30日(金)。昨日 午前中に年賀状を作成してポストに投函しました もはや元日には着きませんね 面倒くさいので 毎年「今回で年賀状終いをしよう」と思うものの、すっかりご無沙汰している人たちに年に1度くらいは便りを出して自分が何とか生きていることを伝えると同時に、相手が生存しているかどうかを確かめておいた方が良いと思い直して、結局出しています この分だと当分止められませんね
昨日、山形県鶴岡市に単身赴任している息子が年末年始休暇で帰省しました 5月のゴールデンウィークに帰省して以来なので約7か月ぶりです 家に着いて早々、昼食に鶴岡の味噌ラーメンを作ってくれました
ところで、昨日の日経夕刊 文化欄に「今年の収穫 映画」が掲載されていました 毎週金曜日に掲載の「シネマ万華鏡」に寄稿する5人の評論家がそれぞれベスト3を選んでいます
中条省平氏は①戦争と女の顔(カンテミール・バラーゴフ監督)、②ケイコ 目を澄ませて(三宅唱監督)、③TITANE チタン(ジュリア・デュクルノー監督)を挙げています
宇田川幸洋氏は①焼け跡クロニクル(原まおり、原将人共同監督)、②愛してる!(白石晃士監督)、③七人樂隊(サモ・ハン、アン・ホイほか共同監督)を選んでいます
村上匡一郎氏は①アネット(レオス・カラックス監督)、②土を食らう12か月(中江裕司監督)、③ミスター・ランズベルギス(セルゲイ・ロズ二ツァ監督)を挙げています
渡辺祥子氏は①アフター・ヤン(コゴナダ監督)、②ある男(石川慶監督)、③フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(ウェス・アンダーソン監督)を選んでいます
春日太一氏は①アンデス、ふたりぼっち(オスカル・カタコフ監督)、②RRR(S.S.ラージャマウリ監督)、③モガディシュ 脱出までの14日間(リュ・スンワン監督)を挙げています
上記の15作品のうち、私が観たのは①戦争と女の顔(カンテミール・バラーゴフ監督)、②アネット(レオス・カラックス監督)、③フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(ウェス・アンダーソン監督)、④モガディシュ 脱出までの14日間(リュ・スンワン監督)の4作品です
①戦争と女の顔(カンテミール・バラーゴフ監督)は、ウクライナ戦争直前にロシアで撮影された反戦映画です。戦闘場面が全くないのに戦争の悲惨さが伝わってくる傑作です
②アネット(レオス・カラックス監督)は、ミュージカル仕立てでストーリーが展開し、ファンタジックな世界が繰り広げられる作品です
③フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(ウェス・アンダーソン監督)は、20世紀のフランスの架空の都市で発行されたアメリカの雑誌「フレンチ・ディスパッチ」の最終号に掲載されたストーリーをオムニバスで描いた映画です。アンダーソン監督の遊び心満載の作品で楽しく観ました
④モガディシュ 脱出までの14日間(リュ・スンワン監督)は、1991年のソマリアの首都モガディシュで内戦により孤立した大韓民国と北朝鮮の大使館員とその家族が、生死をかけて脱出する様子を描いた作品です。事実に基づいた映画とのことですが、今では考えられません 春日太一氏は「今年は、上質な娯楽作をアベレージとして連発できる、韓国映画の制作能力の高さに感心した」と書いています
私は今年 87本の映画を観ましたが、そのうち10本がMETライブビューイングを中心とするオペラ映像でした それを除く一般映画77本の中で最も印象に残っているのは倍賞千恵子が主演を務めた「プラン75」(早川千絵監督)です これは超高齢化に対応するため、75歳以上が自ら生死を選択できる制度『プラン75』が施行された日本を描いた作品です 笑い事では済まされない近未来が見事に描かれています また、大きなくくりで言うと「ドキュメンタリー」映画をよく観た1年でした。「ナワリヌイ」「ウクライナから平和を叫ぶ」「Blue Island 憂鬱の島」「時代革命」「戦場記者」といった映画です。それぞれロシア、ウクライナ、香港の現状を扱っています
ということで、わが家に来てから今日で2909日目を迎え、ロシア軍は29日朝、ウクライナ首都キーウを含む各地にミサイル攻撃を行ったが、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は「露軍は120発以上のミサイルを発射した」と指摘、狙いは電力インフラの破壊だとした というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ロシア軍によるウクライナの破壊は年末も止まないが プーチンが償う日は必ず来る
昨日の夕食は、娘が発注した「牡蠣のカンカン焼き」と「イカの一夜干しのバター醤油焼き」にしました 息子が持参したエノテカのシャンパン「アルパ・ソルシ/イル・ボッロ」と一緒にいただきました 牡蠣はボリュームがあり、イカは柔らかく、シャンパンは上品な味で、どれもが美味しかったです
伊坂幸太郎著「シーソーモンスター」(中公文庫)を読み終わりました 伊坂幸太郎は1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー 2004年に「アヒルと鴨のコインロッカー」で吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で日本推理作家協会賞(短編部門)、2008年に「ゴールデンスランバー」で本屋大賞と山本周五郎賞を受賞したほか受賞歴多数
著者は「あとがきにかえて」の中で次のように書いています
「『シーソーモンスター』は、今から10年ほど前に、仙台に住む著者のところにやってきた編集者が、『今度創刊する期間限定の雑誌があり、そこで、複数の作家が異なる時代を舞台に、小説を連載する企画を考えている』という話をしてくれた それをきっかけに①どの時代(どの作品)にも、Aという家系(血筋)と、Bという家系(血筋)に属する人物が出てくる、②AとBの家系の人物はどの時代(どの作品)でも対立するという条件を付けて企画『螺旋』を展開することになった」
そして、「共通のルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなで一斉に書きませんか?」と伊坂氏が呼び掛けたところ、朝井リョウ、天野純希、伊坂幸太郎、乾ルカ、大森兄弟、澤田瞳子、薬丸岳、吉田篤弘の9人が執筆することになった、とのことです 伊坂氏は昭和後期を舞台とした「シーソーモンスター」とその約50年後の近未来を舞台とした「スピンモンスター」を書くことになりました
「シーソーモンスター」の粗筋は以下の通りです
「北山直人は製薬会社の営業マンとして働いているが、妻の宮子と同居している母親のセツとの嫁姑関係が悪いことに悩まされている 彼は会社の綿貫先輩に彼女たちの争いについてグチをこぼし相談する毎日を送っている そんな中、綿貫先輩から得意先の病院への営業を引き継いだことをきっかけに、直人は営業先の病院が保険料詐欺を働いていることを知ってしまう 実は、不正を持ちかけたのは綿貫先輩だった それが原因で直人は命を狙われるが、妻の宮子と母のセツの助太刀により命拾いする 実は宮子もセツも特殊部隊の出身者で、先輩後輩にあたっていた。しかし直人だけが知らないことだった 宮子とセツとが対立するのは海族と山族が対立しているからだった
「スピンモンスター」の粗筋は以下の通りです
「交通事故により水戸直正の家族は死亡した しかし相手の車に乗っていた家族も同様だった たった一人生き残った水戸と相手の檜山景虎はなぜか会うだけで対立してしまう 水戸は事故の経験から自動車を避けて新幹線に乗っていた 水戸の仕事は配達人で、手紙を依頼人から相手に届けるのが仕事だった 電子情報が氾濫した2050年には、何が本当の情報かが分からなくなり、重要な情報はアナログの手紙で伝達するのが普通の世の中になっていた たまたま居合わせた隣席の男(後で寺島テラオと判明する)が一通の手紙を水戸に渡すところから物語が始まる その手紙は、数十年前に再会を約束した友人(中尊寺敦)に宛てたものだった。寺島テラオは中尊寺の大学院時代の同級生であり、AI(人工知能)の天才科学者で、人工知能「ウェレカセリ」を開発し、2050年当時には社会に普及していた しかし、寺島は事故で死亡してしまう 約束通り中尊寺は再会すべき場所に来ていた。水戸は寺島の手紙を中尊寺に渡したが、そこには「君の言う通りだった。オッペルと象」としか書かれていなかった 中尊寺から「君も一緒に来てくれ」と言われたことから水戸は彼と行動を共にすることになる 一方、檜山景虎は警察組織の一員になっていたが、何の因果か水戸は檜山から追われる立場になる それは海族と山族が対立しているかららしい 中尊寺敦はAIが発達した世の中で、AIが人間よりも賢くなっていくことに疑問を感じ研究を止めたが、寺島からの手紙にはAIの暴走を止める自己破壊のプログラムのありかに関するヒントが隠されていたのだった 果たして中尊寺はAIの暴走を止めることが出来るのか
「シーソーモンスター」は宮子が絵本を出すところで終わっていますが、その50年後の「スピンモンスター」では宮子が「せつみやこ」というペンネームで「アイムマイマイ」という絵本シリーズの作者として登場し、中尊寺や水戸たちを警察の追及から救い出すという活躍を見せます 中編2作品で合計460ページを超えますが、両方のストーリーはスピード感に溢れ、読み始めたら止まりません お正月休みにいかがでしょうか。お薦めします