人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ハーディング+新日本フィルでブラームス「第4交響曲」「ヴァイオリン協奏曲」を聴く

2014年06月21日 07時01分12秒 | 日記

21日(土)。昨夕、すみだトりフォニーホールで新日本フィルの第526回定期演奏会を聴きました プログラムは①ブラームス「ヴァイオリン協奏曲二長調」、②同「交響曲第4番ホ短調」。指揮はダニエル・ハーディング、①のヴァイオリン独奏はイザベル・ファウストです

本来なら21日に聴くべきところだったのですが、コンサートが重なったため20日に振り替えたものです そういう訳で座席はいつものセンターブロックではなく、1階18列3番、左ブロックの左から3つ目の席です。オケは左から奥にコントラバス、その前に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置=ハーディング・シフトをとります コンマス席にはチェ・ムンスが、その隣には同じコンマスの西江辰郎がスタンバイします ハーディングが指揮する時はこのダブル・コンマス・シフトをとるようです

 

          

 

ハーディングとともにソリストのイザベル・ファウストが、上がブラウン系、下が黒の衣装で登場します ボーイッシュな髪型です。使用楽器は1704年製のストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」

ハーディングのタクトで1曲目のブラームス「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」が始まります。ゆったりとした牧歌的なメロディーが奏でられ、次第に緊張感が高まってファウストのヴァイオリンが入ってきます この日演奏された第1楽章のカデンツァはブゾーニが作曲したようですが、ティンパ二の連打の中、ヴァイオリンが美しいメロディーを奏でます。私は初めて聴きましたが、すごく印象的でした

第2楽章ではブラスだけのアンサンブルの中で古部賢一のオーボエが美しく響き、独奏ヴァイオリンに受け継がれていきます 間を空けずに第3楽章になだれこみます。ここで初めてファウストに笑顔が見えました まさに「スリーピング・ビューティーが目を覚ました」瞬間でした 楽章を通して新日本フィルの万全のサポートのもと、喜びに満ち溢れる演奏を展開しました

ファウストは鳴り止まない拍手に、バッハの「無伴奏パルティータ第2番」から「サラバンド」を繊細な表現力で演奏しました

 

          

 

休憩後はブラームス「交響曲第4番ホ短調」です。ハーディングが登場、ふわっと浮くような指揮で冒頭の演奏に入ります ニュアンス豊かな演奏が展開します。第2楽章では弦の厚みが印象的です。第3楽章はいわば「スケルツォ」です。オケの底力が発揮されます 間を空けることなく第4楽章に入ります。ここでも弦楽器のうねるような厚みのある演奏が印象的です ハーディングは、ここぞというところではオケを煽り立てます

いつもは管楽器の印象が強く残るコンサートが多いのですが、この日の演奏は弦楽器の分厚い響きが印象に残りました

 

          

 

この日、新日本フィルがコンサートに関するアンケートをやっていたので、回答しておきました オケを5段階評価で点数化する質問があったので、定期会員になっている新日本フィルと東京交響楽団を「5」として、他のオーケストラは3ないし4と回答しておきました

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新国立劇場で池辺晋一郎のオペラ「鹿鳴館」を観る~これは演劇か?

2014年06月20日 07時01分30秒 | 日記

20日(金)。昨日は12月7日(日)の「ミューザ川崎シンフォニーホール開館10周年記念コンサート」のチケットの一般発売開始日だったので、さっそく予約の電話を入れました ただ、午後5時頃になってしまったので、すでに良い席は売り切れていて、S席でも2階センターブロック左サイドの席をとるのがやっとでした ただし東響定期会員は1割引なので13,500円で買うことができました

プログラムはマーラーの交響曲第8番『千人の交響曲』1曲のみです コンサートホールの周年記念やリニューアル・オープンには、同じマーラーの交響曲第2番『復活』とともによく演奏される曲です したがって大規模なこの曲は滅多に演奏される機会がありません 今回は東響音楽監督ジョナサン・ノットのタクトのもと東京交響楽団が演奏します

 

          

 

  閑話休題  

 

昨夕、初台の新国立劇場中劇場で池辺晋一郎のオペラ「鹿鳴館」を観ました 原作は三島由紀夫、上演台本は鵜山仁です。ダブル・キャストですが、この日は、影山悠敏伯爵=黒田博、同夫人=大倉由紀枝、大徳寺公爵夫人・季子=手嶋真佐子、その娘・顕子=高橋薫子、清原永之輔=星野淳、その息子・久雄=鈴木准という顔ぶれです 演奏は新国立劇場初登場の飯森範親の指揮、オケは東京フィル、演出は鵜山仁です

 

          

 

物語はー明治19年11月3日、天長節。元芸者で現在は景山伯爵夫人の朝子は、友人の娘顕子の恋人の名前が久雄であると聞いて驚く 朝子は反政府のリーダー清原とかつて恋仲にあり、久雄は二人の間に生まれた子供だった。朝子は、父を憎む久雄がその夜、鹿鳴館で開かれる舞踏会で清原の暗殺を計画していることを知る 朝子は未だ愛する清原と久雄を助けるために奔走する。しかし、実は、この暗殺計画の首謀者は景山だった 清原親子の運命やいかに

本来なら21日に観る予定だったのが、その日に3つのコンサートが重なってしまったため19日に振り替えたものです そのせいで座席が1階14列57番と、右ブロックになってしまいました 中劇場は久しぶりです。ロビーでは「鹿鳴館」の作曲者・池辺晋一郎氏が談笑しています 池辺晋一郎といえばダジャレの大家。「ダジャレを言うのはダレジャ」などとシャレにもならないシャレを連発して市井の人々を困らせている、もとい、笑いの渦に巻き込んでいる張本人です かつて20世紀から21世紀にかけて、N響アワーで檀ふみとコンビを組んで進行役を務めていた時の池辺氏のダジャレと天然ボケの壇さんとの絶妙なやり取りは世界遺産ものでした

さて、今回の公演は2010年6月に世界初演された公演の再演です。あの時は沼尻竜典がタクトをとりました

序曲に続いて朝子、大徳寺夫人・季子、その娘・顕子が登場してアリアが歌われますが、日本語がよく聞き取れません まいったなあ、と思ってステージの上を見上げると、テロップが出ていました 自席からは見上げないとよく見えないので、もっと後部の座席の方がよかったな、と思いました 幸い、そのうち歌われている日本語に慣れてきて意味が通じるようになってきました それにしても、日本語で歌っているのに日本語のテロップとは・・・・でも、そうしないと三島由紀夫の作品は通じない部分もありますね

池辺晋一郎氏は東京藝大在学中のクラブ活動が演劇部だったこともあり、このオペラも演劇の延長線上で捉えています 観ていて感じるのは、文学座や俳優座の俳優たちが演技の合間にオペラを歌っているのではないか、ということです それだけ、歌手たちは歌が優れているばかりでなく、演技も優れていなければなりません

例えばイタリア・オペラなどで日本人歌手が歌っているのを観ていて感じる”違和感”は、今回の「鹿鳴館」のような日本人によるオペラの場合はまったく感じません 日本人以外に歌ってほしくないとさえ思います

歌手では、何と言っても影山夫人・朝子を演じた大倉由紀枝の歌と演技が印象に残ります 影山伯爵を演じた黒田博、清原を演じた星野淳の二人は深みのある演技と会場の隅々まで響き渡る歌声が素晴らしかったです また、顕子を演じた高橋薫子は相変わらず美しいソプラノで楽しませてくれました 久雄を演じた鈴木准は、経種廉彦に代わって急きょ出演したテノールですが、よく頑張りました

午後6時半に始まった「鹿鳴館」は途中30分の休憩を挟んで、カーテンコールが終わったのは9時50分でした。一昨日は3軒はしごして10時まで飲んだので、連日厳しい状況下にあります。さらに今夕は新日本フィルの定期公演を聴きに行きます。別の言葉で言うと、身体が持ちません

 

          

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立川談四楼著「もっと 声に出して笑える日本語」を読む~電車の中では声に出せない

2014年06月19日 07時05分11秒 | 日記

19日(木)。昨日は当社の定時株主総会がありました。当初、同じ会場で直前に開かれる社団法人の定期会員総会に安倍首相が出席してスピーチするとされていたため、その分を見込んで当社の総会の開会時間を例年より30分ずらして案内していたのが、首相が来なくなり、大幅に時間が空いてしまう恐れが出てきました 幸い、社団法人の協力を得て時間引き伸ばしを図っていただいたため、2つの総会の間を長時間空けることなくスムーズに開会することができました

懸案の議題も滞りなく可決され、無事に株主総会も終わったので、夕方、地下の焼鳥0で打ち上げをやりました その後、「2軒しかない当ビル地下飲食店のもう1軒にも寄らないと不公平になる」というX部長一流の大義名分のもと、Rにも寄って飲みました その後、X部長が「まだ飲みたらない。付き合ってちょ」というので、HCビル地下のKに2人で行って10時頃まで飲みました そんなわけで、今日は朝から頭が頭痛です。もう酒を見るのもイヤです

 

  閑話休題  

 

昨日の朝、玄関に娘の靴だけで9足もあったので、「靴が9足で玄関がキュウクツだね」と言い残して出勤したら、夜、靴が5足に減っていました 高度なシャレが通じたのかどうか不明ですが、ゴソクろうをかけました。家族とはいえ、人を動かすのは難しいものですよね

 

  も一度、閑話休題  

 

近隣の日比谷国際ビル、富国生命ビル、飯野ビルが合同でやっていた「オフィスイレブン・カードキャンペーン」の抽選結果が昨日WEB上で発表されました サッカー・ワールドカップにひっかけて、500円以上の買い上げで「選手カード」1枚を11枚集めるか、5,000円以上の買い上げで「監督カード」1枚かで、1回応募できるというものです 1等は30万円分の旅行券3本、2等は10万円分の旅行券3本、3等は3万円分の旅行券10本、4等は1,000円分の利用券100本となっています

私は運だめしに1通だけ応募しましたが、4等に当たりました ダメ元で応募したのですが、4等とはいえ当選したということはツキがあるということです たかが1,000円、されど1,000円です

 

  さらに、閑話休題  

 

チケットを1枚買いました。7月12日(土)午後3時から東京藝大奏楽堂で開かれる東京藝大弦楽シリーズ「生誕150年 R.シュトラウスの弦の響き」公演です プログラムはR.シュトラウスの①チェロ・ソナタ(チェロ:河野文昭、ピアノ:伊藤恵)、②ヴァイオリン・ソナタ(ヴァイオリン:ピエール・アモイアル、ピアノ:江口玲)、③カプリッチョ~序曲(弦楽合奏版)、④23人の協奏弦楽器のための”メタモルフォーゼン”。指揮は澤和樹、演奏はCRS23です。入場料は全自由席2,000円と格安です

 

          

 

  まだまだ、閑話休題  

 

立川談四楼著「もっと 声に出して笑える日本語」(知恵の森文庫)を読み終わりました 前回ご紹介した「声に出して笑える日本語」の続編です。筆者は立川談志門下のベテラン落語家です。前の本もそうだったのですが、最初から最後まで抱腹絶倒、隔靴掻痒、危機一髪、四面楚歌のお笑いエピソード満載のトンデモ本です

 

          

 

その「トンデモ」ぶりの一端をご紹介すると・・・・・・

①ある営業本部長の演説。「みんな、一糸まとわぬ団結心で頑張ろう!」(それって裸じゃん

②親が子に「ダメでモトモトなんだ、やってみろ」と言うべきところを「おまえはモトモトだめなんだから」と言ってしまった

③ある女性アナの失言。「団塊の世代」を「ダンコンの世代」と読み違え、大受けした

中にはすごく勉強になる話も

④「愛想をふりまく」「怒り心頭に達する」「肝に据えかねる」「口を濁す」・・・・これらすべてが間違い

 正しくは「愛敬をふりまく」「怒り心頭に発する」「腹に据えかねる」「言葉を濁す」。

⑤領収書に書いてもらう「上様」はウエサマではなくジョウサマと読む。「上得意」が語源

再び「トンデモ」発言を

⑥ある俳優の結婚会見でのプロポーズの言葉の紹介。「おつきあいを前提に結婚しませんか

⑦侍ジャパン。「もし負けたらサムライ・ジャパンがトムライ・ジャパンになるところだった

 サッカー・ワールドカップではコートジボアールに負けちゃったですね

⑧ある先輩が後輩を励まして言った言葉。「あたってくじけろ

⑨日本に来て果物を口にした外国人の感想。「味で天国、値段で地獄

良き教訓も紹介しています

⑩故・杉浦日向子さんのモットー。「昨日を悔いず 明日を憂えず 今日を生きる」

こうして紹介していったらキリがありません。とにかく冗談抜きで面白い冗談だらけの本です。とても電車の中では「声に出して」笑えません

 

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パシフィカ・クァルテット他でメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」を聴く

2014年06月18日 07時00分47秒 | 日記

18日(水)。昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)で、サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン「室内楽アカデミー・コンサート」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番ヘ長調」、②シュラミット・ラン「燦・凶・礫・憶」(弦楽四重奏曲第3番)、③メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」です。演奏はパシフィカ・クァルテットとサントリーホール室内楽アカデミー選抜フェローです

 

          

 

自席はC1-10番、センターブロック最前列のやや右、ほとんど目の前が演奏者です パシフィカ・クァルテットは2011年のチェンバーミュージックガーデンで初めて、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会を成し遂げたグループです 私はこの時に聴いたベートーヴェンやメンデルスゾーンにすっかり魅了され、彼らのファンになってしまいました その後、彼らがCDでメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲全集を出しているのを知って、さっそく買い求めたものです。演奏は最高です

 

          

 

パシフィカ・クァルテットはアメリカの弦楽四重奏団で1994年に結成されました したがって今年が創設20年を迎えます。第1ヴァイオリン=シミン・ガナートラ(女性)、第2ヴァイオリン=シッピ・バーンハートソン、ヴィオラ=マスミ・バーロスタード、チェロ=ブランドン・ヴェイモスの4人から成ります

1曲目のベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番ヘ長調」は、つい先日ウィーン・フィルメンバーによるキュッヒル・クァルテットの演奏で聴いたばかりです 「第1番」となっていますが、実際には第3番に続いて2番目に書かれた曲です

照明が落ち、パシフィカ・クァルテットが・・・・・と思っていたら、若者たちが入場してきました プログラムをよく見ないで勝手に出演者を決めていたようです 頭を切り替えて彼らを拍手で迎えます。向かって左から第1ヴァイオリン=外園萌香(白のドレス)、チェロ=鎌田茉莉子(淡いピンク)、ヴィオラ=飯野和英、ヴィオラ=北見春菜(淡いオレンジ)というメンバーです 若さあふれる演奏でした。強いて言えば、第2楽章のアダージョが課題かな、と思いました

いよいよ今度は間違いなく、パシフィカ・クァルテットの登場です。第1ヴァイオリンのシミン・ガナートラは空色の明るいドレスが鮮やかです 2曲目のシュラミット・ランの「燦・凶・礫・憶~弦楽四重奏曲第3番」は、ミュージック・アコード、サントリーホール、ヴィグモアホール共同委嘱作品で、作曲者の説明によると、2006~2007年にニューヨーク・メトロポリタン美術館で開かれた「燦めきと破滅:1920年代ドイツの肖像」という企画展に影響を受けて作曲したとのこと。この日はアジア初演とのことです

曲はⅠ.起こったこと、Ⅱ.脅威、 Ⅲ.もし僕がいなくなってもー僕の絵は死なせないで、Ⅳ.礫・憶 の4つから成ります。「Ⅰ.起こったこと」の冒頭部分は高音部での演奏で、まるでヒバリが青空に舞い上がる様な爽やかささえ感じさせる曲想ですが、やがて不穏な音楽に変わり悲痛さえ感じさせる曲想となります ガナートラはじめ、演奏者たちは身体全体で表現します。「Ⅱ.脅威」はスケルツォですが、3人で足踏みしたり、第2ヴァイオリンが口笛を吹いたり、多彩な表現が見られました 「Ⅲ.もし僕がいなくなっても」「Ⅳ.礫・憶」と続きますが、一人一人が雄弁に悲痛といえる音楽を語ります。現代音楽そのものですが、なぜか私は、この曲は”秩序がある”と思い、言わんとするところをある程度理解できるような気がしました

 

          

 

休憩時間に室外に出ようとすると、後方席にカルテット・エクセルシオの面々の姿がありました サントリーホールアカデミーでの教え子が演奏したのでそれを聴いていらっしゃったのでしょう

ロビーに出ると、パシフィカ・クァルテットのCDが販売されていました メンデルスゾーンは持っているので、今度22日の「フィナーレ」コンサートでパシフィカ・クァルテットが演奏するショスタコーヴィチの「弦楽四重奏曲第2番」を収録した2枚組CDを2,200円で買い求めました

 

          

 

休憩後は、待ちに待ったメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」です 向かって左サイドにパシフィカ・クァルテットが、右サイドに室内楽アカデミー選抜フェローが対向配置でスタンバイすると予想していたら、まったくの外れでした 向かって左から、ガナートラ、バーンハートソン、小形響、福崎雄也(以上ヴァイオリン)、バーロスタード、福井萌(以上ヴィオラ)、ヴェイモス、中実穂(以上チェロ)という態勢をとります 女性陣は濃淡はあるもののブルー系のドレスで統一しています。色をチューニングしましたね

「弦楽八重奏曲」は1825年に作曲されましたが、メンデルスゾーンが16歳の時の作品です とても信じられません。モーツアルト並みの神童と言われたのも頷けます

第1楽章の推進力はどうでしょう 前へ前へと音楽が進みます。第1ヴァイオリンのガナートラは身体全体を使って音楽を表現します 彼女の顔を見ていると、ある時は喜びに満ち、ある時は悲痛に耐え、ある時は驚きの表情を見せ、千変万化、瞬間瞬間でコロコロと表情が変わります その表情とともに躍動感溢れる演奏を展開します。彼女に引っ張られるように他のメンバーもメリハリをつけて若きメンデルスゾーンの名曲に対峙します 第4楽章の冒頭は一番右端のチェロ=中実穂から左へ順番にガナートラまで8人の奏者がフーガを演奏し、フィナーレになだれ込みますが、その快感は例えようがありません これぞメンデルスゾーンの真骨頂です

この日のメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」は、間違いなく今年のマイ・ベストテンに入るでしょう

 

          

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「モーツアルト・ガラ・コンサート」、「エルデーディ弦楽四重奏団」のチケットを予約する

2014年06月17日 07時00分55秒 | 日記

17日(火)。チケットを2枚予約しました 2枚とも先日予約した古典四重奏団とクァルテット・エクセルシオの公演と同様、「トリトン・アーツ・ネットワーク」主催のコンサートです

1枚は12月6日(土)午後2時から第一生命ホールで開かれる「モーツアルト・ガラ・コンサート」です オール・モーツアルト・プログラムで①フルート協奏曲第2番ニ長調K.314、②ピアノ協奏曲第8番ハ長調K.246、③ディヴェルティメントK.138、④クラリネット協奏曲イ長調K.622です。演奏はフルート=工藤重典、ピアノ=小菅優、クラリネット=チャールズ・ナイデック、オケはN響メンバーです タイトルに「モーツアルト」が付いていると無条件でチケットを手配してしまう私です

 

          

 

2枚目は来年2月14日(土)午後2時から第一生命ホールで開かれる「エルデーディ弦楽四重奏団」のコンサートです プログラムはベートーヴェンの①弦楽四重奏曲第12番変ホ長調、②同第14番嬰ハ短調です ヴァイオリンの花崎淳生さんは古典四重奏団のメンバーでもあります。最近はサントリーホールのチェンバーミュージックガーデンでウィーンのキュッヒル・クァルテットのベートーヴェンの弦楽四重奏曲を立て続けに聴いていて、無性にベートーヴェンが聴きたくて仕方がありません

 

          

 

ここでコストパフォーマンスの高いコンサートをご紹介します 8月16日(土)午後4時から、すみだトりフォニーホールで開かれる新日本フィルの「夏だ!祭りだ!オーケストラだ!」コンサートです プログラムは①ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」(ピアノ:山中千尋)、②バーンスタイン「シンフォニック・ダンス」、③小林研一郎「夏祭り」、④ヘンデル「王宮の花火の音楽」より「序曲」で、指揮は下野竜也です 入場料金は全指定席で3,000円。理屈抜きで楽しいコンサートになるでしょう。楽員は色とりどりのTシャツで演奏すると思いますよ 残念ながら私は別のオーケストラの「サマーフェスティバル」コンサートがあるので聴けません

 

          

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キュッヒル・クァルテットでベートーヴェン「弦楽四重奏曲第3、9、14番」を聴く~サイクルⅢ

2014年06月16日 07時00分46秒 | 日記

16日(月)。昨日、サントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)で、「キュッヒル・クァルテット・ベートーヴェン・サイクルⅢ」を聴きました プログラムは①弦楽四重奏曲第3番ニ長調、②同第9番ハ長調”ラズモフスキー第3番”、③同第14番嬰ハ短調です 本当はサイクルⅠからⅥまですべて聴きたいのですが、他のコンサートの予定が入っていて聴けません。来年からは6月の日程はチェンバーミュージックガーデンのために空けておこうかと思ったりします

 

          

 

キュッヒル・クァルテットはウィーン・フィルのコンサートマスター、ライナー・キュッヒルを中心にウィーン・フィルのメンバーから成ります キュッヒルと第2ヴァイオリンのダニエル・フロシャウアー、ヴィオラのハインリヒ・コルがオーストリア出身、チェロのロベルト・ノーチがハンガリー出身です 

自席はLb1列9番、左ブロックの右から2つ入った席です。やや左とはいえ最前列なので4人の奏者がよく見えます。会場は満席

 

          

 

この日のプログラムも初期、中期、後期から各1曲が選ばれています。最初に演奏されるのは第3番ニ長調の四重奏曲です 4人が登場しますが、キュッヒルだけが相変わらず怖い顔をしています。「おれは、これからベートーヴェンを演奏するんだ」という覇気が漲っています。近くで見ると、かのドイツの巨匠・指揮者ウィルヘルム・フルトヴェングラーによく似ています キュッヒルの方が若干丸みを帯びていますが

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲、とくにこの日演奏される第14番など後期の傑作を聴く際には、予習が不可欠です 予習なしで聴くのは、私のような素人には致命的です この日の3曲はアルバン・ベルク弦楽四重奏団のCDで予習しておきました 少なくとも全体の流れは把握できた上で本番の演奏を聴くことができます

 

          

 

第3番はこじんまりした作品ですが、ベートーヴェンらしい曲想に溢れています キュッヒル・クァルテットは初期の作品だからといって決して手を抜きません。真剣そのものの表情で曲に対峙します

2曲目は中期の傑作、第9番ハ長調です。「ラズモフスキー」第3番と呼ばれていますが、ロシアのラズモフスキー伯爵から依頼されて作曲した3曲のうち最後の曲です 第1楽章は神秘的とも言える短い序奏に続いて雄渾な音楽が展開します。第2楽章はチェロによるピチカートが印象的ですが、並みの演奏家だと単に弦を弾いているだけという感じなのに、ノーチのピチカートは音楽的に響きます 演奏中にヴィオラのコルがチェロのノーチに微笑みかけると、ノーチが微笑み返すというシーンが見られました 強い信頼関係が垣間見られるようで微笑ましく思いました。第3楽章に続いて第4楽章では力強くも小気味の良いフーガが絶え間なく演奏されますが、これぞベートーヴェンの真骨頂でしょう 聴いている方も思わず手に汗を握ります

 

          

 

休憩後は後期の傑作、第14嬰ハ短調です 通常4つの楽章で構成する弦楽四重奏曲の中で、この作品は7つの楽章から成り、異彩を放っています しかも7つの楽章は休むことなく連続して演奏されます。第1楽章は深いところから聴こえてくるようなフーガが展開します 第2楽章のロンドではヴィオラとチェロがお互いにニコリとして「いいねえ、このメロディーは」「そうだねえ、最高だね」と会話しているように見えました。第3楽章は第4楽章への序奏と考えられています。その第4楽章は穏やかな変奏曲 続く第5楽章はスケルツォですが、聴いていると、ベートーヴェンはここで遊んでいるな、と思わずニヤッとしてしまいます

第6楽章は長いアダージョの序奏で、第7楽章はベートーヴェンの強い意志を感じさせる推進力に満ちた音楽です キュッヒル・クァルテットは「これがウィーンのベートーヴェンだ」と言わんばかりに熱い演奏を展開します

会場一杯の拍手とブラボーに、アンコールを演奏しました。軽快な音楽はハイドンだろうと思って聴いていましたが、後でロビーの掲示で確認したら、「ハイドン作曲、弦楽四重奏曲第73番、作品74-2より第4楽章」とありました ハイドン、イイですね 世界最高峰の弦楽四重奏団のベートーヴェンを聴けるというのは本当に幸せなことだと思いながら家路につきました

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シューベルト「交響曲第8番”ザ・グレイト”」を聴く~ジョナサン・ノット+東響

2014年06月15日 09時39分38秒 | 日記

15日(日)。昨日午前、マンションの管理組合の定期総会があったので出席しました。いつも思うのは、情けないほどの出席率の低さです 90人は居るはずなのに、本人出席は役員を含めてたったの9人です ほとんどが委任状です。毎年こんなものなので慣れてしまいましたが、毎年1600万円位の大金が動くというのに、こんなことでいいのだろうか、と思ってしまいます。他のマンションはどうなのでしょうか ローテーションにより、今日から2年間役員を務めることになります。どうなることやら

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第621回定期演奏会を聴きました プログラムは①ブーレーズ「ノクタシオン 1-Ⅳ」、②ベルリオーズ「夏の庭」、③シューベルト「交響曲第8番”ザ・グレイト”」です。指揮はジョナサン・ノット、②のメゾ・ソプラノ独唱はアメリカ出身のサーシャ・クック、コンサートマスターは大谷康子です

 

          

 

1曲目はピエール・ブーレーズの「ノクタシオンⅠ-Ⅳ(管弦楽版)」です。舞台上には所狭しと椅子が並べられています。楽員が登場し配置に着きますが、弦楽器は向かって左から、後ろ側にコントラバス、その前に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2バイオリンという対向配置をとります 木管、金管に加え、右にハープが3台、ピアノが1台設置され、打楽器群は最後列を横断する形で総勢9名がスタンバイします

「ノクタシオン」とは「記号」「覚書」という意味があるそうですが、ブーレーズはもともとピアノのためにこの曲を作曲し、後に管弦楽版に編曲したそうです。第1曲から第4曲までありますが、順番は演奏者に任されるとのことです。この日は作曲者が推奨する第1曲、第4曲、第3曲、第2曲の順に演奏します

聴いていて特徴的だと思うのは、管楽器、弦楽器とともに活躍する様々な打楽器群です 9人の打楽器奏者はいくつかの打楽器を兼任しているため、楽章が変わるごとに右往左往します。この曲を独断と偏見によって一言で表すと「カオス」です

現代音楽というのは、10数分の短い曲にもかかわらず、このような大編成のオーケストラを動員することになります。常に”新しい音”を求めて作曲するからでしょうが、楽団にとっては経費の増大要因になるばかりで大変な思いをしているのではないでしょうか 僕ってあまり現代音楽好きじゃないみたい

2曲目はベルリオーズ「夏の夜」です。タイトルはシェークスピアの戯曲「夏の夜の夢」から採られました メゾ・ソプラノのサーシャ・クックはアメリカ生まれ、グラミー賞も受賞したという実力者ですが、もともと出演予定のジェニファー・ラーモアが「本人の都合により」降板し、代理として出演することになったものです 「本人の都合」っていったい何なのでしょうか。あまり良い印象はありません

ブーレーズから大幅にオケの規模が縮小します。打楽器に至っては9人いたのが一人も残りません。仕切り直ししたオケがスタンバイし、ソリストのクックと指揮者ノットを迎えます

クックは紺色のドレスで登場しますが、落ち着いた雰囲気です。ノットと並ぶとイギリスのレディ&ジェントルマンのカップルのように見えます 「夏の歌」は「ヴィラネル」「バラの亡霊」「入り江にて」「去りし人」「墓地にて」「未知らぬ島」の5曲から成りますが、クックはノット+東響のサポートのもと、美しいフランス語でベルリオーズの世界を歌い上げました

結論としては、当初予定していたラーモアよりも、クックとノットの組み合わせの方が、語呂も良く相性が良かったのではないかと思います

 

          

 

休憩後はシューベルトの交響曲第8番「ザ・グレイト」です。この曲は、シューベルトの兄フェルディナントの所にあった手稿譜をシューマンが発見し、1839年にメンデルスゾーンの指揮で初演されました メンデルスゾーンと言えば、バッハの『マタイ受難曲』を復活演奏し、世に知らしめた功績があります。ただのお大尽のお坊ちゃま君ではありません

さて、オケの編成は総勢で50名強と小ぶりです。通常70名程度で演奏するところですが、この辺はノットのこだわりがあるのかも知れません かと言って、古楽器演奏のスタイルを採るということでもないようです。あくまでもモダーン楽器で現在の解釈によって再現しようというアプローチです

第1楽章のアンダンテから小気味の良いテンポで音楽が進みます。指揮をしているジョナサン・ノットの横顔を見ていると、40~50代のカラヤンにそっくりなことが分かります。指揮振りはまったく正反対ですが

第2楽章のアンダンテの急にフォルテになるところで、隣席の男性が肘掛け椅子からズッコケました。あなた寝てましたね

さて第4楽章のフィナーレ”アレグロ・ヴィヴァーチェ”こそノットの本領発揮といったところです ノットはこれでもか、とオケを煽り立てます

ところでプログラムの解説に「ザ・グレイト」の最終楽章にベートーヴェンの第9の「歓喜の歌」が引用されている、と書かれていましたが、初めて聞きました。いったいどこでしょうか? 後でCDで確かめなくては

最後の音が鳴り終えて、ノットはしばしタクトを宙に泳がせましたが、次の瞬間会場一杯の拍手とブラボーに包まれました 楽員からも惜しみない拍手 が送られ、新しい音楽監督を温かく受け入れようという姿勢が垣間見られました

演奏を振り返ってみると、この日の演奏は「現代のシューベルト像」を描いたものと言えるのではないか、と思いました

 

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キュッヒル・クァルテットでベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1、7,12番」を聴く~サイクルⅠ

2014年06月14日 09時26分25秒 | 日記

14日(土)その2。昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)で、サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン「キュッヒル・クァルテット ベートーヴェン・サイクルⅠ」を聴きました プログラムは、ベートーヴェンの①弦楽四重奏曲第1番ヘ長調、②同第7番ヘ長調「ラズモフスキー第1番」、③第12番変ホ長調 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の初期、中期、後期からそれぞれ1曲を選んだプログラムです。クァルテットのメンバーは第1ヴァイオリン=ライナー・キュッヒル、第2ヴァイオリン=ダニエル・フロシャウアー、ヴィオラ=ハインリヒ・コル、チェロ=ロベルト・ノーチです

 

          

 

 自席はLB3列5番、左ブロック左から3番目です。ステージ上の椅子の位置を見ると、壁に近い位置にセッティングされています この日の午前中に聴いたクァルテット・エクセルシオは、もっと真ん中に近い位置だったように記憶しています 音の反響を計算してのことでしょうか?4つの椅子のうち、一番右側の椅子の高さが圧倒的に高くセッティングされています 楽器で言えばチェロしかないでしょう。4人が登場して、そのことが判明しました。向かって左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという態勢をとります

 

          

 

最初に演奏するのは弦楽四重奏曲としては第1曲目の作品18-1番です 冒頭の動機を聴いただけで、ベートーヴェンのこの分野に乗り込む意気込みを感じさせます これは最後まで変わりません。終始キュッヒルの主導で演奏が展開しますが、彼は怖い顔をして演奏しています。それに習ってか、他のメンバーも怖い顔でベートーヴェンに大曲に対峙します

キュッヒルは演奏が終わってからもニコリともせず軽く一礼して舞台袖に引っ込んでいきます。宿に帰ったら日本人の奥さんに「あ~た、そんなに気難しい顔してないで、もう少し笑顔を見せたらどうなの~」とか言われているのではないかな、なんて勝手な想像をしてしまいます

とても残念だったのは、第2楽章のアダージョの演奏中に、センターブロック後方から「トゥルルルル・・・・・」という小さな連続音が聴こえてきて、続けて着信メロディーが聴こえてきたのです あれほど、事前放送でケータイの電源を切るように注意を呼び掛けているのに、まだ居るのですね。こういう人種は指定が懸念されているニホンウナギのように「絶滅危惧種」だと思っていましたが、まだ滅亡していないようです あの音は明らかに真剣な表情で「アダージョ」を演奏している4人の演奏者たちの耳に達していました 私などは、彼らが途中で演奏を止めてしまうのではないかと心配したくらいです ウィーンからわざわざ日本の聴衆のためにやってきた4人のアーティスト達に申し訳ない思いでいっぱいです

2曲目に入ります。中期の第7番は「ラズモフスキー第1番」と呼ばれています。ロシアのラズモフスキー伯爵から作曲を依頼されたことから、そのような愛称が付けられました 第1楽章冒頭は懐が深い英雄的と言ってもよい堂々たる音楽です。ベートーヴェンはいいな、とあらためて思います

休憩後は後期の第12番です。この曲は10年以上も弦楽四重奏曲から離れていた晩年のベートーヴェンが、第9初演後に再度このジャンルに取り組んだ最初の作品です。第9初演頃と言えば、ベートーヴェンはほとんど耳が聞こえなかったのではないか、と思います。それでもなお、意欲的に弦楽四重奏曲の作曲に取り組むのですから、凄い生命力です 第1楽章の冒頭を聴くと、ただならぬ強い意志のようなメッセージを感じます 4人の演奏者たちは相変わらず怖い顔で演奏していますが、聴いていて「自分は今、世界最高級のベートーヴェンのクァルテットを聴いているのだ」ということを実感します

会場一杯の拍手 に、何度もステージに呼び戻された彼らは、4度目に出てきた時に着席しました。予想外のことが起こりました。何とまさかのアンコールが演奏されます ギャラップのような速いパッセージで駆け抜けていく、言わば疾風怒濤の曲想です 作曲者が分からなかったのですが、あとでロビーの掲示に「ハイドン作曲、弦楽四重奏曲第74番ト短調作品74-3『騎士』から第4楽章」とありました。この演奏でハイドンを見直しました。それにしても凄い演奏でした

 

          

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サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン・エンジョイ!ウィークエンドVol.2

2014年06月14日 07時02分14秒 | 日記

14日(土)。昨日午後2時半から、サントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)で、サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン「エンジョイ!ウィークエンドVol.2」公演を聴きました。公表されたプログラムは①ベートーヴェン「モーツアルト『魔笛』から『恋人か女房か』による12の変奏曲」、②同「チェロ・ソナタ第5番ニ長調」の2曲 演奏はチェロ=堤剛、ピアノ=小山実稚恵です

 

          

 

 自席はC6-12番。センターブロック右通路側です。偶然前の席が空いていたのでステージが良く見えてラッキーです 開演前に「地震の際は・・・・」というアナウンスが入りますが、その都度思わず天井を見上げてしまいます 「ブルーローズ」は縦横4列、計16個の見事なシャンデリアが吊るされており、「あれが落ちてきたら命がないな」と心配になります。まあ、あの3.11の時も落ちなかったようなので大丈夫なのでしょうが・・・・・

 

          

 

演奏者の登場です。上がダークグリーン、下がゴールド地に花模様の付いた大胆素敵なドレスの小山実稚恵とサントリーホール館長でもある堤剛が姿を見せます 1曲目はベートーヴェン「モーツアルトの『魔笛』から『恋人か女房か』による12の変奏曲」ですが、鳥刺し・パパゲーノのアリアを変奏した曲です。これは楽しい曲です 父娘協演のような微笑ましい雰囲気で楽しい演奏を展開しました

演奏後、小山さんがマイクを握り挨拶します

「ベートーヴェンの室内楽を演奏することは、私にとって喜びであり、リハーサル中から本番がとても楽しみでした 1曲目と2曲目のベートーヴェンと、3曲目のサプライズもありますよ ハイッ」

と、すぐにマイクを堤氏に手渡します。堤氏は笑いながらマイクを受け取り、

「最初に私が話をして冗談でも言おうものなら、小山さんは笑いが止まらなくなってしまうので、最初に話してもらうことにしました 次のチェロ・ソナタ第5番は哲学的で深い音楽です。どうぞお聴きください

とあいさつし、演奏に入りました。それにしても、「3曲目にサプライズがあります」と言ってしまう小山さんは、よほどウソのつけない正直な人なのでしょうね あらかじめ「サプライズがある」と言ってしまったらサプライズにならないのではないか、と思うのですが、どうなんでしょうか 私にとっては、そんな小山さんがサプライズです

ともあれ、曲は堤氏が言われたように、冥想的な音楽で、第3楽章のフーガの演奏は見事でした

 

          

 

演奏後、再度マイクをとった堤氏が

「二人で話したんですが、この2曲だけで演奏を終わるのは、ほとんど詐欺になるので(会場)、アンコールに長めの曲を演奏することにしました(会場)。曲名は皆さまご存知だと思います

とあいさつしました。たしかに、この2曲が終わった段階でまだ40分しか経っていません ピアノの伴奏に載せてチェロがお馴染みのメロディーを奏で始めました。シューベルトの「アルぺジョーネ・ソナタ」です 第1楽章が終わったところで、アンコール終了と思って拍手が起こるかと思いきや、何と第2楽章が続けて演奏されました。どうやら3楽章まで全曲演奏するようです

予想通り、二人は20分を超える「アルぺジョーネ・ソナタ」全曲をアンコールとして演奏し切りました 私は長い人生を生きてきましたが、アンコールに一つの曲の全曲を聴いたのは今回が初めてです これで二人は「詐欺」呼ばわれしないで済むことになりました

あとで冷静に考えてみると、「エンジョイ!ウィークエンド」はほぼ1時間のコンサートなのだから、最初から3曲目のシューベルトもプログラムに組んで公表すべきだったのではないか、と思いました

この後、一旦家に戻って一休みしてから、再びサントリーホール「ブルーローズ」に出かけてキュッヒル・クァルテットのベートーヴェンを聴きましたが、その模様は次のブログでご紹介します

 

          

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サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン・エンジョイ!ウィークエンドVol.1

2014年06月13日 23時06分55秒 | 日記

13日(金)その2。今日は休暇をとって、サントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)で、サントリーホール・チェンバーミュージックガーデンの公演を3つハシゴしました

まず最初に午前11時から「エンジョイ!ウィークエンドVol.1」コンサートを聴きました プログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲変ホ長調”冗談”」から第1楽章、②ボロディン「弦楽四重奏曲第2番ニ長調」から第3楽章”ノクターン”、③武満徹「ア・ウェイ・ア・ローン」、④ベートーヴェン「弦楽五重奏曲ハ長調」から第1楽章、⑤メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」から第1楽章です

 

          

 

「ブルーローズ」に入る時、プログラムと一緒にドリンクチケットをいただきました シャンパン以外は飲めるとのことですが、会場に来る前に外でアイスコーヒーを飲んできたので、後のコンサートの時に利用することにしました

 

          

 

自席はC1-9番。センターブロック最前列のやや右よりです。ステージの演奏者にこれほど近い席は生まれて初めてです ステージの床を見ると、椅子の位置決めのためのT字型のマークがカラフルに貼られています。これは遠くの席からは見えない特権です

照明が落とされ、クァルテット・エクセルシオのメンバーが登場します。左から第1ヴァイオリンの西野ゆか(淡いグリーンのドレス)、ヴィオラの吉田有紀子(シルバー)、チェロの大友肇、第2ヴァイオリンの山田百子(淡いパープル)という並びです 私のすぐ目の前で山田さんがヴァイオリンを弾くことになります

1曲目のハイドン「弦楽四重奏曲変ホ長調」から第1楽章が演奏されますが、この曲は『冗談』というニックネームが付いています。それは第4楽章のジーグ風の音楽から付けられたものです。この作品によって弦楽四重奏曲の古典的なスタイルが完成したと言われる重要な曲です

エクセルシオによって、ハイドンらしい優雅で余裕のあるメロディーが阿吽の呼吸で奏でられます

演奏が終わって、吉田さんがマイクを持ってあいさつします

「本日は、今年のチェンバーミュージックガーデン始まって以来初めて晴れの日になりました 今日はサッカーのワールドカップが始まったということで、世の中が盛り上げっていますが、わがエクセルシオも今年、多くの皆さまの応援によって結成20周年を迎えることができました(会場)。ただ今演奏したハイドンの作品は通称『冗談』と呼ばれていますが、今の演奏は第1楽章でしたので、愛称の『冗談』の部分=第4楽章をお聴きになりたい方は、後ほどCDでお聴きになってください(会場) 次に演奏するのはボロディンの『弦楽四重奏曲第2番』から第3楽章”ノクターン”です。エクセルシオは最近、この曲を含めたCDを発売して、ロビーでも販売しておりますので、お手に取ってご覧いただければと思います

としっかりPRして演奏に入りました 最初の部分でチェロがテーマを弾くところはいいですね 次いで、ヴァイオリンが高音で追いかけるところはコントラストが鮮やかで、これもいいです

 

          

 

再び吉田さんがマイクを握り、次の曲の解説をします

「次は武満徹の『ア・ウェイ・ア・ローン』ですが、この曲はつい最近解散した東京クァルテットの結成10周年を記念して委嘱された曲です 『海』をイメージして書かれています。私は深海をイメージしますが、皆さんはいかがでしょうか

聴いてみると、確かに曲想としては海の底にいるような感覚です 演奏後、再度マイクを握った吉田さんが次の曲を解説します

「次に演奏するのはベートーヴェンの『弦楽五重奏曲』から第1楽章です。われわれエクセルシオの活動の大きな目的はベートーヴェンの弦楽四重奏曲を弾き続けることですが、その延長線上に五重奏曲の演奏があります。若い福井萌さんをヴィオラに迎えて演奏します

今度は態勢が入れ替わり、左から西野、山田、大友、福井、吉田という並びになります。私の目の前は吉田さんです。やったー

何とも恥ずかしいことですが、私はこの曲のCDを1枚も持っていないので予習が出来ませんでした 生演奏では少なくとも1回は聴いたことがあります。その時、実に良い曲だ、と思いました。今回あらためて聴いてみて、やっぱり素晴らしい曲だと思いました もちろん5人の演奏がベートーヴェンの魅力を十分に引き出した素晴らしい演奏だったからですが

再び吉田さんがマイクで解説します

「他のメンバーが舞台袖に引っ込んでいくのに私だけが残されていますが、エクセルシオでは、毎年MCが変わります。2014年は私がMCを担当することになりました さて、最後の曲はメンデルスゾーンの『弦楽八重奏曲』です。この曲はエクセルシオもいろいろな方々と演奏しました。セカンド・パートを弾くケースが多かったのですが、今回はファースト・パートを弾くということで、ファーストから見るとセカンドはこういう風に思って弾いているのか、とか、いろいろと勉強になりました クァルテット・ソレイユという四重奏団の4人の若い女性を迎えて演奏します

左から西野、山田、吉田、大友(以上エクセルシオ)、太田(チェロ)、高橋(ヴィオラ)、東山、平野(以上ヴァイオリン)という態勢をとります 女性陣は白あり、グリーンあり、イエローあり、ピンクあり、とカラフルな衣装で目も楽しませてくれます

メンデルスゾーンの『弦楽八重奏曲』の魅力は、推進力です 8人の演奏者たちは、お互いに目でコンタクトをとりながら、見事なアンサンブルでメンデルスゾーンの魅力を十分に引き出してくれました

休憩なしの1時間強の演奏会でしたが、本当に充実した楽しいコンサートでした この後、午後2時半から「エンジョイ!ウィークエンドVol.2」を同じ会場で聴きましたが、明朝のブログでご紹介します

 

          

 

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