人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「トリトン晴れた海のオーケストラ」第11回演奏会のチケットを取る ~ モーツアルト「ピアノ協奏曲第9番」(Pf:小林愛実)、「交響曲第36番」他 / 新型コロナと楽器メーカーの決算

2022年05月21日 07時22分16秒 | 日記

21日(土)。昨日、池袋に買い物に行ったら、池袋駅構内のあちこちで制服警官が徘徊していました 一体なんだべか? と思って家に帰って新聞を見たら、「クアッド控え緊張感 警視庁、警備に1万8千人従事」という見出しの記事が載っていました    記事によると、米国のバイデン大統領が22日に初来日し、都内で24日に日米豪印(クアッド)首脳会合が開かれることから、警視庁の警察官1万8千人が警備に当たるそうです 参加各国の大使館や要人の宿舎、総理官邸などの周辺では警察官を手厚く配置し、不特定多数の人が集まる駅や空港など「ソフトターゲット」でも、テロの標的になる可能性があることから警察官の人数を増やして警戒する、とのことです どうりでスクアッドで身体を鍛えていそうな屈強な警察官が多いと思いました

ところで「ソフトターゲット」という言葉は初めて目にしましたが、反対言葉は「ハードターゲット」です 政府関係施設、軍事施設、原子力発電所などが含まれるようです 独立国家ウクライナに侵略したロシア軍は「ハード」も「ソフト」も見境なく攻撃し、都市を破壊し尽くしましたが、いずれプーチン・ロシアが罪を償う時が来ます

ということで、わが家に来てから今日で2687日目を迎え、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアで同国事業を停止した外国ブランドに代わり、国産の代替品を生産する企業が相次いでおり、「コカ・コーラ」を模した「クールコーラ」、「ファンタ」によく似た「ファンシー」、スプライトの配色を模した「ストリート」の3製品が発表された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     この手の模倣技術は 中国の専売特許だけど ロシアはその中国を模倣するわけだね

 

         

 

昨日、2週間に1度のローテにより「鶏の唐揚げ」を作りました    今回は「旨味醤油のタレ」に若干漬けすぎたのでしょっぱめになりました 今後の反省材料にします

 

     

 

         

 

10月1日(土)14時から第一生命ホールで開かれる「トリトン晴れた海のオーケストラ 第11回演奏会」のチケットを取りました    プログラムは①ベートーヴェン「大フーガ 変ロ長調 作品133」(弦楽オーケストラ版)、②モーツアルト「ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271 ”ジュノーム”」、③同「交響曲 第36番 ハ長調 K.425 ”リンツ”」です    演奏は②のピアノ独奏=小林愛実、コンマス=矢部達哉で、指揮者は無しです

 

     

 

         

 

昨日の朝日朝刊 経済面に「ヤマハ なぜ出遅れ?」という見出しの記事が載っていました 超略すると次の通りです

「楽器製造業界ではコロナ下での巣ごもり需要で大幅に業績を伸ばす企業が多い 河合楽器は22年3月期の売上高と営業利益がいずれもコロナ前を上回り、営業利益は過去最高となった 電子楽器のローランドも、21年12月期は2度の値上げも奏功して大幅な増収増益となり、コロナ前の水準を上回った その中で、ヤマハの業績回復が遅れている 2022年3月期の決算は前年比では増収増益だったが、コロナ禍前の水準を下回ったままだ なぜか。ヤマハの中田卓也社長は『ピアノやギター、電子楽器は成長できた。一方で、管楽器が大幅に減少し、楽器全体の足を引っ張っている』と説明する コロナ下で外出を控える風潮の中、新たにピアノやギターを始めたり、中にはユーチューブなどで配信したりする人が増えた だがトランペットなどの管楽器は、飛沫感染への懸念から敬遠された 特に学校の吹奏楽部などは、コンクールが開かれないなど活動が大幅に制約された ヤマハはこうした管楽器を含む管打楽器の売り上げが大きく、コロナ前は楽器全体の2割近くを占めていた その分、打撃も大きい。不振のもう一つの理由は、オーディオ機器を始めとする音響機器事業だ 一時はライブハウスやコンサート会場向けの商品が売れなくなった。現在は世界的な半導体不足の影響で生産が滞っている

コロナ禍が管楽器の売り上げにも影響を及ぼしていることを初めて知りました 音楽大学を受験する学生の数が年々減少している、というニュースをどこかで見ました とくにクラシック音楽業界に関して、聴衆の高齢化が急速に進展する一方で、音楽をやる若者が減少していくことに大きな懸念を抱きます

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新国立オペラでグルック「オルフェオとエウリディーチェ」を観る ~ 鈴木優人 ✕ 東京フィル ✕ 勅使河原三郎によりバロック・オペラを「歌とダンスによる総合芸術」として再現

2022年05月20日 07時05分41秒 | 日記

20日(金)。わが家に来てから今日で2686日目を迎え、英BBCの18日の放送によると、ロシアの国営テレビの討論番組に出演した退役大佐で軍事アナリストのミハイル・ホダレノク氏は「(ロシアにとって)状況は明らかに悪化するだろう。ウクライナ軍は100万の人々を武装させることが可能だ。祖国を守ろうという彼らの願望はすさまじい。戦場における最終的な勝利は、覚悟を決め理念のために血を流す兵士たちの高い士気によって決定づけられる。(ロシアの)軍事的、政治的状況における最大の問題点は、われわれが全くもって政治的に孤立していて、全世界がわれわれと敵対していることだ」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     この放送を観た多くのロシア国民が 聞く耳を持って 真実を知ることを祈るばかり

 

         

 

昨日、夕食に「豚しゃぶ」「生野菜とツナのサラダ」「冷奴・ウニ醤油かけ」「もやしの味噌汁」を作りました 豚しゃぶにはシソがよく合います

 

     

 

         

 

昨夕、新国立劇場「オペラパレス」で、グルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」の初日公演を観ました キャストはエウリディーチェ=ヴァルダ・ウィルソン、オルフェオ=ローレンス・ザッゾ、アモーレ=三宅理恵。アーティスティック・コラボレーター/ダンス=佐東利穂子、ダンス=アレクサンドル・リアブコ、高橋慈生、佐藤静佳、合唱=新国立劇場合唱団、管弦楽=東京フィル、指揮=鈴木優人、演出・振付・美術・衣装・照明=勅使河原三郎です

 

     

 

「オルフェオとエウリディーチェ」はクリストフ・ヴィリバルト・グルック(1714ー1787)が今から260年前の1762年ウィーンのブルク劇場で初演したオペラです

亡くなった妻エウリディーチェを何とか生き返らせようと祈りを捧げるオルフェオに、愛の神アモーレは復活の可能性を示唆しつつ、全能の神ゼウスの命令として「彼女をこの世に連れ戻すまでは、決して彼女の顔を見てはならない」と伝える オルフェオは多くの試練を与えられながらも必死に耐え抜き、あと少しで妻を生還させられるという時に、彼女から「どうして私の顔を見てくれないのか」と詰問される ゼウスの命と妻の懇願の狭間で悩むオルフェオは、ついに振り返って妻の顔を見てしまう

 

     

 

私は本公演2日前の17日(火)にゲネプロを見学しているので、今回が2度目の鑑賞になります 会場はほぼ満席といっても良いでしょう

鈴木優人がオーケストラ・ピットに入ります。オケはコンマス・依田真宣が率いる東京フィルです 5月度定期演奏会に出演する東京フィル(コンマス=近藤薫)とは別動隊です。楽団員数約160名を誇る東京フィルならではの離れ業です

鈴木優人の指揮で軽快な序曲の演奏に入りますが、いつもの東京フィルとは全く違う音色の音楽が聴こえてきます 弦楽器はノン・ビブラートによる古楽器奏法でメリハリのある演奏を展開します 固いマレットで小気味よく打ち込まれるのはバロック・ティンパニです また、金管楽器もピリオド楽器を使用しているのではないか、と思うほど柔らかい音を出しています これは古楽演奏集団「バッハ・コレギウム・ジャパン」首席指揮者の鈴木優人の「バロック・オペラを現代に蘇らせる」というコンセプトによるものに違いありません

幕が開くと、舞台中央に大きなお皿のような円盤型の傾斜舞台が設置されており、その中央にオルフェオが立っているだけのシンプルな舞台です グルックは「ドラマと音楽的表現の一致」を目指してオペラをシンプルにする改革を行いましたが、そのコンセプトに合致した舞台づくりとなっています 第2幕以降では大きな白百合がフィーチャーされて舞台を飾りますが、これもシンプルです

合唱団を除き、登場する歌手陣はオルフェオとエウリディーチェとアモーレの3人だけなので、一人ひとりの存在感が増します

オルフェオを歌ったローレンス・ザッゾはアメリカ出身のカウンターテナーですが、ロンドンの王立音楽院在学中にブリテン「夏の夜の夢」オベロンでデビューして以来、同役で世界各地の歌劇場や音楽祭で歌っています 全幕を通してほぼ出ずっぱりのハードな役柄ですが、透明感のある歌唱と卓越した演技力で聴衆を魅了しました

エウリディーチェを歌ったヴァルダ・ウィルソンはオーストラリア出身のソプラノですが、シドニー音楽院で学び、数々の賞や奨学金を得てロンドンのオペラスタジオで研鑽を積みました 現在はザールブリュッケン歌劇場専属歌手を務めています 艶のある歌唱で、自分のことを振り返らない夫を責めるエウリディーチェの心情を見事に歌い上げました

アモーレを歌った三宅理恵は4月の新国立オペラ「魔笛」でパパゲーナを歌ったばかりですが、優しく温かみのある歌唱が特徴で、オルフェオとエウリディーチェを再び結びつける役割にピッタリでした

 

     

 

今回の公演で最も印象に残ったのは、4人のダンサーによるダンスです 白い衣装の佐東利穂子と青い衣装のアレクサンドル・リアブコ、高橋慈生、佐藤静佳により全3幕でスローテンポ、あるいは速いテンポで踊られますが、とくに第2幕における「ヴィヴァーチェ(活発に速く)」のダンスはスピード感に溢れ、「これぞ舞踏の芸術」と言いたくなるような素晴らしいパフォーマンスでした どのシーンを切り取っても絵になります このあと、有名な「精霊の踊り」が躍られました

また、照明の演出が見事でした 登場人物により背景の色が変わったり、闇の中 スポットライトで急にダンサーが浮き上がったりと、「明」と「暗」の転換が鮮やかでした

これらはすべて、演出・振付・美術・衣装・照明を一人で担った勅使河原三郎の卓越した芸術能力があって初めて実現できたことです

アモーレはエウリディーチェをこの世に蘇らせましたが、鈴木優人と勅使河原三郎の2人の天才は、260年前のバロック・オペラを「歌とダンスの総合芸術」として現代に蘇らせたのです

本公演は今後、21日(土)14時からと22日(日)14時からの2回上演されます 昨日の初日公演がほぼ満席状態だったので 当日券はないかもしれませんが、ダメ元でトライしてみてはいかがでしょうか それだけの価値があります

 

     

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チョン・ミョンフン ✕ 東京フィルでラヴェル「ラ・ヴァルス」「ダフニスとクロエ」第2組曲、ドビュッシー「海」、フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」を聴く

2022年05月19日 07時20分22秒 | 日記

19日(木)。わが家に来てから今日で2685日目を迎え、ロシアのウクライナ侵攻が長期化していることを背景にロシア国内で万引きが増加し、ロシアメディアRBKによると、2~4月の3か月間の小売店での万引きが前年同期比で18%増加した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシア兵はウクライナ国内で略奪の限りを尽くしたが ロシア国内に留めてほしいな

 

         

 

昨日、夕食に「鯖の塩焼き」「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」「茄子のレンジ蒸し」「豚汁」を作りました 水曜日は魚料理です。ヘルシーで美味しいです

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで東京フィル「第968回 サントリー定期シリーズ」公演を聴きました    プログラムは①フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」作品80、②ラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲、③ドビュッシー:交響詩「海~管弦楽のための3つの交響的素描」、④ラヴェル「管弦楽のための舞踏詩『ラ・ヴァルス』」です 指揮は東京フィル名誉音楽監督チョン・ミョンフンです

 

     

 

開演前に、私は2つの予想を立てました 1つは休憩時間に男子トイレに長蛇の列が出来ること、2つ目は終演後、指揮者と楽団員による”一般参賀”があることです

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東京フィルの編成。コンマスは近藤薫です 楽団員はマスク着用で入場しますが、ほとんどの奏者は座席に着くと同時に外します

1曲目はフォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」作品80です この曲はガブリエル・フォーレ(1845ー1924)が、ベルギーの詩人・劇作家のメーテルリンクが1892年に発表した戯曲「ペレアスとメリザンド」の付随音楽として1898年に作曲、これを4曲から成る組曲として編成し、1912年に初演したものです 第1曲「前奏曲」、第2曲「糸を紡ぐ女」、第3曲「シシリエンヌ」、第4曲「メリザンドの死」から成ります

チョン・ミョンフンがゆったりした足取りで指揮台に向かいます いつものように彼はタクトを持ちますが暗譜で指揮をします 数年前に演奏会形式のオペラ公演がサントリーホールで行われたときも、終始暗譜で通していたので非常に驚きました 私は彼が楽譜を見ながら指揮しているのを見たことがありません これがカリスマ指揮者チョン・ミョンフンのスタイルです

第1曲ではホルン首席の高橋臣宣、第2曲ではオーボエ主席の加瀬孝宏、第3曲ではフルート首席の斎藤和志の演奏が冴え渡っていました また全体を通して弦楽セクションの繊細な演奏が物語の悲劇性をよく表していました

2曲目はラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲です この曲はモーリス・ラヴェル(1875ー1937)がロシア・バレエ団の主宰者セルゲイ・ディアギレフの委嘱により1909年から1912年にかけて作曲した同名のバレエ音楽の「第3場」から3曲を選んだものです 第1曲「夜明け」、第2曲「パントマイム」、第3曲「全員の踊り」の3曲です

フルート群を中心とする木管楽器、ホルンを中心とする金管楽器、そして弦・打楽器それぞれの音のピースが立ち上がり、雄大な日の出の様子を描く「夜明け」は色彩感に溢れ、圧倒されます また「全員の踊り」では管弦楽の魔術師ラヴェルの音楽の魅力を存分に引き出し、オケの総力で圧倒的なフィナーレを飾りました

休憩時間には男子トイレに長蛇の列が出来、2階の上手のトイレではP席に向かう階段まで続いていました これで予想が1つ当たりました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はドビュッシー:交響詩「海 ~ 管弦楽のための3つの交響的素描」です この曲はクロード・ドビュッシー(1862ー1918)が1903年から05年にかけて作曲、1905年10月15日にパリで初演されました 第1曲「海の夜明けから真昼まで」、第2曲「波の戯れ」、第3曲「風と海との対話」の3曲から成ります

全体の演奏を聴いていて感じたのは、チョン・ミョンフンはこの作品を「海の描写」としてではなく、「海からイメージする心象風景」として捉えて演奏しているのではないか、ということです その点、これまで聴いたどの指揮者とも異なるように思いました

最後の曲はラヴェル「管弦楽のための舞踏詩『ラ・ヴァルス』」です この曲は1919年から翌20年にかけて作曲、バレエとしては1926年に初演されました 作品は連続して奏される序奏と7つのワルツ、そしてそれらを再現する8つ目のワルツで構成されています 言うまでもなく「ヴァルス」とは「ワルツ」のことですが、この曲はヨハン・シュトラウスのワルツを意識して作られていることは明らかです コントラバスによる静かな低音とファゴットのソロで始まる一連のワルツは、次第に熱を帯びていき、その喧騒が巨大化していきます そして突然、急ブレーキがかかったように音楽が止まります まるでラヴェルの「ボレロ」のフィナーレのようです 聴き終わって十数時間経つ今も、頭の中で「ラ・ヴァルス」のメロディーがぐるぐる回っています

満場の拍手にチョン・ミョンフンはカーテンコールに応えます 第2ヴァイオリン首席の戸上眞里の椅子に半分腰かけ、満足そうな顔をしていたかと思うと、今度はヴィオラ首席の須田祥子の手を取ってダンスに興じます 井上道義は一人でダンスを踊るタイプですが、どうやらチョン・ミョンフンは他人を巻き込むタイプのようです

楽団員が引き揚げた後、ありました、一般参賀 チョン・ミョンフンは近藤コンマスをはじめ他の楽団員を引き連れてステージに再登場し拍手に応え、全員を巻き込みました

これで2つめの予想も当たりました

さて、東京フィルは本日から新国立劇場で上演される「オルフェオとエウリディーチェ」のオーケストラ・ピットに入って演奏します 日程は本日=5月19日(19時~)、同21日(14時~)、同22日(14時~)の3日間です 一方、東京フィル5月度定期演奏会は昨日(18日)の後は20日(19時~・オペラシティ)、22日(15時~オーチャードホール)となっています。22日(日)は見事に演奏時間が重なっています 普通のオーケストラなら演奏不可能な強行日程ですが、東京フィルは楽団員が国内オケで最大の約160人在籍しているので、同一日時に2か所に分かれて演奏するのは朝飯前なのです

5月の東京フィルの合言葉は「もうかりまっか?」「ぼちぼちでんな」だろうか

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新国立オペラ、グルック「オルフェオとエウリディーチェ」公開ゲネプロを見学する ~ 勅使河原三郎の演出により「総合芸術としてのオペラ」を実現 / N響 新シーズンに向けた案内届く

2022年05月18日 07時15分08秒 | 日記

18日(水)。N響から「2022ー23シーズン  N響定期公演に向けた手続き案内」が届きました NHKホールの改修工事の終了に伴い、これまで池袋の東京芸術劇場で開いてきた「Aプロ」と「Cプロ」がNHKホールに戻ります これにより、新シーズンの定期会員券【A・Cプログラム(NHKホール)、Bプログラム(サントリーホール)】の申し込みは次のようになります

①席替え期間での申し込み=2022年7月10日(日)~13日(水)

②定期会員券の会員先行発売期間での申し込み=2022年7月14日(木)~17日(日)

ただし、複数プログラムの会員券を持っている会員は、プログラムによって事前申請が必要な場合があるので要注意

私の場合は、現在「Cプログラム2日目」会員ですが、新シーズンは「Aプログラム2日目」会員に変更しようと思っています したがって、7月10日(日)に手続きしようと思います

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2684日目を迎え、北朝鮮の朝鮮中央通信は17日、新型コロナウイルスの感染が疑われる新たな発熱者を15日夜以降の1日間で約26万9510人確認したと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ミサイル発射実験に明け暮れてる間に 国内がこの有様! すべては金正恩の責任だ

 

         

 

昨日、夕食に「サーロインステーキ」を焼きました 娘が前夜から翌朝にかけて勤務先の棚卸作業のため夜勤だったので、お疲れ様の意味を込めて娘の大好きなステーキにしました

 

     

 

         

 

昨日、新国立劇場「オペラパレス」でグルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」公開ゲネプロ(衣装付き総稽古)を見学しました 新国立劇場の会員制度「ジ・アトレ」の抽選に当たったので貴重な機会を得ました 本番は5月19日、21日、22日の3日間、オペラパレスで行われますが、私は19日(木)のプルミエ(初日)公演を聴きます

キャストは オルフェオ=ローレンス・ザッゾ、エウリディーチェ=ヴァルダ・ウィルソン、アモーレ=三宅理恵、ダンス=佐東利穂子、アレクサンドル・リアブコ他、管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=鈴木優人、演出・振付・美術・衣裳・照明=勅使河原三郎です

 

     

 

亡くなった妻のエウリディーチェを生き返らせようと祈りを捧げるオルフェオに、愛の神アモーレは復活の可能性を示唆するが、全能の神ゼウスの命令として「エウリディーチェをこの世に連れ戻すまでは、決して彼女の顔を見てはならない」と伝える    オルフェオは多くの試練を与えられながらも必死に耐え抜き、あと少しで生還させられるという時に、彼女から「どうして私の顔を見てくれないのか」と詰問される ゼウスの命と妻の懇願の狭間で悩むオルフェオは、ついに振り返って妻の顔を見てしまう

 

     

 

主催者側から指定された座席は1階19列15番、センターブロック左から4つ目です 私の定期会員席にかなり近い席なので配慮してくれたのかもしれません

実は、このゲネプロを見学するまでは、「どうせ大したことはないだろう」と甘く見ていました しかし、実際に本公演を観たら とんでもない先入観だったと反省しました

登場する歌手(合唱を除く)はカウンターテナーのローレンス・ザッゾ、ソプラノのヴァルダ・ウィルソンと三宅理恵の3人だけですが、粒ぞろいの実力者です それに加えて、4人のダンサーのパフォーマンスが素晴らしく、まさに「歌とダンスによる総合芸術としてのオペラ」に仕上がっていました これは演出・振付・美術・衣裳・照明を一人で担う勅使河原三郎の貢献度が多大であることは言うまでもありません

もう一つ本公演の大きな特徴は、管弦楽を担う東京フィルがいつもと全く異なる古楽の音色で演奏していたことです これには驚きました ひょっとして、弦楽器はガット弦(羊の腸を縒った弦)に張り替えて演奏しているのだろうか、と思いました これは指揮を執る鈴木優人の「バロック・オペラを現在に再現する」という意図が生かされた演奏であると思われます

本番でなくゲネプロなので、あまり詳しく書くことは避けたいと思いますが、予想以上のパフォーマンスが実現した公演とだけお伝えしておきます

 

     

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METライブビューイングでヴェルディ「ドン・カルロス」を観る ~ フランス語・全5幕版による上演:ヨンチェヴァ、ポレンザーニ、デュピュイ、オーエンズ、バートンにブラボー!

2022年05月17日 07時15分14秒 | 日記

17日(火)。わが家に来てから今日で2683日目を迎え、英紙ザ・タイムズは14日,米誌を引用し、ロシアのプーチン大統領が「血液のガン」を患わっていると報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ガンを患わっている人はガンばって他国に侵略しないで ベッドで寝ていればいいよ

 

         

 

昨日、夕食に「茄子のレンジ蒸し」「生野菜サラダ」「冷奴・ウニ醬油かけ」「エノキダケの味噌汁」を作りました 「茄子の~」はウサコさんのブログに載っていたレシピを参考にさせていただきました レシピは①茄子の皮を縞模様に剥く、②しその葉と豚肉を挟む、③大きい時は半分にする、④めんつゆをかけまわす。⑤レンジで8分(私の場合は量が多かったので10分チンしました)。かなり美味しかったです

 

     

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング「ドン・カルロス」を観ました    これは今年3月26日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストはドン・カルロス=マシュー・ポレンザーニ、王妃エリザベート=ソニア・ヨンチェヴァ、エボリ公女=ジェイミー・バートン(エリーナ・ガランチャの代役)、国王フィリッポ2世=エリック・オーエンズ、ロドリーグ=エティエンヌ・デュピュイ、大審問官=ジョン・レリエ。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=パトリック・フラー(ヤニック・ネゼ=セガンの代役)、演出=デイヴィッド・マクヴィカーです

 

     

 

「ドン・カルロス」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813ー1901)が1865年から翌66年にかけて作曲、1867年3月11日にパリ・オペラ座で初演されました

物語の舞台は1559年のフランス。スペインの王子ドン・カルロスは、婚約者のフランス女王エリザベートを一目見たいと、使者たちに混じってフォンテンブローの森を訪れた 出会った2人はたちまち恋に落ちる しかし、その時大砲が鳴り、対イタリア戦争が終結し、エリザベートが王子でなくスペイン国王フィリップ2世の妃になることが決まったと告げられる 2人は絶望する(以上 第1幕)

舞台はスペインのマドリード。カルロスは父王の妃となったエリザベートを諦めることができない カルロスの盟友でポーザ侯爵のロドリーグは、恋を忘れフィリップ王に弾圧されているフランドルのプロテスタントを救うよう王子に勧める 一方、フィリップ王は息子と妃が通じているのではないかと悩み、2人の監視をロドリーグに頼む(以上 第2幕)

女官のエボリ公女は、密かに思いを寄せるカルロスが王妃に恋している知って復讐を誓う プロテスタントの火刑の日、カルロスは自分にフランドルの統治を任せてほしいと父王に談判し、怒りを買って投獄される(以上 第3幕)。

フィリップ王は、カトリックの最高権力者である大審問官にカルロスの処分を相談するが、カルロスとロドリーグを処刑しろと迫られる ロドリーグはカルロスの罪を背負って射殺され、カルロスは逃亡する(以上 第4幕)

フランドルへ向かうカルロスは、エリザベートと今生の別れを惜しむ フィリップ王と大審問官はカルロスを捕えようとするが、カルロスの祖父カルロス5世の亡霊が現れてカルロスを冥界に連れ去る(以上 第5幕)

 

     

 

実は、この映画を観る前にカラヤン指揮ウィーンフィル盤(Sp:セーナ・ユリナッチ他)で予習しておいたのですが、フラーの指揮で第1幕の演奏が始まった時、全く別の音楽が鳴り出したので驚きました しかも歌はフランス語です しかし、第2幕が始まった時、CDはここから始まっていたのだということが解りました あらためてMETライブの公式プログラムで確かめたら次のように書かれていました

「『ドン・カルロス』は、19世紀にパリのオペラ座で上演されていた『グランド・オペラ』(5幕構成のスペクタルな歴史劇)として成立したので元来フランス語だが、その後イタリア語による4幕構成版ができ、現在は後者の上演が主流となっている だが、近年はフランス語5幕版も復活しつつあり、この度METでも新演出で初演されることになった

これで謎が解けました 今回のMETの上演はフランス語による5幕構成版によるものだということです

 

     

 

ドン・カルロスを歌ったマシュー・ポレンザーニは1968年、イリノイ州生まれのテノールですが、どちらかというとナイーブなカルロスを歌い演じていました 甘くソフトなリリカルなテノールが魅力でした

王妃エリザベートを歌ったソニア・ヨンチェヴァは1981年、ブルガリア生まれのソプラノですが、自然で卓越した演技力に加え、ベルカント唱法が見事でした

エボリ公女を歌ったジェイミー・バートンは降板したエリーナ・ガランチャの代役を担いましたが、恵まれた身体を活かしたドラマティックな歌唱で抜群の存在感を示しました

国王フィリッポ2世を歌ったエリック・オーエンズは1970年、フィラデルフィア生まれのバリトンですが、厚みのある低音の魅力で悩み多き国王を見事に歌い演じました

ロドリーグを歌ったエティエンヌ・デュピュイは1979年、モントリオール生まれのバリトンですが、明るめの声質でよく声が通り、演技力も申し分ありませんでした

大審問官を歌ったジョン・レリエは1972年トロント生まれのバスバリトンですが、出番が少ないながら迫力のある演技力で存在感が抜群でした

体調不良のため降板したヤニック・ネゼ=セガンに代わりタクトをとったパトリック・フラーは、たぶんヤニック・ネゼーセガンの副指揮者ではないかと想像しますが、しっかりと歌手に寄り添い、メトロポリタン歌劇場管弦楽団からドラマティックな演奏を引き出しました

演出で目立ったのはラストシーンです 通常は「カルロスの祖父カルロス5世の亡霊が現れてカルロスを冥界に連れ去る」ことになっていますが、マクヴィカーの演出では、「カルロスの罪を背負って射殺されたロドリーグが冥界から現れ、カルロスを抱きしめる」シーンで幕が下ります

幕間の特典映像では、過日行われたMET主催による「ウクライナ慈善コンサート」の映像も紹介され、「第九」の第4楽章などが歌われていました

この物語では、スペイン国王フィリップ2世がフランドルの人々を弾圧しているわけですが、このストーリーを現代に置き換えてオペラを観ると、フィリップ2世がウクライナに侵略したロシアのプーチンのように感じます 幕間のインタビューでもそれを暗示するやり取りがありました

第1幕・第2幕=約95分、第3幕=約36分、第4幕・第5幕=約86分、休憩(10分✕2回)・特典映像などを含めトータル4時間53分の超長編ライブビューイングでした

と、ここまで書いてきて今思い出したのですが、私は11年前の2011年6月10日に、NHKホールでMET来日公演「ドン・カルロ」を観ています ファビオ・ルイージ指揮で、エリザベッタをマリーナ・ポブラフスカヤ、ドン・カルロをヨンフン・リー、ロドリーグをディミトリ・ホロストフスキー、フィリッポ2世をルネ・パーペが歌っています 錚々たるメンバーですが、ホロストフスキーがカッコ良くてシビレタのを思い出しました 面白いのは、下記の配役表にある通り、タイトルが「ドン・カルロ」で、「全5幕イタリア語版」となっているところです 上演時間が4時間40分となっているので、確かに全5幕で間違いありません。当時こんな長いオペラを日本で上演していたのにあらためて驚きます

 

     

     

 

終演後、ご一緒した Kirioka さんとビアホール L でビールを飲みながら「ドン・カルロス」を振り返り、音楽談義をして楽しい時間を過ごしました 次は「トゥーランドット」を観ようか(ネトレプコが降板してしまったけれど)、その後の「ランメルモールのルチア」を観ようか・・・どちらにしてもオペラは楽しいですね

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沢木耕太郎著「作家との遭遇」を読む ~ 向田邦子、小林秀雄を中心に

2022年05月16日 07時03分52秒 | 日記

16日(月)。わが家に来てから今日で2682日目を迎え、ウクライナ国防省の諜報部門トップのブダノフ准将は14日放映の英スカイニュースのインタビューで、ロシアのプーチン大統領に対する「クーデター計画」が進行しているとの見方を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これ以上の人殺しと破壊活動を阻止するには ロシア国内の良心の行動が欠かせない

 

         

 

沢木耕太郎著「作家との遭遇」(新潮文庫)を読み終わりました 沢木耕太郎は1947年 東京生まれ。横浜国立大学卒業。ルポライターとして出発し、1979年「テロルの決算」で大宅壮一ノンフィクション賞、85年「一瞬の夏」で新田次郎文学賞を受賞 86年から刊行が始まった「深夜特急」三部作では93年にJTB紀行文学賞を受賞した

 

     

 

本書はノンフィクション作家として知られる沢木耕太郎が、少年の頃からプロの作家に至るまでの間に心を奪われてきた作家たち19人について、それぞれの魅力を描いた作家論です 収録されている作家は、井上ひさし、山本周五郎、田辺聖子、向田邦子、塩野七生、山口瞳、色川武大、吉村昭、近藤紘一、柴田錬三郎、阿部昭、金子光晴、土門拳、高峰秀子、吉行淳之介、檀一雄、小林秀雄、瀬戸内寂聴、山田風太郎の19人です

このうちほとんどの作品を読んだことのあるのは向田邦子ただ一人です そして親しみを感じるのは小林秀雄です この2人について沢木氏がどう書いているかをご紹介することにします

沢木氏は向田邦子の文章に「記憶を読む人 向田邦子」とタイトルをつけています これには唸りました

彼は向田邦子の文章の特徴として3つ挙げています 一つは「文章が極めて視覚的であること」、2つめは「文章の結構(組み立て)がドラマティックであること」(挿話と挿話のつなぎ方の大胆な飛躍)、3つ目は「記憶が物語の核になるということ」です 個人的には、「『である調』によるリズム感のある男性的な文章」を付け加えたいと思います

エッセイ集「父の詫び状」は、表題作をはじめ子ども時代の思い出をもとに書かれていますが、読みながら「よくもこんなに細かいことまで覚えているものだな」と感心します。一方、短編小説集「思い出トランプ」について沢木氏は次のように書いています

「『思い出トランプ』には、『父の詫び状』の『私』のかわりに、それぞれ固有の名前をもった中年の男女が登場してくる 彼らのさりげない日常の中に、ある時、思い出という名のカードをめくらせるささやかな契機が訪れる 物語は、現在に不意に紛れ込んできたその過去の記憶が動かしていくことになる。もちろん、彼らの記憶は、『父の詫び状』の時のように、そのまま向田邦子の記憶とするわけにはいかない。その記憶は作られた記憶である。つまり彼女は、自身の記憶を、彼らの状況に応じて少しずつ変化させながら付与しているのだ しかしその時、もはやそれを記憶と呼ばず、『観察』と呼び換えてもさしつかえないように思える。そして、その観察の鋭さは、彼女が記憶を読む職人であった以上に、世間を視る職人であったことを物語っている

向田邦子に負けず劣らず鋭い観察眼だと思います 小説でもエッセイでも、最も感心させられるのは彼女の観察眼です 過去の記憶や現在の観察力をもとに、物語をドラマティックに組み立て、視覚的に文章化していく・・・それが向田邦子の文章です

最後まで読み終わって気が付いたのは、この文章は昭和56年9月12日に沢木耕太郎が書いた向田邦子「父の詫び状」(文春文庫)の「解説」文だったのです どうやら向田は、「解説」の執筆者として沢木を指名していたらしいのです 向田の飛行機事故による死亡(昭和56年8月22日)を受けて、沢木は次のように書いています

「私はようやく書き上げた原稿を前に、しばし茫然とした 向田さんがいなくなってしまった以上、私の原稿はほとんど意味のないものになってしまったような気がしたからだ。本来、『父の詫び状』の解説を書くにふさわしい方は他にいらいたはずなのに、それをあえて私などに書かせてみようと向田さんが考えたのは、年少の者の感想を聞いてみたかったからであるらしい 私もそれに応えて、せめて向田さんが面白がってくれるような感想を述べたいものだと思いつつ、原稿用紙に何日も向かっていたのだ

沢木氏は山本夏彦の「向田邦子は突然あらわれてほとんど名人である」という名言を紹介していますが、沢木氏は「なるほど向田邦子が『父の詫び状』で不意に文筆家として登場してきた時、彼女はすでに完璧な自分のスタイルを持っていた」と肯定したうえで、「その独自のスタイルが一朝にしてできあがったものではないこともまた確かである」と指摘しています そして「彼女がテレビドラマを永く書き続けてきたという『経験』がことのほか大きな意味を持っていたらしい」と分析しています

本書を読んだ機会に、あらためて「思い出トランプ」に収録された「かわうそ」「だらだら坂」「マンハッタン」「犬小屋」を読んでみましたが、彼女の観察眼の鋭さと、巧みな文章力にあらためて感嘆せざるを得ませんでした

沢木氏は小林秀雄の文章に「虚空への投擲」というタイトルをつけています 投擲(とうてき)とは砲丸投げや円盤投げなどの陸上競技の総称です。沢木氏は冒頭次のように書いています

「小林秀雄の文章には、香具師(やし)の啖呵のようなところがあり、眼で読んだだけのはずなのに、いつまでも耳に残っているようなものが少なくない 『様々なる意匠』にも、『Xへの手紙』にも、『ドストエフスキイの生活』にも、『モオツァルト』にも、『ゴッホの手紙』にも、そうした文章はある しかし、私が小林秀雄という人物について考えるとき、まず思い浮かべるのは、『スポーツ』と題された短いエッセイの、冒頭部分である 『私は、学生のころから、スポーツが好きだった。身体の出来が貧弱だったから、スポーツ選手にはなれず、愚連隊の方に傾き、いつの間にか、文士なぞになってしまったが、好きなことは今でも変わらない』『30年前には、巨人の水原監督と一緒に、第1回都市対抗戦で、神奈川県代表の鎌倉軍に参加し、台湾代表の台北軍と、神宮球場で戦ったこともある』」

ここには、小難しい顔をした小林秀雄はいません 沢木氏の文章によると、小林秀雄は中学時代に登山で友人と3人で雲取山に行き、あやうく遭難しかけたことがあり、また、山スキーの帰途、行方不明者として捜索されたことがあるそうです またゴルフも楽しんだそうです 要するに小林秀雄にとってスポーツは「観る」のではなく、「する」方がメインだったらしいのです これは意外でした その一方、スポーツを観る方では、オリンピック・ロンドン大会と東京大会についての文章があるが、なぜか小林が取り上げているのは砲丸投げや槍投げなどの投擲競技だったと紹介しています これも意外でした

以上のほか、「必死の詐欺師 井上ひさし」「絶対の肯定性 土門拳」「天才との出会いと別れ 檀一雄」なども面白かったです 気になる作家がいたら、本書を手に取ってお読みになってはいかがでしょうか

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スペイン出身のメゾ・ソプラノ、テレサ・ベルカンサ死去 / 佐藤正午原作・タカハタ秀太監督「鳩の撃退法」をNetflixで観る

2022年05月15日 07時13分33秒 | 日記

15日(日)。山形県鶴岡市に単身赴任している息子がコーヒー豆を送ってくれました ルワンダ産とエクアドル産の豆ですが、後者は何かの賞を取ったようです ゆっくり味わいたいと思います

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2681日目を迎え、ロシアの電力会社「RAOノルディック」は13日、フィンランドからの支払いが滞っていることを理由に、同国での電力供給を14日から停止すると明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これがNATO寄りへの「報復」の第1弾か? 逆効果のオウンゴールが続きそうだね

 

         

 

昨日、娘が何年ぶりかで夕食を作ってくれました 「豚肉とシソの餃子の皮巻き」「冷奴・ウニ醬油かけ」「キャベツの味噌汁」です 豚肉とシソはよく合います。とても美味しかったです いつも自分の作る料理を食べていますが、他人が作ってくれる料理はひときわ美味しく感じます 何より楽ができます

 

     

 

         

 

AFP時事によると、メゾ・ソプラノ歌手テレサ・ベルガンサが13日死去しました ベルガンサは1933年スペイン・マドリード生まれ。享年89歳。1957年フランスのエクサンプロバンス音楽祭でモーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」のドラベッラ役でオペラデビュー 故マリア・カラスと共演するなど世界を舞台に活躍しました ロッシーニとモーツアルトを得意とし、ビゼー「カルメン」のタイトルロールを歌い世界の聴衆を魅了しました

私がソプラノよりもメゾ・ソプラノの方が好きなのもベルガンサの影響が大きいと思います ライブで聴きたいメゾ・ソプラノ歌手の一人でした 久しぶりにLPレコードを出してベルガンサを偲びたいと思います

 

     

     

     

 

         

 

タカハタ秀太監督による2021年製作映画「鳩の撃退法」(119分)を Netflix で観ました

都内のあるバーで、かつて直木賞を受賞した天才小説家・津田伸一(藤原竜也)が、担当編集者の鳥飼なほみ(土屋太鳳)に執筆中の新作小説の原稿を読ませていた その内容に興味を持った鳥飼だったが、津田の話を聞けば聞くほど小説の中だけの話とは思えないように感じる この小説が本当にフィクションなのか事実が混じっているのか検証を始める その小説は、美しい妻、幼い娘と3人で暮らすバーのマスター・幸地秀吉(風間俊介)と、元小説家の津田伸一がハンバーガーショップで1度だけ出会うところから始まる その翌日、幸地一家は神隠しに遭ったかのように姿を消す。その後、津田は作家の想像力を駆使して失踪事件の真相を小説にすべく執筆するが、そのさなかにひょんなことから偽札事件に巻き込まれてしまう

 

     

 

本作は直木賞作家・佐藤正午の同名ベストセラーを藤原竜也主演で映画化した作品です タイトルの「鳩」とは偽札、具体的には3枚の偽1万円札のことを意味しています

小学館から出版された「鳩の撃退法」は上・下巻合計953ページの超長編です 私は2017年の秋に読破し、その感想を同年10月3日付toraブログに書きました 興味のある方はご覧ください

この映画を観ながら、原作の内容を思い出していました 小説家が主人公であるところがミソで、物語が現在と過去を行き来し、物語の中にもう一つの物語が入れ子細工のように組み込まれています それだけに物語の流れが分かりにくい面がありましたが、映像で再現されるとその点が解消されて良かったと思いました

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井上道義 ✕ 林英哲 ✕ 石丸由佳 ✕ 新日本フィルで新実徳英「和太鼓とオルガンとオーケストラのための『風神・雷神』」、ラヴェル「ボレロ」他を聴く

2022年05月14日 07時28分13秒 | 日記

14日(土)。昨日は午前11時から錦糸町のTホテルで新日本フィル「すみだクラシックへの扉・レクチャー」(テーマ=オーケストラを拡張する ~ オルガンと打楽器が広げた管弦楽の可能性。講師=小室敬幸氏)に参加し、14時から「扉:本公演」を聴き、終演後その足で内幸町の日本記者クラブ・レストランに直行し、17時から「K氏との懇談会」に参加するといった多忙な1日を過ごしました したがって、夕食を作る時間がなかったので、あらかじめ娘に事情を話して免除してもらいました

ということで、わが家に来てから今日で2680日目を迎え、フィンランドがNATO加盟に近づいたことを受け、ロシア外務省は5月12日の声明で、「ロシアはこのことで生じる国家安全保障への脅威を阻止するために、軍事的及びその他の報復措置を取らざるを得なくなるだろう」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ウクライナへの侵略の理屈と同じだ  ロシアに攻撃してないのに「報復」するって

 

         

 

前述の通り、昨日 錦糸町のすみだトリフォニーホールで新日本フィル「第7回 すみだクラシックへの扉」公演を聴きました プログラムは①サン=サーンス「糸杉と月桂樹 作品156」より「月桂樹」、②新実徳英「和太鼓とオルガンとオーケストラのための『風神・雷神』」、③ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」第1組曲、第2組曲、④ラヴェル「ボレロ」です 演奏は①②のオルガン独奏=石丸由佳、②の和太鼓独奏=林英哲、指揮=井上道義です

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろのコントラバスといういつもの新日本フィルの並び。コンマスは西江王子です ステージ後方の中央には2曲目のため大きな和太鼓が設置され、2階正面のパイプオルガン席で石丸由佳さんがスタンバイします

オルガン独奏の石丸由佳さんは東京藝大卒業、同大学院修了。デンマーク王立音楽院、シュトゥットガルト音楽大学で国家演奏家資格を取得 シャルトル国際オルガンコンクールで優勝 現在、新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ専属オルガニストを務めています

1曲目はサン=サーンス「糸杉と月桂樹  作品156」より「月桂樹」です この曲はカミーユ・サン=サーンス(1835ー1921)が1919年に作曲したオルガンとオケのための作品です サン=サーンスは、第一次世界大戦後に死者への追悼としてオルガン・ソロによる「糸杉」を、フランスの戦勝を祝う管弦楽とオルガンによって「月桂樹」を書きました

井上の指揮で演奏に入りますが、戦勝記念という背景があるだけに明るく祝祭感に満ちた曲想で、壮麗なオルガンがオーケストラとマッチして会場に豊かな響きが鳴り渡ります 率直に言ってすごく良い曲だと思いました   ひょっとしてCD持っているかもしれない。後で4000枚の中から探してみよう

2曲目は新実徳英「和太鼓とオルガンとオーケストラのための『風神・雷神』」です この曲は新実徳英( 1947~)が作曲し、1997年10月22日の「すみだトリフォニーホール開館記念式典」で初演されました

和太鼓独奏の林英哲氏(1952年~)は、佐渡「鬼太鼓座」、「鼓童」での11年間の活動の後、1982年にソロ活動を開始。84年に初の和太鼓のソリストとしてカーネギーホールにデビュー 2000年にはドイツのワルトビューネでベルリン・フィルと共演し、2万人を超える聴衆を圧倒しました 2020年にはNHK大河ドラマ「麒麟がくる」のメインテーマにソリストとして参加しました

ステージ後方の中央に設置された和太鼓の手前に林英哲氏が、2階正面のパイプオルガン席に石丸由佳さんがスタンバイします

井上の合図で、和太鼓の迫力ある「ドン」「ドン」という腹に響く音が会場に鳴り響きます そこにオルガンが加わります 和太鼓は雷の神=雷神を、オルガンは天と風の神=風神を表します この2つの独奏楽器にオーケストラが加わり、エネルギーに満ちた音楽が展開します 力強い連打を続ける林英哲氏は1952年生まれといいますから今年70歳ですが、とてもそうは見えない半端ない体力の持ち主です 一方、石丸由佳さんはオルガンの最高音から最低音まで幅広い音域の音を自由自在に駆使し技巧的な演奏を展開します 終盤、ステージの照明が落とされ、パイプオルガンと和太鼓にスポットライトが当てられ、2つの楽器によるインプロヴィゼーション(即興演奏)が展開しますが、英哲さんは迫力の鉄腕ぶりを発揮する一方、由佳さんは”とうとう切れたか ”と思わせるような破壊力に満ちた演奏を展開し、目の前で「風神と雷神のバトル」が繰り広げられるかのようでした カデンツァの後、舞台に照明が点き、オーケストラが加わって壮大なフィナーレを迎えました

カーテンコールが繰り返され、英哲さんと由佳さん、そして井上 ✕ 新日本フィルの面々に大きな拍手が送られました     また、会場後方で演奏を聴いていた作曲者の新実氏が紹介され、大きな拍手に包まれました

休憩時間に、パトロネージュ部・登原さんに「『風神・雷神』良かったですよ 演奏者にスポットライトを当てた演出も良かった」と話すと、彼女は「私も観たいです」と言うので、「明日のコンサートで会場に入れるといいね」と伝えました。また、「第2ヴァイオリンのトップはN響の大宮臨太郎さんかな?」と訊くと、「そうです」との返事 「珍しいね」と言うと、「そうでもないです。何回か客演しています」とのこと。私は初めて見ました そういえばヴィオラの元首席・篠崎友美さん(現在、都響首席)はN響に客演していたことがありました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はファリャ:バレエ音楽「三角帽子」第1組曲、第2組曲です この曲はマニュエル・デ・ファリャ(1876ー1946)が1918年から翌19年にかけて作曲、1919年にロンドンで初演されました 1916~17年に作曲したパントマイム「代官と粉屋の女房」をロシア・バレエ団で上演するため編成を拡大した作品です 物語は、魅力的な粉屋の女房と、彼女に言い寄る三角帽子の代官、嫉妬深い亭主が繰り広げる喜劇です 第1組曲は「序奏部」「粉屋の女房の踊り」「代官の踊り」「粉屋の女房」「ぶどう」の5曲から成ります また、第2組曲は「近所の人々の踊り」「粉屋の踊り」「終幕の踊り」の3曲から成ります

「三角帽子」は「代官の被っている帽子」のことで、代官を象徴しています

オケがスタンバイしているところに、井上が黒い帽子(頂点が三角に見えなくもない)を被って登場したので、そのまま指揮をするのかと思ったら、脱ぎました。脱帽です

井上は時に「これは俺の世界」と言わんばかりに、指揮台の上で楽しそうにバレエを踊りながら指揮をします 彼は幼少時にクラシックバレエをやっていたので、昔取った宝塚、もとい、昔取った杵柄です この日午前の「扉:レクチャー」で、この曲をバックにバレエを踊る映像を観たのですが、バレエ音楽は観て聴くのが理想的だなと思いました ただ、演奏は色彩感に溢れ、スペイン情緒たっぷりでした

最後の曲はラヴェル「ボレロ」です この曲は舞踏家イダ・ルビンシテインの依頼により1928年に作曲、同年11月22日にパリで初演されました

指揮者の前方(第2ヴァイオリンとチェロの間)にスネアドラムがスタンバイします

井上の指揮により演奏がスタートします スネアドラムによる弱音の小刻みの連打に乗せて、フルート ⇒ クラリネット ⇒ ファゴット ⇒ E管クラリネット ⇒ オーボエダモーレ ⇒ 弱音器付トランペット ⇒ テナーサックス ⇒ ソプラニーノサックス・・・・とソロの楽器が同じメロディーをリレーしていきますが、楽器が変わるごとに曲はクレッシェンドしていきます 同じリズムと同じメロディーの繰り返しで、聴く者を興奮の極致に誘う代表的な作品、それが「ボレロ」です そして、最後にどんでん返しが待っているのも「ボレロ」です

それぞれのソリストの演奏はそつがなく安心して聴くことが出来ました 演奏後、井上は客演奏者を中心に立たせていましたが、正団員の演奏も素晴らしかったです

その後 井上は満場の拍手を制し、「もう一回  ボレロがあるかもしれない」と衝撃のアナウンスをすると、ステージ後方上手から林英哲氏が再登場、和太鼓に対峙しました     まさか と思っていると、井上の指揮で オケをバックに英哲さんが和太鼓をスネアドラムのように小刻みに叩き出したではありませんか するといきなりフィナーレのどんでん返し部分の演奏に移り、和太鼓とオケとの大音響の中で曲を閉じ、聴衆を興奮の渦に巻き込みました そして、井上は「節目というものがあります 新日本フィルは創立50年。英哲さんは太鼓を始めてから50年。まだまだ続きます」と言い残して大きな拍手の中、舞台袖に引き上げていきました こういうところは演歌テナー、もとい、エンターテイナーだと思います

 

     

 

         

 

昨夕の「K氏との懇談会」のK氏とは、私が35年間務めた新聞関係団体(NSK)に入職した当時の国際部の直属の上司です K氏は現在ロンドンと日本に1年の半分ずつ生活しているため、ちょうど日本で生活しているところを見計らって、K氏のかつての部下で私の2番目の職場(NPC)の専務も務められたU氏が、K氏にゆかりのあるNSKのOBに声をかけて集まったものです 最初は2017年1月11日に新橋の中華料理店で開かれましたが、その後は同年12月5日、2018年4月16日、同年7月13日、2019年1月10日、2020年1月23日と、いずれも日本記者クラブ・レストランで開かれてきましたが、それ以降は、新型コロナ禍の影響で計画されては中止・延期となり、今回が2年4か月ぶりの再会となったものです 今回はまだ新型コロナが終息していないこともあってか、K氏、U氏、国際部の先輩Mさんと私の4人が集まりました こうして”卒業後”も部下たちが集まるのはK氏の人徳以外の何物でもありません

K氏は現在89歳ということですが、ビールやワインもたしなめられて、年齢の割にはお元気そうでした U氏が中心になって現役時代の思い出話に花が咲きましたが、話題はロシアによるウクライナへの侵略問題にも及びました U氏の「ロシアはこの戦争に最終的には勝てないのではないだろうか」という感想に、K氏は「ロシアを勝たせてはいけない」と答えていたのが印象的でした みな想いは同じだなと思いました 帰りは雨が降って足元が悪かったので、K氏を新橋駅までお送りしました K氏は6月にロンドンに戻られるので、また半年後以降にお会いすることになると思います。いつまでもお元気でいてほしいと思います

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藤岡幸夫 ✕ 角野隼斗 ✕ 東京シティ・フィルで ラヴェル「ピアノ協奏曲」、黛敏郎「シンフォニック・ムード」「BUGAKU」他を聴く / 井上道義 ✕ 新日本フィルの「扉」公開リハーサルを聴く

2022年05月13日 07時15分44秒 | 日記

13日(金)。わが家に来てから今日で2679日目を迎え、CNNによると、ロシアの政府系ニュースサイト「Lenta.ru」は、対ナチス・ドイツ戦勝記念日の9日、所属するジャーナリスト名で「プーチン氏と取り巻きは戦後、法廷で裁かれる運命だ」などとプーチン大統領を批判する30本もの記事を掲載したが、直後に削除された というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     政府系サイトからの批判は異例だ  いよいよプーチンも抑えられなくなってきたか

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」「生野菜サラダ」「冷奴・ウニ醤油かけ」「ジャガイモの味噌汁」を作りました トンテキにはキャベツです

 

     

 

         

 

昨日午前10時半からすみだトリフォニーホールで新日本フィルの「第7回  すみだクラシックへの扉」の公開リハーサルを、午後7時から東京シティ・フィルの「第352回定期演奏会」を聴きました

新日本フィルのリハーサルは13日(金)と14日(土)の「扉・定期演奏会」のプログラムの中から新実徳英「和太鼓とオルガンとオーケストラのための『風神・雷神』」とサン=サーンス「糸杉と月桂樹」から「月桂樹」が公開されました 私はまさか『風神・雷神』が公開されるとは思っていなかったので、とてもラッキーな気分になりました

通常の公開リハーサルでは指揮者はマイクを使いませんが、この日 井上氏は口元のピンマイクを着用して客席に呼びかけていました 「さすがはサービス精神旺盛なミッキーだ」と思っていたら、演奏中はスイッチが切られていたのか、楽団員への指示は地声が聞こえました

弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの編成。コンマスは西江王子です 管楽器後方の中央には大きな和太鼓が置かれ、その手前に林英哲氏が、正面2階のパイプオルガン席には石丸由佳さんがスタンバイします

客席の中央の席では作曲者の新実氏が自らのスコアを見ながらリハーサルの進行を見守ります

リハーサルは、演奏しては止め、注意事項を伝え、やり直し、というパターンが繰り返されました 林氏の和太鼓と石丸さんのパイプオルガンが半端ない迫力で、度肝を抜かれます 中盤で和太鼓とオルガンとのコラボの場面がありますが、井上氏は「パイプオルガンの真下で和太鼓が演奏されるので、2人は近いところにいますが、自分の出す音が大きいので、お互いの音は全く聴こえません 近くて遠い・・・まるで夫婦のよう」と、人生の先輩としての格言をさりげなく吐露し、聴衆の微苦笑を誘っていました

休憩後にサン=サーンス「糸杉と月桂樹」から「月桂樹」のリハーサルが行われましたが、この曲も演奏しては止め、指示を出してやり直し・・・というパターンを繰り返し、短時間で仕上げました この曲もパイプオルガンが有効に使われていて、いかにもサン=サーンスらしい作品だと思いました

ファリャ「三角帽子」、ラヴェル「ボレロ」ともども 今日の本番が楽しみです

 

     

 

          

 

東京シティ・フィル「第352回定期演奏会」は午後7時から東京オペラシティコンサートホールで開かれました プログラムは①ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」、②同「ピアノ協奏曲ト長調」、③黛敏郎「シンフォニック・ムード」、④同「BUGAKU」です 演奏は②のピアノ独奏=角野隼斗、指揮=藤岡幸夫です

藤岡幸夫は英国王立ノーザン音大指揮科卒業。1994年「プロムス」にBBCフィルを指揮してデビュー 現在、関西フィル首席指揮者、東京シティ・フィル首席客演指揮者を務めています

     

     

 

チケットは早くも完売とのことで、角野隼斗人気の賜物だなと感心します 指揮者の藤岡氏がプレトークで「角野君のお陰で黛敏郎の曲が演奏できる。ありがたいことです」と語っていましたが、東京シティ・フィルにとっても救世主のような存在でしょう

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものシティ・フィルの並び。コンマスは戸澤哲夫氏です

1曲目はラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875ー1937)が親友ゴデブスキー夫妻の2人の子どものために1908年か1910年にかけて作曲した作品で、翌1911年に管弦楽用に編曲されました 第1曲「眠りの森の美女のためのパヴァーヌ」、第2曲「親指小僧」、第3曲「パゴダの女王レドロネット」、第4曲「美女と野獣の対話」、第5曲「妖精の国」の5曲から成ります 「マ・メール・ロワ」とは英語で「マザー・グース」のことです

第1曲を中心にフルートの竹山愛の演奏が冴えていました    曲で一番印象に残ったのは第2曲「親指小僧」です 曲は「7人の子どもが森へ行くが、末っ子の親指小僧が帰りの目印用に撒いたパンのかけらを鳥たちが食べてしまう」という内容ですが、ラヴェルの曲なのに、どこか懐かしい曲想はイギリスのディーリアスの曲のように聴こえました

2曲目は「ピアノ協奏曲 ト長調」です この曲は1929年から31年にかけて作曲、1932年1月14日にパリでマルグリット・ロンの独奏、作曲者の指揮で初演されました 第1楽章「アレグラメンテ」、第2楽章「アダージョ・アッサイ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の角野隼斗は1995年生まれ。東京大学大学院在学中にピティナピアノコンペティション特級グランプリ受賞 2021年の第18回ショパン国際ピアノコンクールでセミファイナリストとなる Cateen(かていん)名義で活動するYouTubeチャンネルは登録者数が95万人を超え、新時代のピアニストとして人気を集めています

藤岡氏の指揮で第1楽章が鞭の一打で開始されます ジャズのイディオムを採り入れた曲想は、クラシック以外の音楽にも精通した角野隼斗にとってはお手の物です 軽快な演奏が続きますが、この曲の聴きどころは第2楽章「アダージョ・アッサイ」です 最初はピアノ・ソロで、次いで竹山愛のフルートとのコラボで、さらに高橋舞のコーラングレとのコラボで美しい音楽が奏でられますが、弱音の美しさが際立っています 演奏する角野隼斗の横顔を見ていたら、ドラクロワが描いたショパンの肖像画を思い出しました 実によく似ています あの顔はショパン・コンクールの審査上 有利だったのではないかと密かに思っています 第3楽章は一転、まさにジャズそのものというような軽快な曲想です 独奏ピアノとオケとの丁々発止のやり取りで衝撃的なフィナーレに突入します

熱狂的な演奏でした 角野隼斗は(多分 自身でアレンジした)「スワニー」を鮮やかに演奏し、クロスオーバー・アーティストかていんの本領を発揮、会場の温度を2度上昇させました

休憩時間には予想通り、女子トイレに長蛇の列が出来ていました 曲がマーラー、ブルックナーの時は男子トイレに長蛇の列が出来ますが、演奏家が かていん や反田恭平の時は女子トイレに出来ます この傾向は天気予報のようにあらかじめ予想が可能です

 

     

     

プログラム後半の1曲目は黛敏郎「シンフォニック・ムード」です この曲は黛敏郎(1929ー1997)が1950年に作曲した最初の管弦楽曲です 第1部「モデラート~アレグロ・モデラート」、第2部「ヴィーヴォ」の2部構成になっています 黛氏はこの曲について「人間が普遍的に持つ捉えどころのない郷愁を描こうとした」と語っていたとのことです

藤岡氏の指揮で演奏に入ります 曲想はインドネシアのガムラン音楽や、伊福部昭のオスティナートや、ストラヴィンスキーの「春の祭典」のようなバーバリズムや、ルンバやルンバのリズムなどが複雑に入り混じったもので、掴みどころがないというのが率直な感想です ただし、聴いていて何故か「熱」を感じました。これは不思議な体験でした

最後の曲は黛敏郎「BUGAKU」です この曲は1962年にニューヨーク・シティ・バレエ団の芸術監督ジョージ・バランシンの委嘱により作曲され、1963年3月30日にアメリカで初演され、1966年に日本で初演されました 「BUGAKU」(舞楽)とは舞を伴う雅楽のことです 柴田克彦氏のプログラム・ノートによると、「中国由来の左舞と、朝鮮由来の右舞がある。本作は、そのテイストや典雅な日本宮廷の雰囲気を、管弦楽による現代的な手法で表現した音楽」とのことです 第1部「レント」、第2部「モデラート」の2部構成になっています

藤岡氏の指揮で演奏に入りますが、驚いたのは、和楽器が一切使われていないのに、笙、ひちりき、笛、鼓などの音が再現されていたことです

黛敏郎の曲は生まれて初めて聴きましたが、2曲とも予想外の作品で、「『題名のない音楽会』の初代司会者は、こういう曲を作っていたのか!」と初めて実感できました 藤岡氏の素晴らしいところは日本人演奏家の作品を積極的に取り上げ、情熱をもって指揮するところです これからも伊福部昭をはじめとして、日本人の作曲家を取り上げてほしいと思います

 

     

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ルネ・クレール監督「自由を我らに」(4Kデジタル・リマスター版)を観る ~ お金も愛も自由があってこそ / 「ロシア 強権の歴史」~ 東大・池田嘉郎准教授のインタビューから

2022年05月12日 07時04分28秒 | 日記

12日(木)。昨日の朝日朝刊「オピニオン」ページに東京大学准教授・池田嘉郎氏の「ロシア  強権の歴史  ~ 革命や戦争の果て 人権より力の秩序 西欧思想とは遠く」という見出しのインタビュー記事が載っていました ロシアのウクライナ侵略に関連してロシア側の論理を語っていますが、読んでいて特に印象に残ったのは、プーチン政権の支持率の高さについての分析です

「正直に答えるのを恐れる人も増えているのでしょうが、大体世論調査通り、7,8割が侵攻を支持し、約2割が反対しているとみます ただ私は、反対が『たった2割』とは思いません。インテリや若者だけではなく、広い層に静かに及んでいるように思います

「ソ連時代を知る国民は、テレビが全て真実を伝えるとは思っていません 『だまされている』よりも、彼らが心の中で熱心に求めていた物語を、テレビが流しているから喜んで受容しているというのが実態でしょう 長い年月、祖国は西側にひどい扱いを受けてきたが、プーチン大統領が屈辱を晴らし、ソ連のような大国に戻してくれるという期待です

現在ロシアではプーチン政権により厳しい情報統制が敷かれており、国民は政権の都合の良いことだけが知らされています しかし、戦争が長引くほど、若いロシア兵の死亡者が増大し、ロシアに対する世界の経済制裁が効いて国民生活は困窮の度合いを増していきます いつまでもこんな異常な事態が続くわけがありません ロシアの人々には一日も早く、池田氏が指摘しているような「甘い期待」に浸っていないで、ロシア兵がウクライナでどんな酷い人殺しをやり、どんな酷い破壊活動をやっているかを知ってほしいと思います 被害が拡大すればするほど、プーチンとロシア国民が後で払う「ツケ」が膨大なものになることも知るべきだと思います それには何とかしてロシア国民に真実を伝える方法を模索し実行しなければなりません

ということで、わが家に来てから今日で2678日目を迎え、ブルームバーグによると、米ツイッターの買収で合意している資産家イーロン・マスク氏は10日、同社がトランプ前米大統領をサービスから締め出していることは「非常に愚か」であり、「アカウントの永久停止は極めて限定的にすべきだ」と述べたと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプは自前のSNSを使い ツイッターは使わないと言ってたけど フェイクかもね

 

         

 

昨日、夕食に「赤魚の塩焼き」「マグロの山掛け」「冷奴・ウニ醤油かけ」「生野菜サラダ」「エノキダケの味噌汁」を作りました 毎週水曜日は魚料理が定着してきました

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐でルネ・クレール監督による1931年製作フランス映画「自由を我らに」(85分。白黒:4Kデジタル・リマスター版)を観ました

 

     

 

刑務所仲間のルイ(レイモン・コルディ)とエミール(アンリ・マルシャン)は脱獄を図るが、要領の良いルイだけが成功してしまう ルイはレコードを売る露天商から蓄音機会社の社長にまで出世する やがて刑期を終えたエミールは、ジャンヌ(ローラ・フランス)という女性に一目ぼれするが、彼女は偶然にもルイの会社の工場で事務員として働いていた 工場でエミールとルイは再会するが、ルイはエミールが自分の過去を基に強請りにきたのかと疑うが、エミールにはそんな気はなく、ただジャンヌが好きになっただけなので解雇しないでほしいと頼む ルイはジャンヌの叔父を探し出し、エミールとジャンヌが結婚できるように取り計らうが、ジャンヌには好きな青年がいた 一方、ルイの過去を知る強盗団が、刑務所時代の顔写真を基に強請りに来る ルイとエミールはすべてを捨て、2人で当てのない旅に出る

 

     

 

本作も、前年に製作された「ル・ミリオン」同様、ミュージカル喜劇です トーキーですが、サイレント映画のようなシーンも多く、独特の世界観を醸し出しています

蓄音機工場では、労働者たちがベルトコンベアーで運ばれてくる蓄音機の型に、流れ作業で部品を取り付けていきます よそ見をしている間に型が隣に移動すると慌てて追いかけて取り付けようとするので、喧嘩になります 機械化への社会風刺を込めたこのシーンは、明らかにチャップリン「モダン・タイムス」に影響を与えています

「お金も愛も 自由があってこそ」と歌われますが、まさに自由がなければ何もできません 本作は第1回ヴェネツィア国際映画祭の「最も楽しい映画賞」を受賞したそうですが、製作から90年以上経った現在でも、その楽しさが伝わってきます

 

     

 

本日、toraブログのトータル閲覧数が695万PVを超えました( 6,951,515 PV 。トータル訪問者数は 2,129,314 IP)。これもひとえに普段からご覧くださっている読者の皆さまのお陰と感謝しております これからも毎日休むことなく根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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