23日(金)。わが家に来てから今日で2902日目を迎え、ロシア大統領府のぺスコフ大統領報道官は21日、プーチン大統領が連邦議会で内政や外交の方針を示す「年次教書演説」について「スケジュールは非常に厳しい」と記者団に述べ、2023年に延期する方針を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ウクライナからは反撃されるし 国際社会からは非難されるし 演説どころじゃない
昨日、夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました ビーフは牛バラ肉を使っていますが美味しかったです シチューには赤ワインです
昨日、新宿ピカデリーで「METライブビューイング2022-2023」の第2作、ヴェルディ「椿姫」を観ました これは今年11月5日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラ公演のライブ録画映像です キャストは、ヴィオレッタ=ネイディーン・シエラ、アルフレード=スティーヴン・コステロ、ジェルモン=ルカ・サルシほか。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=ダニエレ・カッレガーリ、演出=マイケル・メイヤーです
昨日が上映最終日だったと気が付いて、急きょ滑り込みで観に行きました
オペラ「椿姫」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813ー1901)がアレクサンドル・デュマ・フィスの小説「椿を持つ女」を原作として1853年に作曲、同年3月6日にヴェネツィアのフェニーチェ大劇場で初演されました なお、オペラの本当のタイトルは「ラ・トラヴィアータ(道を踏み外した女)」です
物語の舞台は19世紀半ばのパリ。高級娼婦ヴィオレッタの自宅での夜会に、ガストン子爵が、彼女に憧れる青年アルフレードを連れてくる 本気にしないヴィオレッタだが、人々を舞踏会に誘ったのち、椅子に倒れ込んでしまう 彼女はすでに肺病に侵されていた。アルフレードは心配してその場に残り、思いを告白する 彼女は戸惑いながら、椿の花を渡して再会を約束する 人々が帰宅すると、ヴィオレッタは心のときめきを覚えながら、自分は快楽に生きるのだ、と邪念を打ち払う(以上、第1幕)
アルフレードは娼婦を辞めたヴィオレッタとパリ郊外で暮らしているが、生活費のために彼女が財産を処分していると知り、買い戻しにパリへ行く 入れ替わりにアルフレードの父ジョルジョ・ジェルモンが現れ、息子の相手が娼婦では娘の縁談に差し障るからと、ヴィオレッタに別れを強要する 泣く泣く受け入れた彼女は置手紙を置いて友人のフローラからの誘いの手紙を見て夜会に行く 一方、別れの手紙を受け取ったアルフレードは、その夜会に押しかけてヴィオレッタを罵倒、彼女は自分の愛情が伝わらないのを嘆く(以上、第2幕)
それから1か月、肺炎の病状が進んでベッドに伏せるヴィオレッタは、アルフレードが謝罪に行くと伝えるジェルモンの手紙にわずかな希望を持ちつつ、絶望している 通りを謝肉祭の仮装行列が通り過ぎると、急にアルフレードが現れる やり直そうと語り掛けられたヴィオレッタは、再会を祝福すべく教会に行こうとするが、身体が動かない そこにジェルモンも現れる。死期を悟った彼女は自分の肖像をアルフレードに渡し、いったん力を得て立ち上がるが 息を引き取る(以上、第3幕)
「椿姫」は往年の名歌手がMETで歌ってきましたが、ヴィオレッタを得意にしていたマリア・カラスはMETでは2回しか歌っていないそうで、これは意外でした
マイケル・メイヤーの演出でMETの「椿姫」を観るのは今回が2度目です オペラの冒頭には上のチラシの写真のような大きな椿の花がスクリーンに映し出され、花の命が短いようにヴィオレッタの命も短いことを暗示します
ヴィオレッタを歌ったネイディーン・シエラは1988年フロリダ州生まれのソプラノですが、母親がポルトガル人なのでラテンの血も入っています 第1幕のアリア「花から花へ」、第3幕のアリア「さようなら、過ぎ去った日よ」をはじめ、最強音から最弱音まで完璧なコントロールのもと、ヴィオレッタの喜びや悲しみをドラマティックに歌い上げました 若手の「歌う女優」と言っても過言ではないほどヒロインに成り切った自然な演技力が光りました 第3幕の「さようなら、過ぎ去った日よ」では、彼女の眼から流れる一筋の涙をカメラが捉えていました 幕間のインタビューで、ルネ・フレミングから「過去のヴィオレッタ歌いで参考にする人はいますか?」と訊かれ、「デヴィーアの歌唱法を参考にしています」と答えていました マリエッラ・デヴィーアは1948年イタリア生まれのソプラノ歌手です 私は2017年の藤原歌劇団によるベッリーニ「ノルマ」公演でタイトルロールを歌うデヴィーアを聴いています 興味のある方は2017年7月5日付toraブログをご覧ください
アルフレードを歌ったスティーヴン・コステロは1981年フィラデルフィア生まれのテノールです 10代の時にトランペットを吹いていたそうで、その時に獲得した肺活量が力強い歌唱力に生きています 苦労知らずの純粋なキャラクターを見事に歌い演じていました
ジェルモンを歌ったルカ・サルシは1975年イタリア生まれのバリトンですが、ミラノ・スカラ座ではプリモ・バリトンとして活躍しているベテランです 歌唱に説得力があり、演技にリアリティーがあります 今まで見て聴いてきたジェルモンの中で最も感情移入できる役作りをしていました 第2幕におけるヴィオレッタとのドラマティックな二重唱、アルフレードを説得するアリア「プロヴァンスの海と土地」は聴きものでした
マイケル・メイヤーの演出の大きな特徴は第1幕冒頭です 悲しみを湛えた前奏曲が流れる中、舞台中央には死に瀕したヴィオレッタがベッドに横たわり、すぐそばにアルフレードが寄り添い、周囲にジェルモン、アンニーナ(ヴィオレッタの女中)、医師グランヴィル、ジェルモンの娘でアルフレードの妹(黙役)が佇んでいます そして、序曲が終わると、一転、賑やかな夜会シーンが繰り広げられます。つまり、そこからヴィオレッタによる回想シーンが開始されるという趣向になっています。この演出は素晴らしい また、中央に置かれたベッドは第2幕、第3幕でも設置されたままになっています つまり、常にヴィオレッタの死が舞台を支配する象徴として存在しているように思えます
特筆すべきはダニエレ・カッレガーリ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団の演奏です 歌手に寄り添いつつ、ヴィオレッタの感情が爆発するシーンではものすごい迫力で管弦楽が迫ってきます 同じように素晴らしかったのはメトロポリタン歌劇場合唱団のコーラスです また、第2幕第2場の夜会におけるバレエ団によるアクロバティックなバレエが素晴らしかった これら全てが「これぞMET 」と言いたくなるような総合芸術として花開いていました
ネイディーン・シエラは前シーズンのMETライブビューイング「ランメルモールのルチア」でタイトルロールを歌いましたが、演出が現代的だったので観ませんでした いずれ、アンコール上映があれば是非観たいと思います