏=佐藤晴真、ピアノ独奏=田村響、指揮=尾高忠明です

 

     

 

自席は2RB6列3番です。オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並びです 管楽器を含めて55人編成です。指揮台の手前にピアノが、その左サイドに独奏ヴァイオリン用の譜面台が、その右奥に独奏チェロの演奏台が設置されています。楽団員は1メートル強のソーシャルディスタンスを取っていますが、弦楽器は2人で1台の譜面台を使用します。コンマスは近藤薫。全員マスクの着用はありません

ヴァイオリン独奏の戸澤采紀は第85回日本音楽コンクール最年少(15歳)優勝、2017年ティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリンコンクール第2位(最高位)ほか、数々のコンクールで入賞しています ちなみに 父上は東京シティ・フィルのコンマス戸澤哲夫氏です

チェロ独奏の佐藤晴真は2019年ミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で日本人として初めて優勝したほか、数々のコンクールで入賞歴がある22歳の俊英です

ピアノ独奏の田村響は2007年ロン・ティボー国際コンクールにおいて弱冠20歳で第1位となり、全国のオーケストラと共演を果たしています

プレトークで尾高氏が語ったところによると、ある人から「ソリスト3人の年齢を合わせても あなたの年齢に届かないんじゃないか」と言われたそうです   それほど3人は若いということです

1曲目はベートーヴェン「ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲 ハ長調 作品56」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1803年から翌04年にかけて作曲されたと言われていますが、いったい誰のために何の目的で書かれたのかが明らかになっていません 楽譜の出版が1807年で、初演が1808年と 作曲から時期が遅れているのも不可思議です 個人的な考えを言えば、ヴァイオリンとチェロとピアノの3人の演奏者がいて、彼らを想定して書いたのではないかと思います 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゴ~アタッカ」、第3楽章「ロンド・アラ・ポラッカ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の戸澤采紀、チェロ独奏の佐藤晴真、ピアノ独奏の田村響と指揮者の尾高忠明が配置につき、さっそく第1楽章に入ります 低弦による第1主題、第1ヴァイオリンによる第2主題に続いて、独奏チェロが入り、次いで独奏ヴァイオリンが、そして独奏ピアノが続きます 各楽器の独奏とともに、3つの楽器のアンサンブルが素晴らしく、オケとのやり取りも楽しく聴けました 第2楽章では冒頭の独奏チェロの歌心に満ちた叙情的な演奏が素晴らしく、次いで演奏される独奏ヴァイオリンが透明感があって爽やかで、最後に加わるピアノ独奏が明快に鳴り響きました 切れ目なく入る第3楽章でもチェロが主導して堂々たる演奏が展開します 尾高氏指揮による東京フィルは3人のソリストをしっかりサポートし、軽快かつ明快な演奏を展開しました

会場いっぱいの拍手に3人は、フォーレの「3つの歌」から第1曲「夢のあとに」を抒情的に演奏し再度大きな拍手に包まれました

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲 第5番 ホ短調 作品64」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1888年にわずか3か月で作曲、同年ペテルブルクで初演されました 第1楽章「アンダンテ~アレグロ・コン・アニマ」、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ・コン・アルクーナ・リチェンツァ」、第3楽章「ワルツ:アレグロ・モデラート」、第4楽章「フィナーレ:アンダンテ・マエストーソ~アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

この作品の大きな特徴は、①冒頭の重々しい「運命主題」が各楽章のどこかに登場すること、②第3楽章に「スケルツォ」でなく「ワルツ」を用いていること、③冒頭の暗いテーマが終楽章では勝利の音楽として登場することーです

弦楽器は14型に拡大し、管楽器も大幅に増員され、72人規模のフル・オーケストラ態勢になります これでも楽団員数日本一の139名を擁する東京フィルからすれば約半数です ステージ後方に陣取ったトランペット、トロンボーン、チューバの各演奏者の間には、飛沫拡散防止のための透明なシートが下げられています

尾高氏の指揮で第1楽章に入ります 冒頭のアレッサンドロ・バヴェラリによるクラリネット独奏が素晴らしい その後のトランペット、トロンボーンをはじめとするブラス・セクションの咆哮が半端ない 厚みのある弦も素晴らしい 自席からはヴィオラ首席・須田祥子さんの背中が見えるのですが、身体全体を使ってエネルギッシュに弾く躍動感あふれる演奏姿を見ていると、もし彼女が反対側の第1ヴァイオリンの位置にいたら 間違いなくコンマスを務めていただろうと思います 彼女の背中を見ているだけでもこのコンサートは面白いと思います

第2楽章冒頭における高橋臣宣によるホルン独奏は安定感抜群で素晴らしい演奏でした N響の福川伸陽、読響の日橋辰朗とともに日本のオケを代表するホルン奏者だと思います 第3楽章は優雅なワルツです 第4楽章は第1楽章の暗いテーマが勝利のテーマに変貌して登場します 同じメロディーを明暗書き分けるところがチャイコフスキーの真骨頂です 金管楽器群の咆哮、負けずにうねる弦楽器、ここぞというタイミングで打ち込まれるティンパニ、最後はパワフルな勝利の行進曲で曲を締めくくりました

大きな拍手に尾高氏はマイクを持って登場 コロナ禍の中での来場へお礼を述べた上で、「コロナで死去した志村けん氏、岡江久美子さんは、我々に警鐘を鳴らすために犠牲になったのではないかと思うと口惜しい」として、コロナで犠牲になった人々へ哀悼を捧げる意味を込めて、チャイコフスキー「弦楽のためのエレジー”イワン・サマーリンの栄誉のために”」(1884年作曲)をアンコールに演奏しました しみじみと心鎮まる音楽でした

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