人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

パーヴォ・ヤルヴィ ✕ NHK交響楽団でリヒャルト・シュトラウス「ヨセフの伝説」から交響的断章、「アルプス交響曲」を聴く ~ N響4月定期Aプロ2日目公演:絵画的描写音楽を考える

2023年04月17日 05時25分21秒 | 日記

17日(月)。わが家に来てから今日で3016日目を迎え、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」を率いるブリゴジン氏は14日に声明を発表し、「ロシアはウクライナの重要地域を占拠しクリミア半島への陸路も確保するなど十分な『戦果』を挙げた」と主張し、「特別軍事作戦を終了させることが理想的な選択肢だ」と言及、今年2月24日時点の前線が、アメリカがロシアに譲歩できる内容だと指摘した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     特別軍事作戦を終了させることには賛成する  ロシア軍が完全撤退することが条件

 

         

 

昨日、NHKホールでN響4月定期Aプログラム2日目公演を聴きました プログラムは①リヒャルト・シュトラウス「ヨセフの伝説」から交響的断章、②同「アルプス交響曲 作品64」です 指揮はパーヴォ・ヤルヴィです

あらためてご紹介するまでもありませんが、パーヴォ・ヤルヴィはエストニア出身の指揮者ネーメ・ヤルヴィを父に持つ名門一家の出です hr交響楽団、パリ管弦楽団、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団などで要職を歴任し、2004年からドイツ・カンマーフィルの芸術監督を務めています N響では2015年から昨シーズンまで首席指揮者を務め、2022年9月に名誉指揮者に就任しています コロナ禍の影響でN響との定期公演が中止されていたため、久しぶりの登場です

 

     

 

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び 舞台下手にはピアノ、チェレスタ、オルガンが配置されます。コンマスはN響特別コンサートマスターの篠崎史紀、サブはN響ゲスト・コンマスの郷古廉です

1曲目はR・シュトラウス「ヨセフの伝説」から交響的断章です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1813年から翌14年にかけて作曲した全1幕のバレエ作品です ディアギレフ率いるロシア・バレエ団の委嘱によるもので、シナリオは旧約聖書のエピソードに基づきます 裕福な商人ポティファルの妻から誘惑されたヨセフ少年は、それを断ったために監禁されるが、夢の中に現れた天使によって解放されるという物語です

ヤルヴィが指揮台に上り、演奏に入ります。冒頭から官能的な音楽がN響のゴージャスなサウンドで響き渡り、「サロメ」か はたまた「ばらの騎士」か と思いました 間違いなくこれらのオペラの絢爛豪華な音楽を受け継いでいます   しかし、オーケストラは良く鳴るものの、後々まで印象に残るフレーズはほとんどなく、ひたすら音楽が流れていきます 同じくフーゴー・フォン・ホフマンスタールとの共作である「エレクトラ」「ばらの騎士」「ナクソス島のアリアドネ」とは異なり、ひたすらゴージャスな響きだけが魅力の作品のように聴こえました

 

     

 

プログラム後半はリヒャルト・シュトラウス「アルプス交響曲 作品64」です この曲は第一次世界大戦の最中の1911年から15年にかけて作曲、1915年に作曲者自身の指揮でベルリンで初演されました アルプスの登山から下山までを22の標題で描写しています この作品は、シュトラウス自身の10代の頃の経験に基づいていると言われています シュトラウスはツークシュピッツェの麓にあるガルミッシュに豪華な別荘を持っており、そこの裏山からもう登山道になっていて、彼自身も山登りが大好きだったそうです 音楽評論家・江藤光紀のプログラム・ノートによると、「ここで描かれるのは、ドイツ帝国の大ブルジョワの楽しい夏のバカンスの1日」です 夜 ~ 日の出 ~ 登り道 ~ 森に入る ~ 小川のほとりのさすらい ~ 滝 ~ 虹(幻影) ~ 花咲く牧場で ~ 山の牧場で ~ 林の中で道に迷う ~ 氷河で ~ 危険な瞬間 ~ 山の頂で ~ 幻影 ~ 霧がはい昇る ~ 日がかげる ~ エレジー ~ 嵐の前の静けさ ~ 雷鳴と嵐、下り坂 ~ 日没 ~ 余韻 ~ 夜 という構成になっています

ヤルヴィは相変わらず、明快なタクト捌きによりN響からクリアで豊かなサウンドを引き出していました オーボエの吉村結実をはじめ木管楽器群が良く歌い、今井仁志率いるホルンセクション8人(4人はワーグナーチューバ)が豊潤な演奏でオケに厚みを与えていました よく見ると東京フィル首席の高橋臣宣が客演しています。良い音がするはずです

ところで、音量のクライマックスは第19曲「雷雨と嵐、下り坂」です このタイトルを見ると、ベートーヴェンの「交響曲第6番”田園”」(1807~08年作曲)の第4楽章「雷雨と嵐:アレグロ」を思い出します 楽器編成でみると、ベートーヴェンの「田園」は、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット(以上2管編成)、ピッコロ、ティンパニ、弦楽五部となっているのに対し、リヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」は、管楽器が4管編成に拡大し、テューバ、大太鼓、小太鼓、サスペンデッド・シンバル、タムタム、トライアングル、ウィンドマシーン、グロッケンシュピール、サンダーシート、カウベルなど様々な楽器が加わり、総勢100名を超える演奏者によって「雷鳴と嵐」がド派手に演奏されるのです 耳をつんざく大音量の迫力たるや、100数年前のベートーヴェンの「田園」はとても太刀打ちできません しかし、ここで立ち止まってよく考えてみると、ベートーヴェンの「田園」は全曲と各楽章に描写的な標題が付けられているものの、ベートーヴェン自身が語っているように「絵画的描写ではなく、感情の表出」です これに対し「アルプス交響曲」は明らかに「絵画的描写」音楽です 現代の聴衆は、こういう点にも思いを馳せながら音楽に耳を傾けなければなりません

N響でもカーテンコール時の撮影が許可されているので、記念に写メしてきました

 

     

     

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