12日(水)。5月10日(水)午後7時からは、東京シティ・フィルの第1回定期演奏会(オペラシティ)と、東京フィルの第4回定期演奏会(サントリーホール)が重なっているので、振替制度のある東京フィルを12日(金)オペラシティ公演に振り替えました 東京フィルの振り替えは1月に次いで今回が2度目です
ということで、わが家に来てから今日で3011日目を迎え、トランプ前米大統領の弁護団は、2020年大統領選の結果を前大統領が覆そうとしたとされる問題の捜査を巡って、ペンス前副大統領に大陪審での証言を命じたワシントン連邦地裁の決定差し止めを控訴裁判所に申し立てた というニュースを見て感想を述べモコタロです
トランプは自らペンス氏への圧力を認めたようなものだ 主張が認められる訳がない
昨日は諸般の事情により夕食作りはお休みしました
昨夜、東京文化会館小ホールで「東京春祭 室内楽シリーズ Vol.3 ~ 郷古廉 & 加藤洋之 鏡の中の春 ー 横坂源を迎えて」を聴きました プログラムは①ブロッホ「バール・シェム」より第2曲「ニーグン」(ヴァイオリンとピアノ版)、②ショスタコーヴィチ「ヴァイオリン・ソナタ 作品134」、③シルヴェストロフ「ヴァイオリン・ソナタ ”追伸”」、④ショスタコーヴィチ「ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調 作品67」です 演奏はヴァイオリン=郷古廉、ピアノ=加藤洋之、チェロ=横坂源です
郷古廉(ごうこ すなお)は1993年宮城県生まれ。2013年ティボール・ヴァルガ・シオン国際ヴァイオリンコンクール優勝、今年4月からNHK交響楽団のゲスト・コンサートマスターを務めています 一方、ピアノの加藤洋之(かとう ひろし)は1990年のジュネーブ国際音楽コンクール・ピアノ部門3位入賞の実力者です
自席はE列28番、右ブロック左通路側です
1曲目はブロッホ「バール・シェム」より第2曲「ニーグン」(ヴァイオリンとピアノ版)です 「バール・シェム」はスイス出身のエルネスト・ブロッホ(1880-1959)が1923年に作曲したハンディズム教徒の生活の3つの情景を描いた作品です。18世紀にユダヤ教の核心運動ハシディズムを興した神秘主義者でバール・シェム・トーヴ(善き名の主)と呼ばれたイスラエル・ベン・エリエを指しています 第1曲「ヴィドゥイ(懺悔)」、第2曲「ニーグン(即興)」、第3曲「シムハト・トラー(歓喜)」から成ります
加藤のピアノにより演奏が開始され、郷古のヴァイオリンが入ってきます 冒頭のメロディーを聴いて、リムスキー・コルサコフ「シェエラザード」の音楽に似ているなあ、と思いました 全体的にエキゾチックな曲想ですが、郷古のヴァイオリンは魂を揺さぶる渾身の演奏でした
2曲目はショスタコーヴィチ「ヴァイオリン・ソナタ 作品134」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)がヴァイオリンの巨匠ダヴィッド・オイストラフ60歳の誕生日を祝うために1968年に作曲、1969年にオイストラフのヴァイオリン独奏によりモスクワで初演されました 第1楽章「アンダンテ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「ラールゴ ~ アンダンテ ~ ラールゴ」の3楽章から成ります
この曲では第2楽章「アレグレット」の問答無用の高速演奏が白眉でした 切れ味鋭い郷古のヴァイオリンに、受けて立つ加藤のピアノが交差し、アグレッシブな演奏が展開します 主役の2人と共に大変だったのは譜めくりの女性です 加藤の譜面をめくったと思ったら郷古のところまで行ってヴァイオリンの譜めくりをして元の位置に戻るということを何度か繰り返しました つまり、それほどヴァイオリンの譜面はソリストがめくる余裕がないほど音符だらけであることを意味しています 第3楽章では、郷古のピッツィカートに魂がこもっています また高音部での音色の変化が鮮やかでした そして、超絶技巧のカデンツァが見事でした
プログラム後半の1曲目はシルヴェストロフ「ヴァイオリン・ソナタ ”追伸”」です この曲はウクライナの作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフ(1937~)がフランクフルト音楽祭の委嘱を受けて1990年から翌91年にかけて作曲した作品です 第1楽章「ラルゴ ~ アレグロ ~ アレグレット」、第2楽章「アンダンティーノ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章からなります
第1楽章冒頭は、バッハの「アリオーソ」によく似たメロディーです 第2楽章は優しいメロディーが続き、第3楽章はヴァイオリンのピッツィカートとピアノによって、まるで”こだま”のような、あるいは”波紋”のような音楽が繰り返されます 楽章の指定は「アレグロ・ヴィヴァーチェ」となっていますが、まったくそのような速い音楽ではなく、アンダンテぐらいの速度でした それだけに”こだま”の印象が後まで残りました
最後の曲はショスタコーヴィチ「ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調 作品67」です この曲は1944年に作曲、同年レニングラードで初演されました 評論家で、ショスタコーヴィチの芸術の推進者であり親友でもあったソルレチンスキーの追悼のために献呈されました 第1楽章「アンダンテ ~ モデラート」、第2楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第3楽章「ラールゴ」、第4楽章「アレグレット ~ アダージョ」の4楽章から成ります
チェロの横坂源は2010年の第59回ミュンヘン国際音楽コンクールチェロ部門2位入賞の実力者です
第1楽章冒頭は、弱音器をつけたチェロがハーモニクスで静かにレクイエムを奏でます そして郷古のヴァイオリンが静かに加わり、さらに加藤のピアノが入ります この作品でも白眉は第2楽章です 実質的なスケルツォですが、郷古、横坂、加藤の丁々発止の激しいやり取りによるグルーヴ感が堪りません ショスタコーヴィチの室内音楽の素晴らしいところはこういうところにあります 第3楽章は一転、郷古のソロにより死者への哀悼の想いが切々と語られます そして、横坂のソロが加わり、一層哀しみの想いが伝わってきます 第4楽章ではヴァイオリンとチェロのピッツィカートに乗せて加藤のピアノが力強い演奏を繰り広げます 3人によるアグレッシブな演奏が展開され、第1楽章のテーマなどが回想され静かに曲を閉じました
満場の拍手の中、カーテンコールが繰り返されます 聴きごたえのある素晴らしい演奏でした 拍手をするのに忙しく、写メするのを忘れました
ところで、この日のプログラムはロシア(ソ連)の作曲家とウクライナの作曲家を同時に取り上げたコンサートでしたが、このプログラムは昨年2月24日にロシアがウクライナに侵攻する以前に決まっていたものだと推測します 現在上演されているオーケストラやオペラ公演におけるロシアの作曲家の作品は、ほぼ例外なく昨年2月24日以前に決定していたと思われます チャイコフスキーにしても、ラフマニノフにしても、ショスタコーヴィチにしても、作曲家とその作品には何の罪もありません 悪いのは極悪非道のプーチンとその取り巻き連中と、ウクライナで起こっていることに目をつぶって8割以上がプーチン政権を支持しているロシア国民なのですから