人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ルネ・クレール監督「ル・ミリオン」(4Kデジタル・リマスター版)を観る ~ 「世の中お金がすべてじゃないけど、あった方がありがたい」

2022年05月11日 07時17分24秒 | 日記

11日(水)。一昨日、ロシアにおける「対ドイツ戦勝記念日」を祝う大規模軍事パレードの映像をテレビで観ていて、気がついたことがあります それは、プーチンの「戦勝記念日 万歳!」の掛け声に応えて、若い兵士たちが一斉に「ウーラ(万歳)!」と叫ぶシーンです どの若者も恐ろしいほど同じ顔をしていました わざわざ同じような顔の若者を揃えたのか、と思うほど同じ顔でした これには既視感があります。そう、北朝鮮の軍隊です。皆同じ顔をしています 全体主義国家の軍隊はみなこうなのだろうか

ということで、わが家に来てから今日で2677日目を迎え、北朝鮮中央通信は10日未明、金正恩朝鮮労働党総書記が9日付で、ロシアのプーチン大統領に、対ドイツ戦勝記念日を迎えたことに関し「国の尊厳と平和、安全を守るためのロシア人民の偉業に固い連帯を送る」と祝電を送った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     独裁者仲間からの数少ない祝電だから プーチンは感激しただろう 冷凍庫で保存か

 

         

 

昨日、夕食に「牛カルビとにんにくの芽炒め」「生野菜サラダ」「冷奴・ウニ醤油かけ」を作りました 牛カルビはタレがとても辛かったです 料理は甘くないですね

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐でルネ・クレール監督による1931年製作フランス映画「ル・ミリオン」(83分・白黒:4Kデジタル・リマスター版)を観ました

 

     

 

パリのアパルトマンで暮らす借金まみれの画家ミシェル(ルネ・ルフェーブル)と、その婚約者でオペラ座ダンサーのベアトリス(アナベラ) ある日、ミシェルの友人プロスペールが彼に宝くじの当選を知らせに来る ミシェルはその宝くじを古い上着のポケットに入れていたのだが、上着はひょんなことからベアトリスから泥棒集団の首領チューリップ親父の元へ、さらにニューヨークからやってきたオペラ歌手の舞台衣装へと渡って行ってしまう かくして、ミシェルとプロスペールはお互いに上着を奪還すべくドタバタ騒動を繰り広げる

 

     

 

本作は、フランスの名匠ルネ・クレールが「巴里の屋根の下」に続いて監督したトーキー第2作で、宝くじの当たり券を巡って繰り広げられる大騒動を描いたミュージカル喜劇です

歌や台詞の入るシーンと、サイレント映画のような演技だけのシーンとが混在して物語が進んでいきますが、その撮り分けが見事です また、場面転換のテンポがよく、喜劇ならではの楽しさが際立っています モノクロですが、4Kデジタル・リマスター技術により鮮明で美しい画面が再現されています

最後に「世の中、お金がすべてじゃないけど、お金はあった方がありがたい」と歌われますが、まったくその通りです 身の回りに戦争の脅威がないこと、心身ともに健康であること、生活に困らないお金があること・・・これが一番大切です

 

     

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恩田陸著「祝祭と予感」を読む ~ 「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ小説:「1位なしの2位」の位置づけ、「ピアノからトロンボーンへの転向」の可能性などを考える

2022年05月10日 07時15分52秒 | 日記

10日(火)。わが家に来てから今日で2676日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は9日、第2次世界大戦での旧ソ連による対独戦勝記念日に合わせ、モスクワ「赤の広場」で演説し、ロシアのウクライナ侵攻は「時宜にかなった正しい決断だった」と述べ、正当性を主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアと一部の独裁国家以外は「歴史的な誤った決断だった」と思っているけどね

 

         

 

昨日は5月なのに寒かったので、夕食に「豚肉のクリームシチュー」を作りました あとは生野菜サラダです。普段は牛乳を飲まないので、あわてて買いに行きました

 

     

 

         

 

恩田陸著「祝祭と予感」(幻冬舎文庫)を読み終わりました 恩田陸は1964年宮城県生まれ。1992年「六番目の小夜子」でデビュー 2005年「夜のピクニック」で吉川英治文学賞と本屋大賞を受賞。2017年「蜜蜂と遠雷」で直木賞と本屋大賞を受賞。著者多数

 

     

 

本書は直木賞を受賞し映画化もされた「蜜蜂と遠雷」に登場する人物を再登場させて物語を紡いだ短編小説6篇に加え、2017年から19年にかけて執筆した音楽関係のエッセイを付録として収録しています

短編小説は「祝祭と掃苔(そうたい)」「獅子と芍薬(しゃくやく)」「袈裟と鞦韆(ぶらんこ)」「竪琴と葦笛」「鈴蘭と階段」「伝説と予感」の6篇から成ります 「蜜蜂と遠雷」に登場したピアノ・コンテスタントの風間塵、栄伝亜夜、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール、そしてピアノ教師のユウジ・フォン・ホフマン、ナサ二エル・シルヴァーバーグといった懐かしい面々がそれぞれの物語に登場します

この中で特に印象に残った作品をご紹介します

「獅子と芍薬(しゃくやく)」はミュンヘンのピアノコンクールで1位なしの2位に入賞した2人のコンテスタント、ナサ二エル・シルヴァーバーグと嵯峨三枝子の物語です 著者はこのコンクールが「たいへん難関で、めったに優勝者を出さないことで知られており、1位なしの2位とはいうものの、じゅうぶん音楽家のキャリアとして通用する」と書いているので、「ミュンヘン国際音楽コンクール」をモデルにしているのは間違いないでしょう 2人はお互いに「こいつがいなければ自分が優勝していた」と思い込んで、罵倒し合います しかし、人生は分からないもので、これをきっかけに2人は付き合うようになり結婚します(もっとも後で離婚しますが

これを読んで考えたのはコンクールにおける「1位なしの2位」の評価です コンサートのプログラムに掲載されるソリストのプロフィールに「〇〇コンクール優勝」とか「〇〇コンクール第2位」とか書いてあると、比較的分かりやすいのですが、「1位なしの2位」と書いてあると、「優勝はしなかったが、最高位だった」ことが分かるのですが、「優勝のレヴェルには達しなかった」ということも想像がついてしまうのです 個人的には世界レヴェルの名の知れたコンクールで3位に入賞すれば大したものだと思います

「竪琴と葦笛」はピアノ教師のナサ二エル・シルヴァーバーグが、マサル・カルロス・レヴィ・アナトールの音楽に対する幅広い可能性を見出し、ジャズを聴かせたことから、マサルはピアノからトロンボーンに転向するという物語です

この小説を読んで思ったのは、世界的なピアニストとして将来を嘱望されていた者が、途中で管楽器奏者に転向するケースが実際にあるのだろうか、ということです よく聞くのはヴァイオリンからヴィオラに転向したというケース、そしてピアニストから指揮者に転向したというケース(ダニエル・バレンボイム、クリストフ・エッシェンバッハ、チョン・ミョンフン等)ですが、弦楽器から管楽器へ、あるいはピアノから管楽器へという転向はあるのだろうか? 楽譜を見て演奏するということでは同じだとは言え、楽器の種類が違うことから表現方法が全く異なるので、そう簡単には転向できないと思うのですが

エッセイでは、映画「蜜蜂と遠雷」の本選シーン撮影で音楽ホールを使用した武蔵野音楽大学の広報誌に寄せた「ピアノへの憧れから生まれた『蜜蜂と遠雷』」の中で、著者がこの作品を書こうと思ったきっかけが書かれています

「そもそものきっかけは、学生時代に部屋が隣にあったサークル、モダン・ジャズ研究会をモデルにした小説を書いたことだった その小説で演奏シーンを書いてみたら、とても面白かったのである その経験が頭に残っていて、それなら、自分でも長いこと弾いていたピアノの小説を書いたら面白いかも、と直感したのだ」「それと前後して、たまたま手にした新聞か雑誌で、浜松国際ピアノコンクールに最初書類選考で落ちたコンテスタント(ラファウ・ブレハッチ)がオーディションに合格して参加し、するすると勝ち上がり最高位を獲ったのち、ショパン・コンクールで優勝した、というエピソードを読んだのである ふむ、これは面白いな、小説っぽいエピソードだな、と思ったのが直接のきっかけだった 小説を連載する雑誌の担当編集者がたいへん音楽に詳しい人だったので、『協力してもらえるな』と思ったのも大きい

恩田さんは12年かけて4回、浜松国際コンクールに通い続け、実際に演奏を聴いて小説に仕上げたのですが、最も苦労したのは小説の中で誰にどの曲を演奏させるか、というプログラミングだったそうです その中で、異能の天才少年、風間塵が一次審査で弾く曲だけは最初から決めていたそうです バッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻」から第1番とモーツアルト「ピアノ・ソナタ第12番ヘ長調K.332」第1楽章です モーツアルトのK.332は「子どもの頃に初めて聴いた時、文字通り雷に打たれたような衝撃を受けた曲」とのことです 私も大好きです

上記のほか、「蜜蜂と遠雷」にまつわる興味深いエピソードがたくさん収録されています 音楽ファンはもちろんのこと、広くお薦めします

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広瀬陽子著「ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略」を読む ~ サイバー攻撃、特殊部隊、民間軍事会社(PMC)を駆使して多面的に展開:ウクライナ侵略の手法を見る

2022年05月09日 07時20分07秒 | 日記

9日(月)。長いようで短かかったゴールデンウィークも終わりましたね 息子も昨日、単身赴任先の鶴岡市に戻りました。連休中は息子が1日おきに夕食を作ってくれたので大いに助かりました 今日からまた月曜から金曜までは私が1人で作らなければなりません

ということで、わが家に来てから今日で2675日目を迎え、英BBCなどによると、イタリア政府は6日、同国北部の港で全長140メートルのヨット「シェエラザード」を差し押さえたが、これはロシアの反政権運動家アレクセイ・ナワリヌイ氏の陣営が「世界最大級のヨットで7億ドル(約913億円)の価値があり、プーチン氏のものだ」と主張していた船で、米当局者もプーチン氏との関係を指摘している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     千一夜物語の語り手シェエラザードの命は救われたが プーチンの罪は免れられない

 

         

 

広瀬陽子著「ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略」(講談社現代新書)を読み終わりました 著者の広瀬陽子さんは、2月のロシアのウクライナ侵略以降、小泉悠氏とともに、テレビの報道番組でロシア専門家として引っ張りだこの人なので、ご存じの方は多いと思います 広瀬さんは1972年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院総合政策学部教授。慶應義塾大学総合政策学部卒業、東京大学大学院政治学研究科修士課程修了・同博士課程単位取得退学。政策・メディア博士(慶応義塾大学)。専門は国際政治、コーカサスを中心とした旧ソ連地域研究。2018~2020年には国家安全保障局顧問を務めた。著書に「ロシアと中国 反米の戦略」(ちくま新書)などがある

 

     

 

本書は次の各章から構成されています

プロローグ

第1章「ロシアのハイブリッド戦争とは」

第2章「ロシアのサイバー攻撃と情報戦・宣伝戦」

第3章「ロシア外交のバックボーン・・・地政学」

第4章「重点領域・・・北極圏、中南米、中東、アジア」

第5章「ハイブリッド戦争の最前線・アフリカをめぐって」

エピローグ

著者は第1章の中でロシアの「ハイブリッド戦争」について次のように定義・解説しています

「ハイブリッド戦争とは、政治的目的を達成するために軍事的脅威とそれ以外のさまざまな手段、つまり、正規戦・非正規戦が組み合わされた戦争の手法である いわゆる軍事的な戦闘に加え、政治、経済、外交、プロパガンダを含む情報、心理戦などのツールの他、テロや犯罪行為なども公式・非公式に組み合わされて展開される。ロシアのハイブリッド戦争は、2013年11月の抗議行動に端を発するウクライナ危機でロシアが行使したものとして注目されるようになった 非線形戦(非対称戦)などと言われることもある

そして、ハイブリッド戦争によるメリットとして①低コスト、②効果が大きい、③介入に関して言い逃れができる、という点を挙げています

そのうえで、ハイブリッド戦争において重要な役割を果たしている主体として「サイバー攻撃」「特殊部隊」と並んで「民間軍事会社(PMC:Private  Military  Company)」を挙げています 「PMCは単なる傭兵ではなく、戦闘のみならず、ロジステックスやインテリジェンスに至るまで、非常に幅広い役割を担っている」とし、エルケ・クラフマンがまとめたPMCの7つの役割を紹介しています。それは①戦闘、②紛争地域で活動する政府、国際機関および非国家主体の人員および基地に関連する人質・施設保護、③軍事訓練およびアドヴァイス、④軍用装備の運用及び保守に関する支援、⑤軍用装備の調達、流通、仲介、⑥爆発物の解体、⑦捕虜の選別を含む情報収集および分析、です

著者は民間のPMCへの戦闘のアウトソーシングの理由として次の7点を挙げています

①人件費の節約・・・軍隊で最もお金のかかるのは人件費である 前線で兵士1人を戦わせるためには、まず前線に立つ前の訓練費用、武器など戦闘装備の供給、弾薬から被服までの補給・補修、食事、宿舎、兵士が負傷した際の医療費、死亡した場合の弔慰金、退役後の年金など、とてつもない費用がかかる 米軍のように高度に技術化された軍隊では、最前線で戦う兵士とそれを支える人員の比率は1対100であるとされ、これは戦闘を行っている兵士1人を支える後方要員が100人必要になることを意味する したがって膨大な人件費がかかる

②サービスのきめ細かさ・・・クライアントの要望に応じて、かなり困難な依頼も引き受けてくれる

③質の高いサービス・・・優秀な人材もおり、多額な費用を出せば、正規軍よりも優秀な人材に任務を遂行してもらえる

④効率性・迅速性・・・正規軍から人員を補充すると厄介な政治的・官僚的な手続きが必要となるが、PMCからは煩雑な手続きなしで人員の補給が可能となる

⑤死の保障をしなくてよい・・・軍人が死亡すれば、膨大な見舞金や補償金などがかかり、遺族から批判を受けることも少なくないが、PMCの戦闘員はあくまで自己責任で参加しているため、PMCの戦闘員がどうなろうと、政府の責任ではない

⑥国際的な批判を受けづらい・・・正規軍であれば、その活動の責任は当該軍が属する国家に帰せられるが、あくまでも民間であるPMCの活動は、仮に当該国家が活動を依頼したとしても、当該国家は「知らぬ存ぜぬ」を貫き通すことができる可能性が高い

⑦軍事力の補填・・・PMCを雇うことによって、戦争以外の国内のゲリラ、武装勢力、テロリストなどに対抗する術を得ることができる

また、ロシアには多数のPMCが存在するが、最大のPMCは2014年創設の「ワグネル」であり、2014年のウクライナ危機やシリア内戦などでも暗躍していたと説明しています 「ワグネルの詳細は明らかになっていないが、社員は5000人以上と言われ、そのうち2000~3000人ほどが戦闘要員だと言われる」としています

2月のロシアによるウクライナへの侵略に関するテレビの報道番組での小泉悠氏や広瀬陽子さんの解説を聞いている限り、今回の戦争でも「ワグネル」の戦闘要員が暗躍しているようです

著者は第3章「ロシア外交のバックボーン・・・地政学」の中で、「プーチンは外交に『グランド・ストラテジー』を駆使してきた それは旧ソ連諸国を中心とする勢力圏の維持である」として、外交に巧みに用いてきた8つの戦術・手段を挙げています

①外交とビジネス・・・ソ連時代から関係が深い旧ソ連諸国を、ロシアの勢力圏に維持しておくために有効な手段

②情報とプロパガンダ(メディア操作)・・・近年ではインターネットを駆使してフェイクニュースを大量発信するトロール部隊の暗躍や、サイバー攻撃によってウェブサイトの情報を書き換えたりする手法も増えている

③政治家のすげ替えや教会の利用・・・反露的思考を持つ指導者・政治家はクーデターや情報戦などを利用して失脚させ、親露的な者にすげ替える ロシア正教会を利用することもある

④反対勢力・市民社会・過激派の支援・・・反体制派や不安分子を経済面、技術面で支援し、内政の不安定化を図る

⑤破壊活動・テロリズム・・・暗殺など不可解な事件の多くにロシアが関与していると考えられている

⑥経済・エネルギー戦争・・・旧ソ連諸国のなかでエネルギー非産出国は、石油・天然ガスの多くをロシアに依存している場合が多い。政治的にロシアに従順でない場合、ロシアはエネルギー価格を吊り上げたり供給を停止したりする。また、相手国の輸出産品に対して禁輸措置を講じて、相手国を追い込むこともある

⑦凍結された紛争や未承認国家、民族間の緊張の創出や操作・・・ロシアは「凍結された紛争」(停戦合意ができていながらも、領土の不法占拠や戦闘や小競り合いの散発が継続し、真の平和が達成されない状況)を意図的に創出し、また解決を阻止してきた ロシアは相手国に存在する分離主義勢力を支援することで、あえて民族間の緊張を生み出し、情勢を不安定化させた。この戦術は、ジョージア、モルドヴァ、ウクライナなどで特に効果的に用いられた

⑧正規・非正規の戦争(サイバー攻撃、秘密部隊の利用、プロパガンダ、政治工作)・・・正規・非正規の戦争を巧みに組み合わせる戦法は「ハイブリッド戦争」に代表されると言える

上記の「グランド・ストラテジー」を見ると、今回プーチンがウクライナに仕掛けてきたこと、あるいはウクライナを支援する勢力に対し行ってきたことが頭に浮かびます

著者は同じ第3章の中で、「ロシアのほんとうの狙い」について次のように述べています

「クリミアを例外として、ロシアは領土拡張を望んでいない ウクライナ危機の際、ロシアがウクライナ東部についても併合を狙っているという論調が多く聞かれたが、それはまずありえない。なぜなら、併合をすれば、それだけロシアが守らねばならない国土が多くなり、年金や社会保障、教育、医療やインフラなどをすべて『当地の国民が以前の政府のもとで得た満足より大きな満足を感じられるレベル』で提供しなければいけないからである それはロシアの大規模な経済負担を意味する。これ以上支えなければいけない領土が増えれば、ロシアは経済的に持たない。加えて、ウクライナという国家のなかに、親ロシア的な地域を維持することこそが、ウクライナがEU、NATOに加盟しづらい状況を担保することになり、また親ロシア的な地域が外交的な権利を維持できれば、ロシアがウクライナの外交に影響を及ぼすことすらできる。このような状況がロシアにとって最も望ましい

この辺の実情はどうなのか、疑問に思うところがあります 現在の戦況に照らして、「クリミアを例外として、ロシアは領土拡張を望んでいない」のか、あるいは「クリミアと東部の2州(ルガンスク州とドネツク州)を例外として、ロシアは領土拡張を望んでいない」のか、何とも言いようがありません それは広瀬さんに聞いても分からないことで、本当のところはプーチンがどう考えているかにかかっています

ロシアがナチスドイツに勝利したことを祝う「戦勝記念日」の今日(5月9日)をきっかけに、本書で侵略国家ロシアの戦略を学ぶのも意義あることだと思います

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茂木健一郎著「生きがい 世界が驚く日本人の幸せの秘訣」を読む ~ 5つの柱=「小さく始める」「自分を解放する」「持続可能にするために調和する」「小さな喜びを持つ」 「『今ここ』にいる」

2022年05月08日 07時20分04秒 | 日記

8日(日)。わが家に来てから今日で2674日目を迎え、ウクライナメディアは6日、南部オデッサ沖の黒海海域で、ロ海軍のフリゲート艦にウクライナ軍の新型対艦巡航ミサイル「ネプチューン」が命中し、火災が発生したと伝えたというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     なんでロシア艦隊は性懲りもなく黒海をうろちょろしてるんだ? また権威が落ちた

 

         

 

昨日、息子が「ローストビーフ」料理、「茄子とズッキーニの温サラダ」、「キノコと玉ねぎのスープ」を作ってくれました ローストビーフのソースは手作りで、ポテトは裏ごししてあります これだけ作るのにすごく手間暇がかかっています 私には絶対ムリです どれもとても美味しかったです

 

     

 

         

 

茂木健一郎著「生きがい 世界が驚く日本人の幸せの秘訣」(新潮文庫)を読み終わりました 茂木健一郎は1962年東京生まれ。脳科学者/理学博士。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアサーチャー。東京大学理学部、法学部を卒業後、同大大学院物理学専攻過程を修了。理化学研究所、英ケンブリッジ大学を経て現職。クオリア(意識の中で立ち上がる、数量化できない微妙な質感)をキーワードとして、脳と心の関係を探求し続けている。主な著書に「脳と仮想」(小林秀雄賞受賞)がある

 

     

 

本書は茂木健一郎氏が、イギリスの出版社から「西欧でブームになっている IKIGAI について日本人が自分たちの言葉で説明してほしい」という要請を受けて、2017年にロンドンで英語により出版したものを恩蔵絢子さんが日本語に翻訳したものです

本書は次の各章から構成されています

〇読者への覚え書き『生きがい』の5本柱

第1章「『生きがい』とは何か」

第2章「朝、目を覚ます理由」

第3章「『こだわり』と小さく考えることがもたらすもの」

第4章「『生きがい』の感覚的美しさ」

第5章「フロートと創造性」

第6章「『生きがい』と持続可能性」

第7章「人生の目的を見つける」

第8章「あなたを殺さぬものがあなたを強くする」

第9章「『生きがい』と幸福」

第10章「あなたがあなたであるために、あなた自身を受け入れる」

結  論「自分自身の『生きがい』を見つける」

著者は最初の「読者への覚え書き『生きがい』の5本柱」の中で、次のように述べています

「『生きがい』には大事な5本柱がある

柱1「小さく始める」

柱2「自分を解放する」

柱3「持続可能にするために調和する」

柱4「小さな喜びを持つ」

柱5「『今ここ』にいる」

この5つの柱は『生きがい』が花開くための支えとなり、『生きがい』の基礎をつくるものである」

第1章「『生きがい』とは何か」の中で、著者は次のように述べています

「『生きがい』とは『生きる喜び』『人生の意味』を指す日本語である。この言葉は確かに『生きる』と『値打ち』を指す『甲斐』から成っている 日本語では様々な文脈で使われるが、最も重要なのは、『生きがい』はあなたが自分の専門領域で必ずしも成功を収めていなくても、使うことのできる言葉であることだ。アメリカの大統領も訪れた寿司屋「すきやばし次郎」の料理人・小野次郎(96歳)は、世界最高齢のミシュラン3つ星料理人として認められることが『生きがい』の一つであるには違いない しかし、『生きがい』は世界的な認知だとか賞賛だとかの領域に限られない。おそらく小野は微笑みを浮かべて待っている客にどう一番良いマグロを出すかに、シンプルに『生きがい』を見出しているのだろう また、市場に魚を買いつけに行こうと早起きして外に出た、その早朝の空気の心地よい冷たさにも、彼は『生きがい』を感じていることだろう。『生きがい』は些細な物事に宿る。朝の空気、一杯のコーヒー、太陽の光、アメリカ大統領の賛辞、これらはすべて対等の関係にある あらゆる種類の豊かさを認識できる人だけが、本当に『生きがい』というものを理解し、楽しむことができるのだ

上の文章で言おうとしていることは、西欧諸国においては、仕事の業績や、家族や友人を巡って、社会の中で人の役に立つことが「生きる目的」であるのに対し、日本においては、必ずしもそれらのことに限定されず、 などのペットの世話(私の場合はモコタロ の世話)、行動が予想不可能な孫 の世話、朝の一杯のコーヒー といった日常的な些細なことが「生きがい」になることがある、ということです

本書では、上記の小野次郎氏をはじめ、毎日朝2時に起きて仕事を始めるマグロの仲買人や、どんなに負け続けても現役を辞めない力士、一つ一つまったく違う和菓子を作る4代目和菓子職人などが登場します 彼らの共通点は、人生に対する”こだわり”を持っていることです

第10章「あなたがあなたであるために、あなた自身を受け入れる」の中で、著者は次のように述べています

「サラリーマンは、没個性に見えるかもしれない しかし、面白みのないジャケットの内側に、アニメや漫画に対する情熱を隠しているかもしれない。平日には会社の従順な社員かもしれない。しかし、夜や週末は『コミケ』のスターになっているかもしれないし、アマチュアロックバンドのボーカルをしているかもしれないのだ 『生きがい』を『社会全体と調和する中で、個として生きること』と定義すると、競争や比較をすることで受けるストレスの大半を減らすことができるはずだ あなたは、自分の個性について、大々的にトランペットを吹き鳴らす必要はない。ただときどき自分自身にささやけばよいだけなのだ

これを読んで思うのは、「仕事は仕事」と割り切って、それ以外の時間は自分が好きなこと(趣味と言ってよいかもしれない)に「生きがい」を見出すのがよい、ということです

ところで、本書を読んで「えっ、マジか」と驚いた箇所があります。それは第6章「『生きがい』と持続可能性」の中で、日本の天皇家は、世界で最も長く続いてきた王室であることを「持続可能性」の中で捉え、皇室に伝わる「三種の神器」について紹介している箇所です

「八咫鏡(やたのかがみ)、草薙の剣(くさなぎのつるぎ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)の『三種の神器』は、新しい天皇が即位するときに皇室の威厳、権威のシンボルとして譲り渡されることになっているが、『三種の神器』が本当に実在するかどうかは、確かめられたことがない 誰も(継承者である天皇でさえも)実際にこれらの品を目にしたことがないのである

要は「神話の世界に存在する」というわけですね

さて、本書に登場する「生きがいの5本柱」のうち「小さく始める」「小さな喜びを持つ」は解りやすいですね 残りの「自分を解放する」「持続可能にするために調和する」「『今ここ』にいる」については、本書を手に取って確かめてみてください 「生きがい」を感じるはずです

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「ムジカエテルナ、非ロシア人のメンバーに国内移住を強要」~ MCS  Young  Artists の記事より / 深緑野分著「ベルリンは晴れているか」を読む

2022年05月07日 07時08分38秒 | 日記

7日(土)。世界の若いアーティストを支援し才能ある音楽家を日本に紹介してコンサートを実施している「MCS  Young  Artists」が6日、「ムジカエテルナ、非ロシア人のメンバーに国内移住を強要」という記事をツイートしていました 超略すると次の通りです

「ノーマン・レブレヒトの速報によると、クルレンツィスが率いるロシアの『ムジカエテルナ』が外国人のメンバーに対し(つまりロシア人ではない音楽家たちに対し)、居住地をロシアに移すか、もしくは即刻解雇かいずれかを選択するように求めたという 一次ソースは示されていないが、メンバーもしくは関係者からのリークではないかと推測される 『ムジカエテルナ』にはロシア第2の銀行であるVTB銀行が運営資金を出している、というのが大きな理由であることは間違いないと思われる

これは驚くべきニュースです しかし、それは自由主義国側から見た感想であり、ロシア側から見れば当然の成り行きなのかもしれません 指揮者のクルレンティスは1972年、ギリシャのアテネ生まれなのでロシア人ではありませんが、『ムジカエテルナ』の芸術監督なのでロシアに居住しているのではないかと推測します 問題は、クルレンティスと楽団員たちがどれほどロシアのウクライナ侵略の実態を知っているか、その上でどのような対応を取るかです 「政治と芸術は別問題」と割り切ってロシアに居住するか、「プーチン政権の蛮行は許せない」として解雇されて国外に出るか・・・個々人が厳しい選択を求められていることには違いありません 下手をすると『ムジカエテルナ』は空中分解するかもしれません

ところで、テオドール・クルレンツィス指揮『ムジカエテルナ』のコンサートは発売と同時にチケットが完売となる人気音楽集団です 私は2019年2月11日に すみだトリフォニーホールでチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」(VN:コパチンスカヤ)と同「交響曲第4番」を聴きましたが、後者ではチェロ、コントラバスを除く弦楽器奏者と管楽器奏者が立奏で演奏していたのに驚きました 演奏の感想は翌2月12日付のtoraブログに書きましたので、興味のある方はご覧ください

 

     

     

     

ということで、わが家に来てから今日で2673日目を迎え、ロシアのラブロフ外相が1日、国外メディアのインタビューで「ゼレンスキー大統領がユダヤ系だからといって、ウクライナでのナチスの存在が否定されるわけではない。ナチス・ドイツの独裁者ヒトラーにもユダヤ人の血が流れている」とぶち上げたのに対し、イスラエルが猛反発したことに関し、ロシア外務省は3日、「イスラエルはウクライナのネオナチ政権を支持している」とはねのけたが、プーチン大統領は5日、イスラエルのベネット首相と電話会談した際、態度を一変させてラブロフ発言について謝罪した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これでラブロフもシベリア送りかな  ヒトラーよりも怖いプーチンが親分だからね

 

         

 

昨日は、2週間に1度のローテにより「鶏の唐揚げ」を作りました 息子が私の作った唐揚げを食べるのは初めてでしたが、美味しいと言って15個平らげました

 

     

 

         

 

深緑野分著「ベルリンは晴れているか」(ちくま文庫)をやっと読み終わりました 深緑野分(ふかみどり のわき)は1983年神奈川県生まれ。2010年「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!」新人賞佳作に入選 2013年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年刊行の長編「戦場のコックたち」で第154回直木賞候補となる 18年刊行の本作「ベルリンの空は晴れているか」で第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞候補となる

 

     

 

冒頭に「やっと読み終わりました」と書いたのは、本文だけで520ページを超える長編小説である上、ミステリー仕立てだったので読み応えが半端なかったからです

物語の舞台は1945年7月、ナチス・ドイツの敗戦により米ソ英仏の4か国統治下に置かれたベルリン 米国の兵員食堂で働くドイツ人少女アウグステ・ニッケルはある晩、突然アメリカ軍の憲兵隊によってソ連の内務人民委員部に連行され、戦時中に世話になったクリストフ・ローレンツを殺害した嫌疑をかけられる クリストフは米国製の歯磨き粉に含まれたヒ素によって不審死を遂げていた アウグステは一旦釈放されるが、戦前に やはりクリストフの世話になったクリストフの妻フレデリカの甥エーリヒ・フォルストにその死を伝えるためにバーベルスベルグへ向かう その途中、彼女は元俳優で陽気な泥棒ファイビッシュ・カフカと知り合いになり、彼を道連れに旅を続ける 果たしてクリストフに毒を盛ったのは誰か?  それはなぜか? なぜアウグステはフォルストにクリストフの死を伝える必要があったのか? そこには驚きの事実と、彼女を取り巻く大きな陰謀が隠されていた

本作品は5つの本編と5つの幕間から構成されています 「本編」ではアウグステとカフカがベルリンからポツダムまでの道すがら、様々な人々と遭遇します 動物園の元飼育員、浮浪児の強盗団、その強盗団を支配する魔女のような女。彼らはそれぞれ戦争による辛い過去を背負って生きていますが、それぞれの登場人物のキャラが立っていて 思わず感情移入してしまいます

「幕間」ではアウグステが1928年に生まれるところから語られます 父親はナチ党と対立する共産党の党員で、同じアパートには親しく交流しているユダヤ人一家が暮らしています しかし、ナチ政権の誕生とともに共産党弾圧、ユダヤ人迫害などが行われ、アウグステの日常生活にもその影響が影を落とします

本書を読み終わって、真っ先に思ったのは「この筆者は凄い」ということと、「この作品は、歴史ミステリーとして映画化するとすごく面白いのではないか」ということです

「この連休はこの本を読破するために費やされた」と言っても過言ではありません   ページを繰る手が止まらない面白さでした ミステリー好きかどうかを問わず 強くお薦めします

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ヴィム・ヴェンダース監督「都会のアリス」を観る ~ ドイツの青年と少女のヴッパータールを巡る旅:川の上空を走るモノレール「空中鉄道」が印象に残る

2022年05月06日 07時18分18秒 | 日記

6日(金)。わが家に来てから今日で2672日目を迎え、ロシア外務省は4日、岸田文雄首領ら日本の閣僚や学者、メディア関係者など計63人について、ロシアへの入国を無期限で禁止すると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     わざわざ入国禁止にしなくても 誰も今のロシアに行こうとはしないと思うけどなぁ

 

         

 

昨日、息子が夕食を作ってくれました 「ズッキーニの肉詰め焼き」「メカジキのパン粉焼き」「キノコのチーズ・リゾット」です どれも美味しく、わが家で一番料理が上手なのは息子であることをあらためて証明しました

 

     

 

         

 

新文芸坐でヴィム・ヴェンダース監督による1974年製作西ドイツ映画「都会のアリス」(112分・モノクロ)を観ました

ドイツ人の青年フィリップ(リュディガー・フォーグラー)は旅行記を書くためにアメリカを旅していたが、執筆に行き詰まり帰国することになる 空港で足止めを食らった彼は、同じくドイツへ帰国しようとしていた女性リザ(リザ・クロイツァー)と9歳の娘アリス(イエラ・ロットレンダー)に出会う。リザは置手紙でフィリップに一方的にアリスを託し、行方をくらましてしまう 仕方なくアリスを連れてドイツ・ヴッパータールへ飛んだフィリップは、アリスの記憶を頼りに彼女の祖母の家を探す旅に出るが、アリスの勘違いだったことが分かる お手上げのフィリップは「警察は人探しのプロだから」と地元の警察にアリスを預けてしまう しかし、アリスは隙を見て逃げ出しフィリップのもとに戻ってくる。そして、さらに祖母の家探しが続く

 

     

 

ドイツの「ヴッパータール」で思い出すのはピナ・バウシュと上岡敏之です ピナ・バウシュ(1940ー2009)はドイツのコンテンポラリー・ダンスの振付家・舞踏家です。彼女はメトロポリタン・オペラ・バレエ団やニュー・アメリカン・バレエ団などで活動し、1973年に「ヴッパータール舞踏団」の芸術監督に就任します ドイツ表現主義舞踏の影響を色濃く受け継ぎ、演劇的手法を取り入れた独自の舞踏芸術は演劇とダンスの融合とも言われ、ピナ自身は「タンツ・テアター」(ダンス演劇)と呼んでいます 代表作に「春の祭典」「カフェ・ミュラー」「ヴィクトール」などがあります 2011年、彼女の死により制作が中断されていたドキュメンタリー映画「Pina/ピナ・バウシュ  踊り続けるいのち」が公開されました。2012年3月2日付toraブログに感想を書いていますので、興味にある方はご覧ください     なお、監督は言うまでもなくヴィム・ヴェンダースです

もう一人、上岡敏之(1960~)は2004年から2010年までヴッパータール市の音楽総監督、ヴッパータール交響楽団の首席指揮者を務めました 私は2007年の凱旋公演を聴いたはずですが、当時はブログを始める前だったので記録が残っていないのが残念です

今回、本作を観て珍しいなと思ったのはヴッパータール市内を走るモノレール「ヴッパータール空中鉄道」です モノレールと言っても、レールに跨る形式ではなく懸垂式のもので、ヴッパー川上空を走っています Wikipediaで調べてみたら、1901年にバルメンーエルバーフェルト間(14キロ)に開通したもので、現在でも使われている世界最古のモノレールだそうです 映画は一度も訪ねたことのない国の風景を知ることが出来るので、ちょっとした旅行気分を味わうことができます

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『ウクライナ・フリーダム・オーケストラ』が7~8月に欧米ツアー / 「ジム・ベンダース監督「アメリカの友人」を観る ~ 殺人を依頼された白血病の男の運命:新文芸坐

2022年05月05日 07時23分18秒 | 日記

5日(木・祝)。月刊音楽祭は3日のツイッターに「ウクライナ演奏家集めた『フリーダム・オーケストラ』がツアー」という記事を配信しました 内容は以下の通りです

「ウクライナ人のトップレベルの音楽家を集めた『ウクライナ・フリーダム・オーケストラ』が結成され、ヨーロッパと米国ツアーを行うことになった 発案者はカナダ人指揮者のケリ・リン・ウィルソンで、オーケストラの首席指揮者も務める ウィルソンはカナダ有数のウクライナ・コミュニティーを抱えるウィニペグの出身で、収益はウクライナの芸術家の支援に使われる オケは、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場とポーランド国立オペラの協力を得て編成される キエフ国立オペラ、ウクライナ国立交響楽団、リヴィヴ・フィルハーモニー管弦楽団、カーキフ・オペラの団員というウクライナの団体のメンバーに加え、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団、ベルギー国立オーケストラ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団からの参加者も加わる 国家総動員令で戦闘に従事している演奏家にも、文化相から特別の出国許可が出されるという ツアーは7月28日のポーランド国立オペラからスタート。ロンドンの夏の音楽祭「BBCプロムス」に客演するほか、ミュンヘン、ベルリン、ハンブルクを経て、エジンバラ国際芸術祭に参加、スコットランドのスネイプとフランスのオランジェ、アムステルダムと、ヨーロッパ各地を回る その後、米国に向かい、ニューヨークのリンカーン・センターを経て、8月20日にワシントンのケネディ・センターというスケジュール プログラムはウクライナの作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフ『交響曲第7番』、ショパン『ピアノ協奏曲第2番』(ピアノ=ウクライナ人のアンナ・フェドローヴァ)を軸に、ブラームス『交響曲第4番』またはドヴォルザーク『交響曲第9番”新世界より”』の組み合わせ さらにウクライナ人ソプラノのリュドミラ・モナスティルスカがベートーヴェンのオペラ『フィデリオ』からレオノーレのアリアを歌う

文中にある「ウクライナ人ソプラノのリュドミラ・モナスティルスカ」は、米メトロポリタン歌劇場の5月公演「トゥーランドット」でアンナ・ネトレプコの代役としてタイトルロールを歌った歌手です

ツアーはヨーロッパと米国だけを回り、日本には来ないようです 来日すれば是非聴きに行きたいと思うのですが、残念です

ということで、わが家に来てから今日で2671日目を迎え、元日産自動車会長カルロス・ゴーン被告によるフランス自動車大手ルノーの資金の私的流用疑惑を巡り、2日付の仏紙ゼコーは、不正に関与したとされるオマーンの自動車販売代理店「スヘイル・パウワン・オートモービルズ」から被告が3000万ドル(約39億円)以上を受領した疑いがあると報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンや 習近平や 金正恩に 負けず劣らず 悪賢い男がいたことを 忘れていたよ

 

         

 

昨日、夕食に「真鯛の塩焼き」「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」「冷奴・ウニ醤油かけ」「舞茸の味噌汁」を作りました 和食はヘルシーで美味しいですね

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐でジム・ベンダース監督による1977年製作西ドイツ・フランス合作映画「アメリカの友人」(126分)を観ました

死んだはずの画家の贋作を売りさばいているアメリカの画商トム・リプリー(デニス・ホッパー)は、オークション会場でハンブルクの額縁職人のヨナタン(ブルーノ・ガンツ)と出会う。ヨナタンが白血病で余命わずかだと知ったリプリーは、彼に一度きりの殺人の仕事を紹介する ヨナタンは多額の報酬を妻子に残すため殺人を引き受ける

 

     

 

本作はアメリカの作家パトリシア・ハイスミスによる小説「トム・リプリー」シリーズの第3作「アメリカの友人」を原作に描いたクライムサスペンスです

映画の途中で「これからのストーリーはこうなるだろう」と予想していたのに、そうならなかったシーンが1つあります それは、ヨナタンが殺人のターゲットを追い、地下鉄のエスカレーターで背中を撃って逃走するシーンです ヨナタンは「殺人を実行した後は走って逃げたりせず、ゆっくり行動するように」と依頼者から予め注意を受けていたにも関わらず、犯行後に慌てて走って逃走します その姿を駅のそこかしこに仕掛けられた監視カメラが映像に記録していきます このシーンを見た時、監視カメラの録画映像を基にヨナタンは警察に追われ逮捕されるのではないか、と思いました。ところが、まったくその気配さえなく、第2の殺人を依頼され実行します

本作が製作された1977年という年は、まだ現在ほど犯罪捜査の上で監視カメラの役割が重要ではなかったのだと思います つくづく映画はその時代の社会情勢を映す鏡だと思いました

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中山七里著「死にゆく者の祈り」を読む ~ 学生時代の命の恩人を冤罪から救う教誨師の活躍を描く

2022年05月04日 07時19分14秒 | 日記

4日(水・休)。先月30日(土)に突然、電子レンジがボンという音とともに壊れ、うんともすんとも言わなくなりました 多分ヒューズが切れたのだと思いますが、購入から13年も経つので”寿命かな”と思い、新しいレンジを注文しました 当初、連休中ということで納品が1週間先と言われ 途方にくれましたが、後から3日の配送に変更され、助かりました 横幅が広く、今まで使用していたレンジ・ラックに収まらないのでラックも注文しておきましたが、これも昨日届き ラッキーでした    それは良いのですが、高さ170センチのラックを組み立てるのが大変でした 息子と2人でスチールと合板をネジで組み立てるのですが、ネジの種類やネジ穴の位置を間違えるとやり直しになり、1時間以上もかかってしまいました。久しぶりの肉体労働に疲れ果てました

ということで、わが家に来てから今日で2670日目を迎え、アメリカのニュースサイト「アクシオス」は、トランプ前米大統領が一昨年6月、黒人男性の死亡事件をきっかけに全米に広がった人種差別撤廃を求めるホワイトハウス周辺のデモ隊に苛立ち、エスパー元国防長官らに「奴らを撃つことはできないのか」「脚でも何でも撃てはいいじゃないか」などと述べていたことが、10日に発売されるエスパー氏の回顧録「聖なる誓い」で暴露されていると報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     次々とトランプの性格破綻ぶりが暴露されていくが 共和党議員は忠誠を誓うんだろ

 

         

 

昨日の夕食は、帰省中の息子がサーロインステーキを焼いてくれました あとは「玉ねぎ、キャベツ、ミニトマトのスープ」です。とても美味しかったです

 

     

 

         

 

中山七里著「死にゆく者の祈り」(新潮文庫)を読み終わりました 中山七里は1961年、岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し2010年にデビュー 音楽を題材とした「岬洋介」シリーズ、過去に犯罪歴のある弁護士を主人公とした「御子柴礼司」シリーズ、「刑事犬養隼人」シリーズなど著者は多数あり、「中山七里は7人いる」と言われています

 

     

 

平成24年8月、深夜に川崎市内の公園で殺人事件が起きた 被害者は兎丸雅司と塚原美園という若いカップルで、ナイフによる犯行だった。その翌日、関根要一という男が警察に出頭し、2人の殺害を自供した。関根は被害者2人と面識はないが、鼻の痣を嗤われたため衝動的に殺したという 関根は第1審で死刑判決を言い渡される。それから5年の歳月が流れた。浄土真宗の僧侶・高輪顕真は東京拘置所で教誨師として囚人たちの宗教的な要望に応じている 教誨師は囚人の死刑執行への立ち合いも行う。ある日、集合教誨で顕真は拘置所に収容されている関根と25年ぶりに再会する 顕真と関根は大学時代に同じ山岳サークルの仲間だったのだ。顕真は学生時代に雪山で遭難した際に、悪天候のなか関根に命を救ってもらったことがあり、その自己犠牲的な性格から、とても関根が殺人を犯すとは思えなかった 顕真は”冤罪”ではないかと、拘置所の教誨師という立場を活かしながら、判決文を読み、事件の関係者を訪ね歩くなど情報収集を行い、無実の罪で絞首台に向かう命の恩人が自分の死に代えてでも護りたい人とは誰か、そしてその理由は何か を追求していく しかし、目の前に関根の死刑執行のリミットが迫っていた    顕真の懸命の努力は報われるのか

【以下、ネタバレ注意】

本作を読んで、初めて「教誨師」という存在を知りました 仏教の僧侶だけでなくキリスト教の牧師さんもいるようです 拘置所でお世話になりたくないですね

関根は”犯人”を護るために自分が犠牲になって自首したわけですが、その”犯人”は2人を刺したが 死亡を確認したわけではなかった 後からトドメを刺して死亡に至らしめた”真犯人”がいた その”真犯人”が誰で どういう動機を抱いていたかが最後の最後に明らかになり、「どんでん返しの帝王」中山七里の真骨頂が示されることになります

しかし、真犯人を特定する”伏線”は確かに張られていましたが、本作に限っては若干無理があるように思いました

そうはいうものの、いつもながら「読ませる力」には凄いものがあります 早く次の展開を知りたいと思い、ページを繰る手が止まりせん あっという間に読み終わってしまいました

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新日本フィル楽団員人事 / 広瀬陽子「ハイブリッド戦争~ロシアの新しい国家戦略」、ジョディ・カンター「その名を暴け」、凪良ゆう「流浪の月」、恩田陸「祝祭と予感」他を買う

2022年05月03日 07時15分09秒 | 日記

3日(火・祝)。新日本フィルのホームページによると、立上舞(たてがみ まい)さんが5月1日付でアシスタント・コンサートマスターに就任しました 立上さんは東京藝大、ハンス・アイスラー音楽大学、ベルリン芸術大学大学院を最優秀で修了、ロンドン・フィルで第2コンサートマスターを務めました 佐渡裕とスーパーキッズオーケストラ初代コンサートマスターを務めたので、新日本フィルのミュージック・アドヴァイザーで次期音楽監督就任予定の佐渡裕氏がらみの人事かもしれません 立上さんはすでに何度か新日本フィルの定期公演に客演しています

また、同社の公式ツイッターによると、5月1日付でオーボエ奏者の神農広樹(しんのう ひろき)氏が正団員として首席オーボエ奏者に就任しました 同氏はこれまで契約団員(試用期間中)でした 残る課題は重松希巳江さん退団の後 空席となっているクラリネット首席奏者です

ということで、わが家に来てから今日で2669日目を迎え、英国の大衆紙「デイリー・メイル」「ザ・サン」「ザ・ミラー」の電子版などが4月30日に伝えたところによると、ウクライナ紛争がヤマ場を迎えているところに、ロシアのプーチン大統領が胃ガンの手術で 一時軍事作戦の指揮権を手放すと言われている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これを機会にプーチンが イガン退職してくれると 世界中が正常化するんだけどな

 

         

 

昨日、夕食に「野菜とひき肉のドライカレー」を作りました ワインは息子が山形土産に持参してくれた「無濾過秘蔵ワイン」です。品種は「リースリンク・フォルテ」と書いてありました   甘口でとても美味しかったです

 

     

 

         

 

手元の本が少なくなってきたので、昨日ジュンク堂書店池袋本店で6冊買ってきました

1冊目は広瀬陽子著「ハイブリッド戦争 ~ ロシアの新しい国家戦略」(講談社現代新書)です    著者の広瀬陽子さんはロシアのウクライナ侵略以来、テレビの報道番組で引っ張りだこの慶応義塾大学教授です。まさに今読むべき本です

 

     

 

2冊目はジョディ・カンター/ミーガン・トゥーイー共著「その名を暴け」(新潮文庫)です この本はハリウッドの性的虐待を告発するため声を上げた女性たちの闘い(#Me  Too運動)を描き、ピューリッツァー賞を受賞したノンフィクションです

 

     

 

3冊目は凪良ゆう著「流浪の月」(創元文芸文庫)です 本作は2020年「本屋大賞」を受賞して話題になりました

 

     

 

4冊目は恩田陸著「祝祭と予感」(幻冬舎文庫)です この本は国際ピアノコンクールを題材として若きピアニストたちの闘いを描き2017年に直木賞を受賞した「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編小説集です

 

     

 

5冊目は茂木健一郎著「生きがい ~ 世界が驚く日本人の幸せの秘訣」(新潮文庫)です     本書は、日本人が古来守ってきた素朴な価値観が世界で注目を集めていることに着目した脳科学者による日本人論です

 

     

 

6冊目は沢木耕太郎著「作家との遭遇」(新潮文庫)です    この本はノンフィクション作家・沢木耕太郎が出会って感銘を受けた作家、井上ひさし、田辺聖子、土門拳、向田邦子、塩野七生、山口瞳、小林秀雄、瀬月内寂聴たちについて書いた作家論です

 

     

 

いずれも、読み終わり次第このブログでご紹介していきます

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ロシアのウクライナ侵略を巡って「戦争と音楽」について考える ~ 朝日新聞・吉田純子編集委員の記事「『正論』では心は癒せない」を読んで思うこと

2022年05月02日 07時11分17秒 | 日記

2日(月)。わが家に来てから今日で2668日目を迎え、バイデン米大統領は30日夜、ホワイトハウス記者会主催の夕食会に就任後初めて参加し、大統領選の結果を認めないトランプ前大統領を揶揄し、「前任者が今年、この夕食会に来ていたら本当のクーデターだったな」とジョークを飛ばした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     本当にトランプが参加してたら冗談では済まなかった それこそ悪い冗談になってた

 

         

 

昨日の朝日新聞朝刊 総合面のコラム「日曜に想う」に編集委員・吉田純子さんが「『正論』では心は癒せない」という見出しの記事を書いていました 超略すると次の通りです

「先月、米国の著名な歌劇場の関係者から、とあるウクライナ人歌手の取材を打診された 侵攻が始まった直後に降板が発表されたロシア人歌手、アンナ・ネトレプコさんの代役を務めるという。音楽的には十分納得のいくキャスティングだが、モヤモヤした いま私はこの人から、ひとりの芸術家としてではなく、ひとりのウクライナ人として、話を聞くことを期待されているのだろう そう思うと、心が違和感でざらついた。戦争が芸術上の選択を支配する。そんな時代はもう、過去のものだと思っていたのに ロシアとフランス、双方の国で音楽監督を務めていたロシア人指揮者は、『どちらかを選ぶことなどできない』としていずれの職も辞した そもそも『個』の尊厳を踏みにじる戦争において、その責任を『個』に負わせることなど、一体どこまで可能なのだろう 千羽鶴を折ってウクライナ大使館に届けようとした障害者施設の人々が、『善意の押しつけ』『自己満足』などといった強い言葉で非難されているという 戦地で苦しんでいる人々に今、現実的に求められているのはお金なのだからと。正論、かもしれない。しかし、正論の網からこぼれ落ちる思いの澱が、いつの時代も無数の歌を生み、人々の心を癒すアートの源となってきたこともまた、歴史の事実だ 千羽鶴は、『あなたのことを考えている時間』を可視化し、伝えたいと願う、人間の自然な心のはたらきの産物と言えなくもないだろう 私たちは誰もが『解』のない世界を生きている。思いがすれ違うことも、間違えることもある。しかし、できることを真摯に模索する人を断罪し、『解』を押しつける権利は誰にもない 人間性を置き去りにし、武器を売る国や人々を潤わせる世界がある一方で、たったひとつの言葉や行為が、たった1本の旋律が、誰かの生き抜く力となることもあるのだ

上記の文中にある「米国の著名な歌劇場」とはメトロポリタン歌劇場のことで、「アンナ・ネトレプコさんの代役を務めるという、とあるウクライナ人歌手」とは5月にMETで上演される「トゥーランドット」のヒロインを歌うリュドミラ・モナスティルスカさんです また、「ロシアとフランス、双方の国で音楽監督を務めていたロシア人指揮者」とは、トゥガン・ソヒエフ氏です ロシア「ボリショイ劇場」の音楽監督・首席指揮者とフランス「トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団」の音楽監督を辞任しました なお、ソヒエフ氏は来年1月に来日し、NHK交響楽団の定期演奏会(A・B・Cプログラム)で指揮をとります

吉田さんが「モヤモヤした」と書いているのは、METの看板ソプラノ歌手、アンナ・ネトレプコさんの代役として出演するリュドミラ・モナスティルスカさんは「音楽的には十分納得のいくキャスティング」なのに、歌手としてではなくウクライナ人として取材することを求められていることに「ちょっと違うのではないか」と違和感を感じたということでしょう 代役歌手がウクライナ人でなければ取材対象にならないかもしれないと思われるからです

ソヒエフ氏が祖国ロシアとフランス双方のオケの音楽監督を辞任しなければならなくなったというのは、プーチン政権のウクライナ侵略のトバッチリをもろに受けた典型的な事例です ソヒエフ氏は祖国ロシアもフランスも同じように愛していました それなのに不本意な選択を迫られたのです 吉田さんが書いているように、誰もが「戦争が芸術上の選択を支配する。そんな時代はもう、過去のものだと思っていた」のに、現実の問題として突き付けられたのです

千羽鶴の件は、『善意の押しつけ』『自己満足』などと非難する方がおかしい 気持ちの表し方は、お金を寄付する、ボランティアとして働く、千羽鶴のように気持ちを込めて何かを作って贈呈する、と人それぞれです 他人の行動を非難するばかりで 自分は何もしない者こそ非難されるべきです

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