人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

南紫音 ✕ 笹沼樹 ✕ 清水和音でチャイコフスキー「ピアノ三重奏曲 イ短調 ”偉大な芸術家の思い出」、ヴィエニャフスキ「モスクワの思い出」を聴く ~ 第41回 芸劇ブランチコンサート

2023年04月19日 15時45分52秒 | 日記

19日(水)その2.今日午前、東京芸術劇場コンサートホールで「第41回芸劇ブランチコンサート”想い出をたどって”」を聴きました プログラムは①ヴィエニャフスキ「モスクワの思い出 作品6」、②チャイコフスキー「ピアノ三重奏曲イ短調 ”偉大な芸術家の思い出” 作品50」です 演奏はヴァイオリン=南紫音、チェロ=笹沼樹、ピアノ=清水和音です

南紫音は2005年のロン=ティボー国際コンクール第2位、2015年のハノーファー国際ヴァイオリン・コンクール第2位に入賞している実力者 一方、笹沼樹はカルテット・アマービレのメンバーとして2016年のARDミュンヘン国際コンクール弦楽四重奏部門第3位入賞のほか受賞歴多数、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのチェリストです

 

     

 

会場は1階席を中心にこの日も良く入りました

1曲目はヴィエニャフスキ「モスクワの思い出 作品6」です この曲はポーランド出身のヴァイオリニストで作曲家のヘンリク・ヴィエニャフスキ(1835-1880)が、1851年~53年にロシア各地を演奏旅行した際の印象を元に1853年に作曲した作品です

濃紺のエレガントなドレスに身を包まれた南紫音が清水とともに登場、さっそく演奏に入ります 南はロシア民謡「赤いサラファン」のメロディーを中心とする超絶技巧曲を、美しいヴィブラートで演奏、聴衆に深い感銘を与えました 演奏後のトークで、彼女がこの曲を弾くのは初めてであることを知って心底驚きました もう何十回も弾きこなしているような完璧な演奏で、表現力が素晴らしいと思いました

笹沼樹がトークに呼ばれ、2曲目に演奏するチャイコフスキーのピアノ三重奏曲の話になりました  笹沼は「この曲はとにかくピアニストが引き受けてくれないと演奏できません」と語っていましたが、清水は「ピアニストが嫌がる曲です チェロ・パートの楽譜は25ページ位ですが、ピアノ・パートは90ページもあります 演奏時間が長く50分近くかかります。演奏する側も大変ですが、聴く側も大変だと思います」と本音を語っていました

 

     

 

2曲目はチャイコフスキー「ピアノ三重奏曲 イ短調 ”偉大な芸術家の思い出"  作品50」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が、1881年3月にパリで客死した大恩人のニコライ・ルビンシテインの追悼のために1881年から翌82年にかけて作曲、1882年3月にモスクワ音楽院で初演されました 第1楽章「悲歌的楽章:モデラート・アッサイ」、第2楽章・第1部「主題と変奏:アンダンテ・コン・モート」、第2部「変奏終曲とコーダ:アレグロ・リソルート・エ・コン・フォーコ」から成ります

笹沼だけ電子楽譜を使用します

第1楽章が清水のピアノによって開始され、笹沼のチェロが哀愁に満ちた第1主題を奏でます そして南の美しいヴァイオリンが加わり、次第に熱を帯びてきます 第2楽章第1部は3つの楽器の優美なアンサンブルが素晴らしく、聴きごたえがあります 第2部に入ると3人のエネルギッシュな演奏が繰り広げられてクライマックスを築き上げ、終盤に第1楽章の第1主題が深い感動のなかで再現され、最後は静かに消えていきます

白熱の演奏でした 久しぶりに室内楽の素晴らしさを味わった気分です

ところで、プログラムに掲載の「コラム」に、チャイコフスキー・コンクール(1958年創設)が、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、国際音楽コンクール世界連盟から除名されたことが紹介されていました 世界中で、同コンクールへの出場を目指して日々レッスンに励んでいる若者も少なくないでしょう。彼らには何の罪もありません プーチン・ロシアの蛮行が世界の政治・経済だけでなく、文化面にも大きな影響を及ぼしていることをあらためて認識させられる出来事です 一日も早くロシア軍がウクライナから完全撤退し、疲弊したウクライナの国土が完全に復旧し、再び同コンクールが開催されることを願ってやみません

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読響サマーフェスティバル2023「三大協奏曲」&「三大交響曲」のチケットを取る / アレックス・ガーランド監督「MEN 同じ顔の男たち」を観る ~ ショパン「ノクターン 嬰ハ短調 遺作」も流れる

2023年04月19日 06時48分03秒 | 日記

19日(水)。読響サマーフェスティバル「三大協奏曲」と「三大交響曲」のチケットを会員優先発売で取りました

「三大協奏曲」公演は8月23日(水)18時30分開演 東京芸術劇場、プログラムは①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調」(Vn:前田妃奈)、②ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」(Vc:鳥羽咲音)、③チャイコフスキー「ピアノ協奏曲 第1番」(P:亀井聖矢)で、指揮は坂入健司郎です

ヴァイオリン独奏の前田妃奈は2022年ヴィエニャフスキ国際コンクールで優勝した俊英です チェロ独奏の鳥羽咲音はウィーン生まれの若手アーティスト、ピアノ独奏の亀井聖矢は2022年ロン=ティボー国際コンクールで優勝の期待の新星です

「三大交響曲」公演は8月26日(土)14時開演 東京芸術劇場、プログラムは①シューベルト「交響曲第7番”未完成”」、②ベートーヴェン「交響曲第5番”運命”」、③ドヴォルザーク「交響曲第9番”新世界より”」で、指揮は坂入健司郎です

「それにしても、したたかだな」と思うのは読響の大衆路線戦略です  常に若手有望株に目を光らせ、世界的なコンクールで優勝するやすぐに「三大協奏曲」や「三大交響曲」に起用し、多くの集客を狙います これはバックに付いている世界一の発行部数を誇る読売新聞社の、大衆路線を受け継ぐ”読売DNA”かもしれません

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3018日目を迎え、米ニューヨークで中国政府の「警察署」の運営に関わったとして、米司法当局は17日、無届けで中国政府の代理人として活動した疑いと、中国政府公安部との通信を削除して捜査を妨害した疑いで2人の男を逮捕したが、米司法省のオルセン司法次官補は声明で「中国は反体制派や自国に批判的な人たちを監視、脅迫するため、ニューヨークに秘密拠点を設けた。国家として許容される行動の限度を超えている」と批判した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国の領土は俺のもの 米国の領土も俺のもの と言わんばかりの やりたい放題だな

 

         

 

昨日、夕食に「茄子の煮浸し」「生野菜とアボカドのサラダ」「大根の味噌汁」を作り、鯵のタタキと一緒にいただきました 「茄子の~」は麵つゆを使ったので簡単に出来ました

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でアレックス・ガーランド監督による2022年製作イギリス映画「MEN  同じ顔の男たち」(100分)を観ました

夫の死を目の前で目撃してしまったハーパー(ジェシー・バックリー)は、心の傷を癒すためイギリスの田舎街を訪れる そこで待っていたのは豪華なカントリーハウスの管理人ジェフリー(ロリー・キニア)だった。ハーパーが街へ出かけると少年、牧師、警察官など出会う男たちが管理人のジェフリーと同じ顔であることに気づく 街に住む同じ顔の男たち、廃トンネルからついてくる謎の影、全裸で接近する浮浪者の男、木から大量に落ちるりんご、そしてフラッシュバックする夫の死 不穏な出来事が連鎖し、得体のしれない恐怖が徐々に正体を現し始める

 

     

 

ハーパーが廃トンネルに行って、大声で「アーッ」と呼びかけると、その声がトンネルの壁に反響してこだまが輪廻のように繰り返されるシーンは、まるでフーガのようで美しかったのですが、それから恐怖の世界に一直線です 終盤の、全裸の浮浪者の身体から男たちが次々と生まれ出てくるシーンはおぞましく、浮浪者こそハーパーの夫のメタファーだったのか、と思わせます

さて、音楽です ハーパーが部屋に備え付けのピアノを弾くシーンがありますが、彼女が弾いていたのはショパン「ノクターン 嬰ハ短調 遺作」でした また、エンドロールではアルヴォ・ぺルトのミサ曲がおぞましい世界を浄化するかのように流れていました

 

     

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