人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ショルティのマーラー「交響曲第5番」 ~ 日経の記事から / 「東京・春・音楽祭 2023」のチケットを4公演取る / タル・ベーラ監督「ダムネーション / 天罰」を観る ~ 早稲田松竹

2022年12月12日 07時02分00秒 | 日記

12日(月)。昨日の日経朝刊「 The  STYLE / Culture 」ページの「名作コンシェルジュ」で、音楽評論家の鈴木敦史氏がショルティ ✕ シカゴ交響楽団によるマーラー「交響曲第5番」のCDを取り上げていました 鈴木氏は次のように書き出しています

「マーラーの交響曲第5番の冒頭楽章は、トランペットによるファンファーレで始まる このショルティ盤では、名手ハーセスの吹くトランペットが輝かしく、じつに華やか メンデルスゾーンの結婚行進曲の喜びに満ちたファンファーレが思い起こされるのも無理もない(短調で書かれているのに!)。しかし、あとに続くのは重々しい葬送行進曲だ つい、『結婚は人生の墓場』などといった使い古された箴言が頭をよぎる マーラーは、大真面目にパロディをやってのける作曲家だった。彼の手にかかればシニカルや冗談抜きで結婚と葬送がするっと繋がってしまう この2つにそれほど違いはないというように

そして、ショルティの演奏についてコメントを続けます

「ショルティの演奏は、完全にストレート勝負だ 個々の感情表現に囚われることのない、剛直なまでに潔い流れが心地よい マーラーが仕掛けたさまざまなパラドックスも、走馬灯的スピードのなかで、どんどん後ろへ押し流されていく 爽快!。彼がシカゴ交響楽団の音楽監督になって最初に行ったレコーディングだった 以後20年以上続いた黄金のコンビによる記念碑的な録音でもある。豪快にしてパワフル 小気味よいテンポで前進しながら、整ったアンサンブルは精悍そのもの。デッカのスタッフによる一つひとつの音がソリッドに引き立った優秀録音だ。第3楽章のバスドラム強奏で音が歪んでしまうのは、それほどの超絶的なサウンドだったのだろう

ショルティの演奏は鈴木氏のコメントの通りで、「豪快にしてパワフル」「小気味よいテンポで前進しながら、整ったアンサンブルは精悍そのもの」です そうは言うものの、私はショルティの指揮によるマーラーの交響曲のCDはデッカのコンピレーション・アルバム「THIS  IS  THE  MAHLER」1枚しか持っていません このアルバムには第1番から第9番までの交響曲と「大地の歌」から、それぞれの聴きどころの楽章を抜粋して収録しています この抜粋盤を聴くだけでも鈴木氏の指摘するショルティの演奏の特徴が良く伝わってきます

 

     

 

実は、マーラーの交響曲は、全集(第1~第9番に限定)だけでもクラウディオ・アバド、レナード・バーンスタイン、クラウス・テンシュテット、レイフ・セーゲルスタムと揃えていますが、前述の通り、1曲まるまる収録したショルティのCDは持っていないのです これは、上記の抜粋盤を聴いて、「パワフルではあるが、あまりにもあっけらかんとして楽天的過ぎる」と感じたからです しかし、あらためて通して聴いてみると、疲れている時や気分が落ち込んでいる時は元気にさせてくれる力を持っていると思います

ということで、わが家に来てから今日で2891日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は8日、オデッサ州内でドローン攻撃により150万人以上が電気を使用できなくったことについて、「われわれが報復のためにやった」と明言した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     報復攻撃だと言うなら ウクライナからロシアへの攻撃は 全部報復攻撃になるじゃね

 

         

 

「東京・春・音楽祭2023」のチケットを次の4枚取りました 会場はいずれも東京文化会館小ホールです

①3月21日(火)15時 「東京春祭チェンバー・オーケストラ」:オール・モーツアルト・プログラム(ディベルティメント第17番K.334ほか)

②3月22日(水)19時 「N響メンバーによる室内楽」:モーツアルト「弦楽五重奏曲第3番」、ブラームス「弦楽六重奏曲第1番」ほか。

③3月24日(金)19時 「福川伸陽&古楽の仲間たち」:バッハ「ブランデンブルク協奏曲第2番」、ヴィヴァルディ「ごしきひわ」ほか。

④4月11日(火)19時 「郷古廉 ✕ 加藤洋之 ✕ 横坂源」:ショスタコーヴィチ「ピアノ三重奏曲第2番」「ヴァイオリン・ソナタ」ほか。

東京春祭関係では3月30日の「仮面舞踏会」(ムーティ指揮)と4月9日の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(ヤノフスキ指揮)のチケットを取ってあるので、これで6公演聴くことになります

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でタル・ベーラ監督による1988年製作ハンガリー映画「ダムネーション / 天罰」(モノクロ:121分)を観ました

タル・ベーラ監督といえば、数年前に渋谷の「イメージフォーラム」で上映時間7時間18分の超長編「サタン・タンゴ」を観て圧倒されました ほかの作品が上映される機会があったら全て観たいと思っていました 今回は良い機会に恵まれました

物語の舞台は荒廃した鉱山の町。夫のいる歌手(ケレケシュ・ヴァリ)と不倫しているカーレル(セーケイ・ミクローシュ)は、彼女の家を訪れるが追い返され、行きつけの酒場に行く 酒場の店主(パウエル・ジュラ)はカーレルに小包を運ぶ仕事を持ちかけるが、町を離れたくないカーレルは知り合いの誰かに運ばせようと思いつく 歌手の夫(チェルハルミ・ジュルジュ)から彼女との関係を問い詰められたカーレルは、歌手の夫に小包を運ぶ仕事を持ちかける 夫は仕事を引き受けるが、小包を開けて一部を搾取していたことをカーレルは店主から知らされる カーレルは彼の罪を警察に密告する

 

     

     

カーレルが歌手の夫に小包を運ぶ仕事を持ちかけたのは、小包の中身が覚醒剤のようなヤバい「ブツ」だと薄々感づいて、歌手の夫に運び屋を押し付け、後で警察に密告して彼を貶めようとしたのではないか そうすれば夫は監獄行きとなり、歌手を自分のものにすることが出来ると考えたのではないか

また、歌手は「タイタニック・バー」で歌っていますが、1912年4月14日にイギリスからアメリカ・ニューヨークに向かっていたタイタニック号が氷山に衝突して沈没、乗員乗客2,224人が死亡した海難事故を想起させます ひょっとすると、密告による犠牲者は”ブツ”を運んで一部をくすねた歌手の夫や、運搬を依頼した酒場の店主だけでなく、カーレル自身や歌手も巻き添えになって”沈没”するのではないか、と想像してしまいます

この映画の冒頭シーンのように、カメラがある物を捉え、そこからゆっくりカメラを引いて手前にある全体像を浮かび上がらせる、あるいは、ある物を捉え、そこからカメラをゆっくりと右に移動させてその場面を広角的に映し出していく、という長回しのカメラワークは、力強いモノクロ映像と相まってタル・ベーラ特有の映像表現スタイルです また、繰り返し登場する酒場、音楽、歌とダンス・・・さらに、何度も映し出される雨のシーン、そしてエサを探して彷徨う野良犬・・・これらもタル・ベーラ独特の映像表現です これらの表現スタイルは1994年製作の超大作「サタン・タンゴ」に着実に受け継がれています

早稲田松竹では今回、タル・ベーラ監督の初期の作品「ファミリー・ネスト」と「アウトサイダー」も上映されています 今週 コンサートの間隙を縫って是非観たいと思います

 

     

コメント
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