人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

松田里奈のヴァイオリンを聴きに行こう!~新日鉄住金音楽賞受賞記念コンサート

2013年05月11日 07時10分50秒 | 日記

11日(土)。コンサート会場の入り口で配られるチラシの束に「第23回新日鉄住金音楽賞 受賞記念コンサート」のチラシが入っていました フレッシュアーティスト賞にヴァイオリニストの松田里奈、特別賞にメゾ・ソプラノの栗本尊子が選ばれ、その受賞の記念に催されるものです

コンサートは7月17日(水)午後6時30分開演(6時開場)で、会場は紀尾井ホールです。このうち松田里奈の公演プログラムは①イザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番”バラード”」、②モーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ第28番ホ短調K.304」、③クライスラー「前奏曲とアレグロ」、④マスネ「タイスの冥想曲」、⑤サラサーテ「カルメン幻想曲」です

松田里奈は桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースで学び、2006年ドイツ・ニュルンベルク音楽大学に編入しました。2001年には第10回日本モーツアルト音楽コンクール・ヴァイオリン部門第1位を獲得、2004年には第73回日本音楽コンクールで第1位となっています

 

          

 

招待券希望者は、郵便はがきに①郵便番号・住所、②氏名(ふりがな)、③電話番号、④希望枚数(2枚まで)を明記して6月7日(金)までに下記の住所に送ることになっています

〒102-0094 千代田区紀尾井町6番5号 紀尾井ホール内 新日鉄住金音楽賞運営事務局 

さっそく私も数年前の年賀はがきの余りで応募しました。応募多数の場合は抽選とのこと。多分抽選になるでしょうが、当たるといいな

 

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外科医が書いた音楽の本~久徳茂雄著「独断的クラシック音楽のすすめ」を読む

2013年05月10日 07時00分13秒 | 日記

10日(金)。どうも風邪をひいたらしく微熱があるので、終業後地下のNクリニックで診てもらいましたやはり風邪で、37度ありました。連休のコンサート疲れが残っていて、身体が十分に休まっていないことが影響しているのかも知れません 週末は無理をしないで大人しく過ごそうと思います 皆さまのご協力が必要です。お願い、誘わないでね

 

  閑話休題  

 

4月に当ビル地下1階にオープンしたHクリニックのH院長先生から久徳茂雄さんが書かれた「独断的クラシック音楽のすすめ」(せせらぎ出版。2011年11月刊)をお借りしました 先日、先生が消防署に書類を届けるのに付き添って日比谷に行った折に、私がコンサート通いしていると話したことが先生の頭に残っていたようで、その翌日、この本を事務所に届けてくださったのです

 

          

 

久徳茂雄さんはH先生の甥ということです。神戸市に生まれ、大阪医科大学を卒業、現在は勤務医(外科)をされているとのことです

この本は「岸和田医師会報」等に掲載されたエッセイに、書き下ろし原稿を加えたエッセイ集です 数ある作曲家の中で最初からショスタコーヴィチを取り上げるなど「ショスタコ、命」の方のようです

主に往年の名演奏家のLPやCDに対する感想を中心に書かれていますが、一言でいえば「カラヤン嫌い、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、クレンペラー大好き」という嗜好の持ち主のようです この辺は私と同じです 私が唯一カラヤンで良いと思うのはリヒャルト・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」、それも1960年7月のザルツブルク祝祭劇場でのライブ録画です マルシャリン=シュワルツコップ、オクタヴィアン=ユリナッチ、オックス男爵=エーデルマン、ゾフィー=ローテンベルガ―他、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団という最強の布陣による不滅の演奏です 若き日に銀座のヤマハホールに何度も観に行きました。なかでもユーゴスラヴィア(当時)生まれのセーナ・ユリナッチに熱をあげて彼女の歌っているオペラのLPやCDを買い漁りました。件の「ばらの騎士」はレーザーディスクで持っていましたが、機械が壊れたので涙をのんで手放しました DVDでも出ているようですが、買いません。記録でなく記憶に残っているので(どこかで聞いたようなセリフですね

 

          

          エーリッヒ・クライバー指揮ウィーン・フィルによるR.シュトラウス

          「ばらの騎士」でのオクタヴィアン役のセーナ・ユリナッチ

 

ハンス・クナッパーツブッシュの演奏では、ウィーン・フィルを振った「ウィーンの休日」のCD(1957年10月録音)が堪らない魅力です シュトラウスの「ラデツキー行進曲」「アンネン・ポルカ」「ウィーンの森の物語」などの有名な曲が収録されています。「クナッパーツブッシュといえばワーグナー」というのがクラシック界の常識のように言われていますが、私はむしろ、こういう”軽め”の曲に魅力を感じます。中でも、これぞクナと思うのはコムザーク作曲「バーデン娘」です 特に後半の盛り上がりについて、音楽評論家・宇野功芳氏が「クナの遊びには命がかかっている」と書いていますが、まったくその通りの凄い演奏です こんな演奏を是非、生で聴きたかったと思います 

 

          

             クナッパーツブッシュ「ウィーンの休日」のCD

 

久徳さんは指揮者の中ではスヴェトラーノフも高く評価されていますが、私も大好きです 彼の演奏で忘れられないコンサートが2つあります。2つともNHK交響楽団を振った演奏会です。ひとつは10年位前にNHKホールで振ったマーラーの交響曲第5番です。第4楽章に入った時、客席の方から白い蝶が飛んできてヴィオラ、チェロの上空から管楽器の上を舞い、アダージェットが終わるころには第1ヴァイオリンの上空を舞って、客席の方に戻り、どこともなく消えていきました。あれはいったい何だったのか オケの連中は誰もが気づいていて、演奏中上空を見上げていましたが、大指揮者スヴェトラーノフが気づいていたかどうかは分かりません。その時の名演は白い蝶とともに忘れられません

もう一つの思い出は、やはり10年程前の真夏、渋谷のオーチャードホールで演奏したチャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲です 私の席は前から3列目くらいの席で指揮者の動向がよく見えるのですが、スヴェトラーノフは巨体を駆使し、あごの肉をブルブル震わせながらチャイコフスキーのかわいい音楽に対峙していました 彼は楽章(?)が終わるごとに指揮台の前に置かれた専用の椅子に座って、指揮台の下のポールにぶら下げた大きなタオルで顔の汗を拭っていました。愛すべきスヴェトラーノフ

 

          

        スヴェトラーノフ作曲「ヴァイオリンとオーケストラのためのポエム」のCD

 

ショスタコーヴィチと言えば、久徳さんは本の中で「衛星放送で来日したヒラリー・ハーンの同じ曲(ショスタコのヴァイオリン協奏曲)を聴いたが、2、4楽章は聴けても肝心の3楽章は表面的な演奏でがっかりした」と書かれています。このエッセイを書かれたのが2002年12月とあります。横浜のみなとみらいホールでヒラリー・ハーンがベルリン・フィルとともに演奏したショスタコのヴァイオリン協奏曲のコンサートを聴いたのがその頃だったかどうか、記憶が定かではありません この時、私は生まれて初めてこの曲を聴いたのですが、彼女の集中力の高さと素晴らしい表現力にすっかり参ってしまい、それ以来彼女が来日すると聴きに出かけるようになりました この頃から徐々に、私はCD中心主義から生演奏中心主義に転換してきたように思います

 

                

         ヒラリー・ハーンによるショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲」のCD

 

かつてLPレコード2,000枚、CD4,000枚を所有して毎日のように指揮者の聴き比べをして楽しんでいましたが、LPはプリメイン・アンプと引き換えに500枚を手放しました CDは置き場所がなくなり、一時知人に譲ったりしましたが、最近また、主にコンサートの予習・復習の手段として買うようになったので、現在の保有枚数は定かでありません。数えるのめんどくさいし

それにつけても、医師という職業を持った方には音楽が好きな向きが多いのでしょうか。コンサートに行くと、入口で配られるチラシの束に、時々医師だけによるオーケストラの公演案内が入っていたりします。オペをやるようにオケを楽しんでおられるのでしょうか

この本に関心のある方は「せせらぎ出版」(電話:06-6357-6916)までお問い合わせください

 

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭で買ったCD「フランスの熱狂」を聴く~お買い得です!

2013年05月09日 07時00分14秒 | 日記

9日(木)。昨夕、地下のRでいつものメンバー5人で時間つぶしに1時間強飲み、その後X部長、K君と3人でHCビル地下Kに移動し、当ビルの有力テナントОのОさん、Wさん、Tさんと6人で飲みました Оさんは実質的なナンバー・ツーの実力者、Wさんは頼りがいがありそうな中堅どころ、Tさんは縁あって他社からトラバーユしてきたチャーミングな女性です

話題はО社の人の出入り状況(いわゆる人事)、スペース問題(今のスペースで足りているか)などの堅い話から、ゴルフ(私はやらない)をはじめとする趣味の話まで広範囲に及び、いつの間にか10時を超えていました Оさん、Wさん、Tさん、長時間お付き合いいただきありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします

 

  閑話休題  

 

昨日の朝日朝刊のコラム「リレーおぴにおん お酒とわたし2」でソプラノ歌手・森麻季さんが、お酒との付き合い方について語っています 編集者が付けたタイトルは「”憂い忘れ前へ”オペラの心」です。要約すると、

「楽しんで飲めるのはワインをグラスに1杯か、せいぜい2杯です。すぐに酔ってしまうので 歌手は節制して飲まないと思われがちですが、飲む人は飲みます。欧米には、終演後にコニャックとかウォッカを『のどの消毒にいい』と言って飲んでいる人もいます どちらかというとバスやバリトンなど、声の低い歌手の方がよく飲むようです。私は、歌った直後や次の日に公演がある時は飲みません オペラって、お酒にまつわる歌や場面が多いんですよ。ヨハン・シュトラウスの『こうもり』やヴェルディの『椿姫』などです。お酒とは、ただ酔ったり酔わせたりするだけではないんですね。人生、傷ついたり悩んだり、つらいことに直面する。けれど、飲んだり恋したりして、あるいはそういうオペラを観に行って、楽しくポジティブに生きてみませんか オペラとお酒には、そういうメッセージが込められているのでは

「オペラとお酒」と言えば、オペラを観ていて疑問に思うのは、例えば「椿姫」の乾杯の歌の場面で出演者が赤い液体の入ったグラスを飲み干すシーンが見られますが、あれはいったい何なのか?ということです イチゴ・ジュースのようなものなのか、ただの水に無毒の液体を垂らしただけのものなのか・・・・気になってオペラに集中できなくて困ります どなたかご存知の方がいらっしゃったら教えていただければ、安心して眠れます

終演後に「のどの消毒にいい」と言ってコニャックやウォッカを飲む歌手がいるとのことですが、私の周りには風邪をひいたとき「のどの消毒にいい」「アルコール消毒だ」と言ってビールや焼酎を飲んでいる人がいます 欧米の歌手と違って、決して声が低い訳ではなく程度が低いのだと思います。これでは、”風邪を引く”のではなく”風邪を足す”ことになるのではないかと思うのですが・・・・・・ 『ビールはビールスに効く』なんてシャレにもならないことは言わない方が身のためです

 

  も一度、閑話休題   

 

ラ・フォル・ジュルネ音楽祭で買ってきたCD「La folie francaise」(フランスの熱狂)を聴きました 4枚組で1,000円という超特価版です すでにCDで持っている演奏も含まれていますが、初めて聴く曲も少なくありません。例えば1枚目のショーソン「協奏曲ニ長調~シシリエンヌ」、2枚目のサン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第1番~第1楽章」、4枚目のルーセル「交響曲第3番~第1楽章」などですが、どれも魅力的な曲です

4枚で1,000円ということは1枚当たり250円。コーヒー1杯分の値段です。お買い得ですよ、奥さん別に私はレコード会社からお金をもらっているわけではありませんが、コストパフォーマンスが高い商品なのでお薦めしておきます 

ラ・フォル・ジュルネ音楽祭は終わってしまったので、どこに行けば買えるのかといえば、多分新宿か渋谷のタワーレコードに行けば手に入るのではないかと思います

 

          

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ハリウッドを超えるか?ボリウッド~インド映画「タイガー 伝説のスパイ」「闇の帝王DON」を観る

2013年05月08日 07時00分09秒 | 日記

8日(水)。シネマート新宿でインド映画「タイガー 伝説のスパイ」と「闇の帝王DON ベルリン強奪作戦」を観ました

映画のチラシにこうありました。

「日本がまだ知らない、娯楽の殿堂!ボリウッド! ザッツ・エンターテ”インド”メント

「突然始まる歌と踊りが満載の不思議な映画・・・・それが今までのインド映画の印象ではないだろうか?」

そこで、期待を込めて観てみました。その通りじゃないか 映画を観ていると突然、音楽が流れてきてヒーローとヒロインが踊り出すのです 「タイガー」の方がその最たるものです。あっ、ちなみに「ボリウッド」というのは映画大国アメリカをもじって、映画生産地ともいえるインド中心部ムンバイ(旧ボンベイ)を指して呼ばれているそうです

まず「タイガー 伝説のスパイ」です。ストーリーは、

「インド諜報局RAWのスパイ”タイガー”(サルマーン・カーン)は、新たなミッションで向かったダブリンでゾヤ(カトリーナ・カイフ)という女性に一目ぼれします しかし、彼女は敵国パキスタンのスパイでした。タイガーはスパイの道を捨てゾヤとの愛の道を選びます。スパイ同士が一緒になることはタブーです。両国の諜報局から追われる身となり、世界6か国を舞台に逃避行を続けます。彼らの行方は・・

ひと言でいえば「インド版007」です。アクションあり、美女あり、歌あり、踊りありの超楽しいエンターテインメントです おっと、007に踊りは無かったですね 2012年制作、上映時間132分ですが、面白さにあっという間に過ぎてしまいます

ちなみに、この映画で使われたクラシック音楽は、パーティーのシーンで流れたヨハン・シュトラウスの「皇帝円舞曲」と、エルガーの「威風堂々」です パーティーに何で「威風堂々」よ と突っ込みたくなりますが、まあ、それが監督の感性なのでしょう

 

          

 

もう1本は「闇の帝王DON ベルリン強奪作戦」です これもアクションあり、美女ありのエンターテインメントです ストーリーは、

「国際的な犯罪組織を仕切る闇の帝王ドン(シャー・ルク・カーン)が次に狙うのは、ドイツ中央銀行地下金庫に保管されているユーロ紙幣の原板です そんなドンを敵対勢力が狙い、インタープール(警察)のローマ(プリヤンカ―・チョープラー)が追究します。ドンは強奪に成功するのか・・・・・・」

銀行強盗の仕掛けは、まるで「オーシャンズ11」の世界です 誰にでも分かるように言えば「ルパン三世」の実写版です ちなみに女性警官ローマ役のプリヤンカ―・チョープラーは2000年度ミス・ワールド 超美人です。2011年制作、148分の超大作ですが、これも息もつかせぬアクションに次ぐアクション、チェイサーに次ぐチェイサーで飽きさせません あなたの”アクションに対するリアクション”はいかに・・・・・

ちなみに、この映画で流れるクラシック音楽はありません。007シリーズではモーツアルトのピアノ協奏曲が流れていたこともあったけど まあ、それが監督の感性なのでしょう

 

          

 

新宿伊勢丹近くのシネマート新宿では上記の2本に「命ある限り」を加えた3本が5月17日まで上映中です。18日からは「きっと、うまくいく」が始まります。これも面白そう

 

          

 

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭コンサート3日目(5月5日)リポート②

2013年05月07日 07時00分10秒 | 日記

7日(火)。5日(日)にラ・フォル・ジュルネ音楽祭第3日目のコンサートを7公演聴きましたが、ここでは後半の3公演について書きます

 

          

          

午後4時から国際フォーラム・ホールCで公演番号344番のコンサートを聴きました プログラムは①ベルリオーズ「序曲:ローマの謝肉祭」、②同「葬送と勝利の大交響曲」で、演奏は黒岩英臣指揮東京音楽大学シンフォニック・ウインド・アンサンブルです 実はこのコンサート、とくに「~大交響曲」は一度も聴いたことが無いので楽しみにしていました 学生オケがどれ程の実力を見せてくれるかお手並み拝見といったところです

自席は1階15列16番、左ブロック通路側です。会場は9割方埋まっている感じです。演奏者が舞台に登場しますが、学生オケらしく座席順に一列になって入場します コンマスはクラリネットの女子学生です。配置を見ると、左サイドはクラリネット族、右サイドはフルート、サクソフォン、テューバ等とコントラバス、小太鼓が各2、正面はホルン、トロンボーン、ファゴット等とタンバリン、ティンパ二、トライアングルという態勢です 全体を見渡すと女性の比率が圧倒的に高いことが分かります。これがそのままプロのオケにつながっているのでしょうね

指揮者の黒岩英臣が登場し1曲目のベルリオーズ「序曲:ローマの謝肉祭」が始まります。管楽器だけでもこんなに色彩感豊かな音楽が可能なのか、と ます。その昔、ワインガルトナー指揮によるモノラル録音LPで初めてこの曲を聴いた時は、団子状に出てくる、あまりの音の悪さに癖劈して聴く意欲を失ったものですが、本来はこのようにカラフルで豊かな音楽だったのだ、とあらためて感心しました

2曲目の「葬送と勝利の大交響曲」は1840年、フランス政府が7月革命の犠牲者の追悼式のための作品をベルリオーズに委嘱したことから作曲したものです

曲は右サイドにスタンバイしている2つの小太鼓による”葬送”のリズムから始まります。太鼓には黒い布が被せられており、その上から叩きます これに呼応して管楽による合奏で”葬送行進曲”が演奏されます。聴いていて思ったのは、多くの管楽器に囲まれた中で、しっかりとした存在感を示した2本のコントラバスと2つの小太鼓です 彼らがいるからこそ音楽に深みと広がりが出たのだと思います

トランペットとトロンボーンによりファンファーレが高らかに奏でられ”勝利”の音楽に移ります 途中、トロンボーンの独奏がありますが、男子学生による演奏はなかなかのものでした 全体として迫力のある素晴らしい演奏で、大満足でした。最初から最後まで、緊張のためかニコリともしないコンマスの女性奏者が、なぜか印象に残っています

 

          

                 (地下の展示ホールでの演奏会)

 

次に5時45分から同じホールCで公演番号345番のコンサートを聴きました プログラムは①ラヴェル「左手のための協奏曲」、②同「バレエ:ダフ二スとクロエ第2組曲」で、演奏はパスカル・ロフェ指揮フランス国立管弦楽団、ピアノ独奏は児玉桃です 当初、メシアンの曲が演奏されると発表されていましたが「左手~」に変更になったようです。指揮者のロフェは来年度からこのオケの音楽監督に就任することが決まっているそうです。また、フランス国立管弦楽団は、いま東響の音楽監督を務めているユベール・スダーンも音楽監督を務めていたとのことです

自席は1階22列14番、左ブロックの後ろから3列目です。会場は8~9割の入りでしょうか。コンマスは午後2時15分から聴いた公演と違い男性奏者になっています。児玉桃が朱色のドレスで登場します

1曲目のラヴェル「左手のための協奏曲」は第1次世界大戦で右手を失ったピアニストからの依頼によって1930年に作曲されました オケの序奏に続いて児玉桃のピアノが力強く入ってきます。とても片手だけで弾いているようには思えません オケは管楽器と弦楽器のバランスが良く、ピアノを支えます。それにしてもラヴェルって本当に凄い人だと思います

ピアノが袖に片付けられて、2曲目の「ダフ二スとクロエ」第2組曲が始まります。冒頭の混沌とした音の世界を聴いた瞬間からラヴェルの魔術にハマってしまいます。管楽器、弦楽器の素晴らしいブレンドの音の波が空間を漂います

 

          

 

いよいよ私にとって「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2013」最後の公演です。7時半からホールAで公演番号315番の「聖なるパリ」コンサートを聴きました プログラムは①デュルフレ「グレゴリア聖歌による4つのモテット」、②フォーレ「レクイエム」で、演奏はラ・フォル・ジュルネではお馴染みのミシェル・コルボ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア、ローザンヌ声楽アンサンブルで、ソプラノ=シルヴィ・ヴェルメイユ、バリトン=ジャン=リュック・ウォーブルがソリストに加わります

自席は1階22列15番、左サイド中央通路のすぐ後ろ通路側です。会場は8~9割の入りでしょうか

シンフォニア・ヴァルソヴィアのメンバーに次いで、ローザンヌ声楽アンサンブルのメンバーが登場します。舞台の左右の壁に設置された大型スクリーンに映し出されたコーラス陣を見ると、顏なじみの歌手が何人もいます 「ラ・フォル・ジュルネ」ではコルボとともに毎年のように演奏しているので、すっかり顔を覚えてしまいます

1曲目のデュリュフレ「グレゴリオ聖歌による4つのモテット」が無伴奏で始まります。透明なコーラスの声が会場を満たします

2曲目のフォーレ「レクイエム」は1887年から作曲が始められ、その後2回改訂されました。コルボによるこの曲のCDは大ベストセラーを達成しましたが、生の演奏を聴けばその理由が分かります 何と言ってもローザンヌ声楽アンサンブルの透明な歌声が決め手です とくに、オルガンとハープに導かれて歌われる「サンクトゥス」の素晴らしさを何と表現すればいいのか、言葉が出てきません。人は本当に美しいものを前にした時には、ただ沈黙しかありませんが、まさに、流れてくる清らかな美しい音楽に耳を傾けるしかありません

アンコールにグノー「十字架上のキリストの7つの言葉」からの1曲を演奏しましたが、演奏者たちが立ち去ってからも、しばし拍手が鳴り止みませんでした

こうして私の「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2013」は幕を閉じました。ボランティアのスタッフの皆さん、3日間お世話になりありがとうございました。きっといいことがありますよ 

 

          

 

ここで今年聴いた18公演を振り返ってマイ・ベスト5を選んでみました

第1位:サン=サーンス「ピアノ協奏曲第2番ト短調」ほか(ピアノ:アンヌ・ケフェレック。フェイサル・カルイ指揮ラムルー管弦楽団。4日)

第2位:フランク「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」、サン=サーンス「ハバネラ」ほか(ヴァイオリン:竹澤恭子、ピアノ:萩原麻未。3日)

第3位:サン=サーンス「動物の謝肉祭」(ヴィオラ:趙静、ピアノ:萩原麻未、ヴァイオリン:竹澤恭子、デボラ・ネムタヌ、フルート=工藤重典ほか。3日)

第4位:フォーレ「ヴァイオリン・ソナタ第1番」、サン=サーンス「ヴァイオリン・ソナタ第1番」(ヴァイオリン:レジス・パスキエ、ピアノ:アンヌ・ケフェレック。5日)

第5位:フォーレ「レクイエム」ほか(ミシェル・コルボ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア、ローザンヌ声楽アンサンブル。5日)

番外特別賞:ラヴェル「ボレロ」(佐渡裕指揮ラムルー管弦楽団。4日午後7時開演215番公演のサプライズ演奏)

こうして見ると、サン=サーンスが多いことに気が付きます。好きな作曲家なので当然と言えば当然ですが、期待してチケットを買った公演が期待通りだと嬉しいものです  今年の公演での新たな発見は、ラ・フォル・ジュルネ初来日のラムルー管弦楽団のふくよかな音色です

さて、来年のラ・フォル・ジュルネのテーマは何でしょうか?もちろん、来年の5月の3連休も東京国際フォーラムに通います

 

          

 

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭コンサート3日目(5月5日)リポート①

2013年05月06日 07時00分02秒 | 日記

6日(月・休日)。昨日、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭第3日目のコンサートを7公演聴きました ここではそのうち前半の4公演について書きます

少し早目に会場に着いたので、散歩をしているとチケット売り場の裏手「インフォメーション」前で、二人組の芸人が”二人羽織り”でヴァイオリンを弾くというコントをやって、笑いをとっていました

 

          

          

5月5日の最初は午前9時45分からAホールで開かれる公演番号311番のコンサートです プログラムは曲順が変更になり①シャブリエ「ハバネラ」、②デュカス「魔法使いの弟子」、③シャブリエ「狂詩曲:スペイン」、④ラヴェル「ボレロ」です。演奏はフェイサル・カルイ指揮ラムルー管弦楽団です

入場ゲートで「コンサートを楽しむためのマナーブック」を配っていました。良いことです 会場に入ると、多くの親子連れが舞台に詰め寄って、管楽器奏者がサービスで奏でる音に耳を傾けていました ざっと見渡すと半数以上が親子連れではないかと思われました。自席は1階34列15番、左ブロック右通路側です

開演時間になり、オケがスタンバイすると、進行役の石丸幹二が登場。自己紹介してから「0歳児の人はどのくらいいるかな?」と尋ねると、会場のあちこちで「はーい!」と赤ん坊を頭上に掲げる多くの親たちの光景が見られました 石丸は「1歳児のひとは?」「2歳児の・・・・」「3歳児の・・・・・・」と訊いて、そのたびに会場のあちこちで親が幼児をウエイト・リフティングで持ち上げていました。オトーさん、オカ―さん、お疲れ様でした

1曲目のシャブリエが始まっても、会場のそこかしこでワーワー、ギャーギャーという赤ん坊の声は止みません 演奏の途中、通路を徘徊する幼児は限りなく、国際フォーラム・ホールAは「都立臨時保育園」と化しました

2曲目のデュカスも変わりありません。演奏は半分しか聴こえません まあ、このコンサートは最初から「0歳からのコンサート」と銘打っているので、チケットを買う時からこういう事態は覚悟をしていた訳ですが、それにしてもすごい”無法地帯”です これを聴いている間、ホールAの入り口脇の左右のスペースは下の写真のような”臨時バギー置き場”となっていたのです。100、200の単位ですよ、奥さん

 

          

 

3曲目のシャブリエ「スペイン」が終わったのは10時20分を過ぎていました。次の公演が10時55分からよみうりホールであるので、4曲目の「ボレロ」を聴くと、会場までの移動時間を考えると開演時間に間に合わなくなる恐れが強いと判断し(入場料も1,500円だし)、涙をのんで”大を取って小を捨てる”ことにしました 次の会場が近くのホールB7やホールCだったら違う対応だったかもしれません

あとでこの公演のインフォメーションを見ると、ボレロのあと、アンコールにビゼーの「カルメン」前奏曲(?)を演奏したとのこと。そこまで付き合っていたら確実に遅刻でした

早めによみうりホールに移動して10時55分から開かれる公演番号371のコンサートを聴きました プログラムは①フォーレ「ヴァイオリン・ソナタ第1番」、②サン=サーンス「ヴァイオリン・ソナタ第1番」。ヴァイオリンはレジス・パスキエ、ピアノはアンヌ・ケフェレックです

自席は1階N列11番、左ブロックの右通路側です。会場は文字通り満席です ケフェレックは上が白、下が黒の衣装でパスキエとともに登場します ケフェレックの衣装はいつもシンプルですが、ファッショナブルです

1曲目のフォーレ「ヴァイオリン・ソナタ第1番イ長調」の冒頭はピアノ独奏から入りますが、その瞬間からフランス音楽の世界へ誘われます ケフェレックは最初から絶好調です。一方のパスキエは後半に行くにしたがって調子が乗ってきたように思います 4楽章から成りますが、楽章が終わるたびに拍手が起きたのには苦笑しました

2曲目のサン=サーンス「ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調」は作曲者が50歳のときに作曲した傑作です 初めて聴きましたが、構成のしっかりした曲で、一度聴いただけで気に入りました 第2楽章フィナーレのアレグロ・モルトはこの演奏会の白眉でした どちらかと言うと、パスキエがケフェレックの迫力ある演奏に刺激されて、熱演を展開したと言えるのではないかと思います。その熱演あってか、終了時間を15分オーバーしてしまいました

帰りがけに、ロビーで販売していたケフェレックの最新CD(SATIE & Compagnie)を購入しました。あとでゆっくり聴こうと思います

 

          

 

12時前後になったので、いま絶好調のファミリー・マートンで、もとい、ファミリー・マートで、おにぎりとお茶を買ってフォーラムのチケット売り場前の長椅子で食べました

 

          

 

午後12時半からAホールで公演番号312番のコンサート「パリのロマン派」を聴きました。プログラムはベルリオーズ「幻想交響曲」です。演奏は小泉和裕指揮東京都交響楽団。自席は1階22列21番、中央通路のすぐ後ろの通路側です。かなりの聴衆が入っています

コンマスは都響のコンマス矢部哲哉です。楽器の配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、うしろにコントラバスという態勢です

指揮者・小泉和裕が登場し、指揮台に上がります。彼は常に、足を肩幅に開き、そのまま1ミリも動かしません まるで足に根が生えて固定されてしまったようです。そして両手を大きく上げ下げしてオケを包み込むようなしぐさをします

その指揮姿は、帝王カラヤンそっくりです。あらためてプログラムのプロフィール欄を見ると「73年カラヤン国際指揮者コンクール第1位」とあります 佐渡裕の指揮ぶりが師匠バーンスタインに似ているように、小泉の場合は師匠カラヤンに似ているのでしょう。小泉がカラヤンと違う点は、カラヤンが目を瞑って指揮をするのに対して、小泉は目を開けて指揮をすることです

演奏は、コンマスの矢部がオケを引っ張って、迫力ある展開を見せました。とくに「断頭台への行進」は大地を揺らす迫力でした

 

          

 

次いで午後2時15分からCホールで開かれる公演番号343番のコンサートを聴きました プログラムは①ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、②ラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」、③ドビュッシー「交響詩:海」。パルカル・ロフェ指揮フランス国立ロワール管弦楽団です

自席は2階2列1番。2階と言ってもバルコニー席のような位置で1階に限りなく近い席です。会場はほぼ満席です

オケの面々が”舞台狭し”と位置に着きます。コンマスは黒髪が長いアジア系の女性です ひょっとしたら、アジア・フィルかソウル・フィルで第2ヴァオリンのトップを弾いていた女性ではないかと思いましたが、確信がありません オケの配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、後ろにコントラバスという態勢です

1曲目のドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」がフルートのソロで始まります。このオケもフルート、オーボエ、ホルンなど管楽器が豊かな音色です。フランスのオケってこうした共通点があるようです 2曲目のラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」では、あまりの気持ちよさに寝入ってしまいそうになりました。とくにチェロが素晴らしい音を出しています

3曲目のドビュッシー「交響詩:海」はヴァイオリンとチェロのソロがありますが、ともによく通る素晴らしい演奏でした。第3曲「風と波の対話」のフィナーレは力強く迫力満点でした

演奏が終わって出口に向かうと、通路でピアニストの萩原麻未さんが、係りの人に何かを尋ねていました。彼女はごく普通の格好をしているので、あの萩原麻未と気づく人は少ないかもしれません。サインをもらおうかと思いましたが、彼女はCDを出していないし、どこにサインをしてもらったらよいのか分からないので、諦めました

 

          

 

この後、午後4時からホールCで開かれる公演番号344番のコンサート(①ベルリオーズ「序曲:ローマの謝肉祭」、②同「葬送と勝利の大交響曲」)、5時45分からホールCで開かれる公演番号345番のコンサート(①ラヴェル「左手のための協奏曲」、②同「バレエ:ダフ二スとクロエ第2組曲」)、7時半からAホールで開かれる公演番号315番のコンサート(①デュリュフレ「グレゴリオ聖歌による4つのモテット」、②フォーレ「レクイエム」)をハシゴしましたが、これら3公演の模様は明日のブログでご紹介します

 

          

 

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭コンサート2日目(5月4日)リポート②

2013年05月05日 08時00分06秒 | 日記

5日(日・祝)。昨日聴いたラ・フォル・ジュルネ音楽祭・第2日目の5公演のうち後半2公演について書きます

午後5時45分から国際フォーラム・ホールB7で公演番号225番のコンサートを聴きましたプログラムは①ラヴェル「ラ・ヴァルス」、②フランク「ピアノ五重奏曲ヘ短調」です。演奏はモディリアー二弦楽四重奏団、ピアノはジャン=フレデリック・ヌーブルジェです

自席は16列6番、左サイドの右通路側です。会場は満席 最初のラヴェル「ラ・ヴァルス」はヌーブルジェの独奏で演奏されます。彼は1986年生まれで、パリ国立音楽院を卒業し2009年に史上最年少でパリ国立音楽院の伴奏科教授に就任している若きホープです

「ラ・ヴァルス」は「ワルツ」という意味ですが、オーケストラで演奏されることが多い曲で、これをピアノの独奏でやろうと言うのですから、よほど演奏効果を狙った演奏でないと飽きられます 冒頭のうごめくような旋律からフィナーレのフォルティッシモに至るまで、ヌ―ヴルジェのピアノは冴えていましたが、もう少し”前に出る”演奏でも良かったかな、と思いました

次いで、ヌ―ヴルジェがモディリアー二弦楽四重奏団とともに登場します フランクの「ピアノ五重奏曲」は馴染みの薄い曲で、CDも持っていないので予習が出来ませんでした。それが影響したのか、聴いていてもイマイチ曲の良さが理解できません 演奏は素晴らしいに違いないのですが、曲そのものに溶け込めません。ゆったりしたテンポが災いしたのかもしれません この公演は男ばかり5人の演奏家に、譜めくりまで男でした。こういうのも馴染めないなあ この公演も10分超過しました

小腹が空いたし次のコンサートまで時間があるので地上階広場の屋台村に行きました。B級グルメ選手権で2年連続チャンピオンになった富士宮焼きそばの屋台があったので、焼きそばを注文しました

 

          

 

残念ながら、作り立てではなく、作ってから大分時間が経っているようで、しっかり冷めていました が、500円も払ったので、つべこべ言わずに食べてみました やっぱり冷めた焼きそばはB級グルメではなくC級オチメに転落していました やっぱり焼きそばは作り立てを食べなきゃね

 

          

    

気を取り直して7時からホールAで公演番号215番のコンサートを聴きました プログラムは①ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」、②同「ピアノ協奏曲ト長調」、③同「ラ・ヴァルス」で、演奏はフェイサル・カルイ指揮ラムルー管弦楽団。ピアノは小山実稚恵です

自席は1階22列11番、中央通路のすぐ後ろの席です。会場はほぼ満席 指揮者カルイが登場し、1曲目のラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」がホルンの独奏で始まります カルイはタクトを持っていません。この曲でもホルン、フルート、オーボエといった管楽器の音色がやわらかく美しいのが印象に残ります

管楽器が追加され、小山実稚恵が茶系のドレスで登場しピアノに向かいます。カルイの合図で2曲目のラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」第1楽章が始まります。小山は軽快にピアノを操ります この曲の聴きどころは第2楽章「アダージョ アッサイ」です。小山のピアノが静かに美しく流れます。とくに高音部がとてもきれいです 夢見るような曲想です。小山はほとんど自分の指使いを見ないで演奏します

そして、第3楽章「プレスト」に突入します。再び小山の軽快なピアノが会場を満たします 圧倒的なフィナーレに会場一杯の拍手 が演奏者を包みます。小山は何度も舞台に呼び戻されます

ピアノが撤去され、オケが再配置されます。カルイは今度はタクトを持って登場、ラヴェル「ラ・ヴァルス」の開始の合図を出します。混沌とした世界から、だんだんワルツのメロディーが浮かび上がってきますカルイの指揮はまるでバレエを踊っているように身軽です。名前通り”カルイ”です オケは管打楽器と弦楽器のアンサンブルが見事で、大迫力でフィナーレを迎えました

鳴り止まない拍手に、カルイは何度も舞台に出てきますが、アンコールに応える様子がありません??そのうち、舞台上に何と小太鼓が運び込まれました まさか、アンコールにラヴェルの「ボレロ」をやるんじゃないだろうな と思って成り行きを見ていると、舞台袖にラ・フォル・ジュルネ音楽祭のディレクター、ルネ・マルタン氏が通訳とともに登場し、次のように語りました

「ここに居るラムルー管弦楽団を率いているカルイ氏をご紹介します(会場)。ラムルー管弦楽団といえば、日本とも関係が深いオーケストラです。佐渡裕さんが過去に17年間、このオーケストラの常任指揮者を務めていました 佐渡さんとラムルー管弦楽団にはフランスのナントのラ・フォル・ジュルネで演奏してもらったこともあります 私は、この音楽祭のどこかでサプライズを挙行すると言ってきました。今日は、ここに佐渡裕さんをお招きしています

このアナウンスに会場は騒然      本当にサプライズです 上が白、下が黄色の衣装の佐渡裕が舞台に登場しました 会場は割れんばかりの です。「まさか」が「本当」になり、佐渡裕指揮ラムルー管弦楽団によるラヴェル「ボレロ」が演奏されることになりました 最初はただ立って、ほんの少しだけ手を動かす程度だったのが、ヴァイオリン・セクションがメイン・テーマを演奏するようになるころからアクションが大きくなり、佐渡裕らしい指揮振りに変貌を遂げました。後姿を見ていると、彼の師匠で今は亡きレナード・バーンスタインの指揮姿を思い出しました。やっぱり、弟子は師匠に似てくるのでしょうね 終演後、佐渡は弦楽器の首席と握手、管楽器の方に行ってまた握手。クラリネットのところまで行けないので、佐渡が指をさすと、その女性奏者は感激のあまりメガネをとって涙をぬぐい始めました。その当時、厳しいリハーサルを乗り越えてきたのでしょうね 佐渡はカルイと肩を組んで意気揚揚と舞台袖に引き上げていきました

それにしても、こんなサプライズは初めてです。この日、このコンサートを聴いた人は本当にラッキーでした。普段の心がけが良い人たちに違いありません

今日はラ・フォル・ジュルネ音楽祭の最終日です。今日は7公演聴きます。体力勝負です。3日目は身体がキツイです。でも、これが生きがいです。公演の模様は追ってブログでご紹介します

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭コンサート2日目(5月4日)リポート①

2013年05月05日 07時00分02秒 | 日記

5日(日)。昨日、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭の2日目の公演を5つ聴きました ここでは最初の3公演について書きます

 

          

 

最初は、午後12時15分からホールAで開かれる公演番号212番のコンサートです。プログラムは①サティ(ドビュッシー編)「ジムノべディ第1番、第3番」、②ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、③サン=サーンス「ピアノ協奏曲第2番ト短調」、④ヒメネス「ルイス・アロンソの結婚式より”間奏曲”」の4曲。③のピアノ独奏はアンヌ・ケフェレック、④のカスタネットはルセロ・テナ、オケはフェイサル・カルイ指揮ラムルー管弦楽団です

自席は1階18列11番、左ブロックの右通路側。1階席を見ると会場はかなり埋まっている感じです

ラ・フォル・ジュルネでラムルー管弦楽団が演奏するのは今年が初めてです オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、後ろにコントラバスという編成です。あとから登場したコンマスの合図で全員が立ち上がり、コンマスが一礼します そしてチューニングに入るのですが、オーボエ奏者が立ち上がり、最初に仲間の管楽器の方に向けて、次に低弦の方に向けて、最後にヴァイオリン・セクションに向けて、音出しをしてチューニングします。これ程ていねいなチューニングは初めて見ます

2011年からこのオケの常任指揮者を担っているカルイが登場します。あごひげの顔立ちは、ピアニストのエル・バシャにチョッピリ似ています

1曲目のサティ「ジムノペディ第1番、第3番」が続けて演奏されます。オーボエとフルートが柔らかな良い音で美しいメロディーを奏でます 上質なフランス・ワインを味わっているような気分です。これがフランスのラムルー管弦楽団だという演奏です

2曲目のドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」は、冒頭のホルンのソロをはじめフルート、オーボエといった管楽器が心地よい音を出しています 柔らかな弦楽器とのハーモニーは歴史のあるブレンド・ウィスキーの味わいです 今まで何度かこの曲を生で聴いてきましたが、これほど素晴らしい演奏を聴いたことがありません

さて、3曲目はお待ちかねのサン=サーンス「ピアノ協奏曲第2番ト短調」です。ピアニストのアンヌ・ケフェレックが上が赤、下が黒の鮮やかな衣装で登場します ピアノの独奏で始まる第1楽章の冒頭を聴いただけで、この曲の魅力に引き込まれます ケフェレックは何の迷いもなくサン=サーンスの世界を突き進みます 舞台の左右に設置された大型スクリーンに時々映し出されるケフェレックの顔を見ると、「ずいぶん、おばあちゃんになったなあ」と思うのですが、間近に彼女を見ると年齢に似合わず可愛らしくチャーミングなのです まさに演奏に年齢は関係ありません

第1楽章から第3楽章までを通して、ドラマチックな曲想が展開します こんなに素晴らしい曲が、どうしてもっとオーケストラの定期公演で取り上げられないのだろうと不思議でなりません ケフェレックが呼べないのなら、萩原麻未をソリストにして演奏してほしいと思います。サン=サーンスは彼女にピッタリです この日、初めてこの曲を聴いた人も少なくないと思いますが、サン=サーンス再評価につながれば素晴らしいと思います

ピアノが舞台袖に片付けられ、オケが再配置されます。4曲目のヒメネス「ルイス・アロンソの結婚式~間奏曲」を演奏するためカスタネット奏者ルセロ・テナが銀ピカの衣装で登場します この曲は実に楽しい曲です。テナは演奏中、右を向いたり左を見たり、とサービス精神旺盛な女性です。カスタネットをただ打つのではなく、ちゃんと音楽になっているところがすごいと思います。彼女はエンタテイナーです

熱演が続いたため、午後1時に終了予定だった公演が15分オーバーし、演奏時間がちょうど1時間になってしまいました。こういうオーバーは大歓迎です 

 

          

         (地上階広場の一角でNHKーFMの生中継をやっていました)

 

次は午後2時半からホールAで開かれる公演番号213番のコンサートです プログラムは①デュカス「交響詩:魔法使いの弟子」、②サン=サーンス「交響曲第3番ハ短調」。川瀬賢太郎指揮読売日本交響楽団です

自席は1階28列15番、左ブロック右通路側です。1階席はかなり埋まっている感じです コンマスは小森谷巧、オケの編成は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、後ろにコントラバスという配置です

1曲目のデュカス「魔法使いの弟子」を聴くとディズニーのアニメ映画「ファンタジア」の1シーンを思い浮かべます ミッキーが箒に魔法をかけて水汲みの仕事を押し付けるのですが、居眠りしている間に水を汲みすぎて周囲が水びだしになってしまう、というお話のバックに流れるのがこの曲です。聴きながら映画のシーンを思い浮かべていました

2曲目はサン=サーンスの「ピアノ協奏曲第3番ハ短調”オルガン付”」です。通常はパイプオルガンを使用するのですが、この会場には備えつけていないので、どうするのかと思っていたら、普通サイズのオルガンがチェロの後方にスタンバイしていました。そして舞台の左右には拡声器らしき物体が設置されていました。これで音を拡大して流すのですね かつてカラヤンがベルリン・フィルと来日して中野の普門館でR.シュトラウスの「ツァラトストラはかく語りき」を演奏した時、テク二クスの電子オルガンを使用して音を拡大していたのを思い出しました

活きのいい若き指揮者のもと、コンマス・小森谷のリードにより厚みのある演奏が展開します 若いの、なかなかやるじゃねえか、といった感じです この公演も熱演のためか予定の時間を15分オーバーし、終了が3時半になってしまいました

私は3時40分からよみうりホールでの公演を聴きに行くので、拍手もそこそこにホールAのエスカレーターを駆け下り、階段を駆け下り、よみうりホールの入っているビックカメラ有楽町店のエスカレーターを駆け上がって7階のホールにたどり着きました 努力の甲斐があって開演5分前に着席しました。ここで聴いたのは公演番号273番の2人のピアニストによるコンサートです

一番バッターは仲道郁代です。くすんだグリーンのドレスで登場します 演奏するのは①ドビュッシー「子どもの領分」より「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」、「人形のセレナーデ」、「ゴリヴォーグのケークウォーク」、次いでドビュッシー「前奏曲集第1巻よりアナカプリの丘」、ドビュッシー「喜びの島」です とくに「喜びの島」の演奏が力強く、見事でした

次いでケフェレックが、上がシルバー、下が黒のシックな衣装で登場します お色直ししましたね ラヴェル「鏡」から「蛾」、「悲しげな鳥たち」、「海原の小舟」を詩情豊かに演奏しました

次に2人が登場しデュオを演奏します。曲目はラヴェル「マ・メール・ロワ」から「眠れる森の美女のパヴァーヌ」、「美女と野獣の対話」、「妖精の園」です。ケフェレックが手前、仲道が奥の位置です。時に二人の手が微妙に交差します この二人は親子ほどの年齢差がありますが、まるで姉妹が並んでいるようです。二人の演奏は物語を聴いているようでした

演奏が終わって拍手を受ける中、仲道はケフェレックに拍手 をし、ケフェレックはピアノを指でさして拍手 をしていました。ピアノこそコンサートの主役だ、と言いたいのでしょう。こういうところがケフェレックらしいところです

          

          

                 (地下の展示ホールでの公演)

 

この後、午後5時45分からB7で開かれる公演番号225番のコンサート(①ラヴェル「ラ・ヴァルス」、②フランク「ピアノ五重奏曲ヘ短調」)と7時からAホールで開かれる公演番号215番のコンサート(①ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」、②同「ピアノ協奏曲ト長調」、③同「ラ・ヴァルス」)を聴きましたが、この2公演の模様は次のブログで書きます

 

 

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭第1日目(5月3日)コンサート・リポート②

2013年05月04日 10時00分08秒 | 日記

4日(土)その2。ここでは3日(金)に開かれたラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン第1日目のコンサートの後半3公演の模様を書きます

 

          

          

午後4時から東京国際フォーラム・ホールCで公演番号144番のコンサートを聴きました オフィシャル・ガイドにはプログラムとしてサン=サーンス「動物の謝肉祭」とあり、ピアノが酒井茜と、もう一人が未定となっていました それが、会場入り口で配布されたプログラムを見ると、最初にフランク「チェロ・ソナタ」が、午前に演奏した同じ趙+酒井のコンビで演奏され、2番目に「動物の謝肉祭」が演奏されることになっており、未定だったピアノが何と萩原麻未になっていました。これは大歓迎です 多くの人もそう思ったことでしょう

自席は2階15列38番、2階席のほぼ中央、前から6列目です。収容人数1494席の会場はほぼ満席です

趙は水色のドレス、酒井は黒の衣装の上に黄色いカーディガンという出で立ちで登場します お色直しですね この日2回目に聴くフランクのソナタですが、趙はチェロを朗々と静かに弾きます。この人の特性は弱音がきれいなことです

2曲目のサン=サーンス「動物の謝肉祭」はパロディ音楽のハシリかもしれません。演奏者は10人 舞台中央にピアノが向い合せに並べられ、向かって左が萩原麻未、右が酒井茜、左サイドにマリンバの安江佐和子、前列は左から竹澤、ネムタヌ(以上ヴァイオリン)、リダ・チェン(ヴィオラ)、趙(チェロ)、渡邊玲雄(コントラバス)、ラファエル・セヴェール(クラリネット)、工藤重典(フルート)という配置です

萩原のピアノで「序奏とライオンの行進」が始まります。2曲目の「おんどりとめんどり」における竹澤のニワトリの鳴き声を真似たヴァイオリンは傑作でした 4曲目の「亀」になった時、クラリネットのラファエルが、急に立ち上がりピアノの後方に行って隠れてしまいました 7曲目の「水族館」は有名ですね。透明感あふれる音楽です 次の「耳の長い登場人物」とは音楽評論家のことです 竹澤とネムタヌのヴァイオリンの競演は聴きものでした。弦を擦ってしゃっくりのような音を出して競い合うのですが、他の演奏家たちも笑みを浮かべてお互いに目配せして楽しんでいます 次の「森の奥のカッコウ」になると、ピアノの向こう側に行ったまま行方不明だったラファエルがクラリネットでカッコウの鳴き声を真似て存在感を示していました なぜ奥に隠れたかといえば曲名が「森の奥のカッコウ」だからでしょう

11番目の「ピアニスト」はへたなピアニストのパロディですが、二人のピアニストはヘタなピアニストを真似るのがうまい 他のメンバーはニヤニヤ笑っています 次にマリンバが活躍する「化石」を経て、趙のチェロ独奏による「白鳥」がしみじみと切なく演奏されます そして最後の「フィナーレ」に向かいます。このフィナーレこそ出演者の総意を込めた圧倒的な演奏になりました この熱演のため、当初4時45分に終わる予定だった公演が5時10分になってしまいました。45分の演奏会が25分延長の70分になってしまったなんて前代未聞です 後から追加されたと思われる「チェロ・ソナタ」が余計でしたね。次の公演時間が迫っている人は、走れ!走れ!コウタロー!!

 

          

 

という訳で、前の公演が大幅に長引いたため、ホールCは大混乱です。会場から立ち去る人が相次ぐ中、会場の外では次の公演を待つ人たちが入口付近でたむろしています 何を隠そう、私も引き続きホールCで次の公演を聴くのです。幸いスタッフの懸命な努力によって、開場時間こそ15分も後ろにずれましたが、開演時間は5分遅れに留まりました ボランティアのスタッフの皆さんお疲れ様でした

午後5時50分からホールCで公演番号145番の公演を聴きました プログラムは①ファリャ「7つのスペイン民謡」、②ロドリーゴ「アンダルシア協奏曲」です

自席は3階2列1番、会場はほぼ満席です。拍手の中、オーヴェルニュ室内管弦楽団のメンバーが登場します プログラムの解説によると、このオケは1981年創設の21人から成る団体ですが、舞台上を見ると32人います。弦楽器はオリジナル・メンバーらしいのですが、管打楽器は、オーボエとホルン各2名以外は日本人のようです。ラ・フォル・ジュルネ仕様の臨時オケですね

音楽監督・首席指揮者のロベルト・フォレス・ヴェセスが、短めの白いタクトを持って登場します 1曲目のファリャ「7つのスペイン民謡」は1914年に作曲されたスペイン各地の音楽を集めた歌曲集です。スペイン色豊かなメロディーが繰り広げられます。曲によってチェロの独奏がありますが、明るい音色の軽快な演奏でした

2曲目のロドリーゴ「アンダルシア協奏曲」は副題が「4本のギターのための」とある通り、ギター協奏曲です。4人のギタリストが登場、第1ヴァイオリンの手前に横一列に並んでスタンバイします 指揮者に近い方からカニサレス、左に鈴木大介、荘村清志、大萩康司という配置です。カニサレスだけが足を組んでリラックスした姿勢で演奏します 他の3人は真剣勝負です。ギターは音が小さいので、それぞれの足元にマイクが設置されています。曲は第1楽章「テンポ・デ・ボレロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット」から成りますが、とくに、カニサレスから順番にギターのソロが披露される第2楽章「アダージョ」が、オーボエとの掛け合いとも相まってスペイン情緒あふれる素晴らしい演奏でした

前のコンサートが大幅に延長されたことに影響されたのか、この公演も10分以上伸びてしまいました。聴衆は喜んでいましたが

次のコンサートの前に軽く夕食を取ろうと思ったのですが、あまり時間がないので隣のホールAに移りました。午後7時15分から公演番号115番の「ベル・エポック」公演を聴きました プログラムは①フォーレ「組曲:ペレアスとメリザンド」、②ショーソン「詩曲」、③マスネ「タイスの冥想曲」です。当初②と③が逆に発表されていましたが、会場入り口のインフォメーションに演奏順変更のお知らせが掲示されていました

自席は1階11列12番、左ブロック右通路側です。5008人収容のホールAは、会場が広すぎるせいか5~6割程度の入りでしょうか 拍手の中、シンフォニア・ヴァルソヴィアのメンバーの登場です。このオケはラ・フォル・ジュルネの常連です。残念なのは席が前すぎて管楽器がまったく見えないのですオケの配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、後ろにコントラバスという態勢です

指揮のジャン・ジャック・カントロフがタクトを持って登場します。フォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」はフランスの香りあふれる名曲です。第3曲の「シチリア―ノ」は単独で取り上げられる美しい曲です ハープの伴奏にのってフルートがメランコリックなメロディーを奏でます

2曲目のショーソンを演奏するため、ヴァイオリニストのオーギュスタン・デュメイが登場します。背が高くスマートなスタイルです 一見して、彼も年をとったなあ という印象を持ちました。しかし、「詩曲」の演奏に入ると何とも言えない美しい音色で音楽を奏でていき、聴衆を魅了します 音楽に年齢は関係ありません

3曲目のマスネ「タイスの冥想曲」はハープの伴奏をバックに、ヴァイオリンが美しいメロディーを奏でますが、ロマンティックそのものです 弾き終わったデュメイは指揮者とハグ、オケの中に入っていき、第2ヴァイオリン中央辺りにいた女性ハープ奏者を引っ張り出し、会場の拍手を求めました このハーピストがすごくチャーミングなのです。分かります、デュメイの気持ち

会場をあとにして、今回の公演の記念に、ラ・フォル・ジュルネ2013のオフィシャルCD「パリ、至福の時」(1,000円)と「フランスの熱狂」(4枚組で1,000円)を買いました。オフィシャルCDにはラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」、ビゼー「カルメン」前奏曲、サティ「ジムノペディ第1番」などフランス音楽のエッセンスとも言える19曲が収められています

一方、「フランスの熱狂」の方は、日本語の解説シートが付いているので、ざっと見ると、ビゼー「アルルの女」前奏曲、マスネ「タイスの冥想曲」、サティ「グノシェンヌ第1番」、サン=サーンス「動物の謝肉祭」より「白鳥」ほか、などが収録されており、演奏者もヤルヴィ指揮パリ管、アンヌ・ケフェレックなど、しっかりしたアーティストを揃えています。これはお買い得かもしれません 今なら国際フォーラムのあちこちの会場で山積みになっています。別に私はタワーレコードの営業マンではありませんが、どうぞ

 

          

                      (オフィシャルCD)

 

          

                    (「フランスの熱狂」CD)

 

こうして私の第1日目の公演は終わりました。2日目の今日は12時15分から7時45分までの間に5つの公演を聴きます。この模様も明日の朝7時には第1弾をアップします

 

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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭始まる~第1日目①

2013年05月04日 07時00分18秒 | 日記

4日(土)。昨日3日、いよいよ5月連休恒例のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(「熱狂の日」音楽祭2013)が開幕しました 毎年、有楽町駅近くの東京国際フォーラム、よみうりホールを中心に開かれていますが、今年のテーマは「パリ、至福の時」です。日本では2005年(ベートーヴェン)から始まりましたが、私は翌2006年(モーツアルト)から毎年、3日間で10数公演聴いています 今年は18公演を聴きます。ここでは第1日目に聴いた6公演のうち前半の3公演について書くことにします

東京国際フォーラム地上階入口には大きな看板が掲げられています

 

             

 

この日、最初に聴いたのは東京国際フォーラムのホールB7で午前10時15分から開かれる公演番号121のコンサートです 「オフィシャル・ガイド」にあるプログラムには①メシアン「イエスの永遠性への賛歌」(世の終わりのための四重奏より)、②サン=サーンス「アレグロ・アパッショナート」、フォーレ「エレジー」、③同「夢のあとに」、④プーランク「チェロ・ソナタ」とあり、演奏はチェロ=趙静(チョウ・チン)、ピアノ=酒井茜となっています

ところが、会場入り口で配布されたプログラムには④がプーランクではなく、フランク「チェロ・ソナタ」となっています。単なるミスプリかどうか不明ですが、プーランクとフランク・・・・・・語感が似てますね

822席の会場ホールB7はほぼ満席です。自席は9列31番、右ブロックの左通路側席です。趙が黒の上下、酒井が濃いピンクの衣装で登場し、1曲目の演奏が始まります ところが、流れてきたのはフォーレの「夢のあとに」でした。4番目のフォーレと1番目のメシアンの順番を入れ替えたようです あとで係りの人に訊いて判ったのですが、曲順を入れ替えただけでなく「演奏者の判断で」フォーレの”エレジー”をカットしたとのことです。演奏前に事前にアナウンスしてくれてもいいのに、と思いました

1曲目のフォーレ「夢のあとに」は、趙のチェロがまるですすり泣いているようでした 3曲目のメシアンの曲は、静寂の中を趙のチェロが静かに流れていきます。残念だったのは、いい気持ちで聴いているときに、右サイド前方の席で幼児の叫び声が聞こえたことです。大きな声で「ここに居ます」と叫んでいました。止んだと思って安心していると、再び叫びました。これは親の責任です この音楽祭のコンサートは0歳児からOK,3歳未満は×、6歳未満は×(夜間のため)の3種類ありますが、このNo.121の公演は3歳未満は×です。叫んだ幼児は3歳以上だったのかも知れませんが、お金を払って聴きに来ている聴衆にとっては迷惑千万です

最後のフランク「チェロ・ソナタ」は有名な「ヴァイオリン・ソナタ」のチェロ版です。趙のチェロは朗々と歌い、この曲はもともとチェロのための曲ではないかと勘違いするほど、チェロの音域にピッタリだと感じます それ程、趙のチェロが素晴らしいということでしょう。全体的に”抑制された美しさ”を感じます ひとつ残念だったのは、酒井茜のピアノがいま一つだったことです

演奏が終わり、外に出て地下階の当日券売り場を覗いてみると「SOLD OUT」で埋まったスケジュール表が掲示されていました

 

          

 

次の公演まで時間があるので、新東京ビル地下の飲食店街で昼食を採ってから、次のコンサート会場のよみうりホールに向かいました この日2番目のコンサートは午後1時25分から読売ホールで開かれる公演番号172のコンサートです プログラムは①サン=サーンス「ハバネラ」、②同「死の舞踏」、③フランク「ヴァイオリン・ソナタ」です。ヴァイオリンは竹澤恭子、ピアノは萩原麻未です

会場は満席、自席は2階G列20番、センターブロック左通路側席です。このホールはかなり古く、座席が狭く窮屈です。東京文化会館といい勝負でしょうか。舞台後方には横長の反響板が設置されています

萩原麻未が黒のラメ入りドレス、竹澤恭子が黒をベースにした深緑入りのドレスで登場します 1曲目のサン=サーンス「ハバネラ」の「ハバネラ」とはキューバの首都「ハバナ風に」の意味です。2人は息を合わせリズミカルに演奏します 2曲目のサン=サーンス「死の舞踏」は不気味な曲です。竹澤が身体を捻ってヴァイオリンを奏でると、萩原がそれに呼応して椅子から腰を浮かせて演奏します 本来はオーケストラで演奏されることが多い曲ですが、短い曲ながら二人の名演奏・名人芸を見ているような気がしました

最後のフランク「ヴァイオリン・ソナタ」の冒頭が、萩原のピアノで始まったとき、はっきりと分かりました。午前に聴いた「チェロ・ソナタ」と同じパートを弾いているはずなのに、ピアノから出てくる音が全然違うのです 酒井の演奏はピアノが鳴っているのですが、それ以上ではないのに対し、萩原のピアノはフランスの憂鬱というかアンニュイな雰囲気を醸し出している香り高い演奏なのです

第2楽章「アレグロ」が終わると、一部で拍手が起こりました。やっぱり出ましたか 午前のチェロ・ソナタの時にはその気配はあったものの拍手がなかっただけに「あー、やっちまったー」という感じです。竹澤のヴァイオリンと萩原のピアノは丁々発止のやり取りが続き、時にバトルの様相を呈します

最終楽章の圧倒的なフィナーレが終わり、一瞬、空気がふわっと浮き上がり、温度が上昇したように感じました。会場一杯の拍手とブラボーが舞台上に押し寄せます。迫力あふれる熱演でした

次の公演がすぐ後に控えているので、拍手もそこそこに席をあとにして、エレベーター前に列を作っている人々を横目で見ながら、7階から階段を駆け下りました

会場のホールB7に行く途中、地上広場を通りましたが、帝国ホテルの屋台が出ていました。長いラ・フォル・ジュルネの歴史の中で初めてではないかと思います。帝国ホテルと屋台とはなかなか結び付きませんよね

 

          

 

3日の3番目のコンサートは午後2時半からホールB7で開かれる公演番号123番の「フォーレとその弟子」公演です プログラムは①ラドミロー「チェロ・ソナタ」、②フォーレ「チェロ・ソナタ第1番ニ短調」、③同「夢のあとに」です。チェロはフランソワ・サルク、ピアノはユーリ・ファヴォリンです。サルクは「イザイ弦楽四重奏団」のメンバーとして5年間活動した実績があります

自席は9列14番、左の島の右通路側席。会場はほぼ満席です。1曲目のラドミローはフォーレの弟子で、ラ・フォル・ジュルネの本拠地ナント生まれの人です。「チェロ・ソナタ」は3つの楽章から成りますが、第1楽章の冒頭から”いきなり本題”という感じで直球勝負で来ます。全体的に分かりやすい曲想です

2曲目のフォーレ「チェロ・ソナタ」は初めて聴く曲です。チェロが朗々と奏でられ、ピアノがピッタリと付けていきます 最後のフォーレ「夢のあとに」は、午前の趙静の演奏と比較すると、趙のが”すすり泣くような”演奏だったのに比べ、サルクのは”憧れに満ちた”ロマンあふれる演奏です。別の言葉で言えば”男のロマン”を感じる演奏です。同じ曲でもこうも違うか、と驚きます

 

          

 

次いで午後4時からCホールで開かれる公演番号144のコンサート(サン=サーンス「動物の謝肉祭」)、次いで午後5時45分からCホールで開かれる公演番号145のコンサート(①ファリャ「7つのスペイン民謡」、②ロドリーゴ「アンダルシア協奏曲(4本のギターのための)」)、そして3日最後は午後7時15分からAホールで開かれる公演番号115のコンサート(①フォーレ「ペレアスとメリザンド」、②マスネ「タイスの冥想曲」、③ショーソン「詩曲」)を相次いで聴きました。この3公演の模様は次のブログで紹介します

 

          

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