人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

パーヴォ・ヤルヴィ+諏訪内晶子+N響でシベリウス「ヴァイオリン協奏曲」,ショスタコーヴィチ「交響曲第10番」を聴く~まれに見る熱演

2017年02月18日 07時51分20秒 | 日記

18日(土).わが家に来てから今日で872日目を迎え,韓国の朴大統領を巡る疑惑で,サムスン電子副会長が贈賄や横領の疑いで逮捕された というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

          逮捕された 韓国を代表する大手企業のナンバーツーの行き先は 監獄?

 

  閑話休題  

 

昨日 東京では春一番が吹き暖かい一日でした いつものように池袋まで散歩したのですが,途中の上池袋1丁目にある神社では 桜が満開でした 

 

       

       

今頃咲くのは寒桜か河津桜ですが,これは河津桜です もうすぐ春ですね

 

       

       

 

昨日 池袋の喫茶店で新聞を読みながら聴いたのは,夜 N響定期で聴くショスタコーヴィチ「交響曲第10番」です 演奏はエフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルによるCD(1976年のライブ録音)です

 

       

 

  最後の,閑話休題  

 

昨夕,NHKホールでNHK交響楽団第1857回定期演奏会を聴きました プログラムは①シベリウス「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」,②ショスタコーヴィチ「交響曲第10番ホ短調」で,①のヴァイオリン独奏は諏訪内晶子,指揮はパーヴォ・ヤルヴィです

指揮者がパーヴォ・ヤルヴィだからでしょうか,広いNHKホールがほぼ満席状態です

楽員が登場し配置に着きます.弦は左奥にコントラバス,前に左から第1ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという対向配置をとります コンマスはマロこと篠崎史紀,隣はもう一人のコンマス伊藤亮太郎です.すぐ隣のチェロは藤森亮一,向山佳絵子夫婦がそろって首席の位置にスタンバイします こういう配置,私は初めて見ました.これだけ見ても,ヤルヴィが指揮する時は万全の態勢をとっていることが窺えます

1曲目はシベリウスの「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」です この曲は1903年から着手され翌04年2月8日にヴィクトル・ノヴァチェクのヴァイオリン独奏,シベリウス指揮ヘルシンキ・フィルの演奏によって初演されましたが,独奏者の力量不足で失敗に終わりました その後,シベリウスは改訂稿を作曲し,1905年10月19日に,カレル・ハリールのヴァイオリン独奏,リヒャルト・シュトラウス指揮ベルリン・フィルによって演奏されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」,第2楽章「アダージョ・ディ・モルト」,第3楽章「アレグロ,マ・ノン・タント」の3つの楽章から成ります

諏訪内晶子がローズ・レッド&ブラックのエレガントでシックな衣装で登場します ヤルヴィのタクトで第1楽章が開始されます.弦による霧のようなトレモロの中を独奏ヴァイオリンが入ってきます 北欧の引き締まった空気を感じる集中力に満ちた演奏です 中間部に長大なカデンツァがありますが,彼女はこの曲をCDに入れているだけあって自信に溢れた見事な演奏を展開しました 第2楽章はストラディヴァリウス”ドルフィン”による息の長い旋律が美しく響きます ヤルヴィは第2楽章から間を置かず第3楽章に入ります.ティンパ二のリズムに導かれて独奏ヴァイオリンが軽快に入ってきます.この楽章はヴァイオリンの超絶技巧が聴かれ,圧倒的なフィナーレを迎えます

演奏が終わると 拍手とブラボーの嵐です.本当に素晴らしい演奏でした ヤルヴィ+N響とのコラボもピッタリでした 繰り返されるカーテンコールの後,諏訪内はバッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番」からラルゴを演奏し聴衆のクールダウンをはかりました

 

       

 

休憩時間にロビーに出ると男子トイレに長蛇の列が出来ていました ロビーを縦断するかの如くの長さです その一方で女子トイレはまったく列がありません.列が続いている状態で後半開始のチャイムが鳴り始めました これもヤルヴィ効果でしょうか.それにしても休憩時間が短いのか,トイレが足りないのか,何とかして欲しいものです

プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第10番ホ短調」です この曲は,独裁者スターリンの死去(1953年3月)の後,その年の夏から10月25日にかけて作曲されました.交響曲第9番の作曲から8年ぶりの交響曲です 最近の研究では,この曲は1940年代から構想され紆余曲折のを経て完成されたようです.第1楽章「モデラート」,第2楽章「アレグロ」,第3楽章「アレグレット」,第4楽章「アンダンテーアレグロ」の4つの楽章から成ります

オケが拡大しフルオーケストラの態勢をとります.再度ヤルヴィが登場し第1楽章に入ります チェロとコントラバスによる序奏部は暗く,暗黒の世界のようです 次いでクラリネットが第1主題を吹きますが,このクラリネットが良かった

第2楽章は怒涛のアレグロです 実質的にスケルツォで,暴力的と表現しても良いほど荒々しい音の暴走が描かれます 弦楽器も管楽器も打楽器も必死の形相でなりふり構わず演奏に集中しています チェロの藤森亮一をはじめ弦楽器の何人かは,弓の繊維が切れて垂れ下がっています.それほど力が入っているのでしょう

第3楽章は,中間部でホルンが牧歌的なメロディーを吹きますが,これはショスタコーヴィチが当時想いを寄せていた女性エリミーラを音列に読み替えたものであることが手紙に記されています

ヤルヴィは第3楽章から第4楽章へは間を置かずに移行します.第1楽章の冒頭と同様暗い曲想で始まりますが,途中でおどけたフレーズのアレグロに転じます そして,行進曲風のパッセージとなり熱狂的なコーダを迎えます この楽章も凄かった ヤルヴィがオケを煽り立てるのです オケは必死に応えます

N響から渾身の熱演を引き出したヤルヴィにカーテンコールが繰り返されます 全体を通してファゴット,クラリネット,フルートを中心に管楽器が冴えわたっていました また,弦楽器もまれに見る熱演でした こんなに凄い演奏は久しぶりに聴きました

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番」,ウォルトン「チェロ協奏曲」を聴く~東京藝大モーニングコンサート / 読響5月定期 スクロヴァチェフスキの代演決まる

2017年02月17日 08時08分01秒 | 日記

17日(金).わが家に来てから今日で871日目を迎え,北朝鮮の故金正日総書記の長男,金正男氏がマレーシアで殺害された事件で,15日に逮捕された女が取り調べに「自分は旅行者で,いたずら目的で(正男氏に)スプレーを吹きかけた.殺害するつもりはなかった」と供述した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

           「あれはドッキリで 私はトラベラー」と言うけど そうだったら トラブル・メーカーだぜ

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「牛肉のしぐれ煮」と「生野菜とワカメのサラダ」を作りました   牛肉を柔らかく仕上げるには水ではなく日本酒(もちろん醤油,砂糖,味醂も)で煮込むことです

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

読売日響から「5月公演,指揮者決定のお知らせ」が届きました 5月の読響コンサートで指揮することになっていたスクロヴァチェフスキ氏が健康不良のため来日中止となったことに伴う代演の指揮者が決まったというお知らせです

5月13,14日の「マチネシリーズ」はオンドレイ・レナルトの指揮に,同19日の「定期演奏会」はロジェストヴェンスキーの指揮に決まったとのこと なお,3公演ともプログラムに変更はないということです 私の場合,5月19日は読響定期とN響C定期がダブっているので,今回の決定を受けて振り替え措置を決めなければなりません.読響の場合は振替先が複数ありますが,N響の場合は翌20日(土)午後3時のC定期しか選択肢がなく,その時間は「バッハ・コレギウム・ジャパン」の定期公演と文京シビック「響きの森シリーズ」がダブっているのです.まさに三つ巴の振替作戦になってしまいます いずれにしても,1つ捨てるか2つ捨てるかの選択肢しかありません 3月いっぱいに結論を出して手を打とうと思いますが,どーしようかなぁ 迷うなぁ

 

          

 

  またまた,閑話休題  

 

昨日,上野の東京藝大奏楽堂で「藝大モーニングコンサート」を聴きました 2016年度最後の公演プログラムは①ウォルトン「チェロ協奏曲」(チェロ独奏=藤原秀章),②プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番ト短調」(ピアノ独奏=蓑田莉奈)です

全自由席ですが,1階13列14番,センターブロック左から2つめを取りました.会場はほぼ満席です オケのメンバーが入場し配置に着きます.弦は左奥にコントラバス,前に左から第1ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという対向配置です.指揮者が高関健の時はこのシフトをとります

1曲目はイギリスの作曲家ウォルトン(1902-1983)の「チェロ協奏曲」です この曲はチェロ奏者のピアティゴルスキーの依頼で作曲され,1956年に完成しました.3つの楽章から成ります

チェロを独奏する藤原秀章は1994年山梨県アルプス市生まれで 藝大4年に在学中です.2015年に第13回東京音楽コンクール弦楽部門で第2位入賞を果たしています

全曲を通して,高関健+藝大フィルハーモニアのしっかりしたサポートのもと,チェロが良く鳴っていました 曲自体の印象は,第2楽章を中心にオーストリア出身の作曲家でアメリカに渡り映画音楽でも活躍したエーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルトの曲想に似ていると思いました これは,ヴォーン・ウィリアムズも映画音楽を作曲していたことに無関係ではないと思います

 

       

 

プログラム後半はプロコフィエフ(1891-1953)の「ピアノ協奏曲第2番ト短調」です この曲は作曲者が音楽院の学生だった22歳の時に作曲されたものです.奇しくもこの日演奏する藝大4年在学中の蓑田莉奈も22歳です 蓑田は1995年大阪府堺市の出身で,2012年に第66回全日本学生音楽コンクール東京大会で第1位となっています

深紅のステージ衣装の蓑田莉奈が高関健とともに登場し,ピアノに向かいます この曲は4つの楽章から成ります.第1楽章は静から動への移り変わりが鮮やかです 第2楽章はスピード感溢れる息つく間もない曲想です 第3楽章はピアノと管弦楽による緊張感に満ちた対話が面白く聴けます 第4楽章は劇的な開始に始まり堂々たるフィナーレで終結します

蓑田莉奈の演奏は 終始 集中力に満ちたもので,弛緩するところが全くありませんでした  それと,バックを支えた高関健+藝大フィルハーモニアの演奏が緊張感に満ちていて素晴らしかったです

この曲はミシェル・ベロフのピアノ,クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるCD(1974年録音)で予習しておきました

 

       

 

       

 

  最後の,閑話休題  

 

昨日,上記モーニング・コンサートに先立って,2017年度モーニング・コンサートの全13枚セット券(13,000円)を購入しました 午前10時に前売り開始のため藝大奏楽堂チケット売り場に9時20分頃行きましたが,すでに列が出来ていました 建物の陰で日光の射さないことろに並んで新聞を読んで待ちましたが,販売開始を9時45分に繰り上げてくれたので早めに日光を浴びることが出来ました 13枚共通の整理番号は32番です.毎回良い席が取れそうです

 

       

 

なお,演奏曲目が内定したとのことで,チラシが配布されました まだ出演者は明らかになっていませんが,個人的にはサン=サーンスとベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第2番」とプーランク「2台のピアノのための協奏曲」に期待します

 

       

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ペドロ・アルモドバル監督「トーク・トゥ・ハー」「ジュリエッタ」を観る~早稲田松竹 / ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017公演内容決まる

2017年02月16日 08時12分51秒 | 日記

16日(木).わが家に来てから今日で870日目を迎え,北朝鮮の故 金正日総書記の長男,金正男氏が暗殺された というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

                  金正恩は異母兄だろうが 名前が正しい男だろうが 自分を守るためには暗殺するんだな

 

  閑話休題  

 

「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017」の概要が発表されました 今年は「ラ・ダンス 舞曲の祭典」のテーマで,5月4日(木・祝),5日(金・祝),6日(土)の3日間,東京国際フォーラムで開かれます 今年は 有楽町の よみうりホール等は使用しないようです

ざっと見渡したところ,ドミトリー・リス指揮ウラル・フィルによるベートーヴェン「交響曲第7番」,チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」(Vn:テディ・ババヴラミ),ショパン「ピアノ協奏曲第1番」(P:小山実稚恵),小曽根真+フランス国立ロワール管弦楽団によるラヴェル「ボレロ」,アンヌ・ケフェレックによるラヴェル他のピアノ小品集,井上道義+安倍圭子+新日本フィルによる伊福部昭「オーケストラとマリンバのためのラウダ・コンチェルタータ」などが面白そうだと思いました

公式サイトに①公演プログラム,②聴きどころ,③販売方法が紹介されていますので「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017」を検索してクリックしてみてください

 

     

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,早稲田松竹でペドロ・アルモドバル監督映画「トーク・トゥ・ハー」と「ジュリエッタ」の2本立てを観ました 「トーク・トゥ・ハー」は2002年製作のスペイン映画(113分)です

 

       

 

若いバレリーナのアリシアは 4年前に交通事故に遭い,それ以来昏睡状態になったまま一度も目が覚めたことがない そんな彼女を 看護士のベニグノは 4年間彼女を世話し続けながら,応えてくれることのないアリシアに向かって毎日語り掛けていた 一方,女闘牛士のリディアも競技中の事故で昏睡状態に陥っている 知り合ったばかりの恋人マルコは突然の事故に悲嘆に暮れていた そんなベニグノとマルコは同じクリニックで顔を合わすうち,いつしか会話を交わし,お互いの境遇を語り合うようになり 無二の親友となっていく  ところが,ベニグノはアリシアを世話している中で事件を起こし刑務所に収監されてしまう マルコは彼に面会に行くが,ベニグノはアリシアがどうなったか知らせて欲しいと頼む.ベニグノの献身的な世話のお陰でアリシアは奇跡的に回復していた ベニグノはそれを知り安心し 自ら起こした事件の責任を取るため大きな決断をする

そもそも この映画を観ようと思ったのは,ネットの情報に「ピナ・バウシュのバレエ作品が映画の中で踊られる」という記述があったからです ピナ・バウシュ(1940-2009)はドイツのコンテンポラリー・ダンスの女性振付家です 演劇的手法を取り入れた独自の舞踏芸術は 演劇とダンスの融合とも言われ,彼女自身は「タンツ・テアター」と呼んでいます  2011年だったと思いますが,ドキュメンタリー映画「Pina  ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」を観ましたが,その中で踊られたのは「春の祭典」「カフェ・ミュラー」「カーネーション」等だったと記憶しています  フランスではモーリス・ベジャールですが,ドイツではピナ・バウシュです.感動しました

アルモドバル監督はピナ・バウシュのバレエ作品を観て衝撃を受けたようで,この映画では冒頭とラストのシーンに「カフェ・ミュラー」と「炎のマズルカ」が踊られています 冒頭のシーンではピナ・バウシュ自身が「カフェ・ミュラー」で踊っています.本当に短い時間なのが残念なくらい素晴らしいバレエ・シーンです

また,この映画では,アリシアのバレエの先生が意識のないアリシアに1枚のCDを聴かせるシーンがあります それはポーランドの作曲家クシシュトフ・ペンデレツキが1960年に作曲した「広島の犠牲者に捧げる哀歌」です 哀しげなメロディーが空気を震わせます

 

  も一度,閑話休題  

 

「ジュリエッタ」は2016年製作のスペイン映画(99分)です カナダのノーベル賞受賞作家アリス・マンローの小説が原作です

 

       

 

スペインのマドリードで一人暮らすジュリエッタは,偶然再会した娘の親友から「子ども3人を連れた あなたの娘を見かけた」と告げられ 衝撃を受ける 娘は12年前に理由も告げないままジュリエッタの元を去り,消息不明のままだったのだ ジュリエッタは12年間会えずにいた娘の行方を突き止めて抱きしめたいと思い,今まで封印していた過去と向き合い,娘に当てて日記を書き始める  そんなある日,娘から一通の手紙が届く

 

       

 

12年前に娘が失踪した時,ジュリエッタは娘を預かっていた組織を突き止め,本人に会わせるよう責任者に要請しますが,娘がそれを望んでいないとして居場所を教えてもらえません 娘が愛する父親を嵐の中の海難事故で亡くしたのは母親のせいだと思っていたことが,母親に会うことを望んでいない理由だったのだと思います しかし,理由も告げずに突然失踪したことや,かつての親友を「知らない」と無視し「今までの過去を忘れて,新しい人生を歩むことにした」と告げたことを考えると,怪しい宗教団体に取り込まれたのではないか,と思ったりしました 同じ親子でも,母と娘というのは独特の関係があるのでしょうね

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

須関裕子+辻彩奈+堤剛によりベートーヴェン,メンデルスゾーン,ドヴォルザークの「ピアノ三重奏曲」を聴く~2017都民芸術フェスティバル

2017年02月15日 07時46分49秒 | 日記

15日(水).昨日の朝日朝刊・オピニオン欄で評論誌「PLANETS」編集長・宇野常寛氏が「入国制限禁止はこっけい」と語っています トランプ米大統領が中東などからの移民を一時受け入れないとした大統領令を発したことに対して述べたものです 今まで「けしからん」という意見は多く見てきましたが,「こっけい」というのは初めてだったのでその真意を確かめたところ,次のように語っていました

「そもそも,日本でトランプ氏を批判的に論じることには,こっけいさがつきまといます 移民を受け入れていない国で『入国制限はけしからん』と言うのはギャグですよ.もちろん,トランプ氏への批判は必要だと僕は考えます.しかしその批判は,同時に自分たちの足元を見直すものでなければ意味がない

自分自身を含めて 多くの日本人は,トランプ大統領の入国制限措置を「人道的立場から許せない」とか言っていますが,よその国のことだから何の責任もなく言えるのであって,「それでは,日本は移民をどれほど受け入れているんだ?」と言われた時,欧米諸国とは けた違いの少なさに返す言葉もないでしょう 私は必ずしも,移民なら誰でもウエルカムという考えではありませんが,移民の問題を考える時に宇野氏のような視点を持つことは大切なことだと思います

ということで,わが家に来てから今日で869日目を迎え,フリン米大統領補佐官(安全保障担当)が辞任したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        就任前も 就任後も 一心フリンに頑張れば良かったのに・・・・・原因は恐ロシアだって?

 

  閑話休題  

 

昨夕,上野の東京文化会館小ホールで「ピアノ三重奏の夕べ」を聴きました これは「2017都民芸術フェスティバル」参加公演です.プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲ハ短調」,②メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第2番ハ短調」,③ドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第4番ト短調”ドゥムキー”」です 演奏は,ピアノ=須関裕子,ヴァイオリン=辻彩奈,チェロ=堤剛です

 

       

 

須関裕子は桐朋女子高等学校音楽科2年在学中に,第2回チェルニー・ステファンスカ国際ピアノコンクールで第1位を獲得,その後桐朋学園大学を卒業,第3回国際室内楽アカデミー(ドイツ)でグランプリを受賞しています 辻彩奈は1997年岐阜県生まれ.2013年第82回日本音楽コンクールのヴァイオリン部門第1位,2016年モントリオール国際ヴァイオリンコンクールで優勝,現在,東京音楽大学特別特待奨学生として在学中です 堤剛は言うまでもなくヤーノ・シュタルケルに師事した日本を代表するチェリストでサントリーホール館長です

 

       

 

自席はH列13番,左ブロック左から2つ目です.会場はほぼ満席です

1曲目はベートーヴェンの「ピアノ三重奏曲ハ短調 作品1-3」です ベートーヴェンが「作品1」として選んだのは,ピアノ・ソナタでもなく,交響曲でもなく,弦楽四重奏曲でもなく,ピアノ三重奏曲の3曲でした しかもこの日演奏する「作品1-3」はベートーヴェン初の「ハ短調」です 後の「交響曲第5番ハ短調”運命”」と同じ調性です.いかにベートーヴェンが「作品1」に大きな想いを込めたかが分かります

須関裕子が白の,辻彩奈が赤の鮮やかな衣装で,堤剛とともに登場します この曲は4つの楽章から成りますが,3人の演奏を通して聴く「作品1-3」は,短調の魅力を宿しながらベートーヴェンの青春の息吹を感じさせる清々しい曲でした 辻彩奈のヴァイオリンが艶があって良く響くので,プログラムで確かめたら某NPO法人から貸与された1716年製のグァルネリ・デル・ジェスとのことでした

この曲は「クラシックの百科事典」NAXOSのシュトットガルト・ピアノ・トリオのCDで予習しておきました

 

       

 

2曲目はメンデルスゾーンの「ピアノ三重奏曲第2番ハ短調」です 何を隠そう,このコンサートのチケットを買ったのは この曲を生演奏で聴くことが主目的だったのです 私はメンデルスゾーンが大好きで,出来るだけ生演奏であらゆるジャンルの曲を聴き倒したいと思っています

メンデルスゾーンは,ピアノ三重奏曲は 習作を除いて2曲書いていますが,第1番が有名です.この第2番は1845年に完成したと言われています メンデルスゾーンは1847年に38歳の若さで亡くなっているので晩年の作品ということになります この曲も1曲目のベートーヴェンと同じ「ハ短調」です

この曲は4つの楽章から成ります.再度3人が登場,配置に着きます.第1楽章は”ほとばしる情熱”とでも表現すべき曲想で,ヴァイオリンの辻を中心に 何かに取り付かれたような激しい感情の表出がストレートに聴く側に伝わってきます 第2楽章は抒情的な曲想です.第3楽章はメンデルスゾーン特有の,まるで妖精が空を飛び回っているようなスケルツォです.そして第4楽章は情熱的な曲想が次々と展開し,フィナーレになだれ込みます

素晴らしい演奏でした この曲でもヴァイオリンの辻彩奈を中心に熱演が繰り広げられ,ここぞというところで須関裕子のピアノが主張し,堤のチェロが大人の対応をします 3人のアンサンブルは見事でした 「こんな素晴らしい演奏を聴いてしまったら,後半は聴かなくてもいいか」と思いましたが,MOTTAINAIと思い直して聴くことにしました

この曲はヴァイオリン=イツァーク・パールマン,チェロ=ヨ―・ヨー・マ,ピアノ=エマニュエル・アックスのCDで予習しておきました

 

       

 

プログラム後半の曲はドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第4番ホ短調”ドゥムキ―”」です この曲はかなり前に1度聴いただけで,おまけにCDも持っていないので,ほとんど初めて聴くに等しい状態でした 

この曲は1890年11月から91年4月にかけて作曲されましたが,「ドゥムキ―」というのは,本来ウクライナの民族楽器バンドゥーラやゴブザを用いたバラード風の民謡形式ドゥムカの複数形を指す言葉とのことです この曲は変則的で 6つの楽章から成ります

3人が再度登場し第1楽章に入ります.ピアノをバックにチェロが苦悩に満ちたような慟哭を表出します かと思っていると,ヴァイオリンによって急に明るく賑やかな音楽が展開します 第2楽章も同様で暗さと明るさのコントラストが展開します この2つの楽章は,伝統的なソナタ形式に慣れている耳には突拍子もない音楽,あるいは落ち着きのない音楽に聴こえます 第3楽章以降はドヴォルザークらしさが戻ってきて安定するように感じるのですが,全体的にはどうも落ち着きませんでした

これは予習できなかったことが大きな要因だったと反省しています CDショップに行ったときは「ドゥムキ―」も買わねば,と思っているところです

ただ,この日はメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第2番が生演奏で,しかも素晴らしい演奏で聴けたので最高の気分です 室内楽公演の主催者には,もっとメンデルスゾーンの室内楽を取り上げて欲しいと熱望します

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ルキーノ・ヴィスコンティ監督「家族の肖像」を観る~モーツアルト「協奏交響曲K.364~第2楽章」が流れる / 次年度藝大モーニングコンサートの前売りについて

2017年02月14日 07時48分53秒 | 日記

14日(火).わが家に来てから今日で868日目を迎え,北朝鮮が中距離弾道ミサイル「北極星2」の試験発射を実施したというニュースを見て 感想を述べるモコタロです

 

       

        阿部・トランプ会談のタイミングを狙ってミサイルを発射したね さすが 来た 挑戦だ!

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「豚肉と野菜のみそ炒め」と「生野菜とアボガドとサーモンのサラダ」を作りました.「豚肉~」は初挑戦です わが家では,肉だけはレシピの倍くらい使うので調味料の加減が非常に微妙ですが,初挑戦にしては美味くできました

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

2017年度藝大モーニング・コンサートの発売方法が発表されました 下記のチラシの通り4月から来年2月までの間に全13回開催されます すべて木曜日の午前11時開演で,会場は上野の東京藝大奏楽堂です.入場料は各回1,000円で全自由席(入場整理番号付き)です

 

       

 

ここまでは良いのですが,先行販売に関する情報を見ておやっ?と思いました

「開催日程等」の説明には「各回の指揮者,曲名及びソリスト等は3月6日(月)に決定・公開の見込み」と書かれています

一方,「前売券販売開始予定」の説明には「先行販売開始(全13回セットのみ取り扱い.限定200セット)は2月16日(木)10:00~とあります.そして一般販売開始(各回の個別券の取り扱い)は3月8日(水)10:00~となっています

つまり,全13回セット券を早めに買いたい人は3月6日のプログラム内容・出演者を知らないまま,2月16日に買うことになるわけです

通常であれば,ソリスト,指揮者,曲名を公開してから前売りを開始するのが普通だと思いますが,そうしないのは何か意図があるのでしょう 出来るだけ 公演によって入場者数が偏らないようにしたいとか・・・ いずれにしても,公演内容を確かめてからチケットを買いたいときは3月8日以降に手配すれば良いのですから,それほど大きな問題はありませんね 入場の順番が多少遅くなるだけですから.全自由席だし

 

  最後の,閑話休題  

 

昨日,岩波ホールでルキーノ・ヴィスコンティ監督「家族の肖像」(1974年製作,イタリア・フランス合作,121分)をデジタル完全修復版で観ました

ホールの入口正面の壁には過去の上映作品のチラシが一面に貼られていて(下の写真はほんの一部)壮観です

 

       

 

教授(バート・ランカスター)はローマのアパルトマンで「家族の肖像」と呼ばれる絵画コレクションに囲まれながら管理人のドメニコと家政婦のエルミニアとともに静かな毎日を送っていた そこにビアンカ(シルヴァ―ナ・マンガ―ノ)とその娘リエッタ(クラウディア・マルサ―二),リエッタの同居人ステファノ(ステファノ・パトリッツィ),ビアンカの愛人コンラッド(ヘルムート・バーガー)らがやってきて,上階を貸してくれるように頼む 教授は静かな生活を壊されることを恐れて断るが,しつこく頼まれ 仕方なくコンラッドを住まわせることになる 勝手に許可のない内装工事をしたり大きな音を出したりと,あまりにも価値観の違う若者たちの行動に気が滅入る教授だったが,コンラッドが美術を中心とする芸術に明るいことから興味を覚える コンラッドはかつては学問好きの青年だったが,マルクス主義思想に傾倒して学業を中断し,今では昔の仲間に追われる身になっていた 一方,ビアンカの夫は実業家で,ファシズムを支持する右翼の過激派と通じていた.ある晩,教授は今までの頑なな心を開いて彼らを夕食に招いたが,ビアンカの夫の話になったのがきっかけで口論になり,ステファノとコンラッドが思想的立場の違いから喧嘩になった この時,教授は為すすべがなく,コンラッドは教授に手紙を残して上階で爆死した 教授はショックで寝込んでしまい,やがて息を引き取る

 

       

 

私はこの映画を観るのは初めてですが,冒頭の会話のシーンであれっ?と思いました てっきりイタリア語で会話するのかと思っていたら英語だったからです そして,最後まで観終わって あれっ?と思ったのは,終始教授の住むアパルトマンの室内のシーンばかりだったことです

この映画で一番強烈な印象を受けたのはビアンカを演じたシルヴァ―ナ・マンガ―ノです 年頃の娘がいるのに若い愛人を囲い,教授や周りの人たちに平気で迷惑をかける,その強烈な個性が顔に現れています 一方,教授の回想シーンで現れる妻をクラウディア・カルディナーレが演じていますが,絶世の美女ですね

ヴィスコンティの映画と言えば音楽です この映画の前半で,コンラッドが教授の部屋でレコードを見つけ,プレーヤーにかけるシーンがあります.その時の会話は

コンラッド:モーツアルトですね

教  授:そう.今度バーンスタインがニューヨークから来るんだ

コンラッド:ぼくはベームの(レコード)を持っていますよ

というものです.プレーヤーにかけられたレコードはモーツアルトのコンサート・アリアのような曲だったのですが,曲名は分かりませんでした

映画の中盤で教授が妻を回想するシーンで流れて来たのはモーツアルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調K.364」の第2楽章「アンダンテ」でした このメランコリックなメロディ―は映画の終盤で形を変えて流れてきます.名曲中の名曲です

ヴィスコンティは,1971年公開の「ヴェニスに死す」ではマーラーの「交響曲第5番嬰ハ短調」の第4楽章「アダージェット」を使い,この曲ではモーツアルトを使いました クラシック音楽に対する造詣の深さと比類のセンスの良さを感じます

 

       

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モーツアルト「交響曲第35番”ハフナー”,同第39番」他を聴く~東京藝大チェンバーオーケストラ公演

2017年02月13日 07時36分29秒 | 日記

13日(月).わが家に来てから今日で867日目を迎え,訪米中の安倍首相がトランプ米大統領の別荘で食事を共にし,ゴルフも一緒にプレーしたというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

      

          経費はトランプ氏の個人負担らしいけど 後で大きなツケが回ってこないかな? 日本に

 

  閑話休題  

 

昨日,上野の東京藝大奏楽堂で,東京藝大チェンバーオーケストラ第28回定期演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第35番ニ長調K.385”ハフナー”」,②イルジー・パウエル「ファゴット協奏曲」,③モーツアルト「交響曲第39番変ホ長調K.543」です 指揮者なしで,②のファゴット独奏は岡崎耕治です

 

      

 

午後3時開演,2時半開場なので1時50分頃に行ったらすでに長蛇の列でした それでも1階14列12番,左ブロック右通路側を押さえました 会場は8割方入っているでしょうか

学生たちが入場します.総勢30数人ですが,圧倒的に女子学生が多い態勢です.プログラム冊子の名簿によると前半のコンミスは葉石真衣さんです 指揮者なしでの公演のため,コンミスの姿が良く見えるように,椅子が高く調整されています

1曲目はモーツアルトの「交響曲第35番K.385”ハフナー”」です モーツアルトはコロレド大司教と喧嘩別れして故郷ザルツブルクを去ってウィーンに居たのですが,1782年7月中旬,父レオポルトを通じてジークムント・ハフナーの爵位授与を祝って交響曲を作曲してほしいという依頼があったため,急いで作曲し,8月上旬には総譜を父親に送付しています.これが「ハフナー交響曲」の云われです

モーツアルトの交響曲で一番大切なのはテンポです モーツアルトは父親への手紙で「(この曲の)第1楽章のアレグロは すごく情熱的に,終楽章はできるだけ速く演奏されなくてはなりません」と書いていますが,指揮者なしの藝大チェンバーオケの演奏はそれを忠実に守っているような軽快な演奏でした

2曲目はイルジー・パウエル(1919-2007)のファゴット協奏曲です この人はチェコの作曲家で,主として室内楽やオペラの分野で活躍していたようです.チェコ・フィルの芸術監督や国民劇場の総監督などを歴任したものの,1989年のビロード革命の際に職を追われたとのことです この曲は1949年,30歳の時に作曲されました

ファゴット独奏の岡崎耕治が登場し,彼の合図で演奏に入ります.岡崎は1949年広島市生まれで,1972年に武蔵野音楽大学を卒業し東京交響楽団に入団,74年にドイツに渡って学び,78年にNHK交響楽団に入団し2009年まで首席を務めました.現在は武蔵野音大教授,東京藝大客員教授です

曲は3楽章から成りますが,美しいメロディラインあり,超絶技巧ありと,なかなか聴きごたえのある曲で,ファゴットと弦楽器,あるいはフルートなどの管楽器との丁々発止のやり取りも楽しめました ソリストの岡崎はもちろんのこと,バックを務めた藝大チェンバーオケの学生たちも良くフォローしていました

 

       

 

プログラム後半は,モーツアルトの交響曲第39番変ホ長調K.543です モーツアルトの いわゆる「三大交響曲」の最初の曲です.「第39番(変ホ長調)」,「第40番(ト短調)」,「第41番(ハ長調)」の3曲は1788年の夏にわずか6週間で作曲されましたが,長い間「どういう動機で作曲されたのかも分からず,モーツアルトは生前聴くことはできなかった」と言われてきました  しかし,近年の研究によると,ヨーゼフ・ハイドン(1737-1806)の6つの「パリ交響曲」の中の「第82番”熊”(ハ長調)」,「第83番”めんどり”(ト短調)」,「第84番(変ホ長調)」の3曲セットの出版(1787年)に触発されたのではないかという有力な説が出てきています.順番は逆でも調性は同じです

私は三大交響曲の中ではこの第39番が一番好きです 第1楽章「アダージョーアレグロ」,第2楽章「アンダンテ・コン・モト」,第3楽章「メヌエット:アレグレット」,第4楽章「フィナーレ:アレグロ」の4つの楽章から成ります

コンミスが山田香子さんに代わります.このK.543はオーボエがないので,クラリネットが音頭をとってチューニングをします コンミスの合図で第1楽章に入ります.この曲でもテンポ感が抜群です.まさにモーツアルトのあるべきテンポです 管と弦とのアンサンブルも見事です 私の一番好きな第3楽章「メヌエット」も理想的なテンポで演奏してくれました 2本のクラリネットとフルートをはじめとする管楽器群は素晴らしい演奏でした

会場いっぱいの拍手に,K.543の第4楽章をもう一度演奏し,再度大きな拍手を受け,コンサートを締めくくりました

全体を通して爽やかで気持ちの良いコンサートでした あらためて指揮者なしで素晴らしい演奏をしてくれた学生たちに大きな拍手を送ります

 

        

 

ところで,話は180度変わりますが,プログラムの解説を大学院生Mさんが書いていますが,「交響曲第39番」の解説に校正ミスらしき箇所がありました 該当箇所を引用してみます

「高雅な第2楽章は付点リズムの動機に基づく.中間部では精妙な和声法により,万華鏡の如く鮮やかに 次々と色合いを変えながら旋律が繰り返される.躍動的なメヌエットに続くトリオにおいて ついに,2本のクラリネットの魅力が遺憾無く発揮される.分散和音にのって,レントラー(アルプスの舞踏)から取られた可憐な旋律がのびやかに奏される」(文章のまま)

「どこかおかしい?」とモーツアルト好きはすぐに気が付くはずです 実は,この文章は第2楽章だけでなく第3楽章の説明も含まれているのです この文章を正しくするには,「~旋律が繰り返される」の後に「第3楽章は」を追加して「躍動的な~」とつなげる必要があります

細かいことかもしれませんが,入場料1500円とは言え,料金を取って開催するコンサートのプログラム冊子です その上,日本を代表する音楽大学の大学院生が書いた文章です.自戒していただき,次回は間違いのない解説を書いてほしいと思います 演奏内容が素晴らしかっただけに,プログラムの解説にも気を付けていただければ完璧だと思います

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京音楽コンクール入賞者による「ムジカ・アモーレ」コンサートを聴く~東京文化会館小ホール

2017年02月12日 08時09分28秒 | 日記

12日(日).わが家に来てから今日で866日目を迎え,訪米中の安倍首相が10日の米トランプ大統領との会談に際し日米同盟を強化することを確認するとしたニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        この会談のあとゴルフだけど スコア上 トランプの足を引っ張る恐れはゼロで何よりだ

 

  閑話休題  

 

昨日,上野の東京文化会館小ホールで「ムジカ・アモーレ」コンサートを聴きました これは東京都の「ミュージック・プログラム・トウキョウ」の一環として開かれた公演です プログラムはタイトル通り「愛」にまつわる曲を集めたものです.出演は東京音楽コンクールの入賞者たちで,ナビゲーターは宮本文昭です

 

        

 

開演2時,開場1時半なので早めに12時半頃東京文化会館に行ったら,すでに長蛇の列が小ホールから続いていてビックリしました 2時間のコンサ―トでチケット代が1,000円ですからね,満員御礼だそうです 何とかH列28番,右ブロック左通路側を押さえました

最初にピンクの衣装が爽やかなヴァイオリンの瀧村依里(読響首席)とピアノの居福健太郎が登場,マスネの「タイスの瞑想曲」が演奏されました 穏やかで良い曲です

次の曲に入る前にナビゲーターの宮本文昭が登場,挨拶し会の趣旨を説明しましたが,楽器も指揮棒も持たない宮本の司会はほとんど素人そのもので,時間管理がほとんどできていない様子です 残念ながらこれは最後まで変わりませんでした これは明らかに人選ミスです.次回は声がかからないだろうな

2曲目はオーボエの吉村結実と居福健太郎によりシューマンの「3つのロマンス」から第1曲が演奏されました この曲はシューマンが妻クララにクリスマス・プレゼントとして贈った曲とのことです.歌を歌うようなオーボエの音色は良いものです

そして次の曲の演奏のため弦楽の4人の女性が入場しましたが,チェロの加藤文枝がなぜか転んでしまいました ロングドレスに足を取られたのでしょうか.突然の出来事に拍手が一旦止み,彼女が起き上がると再び大きな拍手が湧きました これがかえって彼女を印象付けることになりました ピンク系の衣装で統一した4人は華やかです

3曲目はエルガーの「愛の挨拶」の弦楽四重奏版です 第1ヴァイオリン=瀧村依里,第2ヴァイオリン=小川響子,ヴィオラ=渡邉千春,チェロ=加藤文枝というメンバーです ヴァイオリン独奏では何度も聴いたことがありますが,弦楽四重奏では初めてです.一味違った味わいを経験しました

4曲目は同じメンバーによってボロディンの「弦楽四重奏曲第2番」から第1楽章が演奏されました 夫人への愛の告白から20周年に献呈した曲とのこと.この曲は第3楽章「ノクターン」が有名ですが,第1楽章も穏やかで良い曲です

 

        

 

プログラム後半の最初は,居福健太郎のピアノ独奏によりサティの「ジュ・トゥ・ヴ」(お前が欲しい)です 宮本がこの曲の詩の一部を読み上げましたが,相当濃厚な愛の告白です しかし,曲はむしろアンニュイなシャンソンといった感じです

2曲目はラヴェルの「マ・メール・ロワ」から「妖精の園」が,リンケルマンの編曲版で木管五重奏によって演奏されました メンバーは,フルート=梶川真歩,オーボエ=吉村結実,クラリネット=コハーン・イシュトヴァ―ン,ファゴット=鈴木一成,ホルン=氏家亮です この曲はゆったりした曲想なので,アンサンブルが難しそうでした しかし,同じメンバーによって演奏された次のビゼー/ホルコンブの「カルメン・ファンタジー」は各楽器の特性が生かされたカラフルな演奏でした

4曲目はチャイコフスキーの歌劇「エフゲニー・オネーギン」からレンスキーのアリア「青春は遠く過ぎ去り」(イシュトヴァ―ン編曲)です 弦楽四重奏と木管五重奏をバックにイシュトヴァ―ンが指揮をしながらクラリネットを吹きます クラリネットは高音がちょっときつかったですが,それを除けば見事な演奏でした

プログラムの最後は,居福健太郎のピアノ,イシュトヴァ―ンのクラリネット,弦楽四重奏によってピアソラの「アディオス・ノニーノ」が演奏されました 冒頭は居福のピアノ・ソロが続きますが,熱情的で鮮やかな演奏でした そこに弦楽四重奏とクラリネットが入ってタンゴのメロディーになると,曲が一層生き生きとしてきました

満席の会場からの大きな拍手に,出場者全員によるアンコールがありましたが,曲名が分かりません.ワルツのような曲想でしたがとても良い曲でした

 

        

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チャイコフスキー「交響曲第6番”悲愴”」,リスト「ピアノ協奏曲第1番」他を聴く~三ツ橋敬子+東京フィル

2017年02月11日 08時09分49秒 | 日記

11日(土・祝).わが家に来てから今日で865日目を迎え,難民や中東・アフリカの7か国の国民の入国を一時禁止した米大統領令をめぐり,米連邦第9控訴裁(カリフォルニア州)が,効力の停止を維持する決定をした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

                               アメリカは「三権分立」の精神が生きていることが証明されたわけね 日本は?

 

  閑話休題  

 

昨日,新聞を読みながら喫茶店で聴いたCDはピアーズ・レーンのピアノ独奏によるスクリャービン「練習曲(全曲)」(1992年5月録音)です 私のお気に入りは一番最初に入っている「練習曲嬰ハ短調作品2-1」と「12の練習曲作品8」~第12番 嬰ニ短調です 最初にこの2曲を聴いた時は,前者では「詩」を,後者では「情熱」を感じましたが,「まるでショパンのようだ」と思ったことを思い出します

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夕,池袋の東京芸術劇場コンサートホールで東京フィルのコンサートを聴きました これは「2017都民芸術フェスティバル」参加公演です.プログラムは①グリンカ:歌劇「イヴァン・スサーニン」序曲,②リスト「ピアノ協奏曲第1番変ホ長調」,③チャイコフスキー「交響曲第6番ロ短調”悲愴”」で,②のピアノ独奏は田中正也,指揮は三ツ橋敬子です

 

        

 

自席は2階L列6番,2階の左サイドですが,辛うじて通路側です.会場はほぼ満席です オケの面々が配置に着きます.コンマスは女性です.2階の自席からはよく見えないのですが,室内楽を中心に活躍している川田知子に似ています でも背が高いように思います.結局分かりません 第2ヴァイオリン首席には戸上眞里が控えています.頼りになります

髪の毛を後ろで束ねた小柄な三ツ橋敬子が登場し指揮台に上がります

三ツ橋敬子は江東区出身で,東京藝大大学院を修了しウィーン国立音楽大学に留学,2008年に第10回アントニオ・ぺドロッティ国際指揮者コンクールで優勝,2010年に第9回アルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールで準優勝(女性初)を果たしています

1曲目はグリンカの歌劇「イヴァン・スサーニン」(皇帝に捧げた命)序曲です この歌劇は,ポーランド軍に追われていたロシアのロマノフ王朝の初代皇帝を,農民イヴァン・スサーニンが命をかけて助ける,という物語です

グリンカといえば歌劇「ルスランとルドミュラ」序曲を まるで彼の代名詞のように思い起こしますが,プログラム冊子の解説によれば,1850年にサンクトペテルブルクに越してきた10歳のチャイコフスキーに鮮烈な印象を与えたのが,この「イヴァン・スサーニン」だったといいます

小さな三ツ橋は大きな振りで勇壮な音楽を展開します.グリンカの違う顔を見たように思います

2曲目はリストの「ピアノ協奏曲第1番変ホ長調」です この曲は19世紀の巨匠ピアニストで作曲家だったリストが1835年に作曲し,何度か改訂を繰り返し完成させたピアノ協奏曲です 初演は1855年,ベルリオーズの指揮,リストのピアノ独奏により挙行されています.何という豪華共演でしょうか

ソリストの田中正也が登場しピアノに対峙します.背が高く,2階から遠めに見ると「倍返し」で一世を風靡した堺雅人に似ています 彼は15歳で単身ロシアに渡り,モスクワ音楽院で学び,カントゥ国際ピアノコンチェルトコンクールで第1位・リスト賞を受賞しています

この曲は4つの楽章から成りますが,楽章間は間を置かず続けて演奏されます.まるでリストの得意とする「交響詩」のようです

第1楽章はオケ全体による堂々たる導入部に導かれてピアノが入ります 田中は落ち着いていて演奏に安定感があります 中盤で三ツ橋が急激にテンポアップしてピアニストを挑発すると,田中が乗ってくるところがスリリングで聴きごたえがありました 第2楽章は一転,ロマンティックな曲想です.第3楽章ではトライアングルが登場しますが,冒頭では弱音で打ち鳴らされ,私にとっては音が聞こえるかどうかの聴覚検査をされているような気分でした ちゃんと聴こえました 第4楽章はリストらしい華やかでダイナミックなフィナーレです

田中正也は終始落ち着いた演奏で,超絶技巧曲をいとも簡単に弾いているようでした 三ツ橋+東京フィルはソリストに良く合わせていました

三ツ橋敬子に限らず,背の低い指揮者はソリストが背が高いときには,なかなか指揮台から降りようとしません 降りてもソリストに近づこうとしません.背の高さは音楽作りに関係ないのは分かっていながらも,どうしてもコンプレックスが勝ってしまうのでしょう 気持ちはよく分かります

大きな田中は,アンコールにプロコフィエフ「10の小品」から第7番「前奏曲:ハープ」を演奏し,大きな拍手を受けました

 

       

 

休憩後はチャイコフスキー「交響曲第6番ロ短調”悲愴”」です この曲は1893年10月28日に作曲者自身の指揮で初演されましたが,そのわずか9日後に,チャイコフスキーは53歳の若さで亡き人になってしまいました

この曲は4つの楽章から成ります.第1楽章は冒頭,低弦に乗せてファゴット独奏によりモノローグが語られますが,どうも私のイメージからは軽いような(深さが足りない)印象を受けました このまま行くのか,と心配しましたが,三ツ橋の明快で粘り強い指揮で深みのある音楽が展開しました 一番三ツ橋らしいなと思ったのは第3楽章です.何者も寄せ付けない力で押し切っていくような怒涛の行進曲が演奏されます この快進撃は若い三ツ橋ならではでしょう 第3楽章が終わると2階席で拍手が起こったのも無理のないことかも知れません

第4楽章は一転,これほど暗い音楽があるだろうか,という絶望的な音楽です 三ツ橋は振幅の大きな音楽作りをして作曲者の慟哭を表出します

終演後のフライング気味な拍手が残念でした 一部の聴衆はもう少し我慢した方が良かったと思います.この曲はそういう曲ではないはずです.何をそんなに急ぐ必要があるのでしょう

アンコールは弦楽セクションによりバッハの「G線上のアリア」が静かに演奏されました

三ツ橋敬子の指揮は久しぶりに見ましたが,相変わらずエネルギッシュで好感が持てました

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「芸劇ブランチコンサート」のチケットを買う / ウニ―・ルコント監督「めぐりあう日」,サミュエル・ベンシェトリ監督「アスファルト」を観る~ギンレイホール

2017年02月10日 07時56分04秒 | 日記

10日(金).昨日の日経朝刊第1面コラム「春秋」を見て「おやっ?」と思いました 冒頭,次のように書かれていたのです

「少年易老学難成/一寸光陰不可軽.日本で広く知られた漢詩のでだしである 『少年老い易く学なりがたし/一寸の光陰かろんずべからず』と読み下せば,わかりやすいかもしれない 若いうちは,わずかなときも惜しんで勉強しなさいー もっともな趣旨である 宋の時代に儒教の中興をなしたとされる朱子の『偶成』という詩である,と習ったおぼえがある・・・が,専門家の考証が進んだ結果,室町時代の日本の禅僧がつくった,との見方が強まっているそうである 専門家の研究によれば,明治政府が検定した中学生向けの漢文の教科書がはじまりだった,とのこと

私もてっきり朱子の言葉だとばかり思っていましたが,趣旨が違ったようです 教育的見地から言えば,種子が芽吹いて花を咲かせるまでは,わずかな時も惜しんではいけない,ということなのでしょう

ということで,わが家に来てから今日で864日目を迎え,トイレ個室の空き状況がドアのセンサーを利用したネットで分かるシステムが開発されているというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

  「トイレで神(紙)に見放されたら 自分で運(ウン〇)をつかめ」という格言があったね・・・水に流して!

 

  閑話休題  

 

東京芸術劇場主催の「芸劇ブランチコンサート」のチケットを買いました 4月26日(水),6月28日(水),8月30日(水)の3公演で,毎回午前11時開演です 各回全席指定2,200円です

 

       

 

4月26日は「ヴィオラに恋して」というテーマで,①エルガー「愛の挨拶」,②シューマン「おとぎの絵本」,「おとぎ話」,③チャイコフスキー「メロディー」,④ドビュッシー「夢」が演奏されます

6月28日は「バッハに心酔」というテーマで,①管弦楽組曲第2番,②ブランデンブルク協奏曲第5番が演奏されます

8月30日は「清水和音リサイタル~ピアノ小品 名曲大全集」と題して,①ラフマニノフ「鐘」,②チャイコフスキー「感傷的なワルツ」,③メンデルスゾーン「春の歌」,④ショパン「幻想即興曲」,⑤ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」,⑥プロコフィエフ「3つのオレンジへの恋」より行進曲,⑦スクリャービン「詩曲」,⑧リスト「超絶技巧練習曲第11番『夕べの調べ』」が演奏されます

演奏は,ピアノ=清水和音,ヴィオラ=佐々木亮,クラリネット=伊藤圭,フルート=竹山愛,ヴァイオリン=大江馨,藤江扶紀,チェロ=富岡廉太郎,コントラバス=西山真二です

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,神楽坂のギンレイホールで「めぐりあう日」と「アスファルト」の2本立てを観ました 「めぐりあう日」はウニー・ルコント監督による2015年製作のフランス映画(104分)です

 

       

 

生みの親を知らずに育った理学療法士のエリザは,実の母親を探すため自分が生まれた街フランスのダンケルクに8歳の息子と一緒に移り住む 運命の糸が引き合ったのか,ある日,息子が通う学校で働く中年女性のアネットが患者として治療室に患者としてやってくる.彼女こそエリザの実母だったが,そうとは知らずに施術を繰り返し,アネットも実の娘と知らずに施術を受ける そして治療を通じて不思議な親密感を覚えていき,エリザが幼少時に預けられていた施設の情報を通じてお互いを知ることになる

 

       

 

自分の出生の秘密を確かめるため引っ越しまでするエリザですが,30年の歳月を経てやっと再会を果たします.二人がお互いに親子であることを認識して対峙するシーンは,よくある”お涙頂戴”的なものでなく,良かったと思います

また,映画の本筋とは関係ありませんが,「地球の引力と人間の肉体的な老い」を考えました

 

  最後の,閑話休題  

 

「アスファルト」はサミュエル・ベンシェトリ監督による2015年製作のフランス映画(100分)です

 

       

 

フランス郊外のとある古いアパートに住んでいる,冴えない中年男,母親が留守がちな鍵っ子ティーンエイジャー,落ちぶれた女優,服役中の息子を持つアルジェリア系移民の女性,彼らにそれぞれ思いがけない出来事が待っていた

中年男は自業自得の結果,腰を痛めて車椅子生活になったが,深夜に食料を調達するために外出した際,病院の裏で夜勤の看護師と出逢う 何とか近づきたい彼は,自分は写真家だと偽って彼女に接近し,彼女を映したいと頼み込む

ティーンエイジャーは,同じ階に住む落ちぶれた女優が,エレベーターが閉まらない時や鍵を部屋の中に置いたまま外出したため中に入れない時など,何かと彼女の力になる そして,再び女優として復帰できるチャンスが巡ってきたとき,彼は彼女を励まし,力を貸す

ある日,空からロケットのカプセルが降ってきてアパートの屋上に不時着し,中からNASAの宇宙飛行士が出て来た 彼は着陸すべき場所を間違えたのではないかと,電話を借りにアルジェリア系移民の女性の部屋を訪れる そして今いる場所がアメリカではなくフランスだと分かり愕然とし,すぐに迎えを寄こすよう要求する.しかし,NASAは2,3日待って欲しいと言ってくる 彼は仕方なく彼女の家に居候して待つことにするが,その間,お互いに言葉が通じない女性から手料理を振る舞ってもらうなど親切にしてもらう

宇宙船の中の無重力シーンではヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」が微かに流れていましたが,明らかにスタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」のパロディです

この映画を観て思うのは,フランス映画らしい”エスプリ”です そこはかとないユーモア精神と言えば良いでしょうか.一番「いいなあ」と思ったのはアルジェリア系移民のマダム・ハミダを演じたタサディット・マンディです いかにも人の良さそうな おばちゃん を演じていて,良心さえあれば言葉が通じなくても世界中の誰とでも分かり合えることを信じさせてくれます  この映画は2015年カンヌ国際映画祭特別上映作品です

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カンヌ国際映画祭「ある視点」部門特別賞受賞『レッドタートル』を観る / 柚木裕子著「蟻の菜園 ー アントガーデン ー 」を読む

2017年02月09日 07時54分03秒 | 日記

9日(木).昨日の朝日朝刊 社会面の「ニュース3Q」欄に「外す?外さない? 焼き鳥の串 論争」という記事が載っていました 記事を超訳すると

「東京・田町にある焼鳥店『鳥一代』の社長が,看板に『焼き鳥を串から外してシェアして召し上がっているお客様が多く見られます.凄く・・・悲しい』と書いたところ,ブログ上で論争になった 否定的な意見は『客の自由』『店員の努力を食いにいってるんじゃない』など.一方『串を外して食べるとか ありえない』『胸がスッキリした』と賛同の声があった.看板に記載後は,ほとんどの客が外さないで食べるようになった  串一代では『最初の一口目が刺したままおいしく感じられるよう串先に大きめの肉を刺し,塩の量も多めにしている.串からネタを外すと,穴があいて冷めるのが早くなる.どう食べるかは,お客様の自由.しかし串に刺さったまま食べた方が絶対においしい』と話している.不動産情報会社アットホームによるネット調査によると,『大勢で焼き鳥を食べる場合は串から外しますか』という問いに,約6割の人が『外さない』,約3割の人が『外す』と答えている

さて,目の前に焼き鳥の「5本盛り合わせ」(お店が決めたメニュー)があったとします.仮に「つくね」「ネギ間」「皮」「はつ」「レバ」の5本とします これを二人で食べようとする時,串から外さない場合どうなるでしょうか?  一人が2本で一人が3本になりませんか? 割り勘だったら喧嘩になりそうですね また二人とも食べたいものが共通していたらどうしたら良いでしょうか? ジャンケンですか

今までの経験から言うと,2人以上の場合は串から外して食べるケースが多かったと思います 焼き鳥は好きなので,あれもこれも食べたいからです ただ,例えば相手が「レバは食べられない」という場合は,「それじゃあ,レバはもらうけど,代わりにネギ間を食べていいよ」ということになります

今年はトリ年です.これを機会に自分はどうするかトリあえずではなくチキンと考えてみるのもいいかも知れません  ということで,わが家に来てから今日で863日目を迎え,リビングで独り言をつぶやいているモコタロです

 

        

         昨日の夕刊は珍しくトランプ米大統領が第1面に登場しなかったな むしろ寂しい~     

 

  閑話休題  

 

昨日 早稲田松竹で,マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督・原作・脚本による映画「レッドタートル」を観ました これは日本(スタジオジブリ)・フランス・ベルギー合作による2016年製作のアニメーション映画(81分)です

 

       

 

大嵐で荒れる海で,一人の男が波にのまれ無人島に流れ着く 男は倒木でイカダを組み 島からの脱出を試みる  しかし,何度か挑戦するたびに外海に出る前に水面下の何ものかにイカダを壊され 島に戻ることになる  そんなある日,男の前に大きな赤いウミガメが現れる.実は島からの脱出を妨害していたのはそのウミガメだったのだ 彼は怒りウミガメを殴り 裏返しにして動けないようにしてしまう  その後,反省した男が水を飲ませて放っておくと,いつしかカメは女に変身していた.そこから二人の物語が始まる

この映画にはセリフが一切ありません 男の叫び声や鳥たちのさえずりくらいしか聴こえません.まさに「絵」のみで物語を紡いでいきます これまでのスタジオジブリのアニメ映画がそうであるように,海,山,動物たちの描写がリアルです 何度か小さな蟹が出てきますが,横歩きの蟹の細かい動きはユーモラスで まるで生きているようです

言葉がないからこそ,観る側の想像力を働かせ,それぞれの人生に重ねることになります ラストで赤いウミガメが海に帰って行くシーンは静かな感動を呼びます

この作品は,カンヌ国際映画祭「ある視点」部門特別賞を受賞しています

 

  も一度,閑話休題  

 

柚木裕子著「蟻の菜園ーアントガーデン」(宝島社文庫)を読み終わりました 柚月裕子は1968年岩手県生まれ.山形県在住.「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい」大賞を受賞して2009年にデビュー 「最後の証人」「検事の本懐」「検事の死命」などの作品がある

婚活サイトを利用して高齢老人に接触し,保険金を巻き上げたうえ練炭による二酸化炭素中毒などで殺人を犯した疑いで女が逮捕された事件がありました この小説はその事件をモデルにしてストーリーを展開しています.しかし,内容はまったく予想外の展開を見せます

 

        

 

並外れた美貌の持ち主である43歳の円藤冬香は,婚活サイトを利用した連続不審死事件に関与したとして,殺人容疑がかけられる しかし,彼女には完璧なアリバイがあり,共犯者の陰もないように見えた 冬香の犯行動機と人生に興味を抱いた週刊誌ライターの今林由美は,仕事上のつてで知り合った千葉新報記者・片芝敬と連絡を取り合いながら事件を追い始める.由美は冬香の生い立ちを探るため千葉・房総から福井・東尋坊まで取材に赴く.そこで,冬香の意外な過去を知ることになる 彼女には幼い頃に離れ離れになった姉がいた.完璧なアリバイの裏には何があったのか

柚月裕子の作品で最初に読んだのは「最後の証人」でした あまりの面白さに「検事の本懐」,「検事の死命」,「臨床真理(上・下)」と次々と読んでいきました この「蟻の菜園ーアントガーデンー」も読む手が止まらない面白さでした

事件の真相をスクープすることになる由美の原稿は週刊誌で連載されることになりますが,彼女が決めた原稿の出だしがこの作品のタイトル「蟻の菜園」です 小説の最後でその説明が語られます

「南米に『蟻の菜園』と呼ばれる,蟻と植物の共依存によって成り立っている事象がある.蟻は地上ではなく樹の上に巣を作り,その巣に数種類の着生植物が生える.蟻たちは着生した植物の果実を食料にし,植物は蟻の廃棄物を栄養源にして生きている.どちらが欠けても生きてはいけない

最後まで来て,なぜこの小説のタイトルが「蟻の菜園」なのかが理解されるのです

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする