人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

高関健 ✕ 戸澤采紀 ✕ 東京シティ・フィルで ラロ「スペイン交響曲」、メンデルスゾーン「交響曲第3番」、ブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」より「4つの海の間奏曲」を聴く

2022年01月16日 07時17分01秒 | 日記

16日(日)。わが家に来てから今日で2563日目を迎え、英国が新型コロナウイルスの感染拡大による行動規制下にあった時期に首相官邸でパーティーが開かれていた問題で、デイリー・テレグラフ紙は13日、昨春のエリザベス女王の夫エディンバラ公フィリップ殿下の葬儀前夜にもパーティーが官邸で開かれていたと報じ、官邸は14日 王室に謝罪した  いうニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「パーティーゲート事件」は広がる一方だ  ジョンソン政権は もはやこれまでか!

 

         

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィルの第348回定期演奏会を聴きました プログラムは①ブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」より「4つの海の間奏曲」、②ラロ「ヴァイオリン協奏曲第2番(スペイン交響曲) ニ短調 作品21」、③メンデルスゾーン「交響曲第3番 イ短調 作品56 ”スコットランド” 」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=戸澤采紀、指揮=高関健です

 

     

 

腰痛のためコルセットを装着してコンサートに臨みました

オケは左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置。コンマスは戸澤哲夫氏です チェロのトップにはクァルテット・エクセルシオのチェリストでもある大友肇氏がスタンバイします

1曲目はブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」より「4つの海の間奏曲」です この曲はベンジャミン・ブリテン(1913-1976)が1944年から翌45年にかけて作曲した、プロローグと全3幕からなるオペラ「ピーター・グライムズ」の間奏曲です 第1曲「夜明け」は第1幕前の間奏曲、第2曲「日曜日の朝」は第2幕前の間奏曲、第3曲「月光」は第3幕前の間奏曲、第4曲「嵐」は第1幕第2場前の間奏曲です

高関健氏の指揮で第1曲の演奏に入ります 緻密な弦楽アンサンブルを中心に、これから始まる悲劇を語るかのように荒涼たる海の情景を表現します 第2曲では一転、明るい日曜日の情景が浮かびます 第3曲ではフルートとハープが美しい 第4曲に入ると一転、激しい音楽が荒れ狂う海を表し、聴きようによってはジャズのセッションのように響きます 高関 ✕ 東京シティ・フィルは同じ「間奏曲」でも全く異なる4つの曲想を見事に表現しつくします

2曲目はラロ「ヴァイオリン協奏曲第2番(スペイン交響曲) ニ短調 作品21」です この曲はエドアルド・ラロ(1823-1892)が1874年に作曲、翌75年にパリでサラサーテのヴァイオリン独奏により初演され、大成功を収めました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「スケルツァンド:アレグロ・モルト」、第3楽章「間奏曲:アレグロ・ノン・トロッポ」、第4楽章「アンダンテ」、第5楽章「ロンド:アレグロ」の5楽章から成ります 

ヴァイオリン独奏の戸澤采紀(とざわ さき)は第85回日本音楽コンクール最年少優勝、ティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリンコンクール第2位(最高位)、インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクールセミファイナリストです 現在リューベック音楽大学でダニエル・ゼペック氏に師事しています

高関氏とともにステージに登場した戸澤采紀は、これから演奏するラロの出身地スペインを意識した情熱と太陽の象徴である「赤」の衣装で勝負をかけます 戸澤コンマスと肘タッチをして配置に着きます

高関氏の指揮で第1楽章が力強い演奏で開始されます 続いて戸澤采紀の独奏ヴァイオリンが入ってきますが、演奏の背後に芯の強さを感じさせます ただ美しく弾くというのではなく、ラロの情熱を音として表出しようとしているかのようです 第2楽章では独奏ヴァイオリンによってスペイン情緒豊かな旋律が表情豊かに歌われます 第3楽章で感心したのは高音と低音の音色の見事な弾き分けです 第4楽章ではメランコリックな表情が素晴らしい 第5楽章では太陽が燦燦と輝くスペインの空を独奏ヴァイオリンの奏でる音楽が飛翔するかのようです 言葉では言い尽くせない素晴らしい演奏でした また、戸澤采紀の熱演はさることながら、全楽章を通じて 高関健 ✕ 東京シティ・フィルの面々がソリストに寄り添いながら、しっかりサポートしていたことは特筆に値します

会場いっぱいの割れんばかりの拍手に、戸澤采紀はクライスラー「レチタティーヴォとスケルツォ・カプリス」を超絶技巧で演奏、聴衆を熱狂の渦に巻き込みました

私は昨年聴いた130回のコンサートの「マイ・ベスト3」に8月28日開催のヴァイグレ指揮読響をバックに戸澤采紀が弾いたドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲」を選びましたが、それに勝るとも劣らない素晴らしい演奏でした 今回の演奏はコンマス戸澤哲夫氏との親娘共演として話題を呼びましたが、それ以前に、彼女は一人の演奏家として素晴らしいヴァイオリニストだと思います 何より、若いヴァイオリニストがメンコンをはじめとする「名曲」を選びがちな中、ドヴォルザークやラロといったちょっと地味な作品を選んで演奏する姿勢に好感が持てます 彼女は人を惹きつける何かを持っています これからどんな曲を引っ提げてコンサートに臨むのかすごく楽しみです 次はサン=サーンスか   ショスタコーヴィチか 彼女は「チェルカトーレ弦楽四重奏団」のメンバーでもあるので、室内楽の方面でも活躍を期待したいと思います

 

     

 

プログラム後半はメンデルスゾーン「交響曲第3番 イ短調 作品56 ”スコットランド” 」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)が1829年に旅行したイギリス、スコットランドの思い出をもとに1842年に作曲、同年ライプツィヒ・ゲヴァントハウスで自身の指揮で初演されました 第1楽章「アンダンテ・コン・モト ~ アレグロ・ウン・ポコ・アジタート ~ アッサイ・アニマート ~ アンダンテ・コメ・プリマ」、第2楽章「ヴィヴァーチェ・ノン・トロッポ」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァチッシモ ~ アレグロ・マエストーソ・アッサイ」の4楽章から成りますが、間を置くことなく続けて演奏されます

高関氏の指揮で演奏に入ります 弦楽合奏による演奏がスコットランドの沿岸に打ち寄せる波を表しているかのように広がります 第2楽章ではクラリネット、オーボエ、フルート、ファゴットといった木管楽器群の演奏が素晴らしい 第3楽章ではホルンの豊かな響きが印象的です そして、ピチカートを交えた弦楽器のアンサンブルが美しく響きます 第4楽章でもホルンの演奏が素晴らしく、終盤における木管、金管、ティンパニ、弦楽器 総力を挙げての演奏はスケールが大きく、東京シティ・フィルの底力を見せつけました 平均年齢が若いオケですが、いつも全力投球の演奏は素晴らしいと思います

 

     

コメント
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