人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「室内楽アカデミー ファカルティの名曲選」を聴く~サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン

2016年06月20日 07時24分10秒 | 日記

20日(月)。わが家に来てから631日目を迎え、仲間たちと戯れるモコタロです

 

          

             目の先にあるのは・・・もちろんオヤツです

 

  閑話休題  

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」で「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン」の「室内楽アカデミー ファカルティの名曲選」を聴きました プログラムは①バルトーク「44の二重奏曲」から第37番「前奏曲とカノン」、第35番「ルテ二アのコロメイカ舞曲」、第28番「悲しみ」、第42番「アラビアの歌」、②ドヴォルザーク「三重奏曲ハ長調」、③ベートーヴェン「ピアノ四重奏曲変ホ長調」、④フランク「ピアノ五重奏曲ヘ短調」です 出演は、ヴァイオリン=原田幸一郎、池田菊衛(共に元・東京クァルテットのメンバー)、ヴィオラ=磯村和英(同)、チェロ=毛利伯郎(元・読響首席)、ピアノ=若林顕です

 

          

 

自席はC4列3番、センターブロック左から3つ目です。1曲目のバルトーク「44の二重奏曲」Sz98は1931年に作曲されましたが、バルトークが若いころからハンガリーの農村で行ってきた民謡採集(採譜、録音)のフィールドワークに基づく研究成果が盛り込まれています 

白髪の二人のヴァイオリ二スト=原田幸一郎氏、池田菊衛氏がステージに登場します。共にニューヨークを拠点に世界的に活躍した東京クァルテットのメンバーです

第37番「前奏曲とカノン」、第35番「ルテ二アのコロメイカ舞曲」、第28番「悲しみ」、第42番「アラビアの歌」の順に演奏しましたが、いずれも民族舞曲風の曲想で、時に原田氏が足で拍子を取りながら演奏していたのが印象に残りました

2曲目のドヴォルザーク「三重奏曲ハ長調」の演奏のため、ヴィオラの磯村和英氏(旧・東京クァルテット)が加わります。3人揃ったところで池田氏がマイクを持って挨拶しました

「今日は”父の日”ということらしいのですが、われわれだと、”おじいちゃんの日”になりそうです ここにいる二人は相当古くからの付き合いです。ちょっと話してもらいましょう

と言って、磯村氏にマイクを渡しました。磯村氏は

「原田君は九州出身なのですが、小学校3年生くらいの時から桐朋の「子どものための音楽教室」に通うため、東京に赴任していたのです その頃、私の家にも泊まったりしていました。その後、共に桐朋学園に行き、その後、ジュリアード音楽院に行くことになりました

つまり、この二人は小学校の時からプロとして活躍するまでずっと一緒に行動してきたわけです

ここでこの3人の東京クァルテットにおける在籍状況をご紹介しておきます

原田幸一郎氏=1969年の創設メンバーの一人。12年間 第1ヴァイオリンを担当。

磯村和英氏=1969年の創設メンバーの一人。44年間 ヴィオラを担当。

池田菊衛氏=1974年から39年間 第2ヴァイオリンを担当。(1969年の創設メンバーは名倉淑子)

なお、チェロの1969年の創設メンバーは原田禎夫氏です。

東京クァルテットは2013年6月に演奏活動に終止符を打っています

さて、ドヴォルザークの「三重奏曲ハ長調」は1887年に、2人の友人と彼自身のヴィオラ演奏を想定して作曲したものです 白髪の3人が第1楽章の演奏に入ります。いかにもドヴォルザークらしい親しみやすい曲想の優しい音楽です 第2楽章は”スラブ舞曲”のような曲想です。第3楽章、第4楽章と続きますが、聴き終わって思うのは、やはりドヴォルザークは屈指のメロディーメーカーだな、ということです

次のベートーヴェン「ピアノ四重奏曲変ホ長調作品16」を演奏するため、原田氏が抜け、ピアノの若林顕氏、チェロの毛利伯郎氏の二人が加わります

再び池田氏がマイクを持って解説します

「ハイドンの交響曲に、最初は全員で演奏しているのに、どんどん演奏者が抜けていって、最後はだれもいなくなってしまう曲がありますが、このコンサートはその逆を行きます 最初は二人、次は三人に、そして今度の曲は四人に増えます。チェロの毛利君とピアノの・・・えぇっと???(他のメンバーから『若林君だよ』の声)そうそう、ピアノに若林先生を迎えます

往年の東京クァルテットのヴァイオリニスト池田氏から見れば、チェロの大ベテランも「毛利君」だし、中堅ピアニストの若林顕氏に至っては名前さえよく覚えていない、ということなのでしょう すごい世代間ギャップを感じます

さて、ベートーヴェン「ピアノ四重奏曲変ホ長調 作品16」は、「ピアノと菅楽器のための五重奏曲」をベートーヴェン自身がピアノと弦楽三重奏用に編曲したものです ベートーヴェンは当初ピアニストとして活躍していたわけですが、1796年にプラハ、ドレスデン、ライプツィヒ、ベルリンに演奏旅行に出た際に書かれたのが「ピアノと管楽器のための五重奏曲」でした 1784年にモーツアルトが同じ編成によるピアノ五重奏曲を書いており、この曲に触発されて書いたのではないかと言われています ベートーヴェンが自作をピアノと弦楽三重奏曲に編曲して出版したのは1801年でした

3つの楽章から成りますが、全体として明るく優美な旋律に満ちた曲想です 4人の演奏は、普段「ピアノと管楽器」で聴いている耳にも違和感なく響いてきました

 

          

 

休憩後はフランク「ピアノ五重奏曲ヘ短調」です この曲は1878年~79年に作曲されました。フランクは1822年にベルギーで生まれましたが、少年時代にフランスのパリに移り、パリ音楽院で学び、パリを本拠地として活動を展開しました われわれが何となくフランクはフランス人だというイメージを持つのはそういう理由です

この曲は3つの楽章から成りますが、この曲はフランク特有の「循環形式」で書かれており、第1楽章に出てきた”循環動機”が全曲を通して出てくることになります ヘ短調という調性もあり、全体的に重く暗めの曲想で、鑑賞するという気分になるには余裕がありません しかし、演奏は力強くもあり深くもあり、フィナーレは見事でした

大きな拍手を受けて、池田氏が「この曲は良い曲なんですが、ちょっと暗いですよね 最後は楽しく終わりたいと思います。アンコールに、ドヴォルザークの『ピアノ五重奏曲』から第3楽章を演奏します」と言って5人で演奏し、会場一杯の拍手を受けました

東京クァルテットが上り坂の現役の時に生で聴いてみたかったな、と思いながら帰途につきました

 

          

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クァルテット・エクセルシオでベートーヴェン「弦楽四重奏曲第3番、第8番、第15番」を聴く

2016年06月19日 08時32分25秒 | 日記

19日(日)。昨日、マンション管理組合の定期会員総会があり理事長として出席しました 理事・監事を含めて本人出席は15名ということで例年通り変わりありません 今回の総会は、27年度事業報告・会計報告、28年度事業計画案・予算案、管理会社との委託契約更新のほか、修繕積立金改定、民泊禁止規定の制定、専用部リフォーム工事内規の制定、LED照明の導入、次期役員の選出など盛りだくさんの内容で、午前10時に開会した総会が終わったのは午後12時10分を回っていました 幸いすべての議題が全会一致で可決され、私の2年間の理事長としての役割も解除されました。まだ、総会議事録への署名・押印や次期の理事長への引き継ぎが残っていますが、事務手続きに過ぎません。問題は次期の理事長がスムーズに選出されるかどうかです

私の住むマンションの管理組合は、数年前から理事の選出方法を変えています。全86世帯ありますが、部屋番号の縦割りでグループを作り 輪番制にしています 例えば201号室、301号室、401号室・・・というように最後に1のつく部屋の人だけでグループを作り、2年後は202号室、302号室、402号室というように最後に2のつく部屋の人でグループを作るといった具合で、4つのグループが2年ごとに交代します そのグループの中で互選によって理事長が選ばれるのですが、今回の総会に出席した次期の役員候補者は9人のグループの中のたったの3人でした これでは話し合いも何もできません。あらためて管理会社を通じて該当ブループの9人全員を招集して決めることになるでしょう

ということで、わが家に来てから630日目を迎え、わき目も振らずにおやつにかぶりつくモコタロです

 

          

             ぼくにとっては 「食べること=生きること」なんだよな

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」でクァルテット・エクセルシオによる「ベートーヴェン・サイクルⅤ」(最終回)を聴きました プログラムはベートーヴェンの弦楽四重奏曲①第3番ニ長調、②第8番ホ短調”ラズモフスキー第2番”、③第15番イ短調です

 

          

 

自席は4列3番、センターブロック左から3つ目です。いつものように開演時間の前に自席でチラシと格闘していると、新日本フィルのヴァイオリン奏者・篠原英和さんが「トラさん、こんにちは。先日はどうも・・・飲んでまして」と声をかけてくださいました 前回のコンサートで休憩時間に声をかけようとしたら、ホワイエでワインを召し上がっていて話ができなかったことを翌日のブログに書いたので、そのことをおっしゃっていたのでした なぜか いつも通り 握手をしました

拍手の中、エクセルシオの4人が登場します。女性陣は紫色を基調とするステージ衣装で統一しています 5回とも違う衣装でしたね

最初に演奏される「弦楽四重奏曲第3番ニ長調作品18-3」は、ベートーヴェンの最初の弦楽四重奏曲です。4つの楽章から成りますが、全体的に、若き日の作曲家の溌剌とした意欲を感じさせる音楽です 第1楽章の優美な演奏を聴いていて、ふと第1ヴァイオリンの西野ゆかさんの左腕をみると、細い肌色の目立たないテープを数本貼っていました 先日、篠原さんが「彼女はテープを貼って騙し騙し演奏していると聞いている」と話していましたが、目の前でその現実を見ると痛々しいものがあります 彼女は何でもないような顔をして演奏していますが、相当無理をしているのでしょう。最後まで頑張ってほしいと思いました

2曲目の「弦楽四重奏曲第8番ホ短調作品59-2”ラズモフスキー第2番”」は、ウィーン駐在のロシア大使ラズモフスキー伯爵の依頼を受けて作曲した3曲のうち2番目の作品です 他の2曲が長調で書かれているのに対し、この曲だけ短調で書かれています それを反映して、全体的に他の2曲とは異なる内省的な曲想になっています

私がこの曲で印象に残るのは第2楽章のモルト・アダージョです。「きわめて深い感情を込めて」と記されています。ベートーヴェンはやはり緩徐楽章が素晴らしいと思います 第4楽章は、それまでの内省的な音楽から一転して、行進曲風のリズミカルな音楽になります これなど、やっぱりベートーヴェンらしくていいなと思います。エクセルシオの演奏はこの曲の”深さ”を追求した素晴らしい演奏でした

 

          

 

休憩時間にロビーに出ると、篠原さんが同じ新日本フィルのTさんと会話をしているのを発見、別れるのを見計らって声を掛けました

tora:いかがでしかた、今の演奏は?

篠原:素晴らしかったですね 巌本真理クァルテットを初めて聴いた時は感動で立ち上がれないほどでしたが、エクセルシオはそれ以来のクァルテットだと思います 過日、チェロの大友氏の出身地の千葉県で今回と同じプログラムで演奏したのを聴きましたが、その時より演奏が練れていますね。素晴らしかったです

tora:素晴らしい演奏でした。ところで、西野ゆかさんは左手にテープを貼って演奏していましたね

篠原:この間もメールが届いて、テープで騙し騙し演奏していると書いていました 今の山を越えるまではしょうがないです。大丈夫ですよ。彼女は最後までやり遂げますよ

tora:そう願っています ところで「ラズモフスキー」というと小林秀雄のエッセイを思い出します タイトルは忘れましたが、彼が銀座のレコード店に行って「ラズモフスキーをくれ」と言うと、店員が「何番でしょうか?」と聞きます。すると彼は「全部くれ」と言うのです。それだけの話ですが、当時はベートーヴェンを聴く人、中でも弦楽四重奏曲を聴く人は極めて珍しかったと思います 小林秀雄をはじめとする知識人は凄かったですね

篠原:小林秀雄は凄いです。何でも知っていた 有名なエッセイがありましたね。「モーツアルト」ではなくて「モォツアルト」。

tora:クラシック音楽愛好家で、あの本の影響を受けていない人はいないのではないかと思います

篠原:そうですね。ところで、トラさんは休憩時間には飲まれないんでしたっけ?

tora:そうなんです。申し訳ありません

篠原:それじゃ、失礼して私はワインを・・・

tora:どうぞ、ご遠慮なく

篠原さんはバー・コーナーへ、私は「ブルーローズ」へ戻りました 本当はお付き合いしてワインでも飲みながら歓談したいのですが、私の場合は休憩時間にアルコールを飲むと、頭が朦朧として訳が分からんチンになってしまうので、控えるようにしているのです 篠原さんはさぞかし「付き合いの悪いヤツだな」と思われたかもしれませんが、自分で決めたコンサートを聴く際の流儀を変えるわけにはいかないのです。そこのところを斟酌いただき、何とぞご容赦をお願いいたします

 

          

 

休憩後は「弦楽四重奏曲第15番イ短調 作品132」です この曲はロシアのガリツィン侯爵の依頼により書かれた3曲(第12番、第15番、第13番。以上 作曲順)の2番目に書かれた曲で、ベートーヴェンとしては初めて5楽章形式で書いた弦楽四重奏曲です

第1楽章はチェロから始まる序奏に続いてロマン的な音楽が展開します 第2楽章では中間部で弦楽器によってバグパイプのような響きを表出しますが、この演奏は見事のひと言でした さて、問題は第3楽章です なぜエクセルシオがこの第15番を「ベートーヴェン・サイクル」の最後に持ってきたか、その解答がこの楽章の演奏にあります

第3楽章は冒頭に「病癒えし者の神への聖なる感謝の歌、リディア旋法で」と書かれ、第2の部分に「新しい力を感じて」と書かれています。これは、ベートーヴェンが作曲の途中で持病の腸カタルが悪化して数週間寝込んでしまい、それが治ったことに対する感謝の気持ちを表しています エクセルシオの演奏は「神が降りたか」という神々しいまでの域に達していました この境地を表現できるクァルテットは極めて少ないでしょう 

次の楽章への繋ぎ的な第4楽章を経て最終楽章の第5楽章に移りますが、この楽章は当初、交響曲第9番の第4楽章として構想されていたと言われています 情熱的な終曲ですが、第九の”合唱付き”を知っている現代のわれわれからすれば、凄い違和感があります やはり、これは弦楽四重奏曲第15番の第5楽章にこそ相応しい音楽でしょう

最後の音が鳴り終わると、会場一杯の拍手とブラボーが4人を取り囲みました 4回目、5回目のカーテンコールで、彼らはお互いにハグし合い、手に手を取って聴衆の歓声に応えました

これをもってクァルテット・エクセルシオのベートーヴェン「弦楽四重奏曲全曲演奏会」への挑戦が終了しました 西野ゆかさんは腕にテープを貼って最後まで第1ヴァイオリンを弾き通しました 今回の「ベートーヴェン・サイクル」はクァルテット・エクセルシオの歴史に新たなページを切り開いたエポックメイキングなパフォーマンスだったと思います Excelsus(高い)の比較級に由来するExcelsiorは『さらに高みへ』ということを意味しているとのことですが、4人は確実にその道を進んでいると確信します 4人のますますの活躍をお祈りし、これからも より多くのコンサートを聴きたいと思います

 

          

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「ディスカバリー・ナイト」で「時の終わりの四重奏曲」を聴く/「殺人狂時代」「他人の顔」を観る

2016年06月18日 07時30分00秒 | 日記

18日(土)。わが家に来てから629日目を迎え、新しい仲間とやっと馴染んできたモコタロです

 

          

              ぼくたちは お互いに日本語をしゃべれないところが共通点なんだよな

 

  閑話休題  

 

昨日、池袋の新文芸坐で「第3回 仲代達也映画祭」最終日、「殺人狂時代」と「他人の顔」の2本立てを観ました 「殺人狂時代」はチャップリンではなく、岡本喜八監督・脚本による1967年 モノクロ映画(99分)です

 

          

 

犯罪心理学の大学講師・桔梗信治(仲代達矢)はある日、「大日本人口調節審議会」という不可思議な団体の男の訪問を受け、信治の命をもらうと言われる しかし、亡き母のブロンズ像が落ちてきて男は死んでしまう。桔梗はなぜ自分が命を狙われるのかを突き止めるため、特ダネを狙う週刊誌記者の鶴巻啓子(団令子)とチンピラの大友ビル(砂塚秀夫)を仲間に引き入れ、「大日本人口調節審議会」の正体を暴くべくポンコツ自動車を駆りながら暴れまくる

「大日本人口調節審議会」というのは、人口調節のために無駄な人間を殺すのが目的の組織という設定です 多くの映画でシリアスな演技を見せる仲代が、すっとぼけた一面を見せる映画です 最初に登場する桔梗は足の水虫に悩まされるド近眼の大学講師ですが、スーツを着ると一転、カッコいい男に変身します その変身ぶりが見どころのひとつです

どうやらこの映画はあまりの荒唐無稽な内容に一時オクラ入りになったらしいのですが、理屈抜きで楽しめる映画でした

2本目の「他人の顔」は阿部公房原作・脚本、勅使河原宏監督による1966年 モノクロ映画(121分)です

 

          

 

奥山常務(仲代達矢)は仕事中、顔に大やけどを負いケロイド状になり、頭と顔を包帯ですっかり覆われる身となった 顔を失うと同時に妻(京マチ子)や共同経営者からも疎まれると思い込むようになる。そこで彼は仮面を作り まったく顔を変えて生きることを考え付き、病院を訪ねる 医者(平幹二朗)は仮面に実験的な興味を持ち、仮面製作を引き受ける。知り合いが自分を見破ることができないことに自信を持った奥山は仮面を付けて自分の妻を誘惑する しかし、妻はまったく別の顔の男が奥山であることを見破った。奥山は「自分は誰でもない」と自暴自棄になり 衝動的に女を襲い警察に連行される 医者は奥山に仮面の返還を求めるが、彼は拒否する。医者が「君だけが孤独じゃない。自由というものはいつだって孤独なんだ。剥げる仮面、剥げない仮面があるだけさ。君は自由なんだ。自由にしたまえ」と言うと、奥山はナイフで彼を刺し殺す

この映画の主張は、「自由というのはいつだって孤独なんだ。剥げる仮面、剥げない仮面があるだけさ」という医者の言葉に集約されると思います 誰だって、他人には見せない顔を持っているのではないかと思います

さて、この映画では電子音楽のようなものが使われていますが、この映画の音楽を担当しているのは武満徹です 奥山と医者がビヤホールで語り合うシーンに、当時36歳の武満徹も登場しています タバコを吸いながら静かに微笑んでいるシーンで、セリフはありません。武満は多くの映画音楽を書いていますが、映画に登場するシーンは極めて珍しいのではないでしょうか

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」で、サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン「ディスカバリー・ナイト」を聴きました プログラムは①武満徹「雨の樹 素描Ⅱ オリヴィエ・メシアンの追憶に」、②同「カトレーンⅡ」、③メシアン「時の終わりのための四重奏曲」です 出演はヴァイオリン=成田達輝、チェロ=横坂源、クラリネット=吉田誠、ピアノ=萩原麻未です

 

          

 

自席はC3列2番です。照明が消え会場が真っ暗になった中、4人の奏者が静かに舞台に登場します。照明が白と黒を基調とするエレガントな衣装に身を包まれたピアニストの萩原麻未だけに当てられます。

1曲目はピアノ独奏による武満徹「雨の樹 素描Ⅱ-オリヴィエ・メシアンの追憶にー」です 1992年4月に死去したメシアンを追悼するために その年に作曲・初演されたピアノ独奏曲です 「雨の樹」シリーズは大江健三郎の短編小説「頭のいい『雨の樹(レイン・ツリー)』(1980年発表)に触発されて作曲されたそうです 萩原麻未の指から神秘的な音楽が紡ぎ出されます

演奏が終わると会場が再度 真っ暗になり、今度は4人の奏者に照明が当てられます。ピアノを奧にして、左からクラリネットの吉田誠、ヴァイオリンの成田達輝、チェロの横坂源という並びです

2曲目の「カトレーンⅡ」はヴァイオリン、チェロ、クラリネット、ピアノのための四重奏曲です  「カトレーン」というのは「4行詩」「4行連」のことを意味します  この曲は、1週間前の6月10日の「ENJOY!ウィークエンド 未来編」で日本・シンガポール合同メンバーによる演奏で聴いたばかりです この日の4人の演奏を聴いて「これが本当に1週間前に聴いた同じ曲だろうか?」と思うほど、まったく違う曲に聴こえました 1回目は初めて聴いたということもあって、”難しい曲”といった印象で まったく理解不能でしたが、今回は理解できるまでには至らないものの、武満の音楽の機微とか深さがある程度伝わってくるように思いました 4人の演奏者がそれぞれ、聴く側に語り掛けてくるような印象を受けました

演奏後、4人がそれぞれマイクを持って挨拶と曲目の解説をしてくれましたが、萩原麻未の次のような挨拶が印象に残りました

「武満徹の音楽を 最初にピアノ・ソロで、次に四重奏で演奏しましたが、武満徹の手書きの楽譜を見ながら演奏しました 楽譜はきめ細かく書かれていて、弾きながら自然の息吹とか、静かな佇まいといったようなことを感じました

この発言を聞いて、この日の映画「他人の顔」で見た静かに微笑む武満徹の顔を思い出しました

また、横坂源は

「次に演奏するメシアンの曲は、バッハに通じるところがあると思います プロテスタント(バッハ)とカトリック(メシアン)の違いはあるものの、共にキリスト教の熱心な信者で、強い信仰心を持っていて、それが曲に反映されているのではないかと思います

と語っていました

 

          

 

プログラム後半はオリヴィエ・メシアン「時の終わりのための四重奏曲」です 曲名としては「世の終わりのための~」として覚えてきたのですが、どうやら直訳すると「時の~」となるようです 

メシアンは第二次世界大戦でドイツ軍の捕虜となり、ドイツ東部のゲルリッツにあった捕虜収容所に収容されていましたが、この曲は1940年に収容所の中で作曲されました メシアンをはじめ捕虜たちによって1941年に初演されました。曲想は「新約聖書」の「ヨハネ黙示録」第10章に基づいています

演奏は「カトレーンⅡ」と同じくヴァイオリン=成田達輝、チェロ=横坂源、クラリネット=吉田誠、ピアノ=萩原麻未です

曲は全8楽章から成りますが、4人が演奏に加わる楽章もあれば、無伴奏曲もありといった具合で、いろいろな形式で構成されています

第1楽章「水晶の礼拝」を聴くと、あちこちから鳥の鳴き声が聴こえてきます

第2楽章「時の終わりを告げる天使たちのヴォカリーズ」は、萩原麻未のピアノの強打から入ります ここで、隣の男性がビクッと身体を震わせました

第3楽章「鳥たちの深淵」はクラリネットの独奏により、最弱音から最強音まで、息の長い旋律が奏でられます 吉田誠の演奏は緊張感に満ちた素晴らしいパフォーマンスでした

第4楽章「間奏曲」は、まるでポルカのような賑やかな曲で、どちらかというと楽しい音楽です

第5楽章「イエスの永遠性への頌歌」はピアノ伴奏によりチェロが美しいメロディーを奏でます。横坂源のチェロはしみじみと聴かせてくれました

第6楽章「7つのラッパのための狂乱の踊り」は4つの楽器が総動員で演奏される活気のある音楽です

第7楽章「時の終わりを告げる天使のための虹の錯乱」はチェロの独奏から入りますが、途中から4人によるリズム中心の曲想に変化します この楽章における萩原麻未のピアノはリズミカルで迫力がありました

第8楽章「イエスの不滅性への頌歌」はピアノ伴奏によりヴァイオリンが崇高なメロディーを奏でます 成田達輝のヴァイオリンは終始弱音による演奏でしたが、会場の隅々まで美しい音が響き渡りました

最後の音が静かに鳴り終わって、4人の奏者がじっと動かず、しばし”しじま”が続きました 成田がヴァイオリンの弓を降ろせば拍手が来るところですが、彼はなかなか降ろしませんでした。終わるのが名残惜しそうです

この4人は日本全国を回ってこの曲を演奏している(横坂氏の説明では今回が4回目)とのことです 若者たちの演奏は気持ちの良いものがありました それにしても、この曲は本当にナチの捕虜収容所の中で書かれたのだろうか、と思わずにいられません

 

          

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藝大モーニング・コンサートでブラームス「ピアノ協奏曲第2番」他を聴く/「サウルの息子」を観る

2016年06月17日 07時13分28秒 | 日記

17日(金)。わが家に来てから628日目を迎え、ゲージの中からおやつをねだるモコタロです

 

          

            おやつくれ お願いだ 夕食いらないから おやつくれ 

 

  閑話休題  

 

神楽坂のギンレイホールで、ネメジュ・ラースロー監督、2015年ハンガリー映画「サウルの息子」(107分)を観ました

 

          

 

1944年アウシュビッツ=ビルケナウ収容所で、ユダヤ人の同胞の死体を処理する”ゾンダーコマンド”として働くサウルは、ガス室で生き残った息子とおぼしき少年を発見するが、少年は窒息死させられ解剖されることになる サウルは人間の尊厳にかけて、何とか息子を正しく埋葬したいと思い、解剖される前の死体を奪う。サウルは他のゾンダーコマンドたちと共に息子を背負って脱獄するが、追手はすぐ後ろに迫っていた

第二次世界大戦では、ナチスドイツによって数えきれないほどのユダヤ人たちがガス室送りになり虐殺された訳ですが、この映画で明らかになっているのは、ナチは同じユダヤ人を使って同胞をガス室に送り、死体を焼却させたという事実です 映画では 映像がぼかされてはいるものの、死体が引きずられるシーン、焼却されるシーン、死体の山のシーンが、死体を”部品”と呼ぶシーンが これでもかというくらい出てきます  人間の尊厳とは何か、ということを考えさせられるシリアスな映画です  なお、この映画は第68回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞、第88回アカデミー賞外国映画賞受賞作です

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、上野の東京藝大奏楽堂で「藝大モーニング・コンサート」を聴きました  プログラムは①大橋征人「I was born」、②ブラームス「ピアノ協奏曲第2番」です  ②のピアノ独奏は横山瑠佳、指揮は山下一史です

 

          

 

開演15分前に会場に着くと、全自由席の約半数の席が埋まっていました 1階14列27番、右ブロック左から2つ目の席を確保しました

1曲目は藝大作曲科4年の大橋征人君作曲の「lwas born」です 演奏に先立って本人が舞台に登場し自作について解説しました プッチーニの歌劇「マノン・レスコー」の一つのアリアを動機として、旋律を分解し、音列として発展させた作品ということです しっかりした学生だと思いました

藝大フィルハーモニアのメンバーが揃い、指揮の山下一史のタクトで曲が開始されます 冒頭から宇宙のビッグバンを表すかのような大太鼓の連打が会場に響き渡り、弦楽器を中心にいかにも現代音楽風の音楽が奏でられます そのうち、マノン・レスコーのアリアらしきメロディーが現れ、ハーモニーが奏でられます

拍手の中、指揮者に促されて会場にいた大橋君がステージに上がり、会場の拍手を受けました

 

          

 

2曲目はブラームス「ピアノ協奏曲第2番変ロ長調」です グランド・ピアノがセンターに移動し、ソリスト横山瑠佳を待ちます。この人、実は男性です

この曲は、ピアノ協奏曲第1番から約20年後の1881年に完成しました。イタリアへの旅行の際に構想を得たもので、明るく明朗な曲想が特徴となっています もう一つの特徴は それまで3楽章形式だった協奏曲を、交響曲のように第4楽章形式として作曲したことです

ステージに登場したソリストの横山君は相当緊張しているようで、座る位置がなかなか決まりません 気持ちを落ち着けるためでしょうか、椅子を動かしたり、ハンケチでピアノの鍵盤を拭いたり、ペダルの位置を確かめたりしています。やっと指揮者に向き直り準備OKの合図を送ります

第1楽章冒頭はホルンの雄大な独奏から入りますが、ちょっと残念な結果になりました ただし、横山君のピアノは落ち着いて堂々と入ってきたので安心しました 山下一志は藝大フィルハーモニアからスケールの大きな演奏を引き出します

第2楽章はピアノ独奏により力強く入ります この楽章はソリストもオケもエネルギッシュに音楽を進めます

第3楽章は独奏チェロによって美しいメロディーが奏でられますが、このチェロが何とも素晴らしかったです ピアノもロマンティックな演奏に徹しました。間を置かずに第4楽章に移りますが、ここまでくると、大橋君も多少リラックスしてきたようで、陽気で軽快な演奏を展開します そして、ピアノとオケで雄大なスケールのフィナーレを飾ります。「ピアノを独奏とした交響曲」という曲想を感じさせる堂々たる演奏でした

ところで、第4楽章に移るころに気が付いたのですが、オーボエ奏者は東京交響楽団の首席奏者・荒木奏美さんではないかと思います 顔付きがそっくりです。彼女は確か藝大大学院に在籍しながら東響でプロとして活躍しているはずです この曲はホルンとクラリネットが活躍するシーンが多いのですが、オーボエはそれほど出番がないので、気が付きませんでした

この日のモーニング・コンサートは、横山君の真摯な演奏が印象に残る素晴らしいコンサートでした

 

          

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エクセルシオの「ベートーヴェン・サイクルⅣ」を聴く/飯野ビル・ランチタイムコンサートを聴く

2016年06月16日 07時37分37秒 | 日記

16日(木)。わが家に来てから627日目を迎え、ファブリーズが気になって 舐めようかどうか迷っているモコタロです

 

          

                             モコ:これ 舐めてみようかな  白ウサ:やめときなはれ

 

  閑話休題  

 

昨日、夕食に「牛肉の八幡巻き」と「生野菜サラダ」と「インゲンのお浸し」を作りました 「牛肉~」はゴボウを四つ切にしたものを牛のモモ肉で巻いたものですが、切り落としを使ったので巻きにくいことこの上ありませんでした

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日午後、内幸町の飯野ビルのエントランス・ロビーで「第51回ランチタイムコンサート」を聴きました この日の出演者はヴァイオリン=田中ひかるさん、ピアノ=高橋理沙子さんのお二人で、共に東京音大の出身です

 

          

 

午後12時5分開演なので15分前にロビーに行き、最前列席を押さえました ヴァイオリンの田中ひかるさんは淡いグリーンの、高橋理沙子さんは淡いピンクのドレスで登場、最初に二人がマイクを持って挨拶し簡単に演奏曲目を解説しました 高橋さんは相当上がっている様子でしたが、田中さんは非常に落ち着いていました

1曲目のエルガー「愛の挨拶」と2曲目のモンティ「チャルダッシュ」は二人による演奏です 両曲とも この手のコンサートでは定番の曲ですね 演奏者に極めて近い席で聴いているため、ヴァイオリンはもちろんのこと、ベーゼンドルファーの厚みのある音が迫ってくるような感じでした

続いて高橋さんのピアノ独奏によりリスト「愛の夢 第3番」とドビュッシー「水の反映」が演奏されました 「愛の夢」はロマンティックなアンコール・ピース、「水の反映」は音による水の動きの描写です

再度、ヴァイオリンの田中さんが加わり、ラフマニノフ「ヴォカリーズ」が演奏されました。郷愁を誘われる曲想です そして、最後に高橋さんのピアノ独奏でリスト「ハンガリー狂詩曲 第8番」が華々しく演奏され、ロビーを行き来する人々の足を止めていました

このコンサートは昼時に気軽に聴けるのがいいですね 次回は7月20日(水)とのことです。また聴きに行こうと思います

 

  最後の、閑話休題  

 

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」でクァルテット・エクセルシオによる「ベートーヴェン・サイクルⅣ」を聴きました プログラムはベートーヴェン①弦楽四重奏曲第1番ヘ長調、②同第9番ハ長調”ラズモフスキー第3番”、③同第14番嬰ハ短調です

 

          

 

自席はセンターブロックC3列です。いつものように開演前に自席でチラシの束と格闘していると、後方から「トラさん、こんにちは。お元気ですか」という声がかかりました。新日本フィル第2ヴァイオリン奏者・篠原英和さんでした ベートーヴェン・サイクル1以来の再会で、この日も握手をしました

ステージにエクセルシオのメンバーが登場します。女性陣は個々にデザインは異なるものの 黒と白を基調としたシックなステージ衣装です

1曲目の「第1番ヘ長調 作品18-1」は1798~1800年に作曲された作品18の6曲の中で2番目に書かれたとみられています 一旦完成したものを、当時活躍中のフェルスターという作曲家の作品を知って書き直したということで、それだけに初期の作品とは思えないほど完成度が高い音楽です 長調の作品なので全体的には明るい基調なのですが、第2楽章はベートーヴェンが「ロメオとジュリエットの墓場の場面を思って書いた」と語ったとされる 悲しみに満ちた曲想になっています また第4楽章「アレグロ」は、同じメロディーが何度も繰り返されますが、楽しい音楽です

2曲目は「第9番ハ長調 作品59-3 ”ラズモフスキー第3番”」です。ウィーン駐在のロシア大使ラズモフスキー伯爵の依頼で書かれた3曲の「作品59」の弦楽四重奏曲の最後の曲です

第1楽章は神秘的な序奏から入り、深い世界を表出します そして溌剌とした音楽に移ります。第2楽章はチェロのピッツィカートから入りますが、大友のそれは驚くほど力強く、会場一杯に響き渡ります 次いで、抒情的な音楽が続きます。第3楽章のメヌエットを経て、切れ目なく第4楽章「アレグロ・モルト」に入ります ヴィオラから、第2ヴァイオリン、チェロ、第1ヴァイオリンへとフーガが奏でられ、この楽章全体がフーガの技法でアンサンブルが組み立てられます これほどエキサイティングな最終楽章は他の15曲にはありません。『ラズモフスキーの魅力、ここにあり』と言いたくなるような見事なフーガです

会場割れんばかりの拍手が4人に注がれます 熱演というのはこういう演奏を言うのでしょう

 

          

 

休憩時間に篠原氏を捕まえてお話ししようと思ったのですが、ロビーに出ても見つかりません どうやらワインに目のない彼はホワイエのバーコーナーでワイン片手に知人と語り合っていたようです 私は、コンサートの休憩時間には 絶対アルコールは飲みません 頭が朦朧として聴く意欲が減退するからです(そうでなくても、普段から朦朧としていますが)。

プログラム後半は「第14番嬰ハ短調作品131」です。ベートーヴェンは1825年にニコライ・ガリツィン公爵のために第12番、第15番、第13番(作曲順。番号は出版順)の3曲を書きましたが、その後の1826年8月にこの第14番を作曲しました 甥のカールを士官に任命したヨーゼフ・フォン・シュトゥッター男爵に献呈されています。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、第12番=4楽章、第15番=5楽章、第13番=6楽章と拡大してきましたが、第14番に至っては自己新記録を達成するかのように7楽章まで規模を拡大させており、それがこの曲の大きな特徴になっています ただし、第3楽章「アレグロ・モデラート」は次の第4楽章への序奏的な短い音楽で、第6楽章「アダージョ・クァジ・ウン・ポコ・アンダンテ」は終曲への序奏の位置づけにあります この曲のもう一つの大きな特徴は全楽章が切れ目なく演奏されることです

第1楽章は冒頭、第1ヴァイオリンから、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロへと、瞑想的なメロディーがフーガにより引き継がれていきます 第2楽章は一転、雲の合間から晴れ間が覗いたような明るい曲想です 第3楽章はごく短い次の楽章への序奏的な音楽です。第4楽章は曲全体の中核的な部分で、主題と6つの変奏曲から成ります 第5楽章は躍動感に満ちたスケルツォです。第6楽章は次の第7楽章への穏やかで美しい序奏です。そして、最後の第7楽章は力強いアレグロでフィナーレを迎えます

集中力に満ちた素晴らしい演奏でした 4人は何度もカーテンコールで呼び戻され 大きな拍手を受けました 個人的には第13番が好きですが、この14番も良い曲だと思います

 

          

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「フォルクハルト・シュトイデ ヴァイオリン・リサイタル」を聴く/「ディーパンの闘い」を観る

2016年06月15日 07時25分05秒 | 日記

15日(水)。わが家に来てから626日目を迎え、出すものは出したので、あとは入れるだけのスタンバイ状態のモコタロです

 

          

            早くオヤツちょうだいよ 出した分だけ補充しないと

 

  閑話休題  

 

昨日、神楽坂のギンレイホールで「ディーパンの闘い」を観ました これは、ジャック・オディアール監督による2015年フランス映画(115分)です

 

          

 

スリランカ内戦の元兵士ディーパンは、見知らぬ女と少女と共に”偽装家族”としてフランスに渡る ディーパンはパリ郊外の団地の管理人となって生計を立てるようになる。一方”妻”は高齢者のハウスキーパーの職を得、少女は学校に通うようになる 生活が軌道に乗ったと思ったのもつかの間、彼らは”薬”の売買にからむチンピラの抗争に巻き込まれてしまう 武力を捨てたはずのディーパンだったが、”家族”の命と生活を守るために立ち上がる

 

          

 

まったく赤の他人の3人が一つの家族として言葉も違う、文化も違う、食べ物さえも違う生活しなければならない現実はどんなものか これはフィクションではあるけれど、世界中に”難民問題”としてこれと似た現実がいくつもあるのだということに気づかされます 疑似家族とはいえ、もし家族の命が危険に晒されそうになった時、自分がディーパンの立場に立たされたらどうするだろうか、と考えさせられる映画です なお、この映画は第68回カンヌ国際映画祭パルムドール〈最高賞〉を受賞しています

この映画では、導入部とエンディングにバロック音楽のような曲想の静かな音楽が流れますが、残念ながら誰のどういう曲かまったく分かりませんでした

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、銀座のヤマハホールで「フォルクハルト・シュトイデ ヴァイオリン・リサイタル」を聴きました オール・ベートーヴェン・プログラムで、①ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調、②同第8番ト長調、③同第9番イ長調”クロイツェル”の3曲 ピアノ伴奏は三輪郁です。言うまでもなく、シュトイデはウィーン・フィルのコンサートマスターです 毎年4月に来日してサントリホールで演奏している「トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィーン」のコンマスとしての方がお馴染みかも知れません。一方、三輪郁は世界的なピアノ・コンクールで優勝・入賞している実力者で、ウィーンのアーティストとの共演が多いピアニストです

 

          

 

このリサイタルを聴くに当たり、ジノ・フランチェスカッティのヴァイオリン、ロベール・カサドゥシュのピアノによるCDで予習しておきました

 

          

          

 

自席は1階H列14番、センターブロック右通路側席です。会場は9割方入っているでしょうか 会場はヤマハホール、当然ステージ中央にはヤマハのピアノがと思いきや、何とウィーン製のベーゼンドルファーが構えています これはウィーン・フィルの楽員との共演が多いピアニスト三輪郁のピアノを持ち込んだのでしょうか? ヤマハホールでベーゼンドルファーを見るのは初めてです

背丈のあるシュトイデと小柄な三輪郁が登場します。シュトイデの えんじ色のネクタイと三輪のダークグリーンのドレスが素敵にマッチしています

1曲目は「ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調」です 第6番から第8番までの3曲は作品30として1803年に出版されましたが、ロシア皇帝アレキサンダー1世に献呈されました 第7番は4つの楽章から成りますが、すべての楽章がピアノから入ります。ハ短調というのは第5交響曲「運命」や第3ピアノ協奏曲と同じ調性ですが、第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」を聴くと、ベートーヴェンの気負い、あるいは思い入れのような意志を感じます 二人の演奏を聴いていて、三輪郁のピアノは流れがいいなあ と思いました。三輪のピアノに乗せてシュトイデが心地よさそうにヴァイオリンを奏でます。それはすべての楽章に言えることです。第4楽章「アレグロ」のフィナーレの畳みかけは見事でした

拍手の中、遅刻してきた隣席の高齢女性が席に着きました。香水のどぎつい匂いが鼻につきます 来るべき場所を間違えたのではないか、と思いました。コンサート会場はパーティー会場ではありません 香水をつけるなとは言いませんが、コンサートでは ほどほどにしてほしいと思います。香水の洪水はごめんです

2曲目は「第8番ト長調」です この曲は3つの楽章から成ります。ト長調という調性もありますが、全体的に明るい曲想です シュトイデのヴァイオリンは良く鳴ります。使用楽器はオーストリア国立銀行から貸与されている1718年製のストラディヴァリウスです どんなに大きな音でも美しく響き、どんなに小さな音でもクリアに聴こえます

 

          

 

休憩後は第9番イ長調「クロイツェル」です。シュトイデと三輪がステージに登場し、まさに演奏を始めようとしている時、2階席の方から女性の話声が聞こえてきました。シュトイデは演奏しようとしましたが止めました そして話声が終わるのを待って第1楽章に入りました。こういう天然記念物的な非常識人間が日本にまだ生存していることに驚きます 「二度と都内のコンサートホールに姿を見せるな」と言いたいと思います、聴衆を代表して

さて、このソナタの愛称「クロイツェル」は、ベートーヴェンがこの曲を献呈したパリ音楽院教授ロドルフ・クロイツェルの名前ですが、何とクロイツェル氏はこの曲が気に入らなかったようで、生涯一度も弾かなかったそうです それでも名前だけは後世に残った皮肉をどう言えばよいでしょうか

このソナタも3つの楽章から成りますが、前の2曲と比べるとベートーヴェンの並々ならぬ意気込みが伝わってくる充実した音楽です 特に第1楽章はヴァイオリンとピアノのバトルの様相で、両者のやり取りが聴きものです。この曲でもシュトイデのストラディヴァリウスの美しい響きが会場一杯広がります

満場のアンコールの拍手に応え、ドヴォルザークの「4つのロマンティックな小品」から第4曲を、次いでクライスラーの「愛の喜び」を演奏し、またまた満場の拍手を浴びました そして、シュトイデが日本語で「これでおしまいです(会場)」と言って「ウィーン風小行進曲」を演奏、さらに大きな拍手を受けました 会場の明かりが点いて、これで終了かと誰もが思ったその時、三輪郁が小走りで舞台袖に引っ込み、新しい楽譜を持ってきました シュトイデが、また日本語で「本当に(これで最後)」と言って4曲目のアンコール「ラ・ジターナ」という曲を演奏しました 予想外のアンコールに次ぐアンコールに聴衆は拍手喝さい・狂喜乱舞です アンコールだけで20分以上演奏したのではないかと思います

この日のコンサートは、アンコールを含めてウィーン・フィルのコンマス、シュトイデの魅力がたっぷり聴けた素晴らしいコンサートでした

 

          

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14日。萩原麻未+ノブース・クァルテットでシューマン「ピアノ五重奏曲」他を聴く~ブルーローズ

2016年06月14日 16時33分17秒 | 日記

14日(火)。gooブログのメンテナンスのため朝からまったくブログがアップできませんでしたが、やっと可能になりました 当初メンテナンスは14日0時から12時まででしたが、午後2時まで延長され、その時点で「繋がらない状況」が続いたため、そのメンテナンスが追加されたのです 午後3時ごろにやっと前日までの自分のブログが見られるようになったものの、新たに入力が出来ない状態が続きました。gooブログは利用料が無料なので大きく文句は言えませんが、それにしても時間がかかり過ぎだと思います

 

  閑話休題  

 

昨日の朝日夕刊に「宇野功芳さん死去 音楽評論家」という死亡記事が載っていました。10日、老衰のため86歳で死去したとのことです 数多くの音楽評論家の中で他の人とは違う唯我独尊の人でした 個人的には、韓国の女性ピアニスト、HJリムの存在を知ったのも宇野功芳氏の文章によってでした 「彼女のコンサートを聴かなければ一生後悔する」というようなことが書かれていて、本当かいな?と思いながらベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴きに行ったら、物凄いピアニストであることが分かり、宇野氏の耳に感服しました ご冥福をお祈りいたします

ということで、わが家に来てから625日目を迎え、とろけるチーズの袋を見つめるモコタロです

 

          

           とろけるチーズって言うけど とろけないチーズがあるわけ?

 

          

               えっ ほっとけば何でもとろけるって?

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」でノブース・クァルテットのコンサートを聴きました これは「サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン2016」の一環として開かれたコンサートです

ノブース・クァルテットは韓国芸術総合学校で2007年に結成されました。2012年ミュンヘン国際音楽コンクール第2位、14年モーツアルト国際コンクールで優勝しています

プログラムは①ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲第12番ヘ長調”アメリカ”」、②尹伊桑「弦楽四重奏曲第1番」、③シューマン「ピアノ五重奏曲変ホ長調」です ③のピアノ独奏は2010年ジュネーヴ国際コンクール優勝の萩原麻未です

 

          

 

自席はC4列2番、センターブロック左から2つ目です。颯爽と登場した4人の若者たちは”韓国の嵐”と呼ばれている、かどうか分かりませんが、イケメン揃いです 向かって左から第1ヴァイオリン=キム・ジェヨン、第2ヴァイオリン=キム・ヨンウク、ヴィオラ=イ・スンウォン、チェロ=ム・ウンフィという並びです

1曲目のドヴォルザーク「弦楽四重奏曲第12番ヘ長調」は『アメリカ』という愛称で親しまれています これはドヴォルザークがニューヨークのナショナル音楽院の院長と作曲科教授を務めた1892年9月から95年4月までの間に書かれたことに由来します ドヴォルザークの2大名曲「チェロ協奏曲」と「交響曲第9番”新世界より”」の間、1893年6月に完成しました。これも名曲です

4つの楽章から成りますが、どの楽章も民族色豊かなメロディーに溢れています 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」を聴いていて思ったのは、4人とも表情が豊かであることです 見ていて、演奏する喜びのようなものが伝わってきます これって、すごく大切なことではないかと思います。第1ヴァイオリンを弾いたキム・ジェヨンだけが、楽章が終わるごとに額の汗を拭う姿が見られました 全曲弾き終わった時は、もう顔中汗びっしょりという感じでした。それと対照的なのが常にクールな表情のヴィオラのイ・スンウォンでした。よく見ると一人一人個性があります

2曲目は韓国の作曲家、尹伊桑(ユン・イサン)の「弦楽四重奏曲第1番」です これは彼がソウル大学で教鞭をとっていた1955年に書かれました。第1と第2のヴァイオリンが入れ替わって演奏します

この曲は3つの楽章から成ります。第1楽章は、まるで日本の音楽を聴いているようです。第2楽章は哀愁に満ちた音楽で、”よろしく 哀愁”といったところでしょうか 第3楽章はバルトーク風のリズムが聴こえてきました 4人は自国の作曲家の作品を丁寧に自信をもって演奏していました

20分の休憩が明け、自席で待っているとアナウンスが入りました

「休憩時間にノブース・クァルテットのCDをお買い上げくださったお客様にお知らせいたします。商品の一部に誤った冊子が入っているものがございます 恐れ入りますが、CDをご確認いただき、誤った冊子が入っていた場合はホールの係にお申し出ください

これには会場のあちこちで「えっ、まさか」という笑い声が起こりました。珍しい出来事ですね。CDジャケットに違う冊子が入っているなんて普通は考えられません コンタクトレンズのチラシの束でも入っていたんだろうか

さて、後半はシューマンの傑作「ピアノ五重奏曲変ホ長調」です。シューマンの「室内楽の年」と呼ばれる1842年に作曲されました

明るい空色の衣装に身を包まれた萩原麻未が韓国の嵐4人と登場します 第1楽章「アレグロ・ブリランテ」は冒頭から華やかな音楽が全開です。萩原麻未は4人の若者たちと躍動感に溢れた演奏を展開します 自席からは、第1ヴァイオリンのキム・ヨンウク君の陰になって麻未さんが見えません。お願いキム君、ちょっとずれて

面白かったのは第3楽章「スケルツォ」です。萩原麻未のピアノと韓国の嵐4人のバトルが展開します そして、第4楽章では再び躍動感に溢れた演奏が展開します

演奏が終わると韓国の嵐4人が次々と萩原女王にハグを求めます 気持ちは分かりますが、良い子はあまり接近しすぎないようにね

アンコールは5人による”コリアン・フォークソング”アリランでした 韓国の嵐に拍手の嵐です

萩原麻未の演奏は本当に久しぶりに聴きましたが、あの躍動感は健在でした

 

          

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クァルテット・エクセルシオで「ベートーヴェン・サイクルⅢ」を聴く~第4番、第7番、第16番

2016年06月13日 07時46分56秒 | 日記

13日(月)。わが家に来てから624日目を迎え、白ウサちゃんに 本人が見えない事実を教えてあげているモコタロです

 

          

             白ウサちゃん 耳から緑色の風船が生えてるよ!

 

  閑話休題  

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」でサントリーホール・チェンバーミュージックガーデン、クァルテット・エクセルシオによる「ベートーヴェン・サイクルⅢ」を聴きました プログラムは、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲①第4番ハ短調、②第7番ヘ長調”ラズモフスキー第1番”、③第16番ヘ長調です

 

          

 

この日の女性陣は赤系統の鮮やかな衣装で統一しています このサイクルは5回あるので5種類のステージ衣装を揃えているのでしょうか? その点、黒一点の大友さんは いつも上下黒で衣装選びに苦労はなさそうです 黒の上下を5種類持ってたりして・・・

1曲目の「弦楽四重奏曲第4番ハ短調」は、初期の作品18の6曲の中で唯一の短調の作品ですが、ハ短調はまさに第5”運命交響曲”の調性です 私は初期の作品の中ではこの曲が一番好きです。とくに第1楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」に暗い情感とでもいうような曲の性格が現れています

2曲目は「第7番ヘ長調”ラズモフスキー第1番”」です。この曲は1805年~06年に、ウィーン駐在のロシア大使ラズモフスキー伯爵からの依頼で書かれた3曲の作品59の最初の曲です。伯爵はシュパンツィヒ四重奏団を抱えていて、自ら第2ヴァイオリンを弾いていたと言いますから、相当な音楽好きです ベートーヴェンは伯爵の実力を踏まえて曲を書いたのではないでしょうか

第1楽章「アレグロ」は、冒頭 大友の雄大なチェロから入ります この演奏を聴いていると、この曲が 1年ほど前に書かれた「交響曲第3番”英雄”」に並び評されるスケールの大きな作品であることが分かります まさにベートーヴェンは前作=第6番までの初期の作品から一段階上の境地に達したのです

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴いていていつも思うのは、緩徐楽章の素晴らしさです この曲も例外ではなく、第3楽章「アダージョ・モルト・エ・メスト」は痛切ではあるけれど美しい曲想です エクセルシオは第1ヴァイオリンの西野ゆかを中心に切々と美しいメロディーを奏でていきます 切れ目なく続く第4楽章は、雲の間から晴れ間が見えたように明朗な音楽が奏でられます

 

          

 

休憩後は最後の弦楽四重奏曲「第16番ヘ長調」です ベートーヴェンの死の半年前の1826年10月に完成しました。第13番=6楽章、第15番=5楽章、第14番=7楽章と規模を拡大してきたベートーヴェンですが、最後の第16番では4楽章に戻っています

この作品の特徴は第4楽章の冒頭に「ようやくついた決心」という標題とともに、「そうしなければならないのか?」「そうしなければならぬ」という言葉が音符の下に付されていることです 「弦楽四重奏曲もこれで最後にしなければならないのか?」「そうしなければならぬ」という意味だったのか、あるいはもっとお気軽なことを意味しているのか、ベートーヴェンしか分かりません

エクセルシオの演奏を聴いて感じるのは、作品の軽さです 演奏時間にして30分足らずの簡素な作品で、しかも その曲想は明るく爽快でさえあります これがベートーヴェンが最後に到達した悟りの境地なのでしょうか

ところで、この作品の第3楽章「アッサイ・レント、カンタービレ・エ・トランクィロ」の冒頭、数小節入ったところから、ある音楽のメロディーに似ていると思いました それはマーラーの「交響曲第3番ニ短調」第6楽章「ゆっくりと、平静に、感情をこめて」の冒頭です 順番から言えば、マーラーの交響曲第3番の一部がベートーヴェンの弦楽四重奏曲第16番の一部に似ているというべきでしょう エクセルシオは、静かに、一音一音を慈しむように音楽を進めます

第4楽章のアレグロを聴きながら、「最後の完成した作品が『大フーガ』のようなシリアスな作品でなく、明るく軽快な音楽で良かった」とつくづく思いました。エクセルシオの演奏はそうした想いを音で表現してくれた素晴らしい演奏でした

 

          

 

明日(14日・火)は「0時から12時までブログ・メンテナンスのためアクセスできない」というお達しがgooブログから出ていますので、午後にアップします(tora)

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鈴木雅明・優人+東響でサン=サーンス「交響曲第3番ハ短調”オルガン付き”」他を聴く

2016年06月12日 08時19分49秒 | 日記

12日(日)。わが家に来てから623日目を迎え、新入りを迎えて自分の立場が危うくなるのを心配しているモコタロです

 

          

           誰だよ 変なヤツを連れてきたのは? 主役はぼくだからね!

 

 閑話休題  

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団の東京オペラシティシリーズ第92回演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「歌劇”魔笛”序曲K.620」、②モーツアルト「交響曲第41番ハ長調K.551”ジュピター”」、③サン=サーンス「交響曲第3番ハ短調”オルガン付き”」です 指揮はバッハ・コレギウム・ジャパン音楽監督・鈴木雅明、③のオルガン独奏は彼の子息・鈴木優人です

 

          

 

東響のメンバーが配置に着きます。コンマスは水谷晃です オケはいつもと異なりヴィオラとチェロが入れ替わり、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという態勢をとります。おやっ?と思ったのはチェロ・セクションが全員男性なのです 川合真由美も樋口泰世もいないのは極めて珍しい態勢です

この日、鈴木雅明はバッハ・コレギウム・ジャパンの東京での本拠地、オペラシティ・コンサートホールで東京交響楽団を振ることになります 世界的に認められたバッハの権威がモーツアルトとサン=サーンスに挑戦するということで期待が高まります

1曲目はモーツアルトが死の年に作曲したオペラ「魔笛」の序曲です 良く知られているように、この序曲は3つの和音のファンファーレから開始されます。この3という数字は、モーツアルトも所属していた「自由、平等、博愛」を掲げるフリーメイソンの教義を示していると言われています オペラに登場するのは夜の女王に仕える3人の侍女、試練を受けるタミーノ達を導くのは3人の童子といったように、3がこのオペラのキーナンバーになっています

普段、古楽器集団を相手にバッハを指揮する鈴木雅明は いったいどういう音楽作りをするのか? 普段は指揮棒を持たずに指揮する鈴木ですが、この日は割りばしくらいの短いタクトを持って登場、指揮台に上がりました

この序曲の魅力はアダージョとアレグロの対比ですが、私の予想ではアレグロはもっと速く演奏するのではないかと思っていましたが、常識的なテンポで進めました  ただ、メリハリを付けて演奏していたのでスケールの大きな演奏が展開しました

2曲目はモーツアルトの最後の交響曲である第41番ハ長調K.551です この曲は「ジュピター」という愛称で呼ばれていますが、これはローマの全能神ユピテル、ギリシャの最高神ゼウスに由来しています 名付けたのはドイツ人ヨハン・ペーター・ザロモン(ハイドンをロンドンに呼んだ興行主で指揮者、ヴァイオリニスト、作曲家)と言われています

第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」は速めのテンポで爽快に飛ばします 金管楽器がいつもと若干違う音色が混じっているな、と思ってよく見ると、トランペット2本が古楽器のようでした 明らかに鈴木雅明のこだわりが形に現れたものです 管楽器では、いつものようにオーボエ首席の荒木奏美、フルート首席の相澤政宏、ファゴット首席の福士マリ子が素晴らしい演奏を展開していました 第2楽章、第3楽章も比較的速めの爽快なテンポで進み、最後の第4楽章「モルト・アレグロ」を迎えます。名高い「ド・レ・ファ・ミ」音型がモティーフとなってフーガを構築していきます オケが良く鳴っています。白熱の演奏でした

ところで、プログラムに音楽評論家の奥田佳道氏が曲目解説を書いていますが、非常に興味深いことが書かれていました それはモーツアルトの最後の3つの交響曲(第39番、40番、41番)とハイドンの交響曲第82番~第84番との関係です

「1788年夏、モーツアルトは変ホ長調の交響曲(第39番K.543)を6月26日に、ト短調の交響曲(第40番K.550)を7月25日に、そしてハ長調の交響曲(第41番”ジュピター”K.551)を8月10日に書き上げている これらの創作の背景、目的、初演の日時は分かっていない・・・・あるいは、少し前に楽譜が刊行されたハイドンの交響曲第82番ハ長調「熊」、第83番ト短調「めんどり」、第84番変ホ長調(以上、いわゆるパリ交響曲の最初の3曲)から何らかの刺激を受けたか。ハイドンの調性にご注目あれ

この分析には驚きました つまりモーツアルトの最後の3曲の交響曲と、ハイドン作による連続した3曲が「変ホ長調」「ト短調」「ハ長調」で一致しているのです 私には両者の関連性は明らかであるように思えます。つまり、モーツアルトは誰かの依頼に応えて3大交響曲を書いたのではなく、尊敬する大先輩ハイドンに触発されて 自らの意志に基づいて書いたのではないか、ということです

プログラムの解説を書く人は音楽評論家を中心に何人もいますが、この解説を書いた奥田佳道氏と コンサート・プログラムの曲目解説で良く名前を見かける おやまだあつし氏は、いつも分かり易い解説を書いています しかも、それまで知らなかった知識を授けてくれます。かねてから私が主張しているように、コンサート・プログラムにおける「曲目解説に文学はいらない」のです 誰にも分かり易く、それまで知らなかった情報を与えてくれる、そういう解説が最も望ましいのです

 

          

 

休憩後はカミーユ・サン=サーンスの交響曲第3番ハ短調です 第1楽章と第2楽章の2楽章構成ですが、実質的にはそれぞれ第1部と第2部から成っています ロンドンのフィルハーモニー協会から委嘱され、1886年5月に完成しロンドンで初演されました

オケのメンバーが配置に着き、パイプオルガン席に鈴木優人がスタンバイします。鈴木雅明が登場し、割りばしタクトで第1楽章を開始します

この曲を聴いて いつも感動するのは第2楽章の第2部の冒頭部分です パイプオルガンが会場一杯に鳴り響き、ピアノが輝くような音楽を奏でます そしてオケが力強いメロディーを奏で、オケとパイプオルガンの相乗効果が相まって まるで勝利宣言をするかのように輝かしいフィナーレを迎えます

大きな拍手とブラボーが飛び交う中、鈴木雅明は2階を見上げ、パイプオルガン席の子息・優人に拍手を送ります そしてオーボエ、フルートを始め管楽器を立たせ、オケ全体を立たせます

弦楽器も、菅・打楽器も良く鳴っていました サン=サーンスの交響曲第3番の親子共演は大成功だったと言えるでしょう

 

          

 

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「ENJOY!ウィークエンド 未来編」を聴く/クァルテット・エクセルシオのチケットを3枚発注する

2016年06月11日 07時54分45秒 | 日記

11日(土)。わが家に来てから622日目を迎え、枠に収まらないほど大物になったモコタロです

 

          

            大物になったんじゃないよ! カメラ引いてよ 後ろに

 

 

  閑話休題  

 

昨日、夕食に「鶏もも肉のほったらかし焼き」と「生野菜とサーモンのサラダ」を作りました。あとは「男前豆腐の食べるラー油乗せ」です

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

常設の弦楽四重奏団、クァルテット・エクセルシオのコンサート・チケットを3枚発注しました

 

          

 

1枚目は10月25日(火)午後7時からサントリーホール「ブルーローズ」で開かれる「弦楽四重奏の旅#4」です プログラムは①ヴォルフ「イタリアン・セレナーデ」、②プッチーニ「弦楽四重奏曲嬰ハ短調”菊”」、③ヴェルディ「弦楽四重奏曲ホ短調」、④シューマン「弦楽四重奏曲第3番イ長調」です これは珍しい選曲ですね

2枚目は11月27日(日)午後2時から東京文化会館小ホールで開かれる「第31回東京定期演奏会」です プログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲第81番ト長調」、②ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第11番ヘ短調”セリオーソ”」、③メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第5番変ホ長調」です これはメンデルスゾーン狙いですが、組み合わせが抜群ですね

3枚目は来年2月5日(日)午後2時から東京オペラシティ・近江楽堂で開かれる「ラボ・エクセルシオ 新章Ⅴ」です プログラムは①アデス「アルカディアナ作品12」、②西村朗「弦楽四重奏曲第5番”シェーシャ”」、③バルトーク「弦楽四重奏曲第5番」です 聴くか止めようか迷いましたが、バルトークがあるので聴くことにしました

 

          

 

発売元のミリオンコンサート協会では、単券で3枚買うと11,000円かかるところを3枚セットで8,000円としています。これは格安です

 

  最後の、閑話休題  

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」でサントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデンの「ENJOY! ウィークエンド未来編 ヨン・シュー・トー音楽院×サントリーホール室内楽アカデミー~レインボウ21:アンサンブルでつながるアジア~」を聴きました 今年が日本とシンガポールの外交関係樹立50周年に当たることから、シンガポールの「ヨン・シュー・ト-音楽院」と「サントリーホール室内楽アカデミー」の学生とで合同のコンサートを行うことになったものです 5月には日本から選抜メンバーがシンガポールに渡り、ヨン・シュー・トー音楽院の学生たちと練習を積み重ねて現地でコンサートを開き、今回の日本での公演に漕ぎ着けたとのことです

「ブルーローズ」の入口でプログラムと共に「ドリンクチケット」をいただきました チェンバーミュージック・ガーデンの期間中であれば、ホワイエのドリンク・コーナーで好きなドリンクが飲めるというチケットです この日のコンサートは3時間で指定席2,000円です。その上ドリンク券がついているのですから超お得です 最低でもコーヒーは400円で、ワイン(600円?)も飲めるのです これから何回も聴きに行くので後の楽しみに取っておくことにします

 

          

 

さて、プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第4番変ロ長調”街の歌”」、②武満徹「カトレーンⅡ」、③武満徹「ソン・カリグラフィⅠ・Ⅱ・Ⅲ」、④ドヴォルザーク「弦楽五重奏曲第2番ト長調」、⑤ショーソン「ピアノ、ヴァイオリンと弦楽四重奏のための協奏曲ニ長調」です 演奏するのはシンガポールのヨン・シュー・トー音楽院の選抜メンバーと、サントリーホール室内楽アカデミー選抜フェローです

 

           

 

1曲目はベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第4番変ロ長調”街の歌”」です この曲は、クラリネット、チェロ、ピアノという変わった組み合わせの楽器のために書かれています。「街の歌」という愛称は、第3楽章の変奏曲に、この曲が作曲された1797年当時 流行っていた ヨーゼフ・ヴァィクルのオペラ「海賊」の中の三重唱「わたしが約束する前に」の一節が用いられていることから付けられたものです

3人のメンバーが登場します。演奏はクラリネット=シンガポール出身のミャオ・カイウェン、チェロ=丹羽あいり、ピアノ=稲生亜沙紀です 第1楽章はピアノが雄弁に語ります。第2楽章はチェロがおおらかに歌います。第3楽章は楽しい変奏曲です。ベートーヴェン27歳の時の作品ですが、こういう明るい曲はいいですね

2曲目は武満徹「カトレーンⅡ」です この曲もヴァイオリン、チェロ、クラリネット、ピアノという珍しい組み合わせによる曲です アメリカのタッシ弦楽四重奏団のために書かれました。「カトレーン」というのは「4行」と言う意味ですが、私には4人で演奏する以外の4は見い出すことが出来ませんでした 私の場合は四球でフォアボール、ハナから勝負させてもらえないといったところでしょうか 演奏は、ヴァイオリン=オレクサンダー・コニエフ、チェロ=丹羽あいり、クラリネット=ミャオ・カイウェン、ピアノ=稲生亜沙紀でした

1回目の15分休憩を挟んで、武満徹「ソン・カリグラフィⅠ・Ⅱ・Ⅲ」が演奏されます いずれも2組の弦楽四重奏が左右に向かい合わせに配置されます。左サイドに日本のレスパス弦楽四重奏団の4人(ヴァイオリン=鍵富弦太郎、小形響、ヴィオラ=福井萌、チェロ=湯原拓哉)が、右サイドにシンガポールの音楽院メンバーの4人(ヴァイオリン=オーレスト・スモッシュ、マーティン・ぺー、ヴィオラ=ホー・チェン・ホェイ、チェロ=クリストファー・ムイ)がスタンバイします

演奏に先立って、マーティン・ぺー君が、カンペを見ながら拙い日本語で挨拶します

「ぼくはマーティン・ぺーです。ぼくは、豚骨ラーメンがマジで大好きです」と挨拶し、会場を笑いの渦に巻き込みました その後は英語でマジな話をしましたが、それを受けて小形響が「私たちには何を言っていたか分からないので、一応日本語に通訳します」と言って カンペを見ながら日本語訳を紹介しました

この曲を聴いてみて思ったのは、同じ武満徹の音楽でも「カトレーン」よりも数段 分かり易い曲想だということです ひと言で言い表せば「音による幽玄の世界」です。福井萌のヴィオラから入りましたが、この演奏は良かったと思います

次はドヴォルザーク「弦楽五重奏曲第2番」です この曲は弦楽四重奏にコントラバスを加えた五重奏によって演奏されます。1875年(ドヴォルザーク34歳の時)に作曲されました

演奏に先立って、ヴァイオリンの小川響子が挨拶しました

「われわれ日本人4人に、中国生まれのチャンさんがコントラバスで加わってドヴォルザークの五重奏曲を演奏します チャンさんは本当に親切で、われわれがシンガポールに行った時 あちこち案内してくれました 彼の第一印象は、メガネです。大阪の『食い倒れ人形』みたいだと思いました(ここで会場、大受け ご本人は何でみんな笑ってるの?という顔)。これは英語に通訳しないで内緒にします 日本に来てから、昨日 浅草に案内しました。メンバーの都合で私とチャンさんの2人だけで行きましたが、これってデートだったのかな?と思います(それ、間違いなくデートです この幸せ者が)。これも内緒にしたいと思います」(おいおい、ほかのメンバーがそばにいるぜよ

小川響子さんの演奏はこれまで何度か生で聴きましたが、気の強そうな冷たい印象がありました しかし、この挨拶で彼女に対する印象がガラリと変わりました。もちろん良い方向へです

気分を戻して。この曲は4つの楽章から成りますが、第1楽章冒頭から「ドヴォルザーク・ワールド」全開です 民族色豊かで親しみ易いメロディーはドヴォルザーク独特の世界です 演奏はカルテット・アルパ(ヴァイオリン=戸原直、小川響子、ヴィオラ=古賀郁音、チェロ=伊藤裕)と コントラバス=チャン・ジェンザですが、第1ヴァイオリンの戸原を中心に素晴らしいアンサンブルでした。若手のクァルテットの中でもレヴェルが高い方ではないかと思います

 

          

 

ここで、2回目の15分休憩に入ります。ロビーに出ると、昨年サントリーホール「バックステージ・ツアー」でお世話になったアテンダントのMさんの姿が見えたので挨拶をしました Mさんはとても美しい声で分かり易くホールの裏側の世界を案内してくれました

tora 「昨年4月16日にバックステージ・ツアーで大変お世話になりました。その節はありがとうございました

Mさん「昨年の4月ですか。もう1年以上・・・・ずいぶん前になりますね。私のこと覚えていて下さったのですね。ありがとうございます

tora 「東響と読響のサントリーシリーズ会員になっているので最低でも月に2回はこのホールに来ていますが、滅多にMさんの姿をお見掛けしないので ご挨拶できませんでした

Mさん「そうですか。新しい人も何人か入ってきたりしていますから、出番が少なくなっているせいかもしれませんね ところでミュージック・ガーデンは中々チケットが取れないとおっしゃるお客様が多いようですが、何回か来られるのですか?」

tora「ほとんど毎日のようにブルーローズに通います この公演のチケットは先行発売日の午前10時にネットでアクセスして、最初に取りにくそうなコンサートから予約を入れます 今回であればベートーヴェン・サイクルを最初に押さえ、次にオープニング・コンサートを押さえました。いずれも最初は『座席を指定』して予約を入れますが、アクセスが集中して繋がらない時は『座席を指定しない』に切り替えて取ります そうしないと、次に予約する公演に移れないからです

Mさん「そうなんですか。大変ですね。初めて聞きました

tora「この公演は『早割』制度があったりして良心的だと思います。数多く聴く側からは有難いです

Mさん「そうでしたか」(時計を見る)「それでは、また のちほど。引き続きお楽しみください

tora「ありがとうございます

15分はあまりにも短いですね 最後の曲は、ショーソン「ピアノ、ヴァイオリンと弦楽四重奏のための協奏曲ニ長調」です この曲を聴くのはこれが3回目で、会場は同じブルーローズです。この曲は実質的なピアノとヴァイオリンのダブル・コンチェルトです。全4楽章から成りますが、最初に登場した主題が後にも登場して曲全体に統一感を与える『循環形式』を取ります 演奏はピアノだけ日本人の秋元孝介で、あとの5人はシンガポール側の音楽院のメンバー(ヴァイオリン=オレクサンダー・コニエフ、オーレスト・スモッシュ、マーティン・ぺー、ヴィオラ=ホー・チェン・ホェイ、チェロ=クリストファー・ムイ)です。ヴァイオリンの独奏はウクライナ生まれのオレクサンダー・コニエフが務め、弦楽四重奏のコンンスは やはりウクライナ生まれのオーレスト・スモッシュが務めます

演奏に先立って、秋元孝介が挨拶します

「5月に現地に行って練習、リハーサルを積み重ねてきましたが、英語もろくにできない日本人が本当に一人でやっていけるかと本当に心配でしたが、みんな暖かく迎えてくれて本当にありがたかったです

と”本当”を何度も繰り返して、現地での不安感を思い起こしていました 本当に上がっていたのでしょうね

第1楽章はピアノによる3つの和音(これが主題となる)を強打し、抒情的な音楽に入っていきます 聴きながら、さすがは『詩曲』の作曲家による作品だな、と思いました 第2楽章はシチリアーノ、どこか懐かしい音楽です 第3楽章は一転 沈鬱な曲想です そして迎える第4楽章は再度、抒情的な音楽がドラマテックに展開します

ピアノの秋元孝介とシンガポール側5人のメンバーの熱い思いが伝わってきました 曲自体が素晴らしい作品で、演奏が良いので言う事なしです。会場からはひと際大きな拍手が6人のメンバーに送られました

 

          

 

帰り際にMさんに声を掛けました

tora「良いコンサートでした

Mさん「ショーソンの演奏、良かったですね。ピアノの彼は頑張ってましたね

tora「張り切ってましたね。曲自体が良いと思います CD買おうかなって思いました

Mさん「そうですか。また いらっしゃるんでしょう?」

tora「次は2日後ですが、来週はほぼ毎日来ます

Mさん「また お会いできると思います

tora「そうですね。ありがとうございました

開演:午後2時30分、終了:午後5時30分のロングラン・コンサートでした。次のブルーローズ公演で「ドリンクチケット」を使おうと思います

 

          

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